OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

洋楽覚えの法則

2012-01-23 15:55:43 | Pops

僕と君のブー / Lobo (Big Tree / 日本フォノグラム)

洋楽を好んで聴いていると、いや、だからこそと言うべきでしょうが、日本人にはど~しても越えられない壁が言語の違いというやつでしょう。

それはもちろん歌詞の中身もそうですが、もうひとつ直截的に困ったのが曲名や歌手名&グループ名が、主にラジオで1回聞いただけでは覚えられず、おっ、素敵なメロディ♪♪~♪ と惹きつけられても、それをリクエストしたり、レコードを買ったりする時の目標を間違えてしまう危険性は常にあったのです。

まあ、平たく言うと、例えば「ホール&オーツ」という「男性デュオ」をラジオでヒアリングすると、「ホーランローズ」という所謂「ソラミミ」状態に陥り、それはもしかしたら「バンド」名と思い込まれる事もあるんじゃなかろうか……。

ですから、とりあえず覚えづらい原曲名にはレコード会社によって邦題がつけられ、またバンド名にしても、例えば「Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tick」な~んていう超長ったらしいものは「デイブ・ディー・グループ」とする潔さが、それこそヒットする条件のひとつでもありました。

さて、そこで本日掲載の1枚は輝かしき1970年代ポップスのひとつとして、我国でもラジオをメインにヒットしたハートウォームな人気曲ですが、そのひとつのポイントが既に述べてきたような事情を証明していると思います。

まず、なにしろ歌っているのが、ロボという、これ以上ないほど簡素な芸名ですし、その語呂の響きは「ロボット」「ジャイアント・ロボ」「ロバ」等々に共通するものとして、日本人には非常に馴染み易いものです。

また曲名についても、原題は「Me And You And A Dog Named Boo」という、比較的分かり易い英語でありながら、あえて「僕と君のブー」という、ドリフターズの木ブーに挨拶はしたのか? なぁ~んて、そんな関係無いことまで心に浮かぶほどの痛快さ(?)がありますから、そのウキウキしたメロディとアコースティックな感触も心地良いポップスフィーリングがさらに増幅され、ヒットに結びついたんじゃないでしょうか。

そして、その意味で上手く出来ているのがサビメロと歌詞の語感の気持良さで、曲タイトルとなっているフレーズを極めてシンプルにロックビートに乗せた冴えは絶品!

ちなみに特にアメリカの職業作家は、1950年代末頃からのR&R系白人ポップスを書くにあたって、作詞家には8ビートに乗り易い言葉使いが要求されていたそうですし、それは同様に所謂歌物ジャズスタンダード曲の歌詞が4ビートを意識して作られていた事の証左でもあるのでしょう。

閑話休題。

肝心の歌っているロボは、この日本盤ジャケットには本人の顔写真が無く、また裏解説にも履歴等々について、全く書いてありませんが、どうやらギリシャ系の白人シンガーソングライターらしいですね。

しかし当時は、とりあえず素敵なメロディとカタカナでも歌い易いビート感のあるリフレインがあれば、それがラジオ中心の洋楽ヒットに成り得る要因だったと思います。

こうして昭和46(1971)年の初夏~秋にかけて、この「僕と君のブー / Me And You And A Dog Named Boo」は見事に我国でもヒットし、忘れじの1970年代ポップスのひとつになりましたが、ロボ本人については、それほどの存在感が認識されていない現状は???

第一、このヒット曲にクレジットされている作者の「K.Lavoie」が、ロボ本人なのか? という疑問さえ、未だサイケおやじには知る由もありません。

また、これに続いて幾つかのシングル盤やアルバムも出たと記憶していますし、現実的にはアメリカでの活動はもっと華々しくて、1970年代前半だけでも、10曲以上の大ヒットを放っているので、きっと我国のラジオからもそれらが流れていたはずなのに、その中身についての鑑賞体験を覚えていないのですから、逆に言えば「僕と君のブー / Me And You And A Dog Named Boo」だけが突出してという事かもしれませんねぇ。

ということで、ポップスヒットに理屈は要らず、耳に心地良いフィーリングが優先されれば、OK!

と頭ではわかっているサイケおやじも、しかし納得出来るバックグラウンドがなければ、それを本気で聴くことが出来ないという体質も露わです。情けない……。

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4 コメント

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百万人のポップス (アンディP)
2012-01-23 22:46:45
当時「百万人の英語」(旺文社提供)というラジオ番組で、ポップスの英語歌詞を味わおうと言う曜日があり、ロボでは「片思いと僕」という曲が採り上げられた記憶があります。
http://www.youtube.com/watch?v=_nx9rrNUI50&feature=related
(「僕」と「○○」を並列させるのが、ロボ担当ディレクターの好みだったようです)
エルトン・ジョン「ダニエル」の歌詞も同番組で解説されました。
そんな訳で、その2曲は、今でもぼぼ正確に歌詞を口ずさめるという訳です。
名曲「君と僕のブー」を久しぶりに聞いて、そんな事を思い出しました。
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ヒアリング (サイケおやじ)
2012-01-24 15:37:48
☆アンディP様
懐かしいお話、ありがとうございます♪

「百万人の~」ありましたですねぇ~。
当時のラジオの深夜放送メインの時間帯の直前、あるいは早朝だったと思いますが、確かテキストも本屋で売っていたと記憶しています。

英語力はヒアリングが基本だとか、様々な説が唱えられましたが、かなり当たっていたと思います。
なによりも洋楽を聴いて覚えた英語って、かなりあるんじゃないでしょうか? 例えそれが最初はカタカナであっても、後になって、あっ、そうだったのか! と目からウロコが♪
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マジで懐しい… (HOOP)
2012-01-31 19:36:26
唯一知っているのが『片思いと僕』でしたが、
当時よく聴いていた深夜ラジオ番組では
この曲をはじめ、イングランド・ダン&ジョン・フォードの
『シーモンの涙』や
ヴィグラス&オズボーンの『秋はひとりぼっち』
といったナンバーがほんとうによく
耳にした記憶が今も時折思い出しては
口ずさんでみたりしております。
いずれも切なくて大好きでした。
返信する
多感な時期のメロディ (サイケおやじ)
2012-02-01 19:32:00
☆HOOP様
コメントありがとうございます。

個人的にもサイケデリックだ、ジャズロックだ、なぁ~んて盛り上がっていても、当時のラジオから流れていた洋楽ポップスの素晴らしき世界からは決して抜け出せません(微笑)。
やはり多感な時期に刷り込まれたものは音楽に限らず、自らを確かめる自然な手段なのでしょう。
思わず口ずさむ事は私も多いですよ♪
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