■サヨナラの朝は近い
/ ルイ・高橋 with 寺内タケシとブルー・ジーンズ (SEVEN SEAS / キングレコード)
詳細なプロフィールは勉強不足で掴めていないんですが、本日の主役たるルイ・高橋は、黒人フィーリング溢れるネバッコイ歌唱で今も人気が高いボーカリストで、サイケおやじが初めてルイ・高橋を知ったのは、バニーズと別れた寺内タケシが結成した第二期ブルー・ジーンズに参加していたという、つまりは、それまでの寺内タケシがエレキインスト主流主義からGS以降のニューロック領域へも踏み込んだ昭和44(1969)年末頃でありました。
で、掲載したシングル盤は昭和45(1970)年2月の発売で、そのA面曲「サヨナラの朝は近い」こそは作詞:水島哲&作編曲:寺内タケシが恣意的とも思える狙いで作り出した、これがミディアムスローのソウル&ニューロックな歌謡曲!
―― と、書いてしまえば、各方面からのお叱りは覚悟せねばなりませんが、それでもルイ・高橋のクドイ節回しとネチネチ濃厚な声質は、当時の「日本語の歌」では破天荒寸前のサイケデリック風味が強く、滲み出る異端の響きは、とても普通の歌謡曲のフィールドではウケるはずもなく、しかしっ!
それでも驚異のニューロック性感度の高さは圧倒的という仕上がりのキモは、テケテケを封印し、グリグリに弾きまくる寺内タケシのリードギターが絶対!
ちなみに当時のブルー・ジーンズは志村幸夫(g)、相田幹夫(g)、山根 裕(key)、石橋志郎(b)、ジョー水木(ds) という顔ぶれで、もちろん寺内タケシからの薫陶を受けた真摯なプレイは素晴らしいわけですが、惜しむらくはレコードに収録された完パケトラックのミックスが隙間だらけで、確かにそれは当時のステレオバージョンという観点からすれば正解かもしれませんが、各楽器の分離が明確過ぎて、特に前に出たボーカルと相反して引っ込んだ感じのエレクトーンやリズムギターに、もっと自己主張(?)していただきたいという…… (^^;
しかし、それでもルイ・高橋が歌い、寺内タケシが熱く弾きまくった「サヨナラの朝は近い」は堂々傑作の日本のロックであり、ソウル&ニューロック歌謡の極みつきと思うばかりです。
そして、たった一度だけ、その頃の実演ライブで接した寺内タケシとブルー・ジーンズが演じた「サヨナラの朝は近い」のド迫力、ルイ・高橋の情念の歌いっぷりは、今も激烈な記憶として、サイケおやじの心身に染み込んでおります (^^)
また、ルイ・高橋を擁した時期の寺内タケシとブルー・ジーンズの音源はCD復刻されているはずですので、ど~か皆様にもお楽しみいただきたく、願っております <(_ _)>
あぁ~~、ソウル&ニューロックな歌謡曲って、コレクターズアイテムという以上に愛好者が多いと推察しておりますが、纏まった復刻を望むばかりです。