OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジェリー&ペイスメイカーズもよろしく

2010-10-03 16:35:21 | Rock

恋のテクニック c/w 太陽は涙が嫌い
              / Gerry & The Pacemakers (Columbia / 東芝)

我国における往年の洋楽には、当然のように邦題がつけられたヒット曲が多数あります。

もちろん英語や諸外国の言葉に不慣れな日本人にとっては、これが原題よりも馴染み易かったわけですし、はっきり言えば歌詞の内容は理解出来なくとも、邦題のイメージと楽曲の醸し出すムードが一致すれば、それはそれでOK!

ですからレコード会社の制作担当者は、如何に素敵な邦題を捻り出すかも、なかなか重要な仕事だったんでしょうねぇ。

本日ご紹介のシングル盤は両面とも、そうした思惑がズバリ、直球ど真ん中のヒット曲でした。

演じているジェリー&ペイスメイカーズはリバプール出身ということで、ビートルズと契約していたブライアン・エプスタインのエージェントに所属していました。メンバーはジェリー・マーズデン(vo,g)、レス・マクガイア(p)、レス・チャドウィック(b)、フレディ・マーズデン(ds) という4人組ですが、バンド名からもご推察のとおり、一座のスタアは些かアクの強いキャラクターのジェリー・マーズデン!?!

しかしバンドの纏まりはR&RやR&Bのグルーヴをきっちり演じられる素晴らしいもので、その実力は残された音源を聴けば明らかなんですが、同時にエンタメ系の親しみ易さも兼ね備えていたところから、忽ち人気グループとなりました。

それはライプの現場だけでなく、1963年の公式デビュー以来、次々に放たれたヒットシングルを聴くだけでも、その明快な魅力が堪能出来ると思います。

このシングル盤は、おそらくは日本での最初の1枚かと思われますが、まずA面の「恋のテクニック」は、原題が「How Do You Do It」として、イギリスでは1963年春のデビューヒット♪♪~♪ 曲調は典型的なマージーピートというか、ちょいと胸キュンのビートルズっぽい味わいがたまらないところです。そして今日では明らかになっているように、この曲はビートルズのデビュー曲候補にもなっていたほどの傑作!

しかし職業作家の手になる歌ということで、レコーディングが終っていながら、ジョン・レノンの頑強な反対によってオクラ入り……。それが現在では「アンソロジー第1集」に収められ、堂々と聴けるようになってみれば、このジェリー&ペイスメイカーズが如何にビートルズのアレンジを流用しているかが確認出来ますよ。

ただし、こちらは間奏でのピアノとリズム&ビートの兼ね合いが、なかなかジャズロックっぽくて、サイケおやじは大好きです。また、微妙にツッパリなジェリー・マーズデンの歌い回しも、ヒットして当然の成り行きだと思います。

ちなみに、この日本盤シングルは昭和39(1964)年の発売なんですが、ここで「ハウドュユードゥイット」なんて曲名だったら、如何にも中学校の英語の授業みたいで、イメージ悪かったでしょうねぇ。これは絶対、「恋のテクニック」で正解でした。

一方、B面「太陽は涙が嫌い」の原題は「Don't Let The Sun Catch You Crying」ですから、これまた邦題が絶妙でした。しかも一部では、ジェリー&ペイスメイカーズの最高傑作とまで言われている泣きのパラードですからねぇ~♪ 自作の強みを活かし、せつせつとした曲メロを程好い思い入れで歌うジェリー・マーズデンとバックのジャズっぽい伴奏、大袈裟なようでいて、実は控えめなストリングスという仕上がりも抜群ですから、少年時代のサイケおやじは、かなりラジオで聞かされた記憶があります。

もしかしたら、リアルタイムの日本では、B面の方がウケていたのかもしれません。

一応、本国イギリスでは1964年初夏に大ヒットしたシングルA面曲でしたから、さもありなんでしょう。

そして邦題が、歌と曲の雰囲気にぴったりなんですよねぇ~♪

ということで、ジェリー&ペイスメイカーズをロックの歴史云々で語るとすれば、リバプールではビートルズのライバルバンドだったという事実だけかもしれません。しかしヒット曲愛好家にとっては、なかなか琴線に触れる歌と演奏を残してくれたグループとして、今も忘れられていないと思いますよ。サイケおやじにしても、このシングル盤は印象が強く残っていた所為で、実は昭和52(1977)年に中古でゲットしたものです。

現実的には、1966年末にジェリー・マーズデンがミュージカルスタアに転身したことからバンドは解散していますが、残された楽曲と音源は絶対に集大成されるべきレベルのものばかり!

またサイケおやじが1980年代に入ってからイギリスで接した某テレビショウには、すっかりバラエティ系タレントに転向していたジェリー・マーズデンが出演していましたが、それでも番組内で2曲ほど歌ってくれた時には、ちゃ~んと往年の味わいを大切にしていましたですねぇ~♪ 一流の芸人として、流石だと思いましたよ。

現在では時代遅れの感も強いジェリー&ペイスメイカーズの再評価を、強く望むばかりです。

「太陽は涙が嫌い」を使うCMは無いもんでしょうか。

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ザ・フーの、これがベストのベスト盤

2010-10-02 16:37:53 | The Who

Meaty, Beaty, Big & Bouncy / The Who (Track)

2人っきりになっても活動を継続中のザ・フーは、今や最もベスト盤を多種多様に発売したバンドじゃなかろうか……?

と、サイケおやじはザ・フーが少年時代から大好きだった所為もあって、複雑な心境を隠せません。そして結局は、そういうブツが出る度に、僅かな新曲やミックス&エディット違い、あるいは別テイクなんかのエサに釣られて買ってしまうんですから、情けないと言われれば、全くそのとおりです。

しかし1970年代には契約の問題から、ザ・フーの特に初期の音源は入手が難しい事もあり、けっこう重宝したファンも多いんじゃないでしょうか。

例えば本日ご紹介のアルバムは1972年頃に出たベスト盤なんですが、明らかに意図的としか思えない別バージョンが押し込まれていたりして、侮れません。

 A-1 I Can't Explain
 A-2 The Kids Are Alright (US Short Version) ▲
 A-3 Happy Jack
 A-4 I Can't See For Miles / 恋のマジック・アイ
 A-5 Pictures Of Lily / リリーのおもかげ

 A-6 My Generation
 A-7 The Seeker
 B-1 Anyway, Anyhow, Anywhere

 B-2 Pinball Wizard / ピンボールの魔術師
 B-3 A Legal Matter

 B-4 Boris The Spider / ボリスのくも野郎
 B-5 Magic Bus (alternate take) ▲
 B-6 Substitute / 恋のヒンチ・ヒッター
 B-7 I'm A Boy (alternate take)

  ●モノラルミックス
  ▲疑似ステレオバージョン  

上記した収録演目は、まさに1970年までのザ・フーを代表する名曲名演ばかりで、それはシングルA面扱いでヒットした13曲に加え、特にアルバム収録ながら、やはりザ・フーには欠かせない「ボリスのくも野郎」を入れたという優れもの♪♪~♪

ただしアルバム全体がステレオ仕様ということで、この時点でモノラルミックスしか存在しない曲に関しては、当然ながら疑似ステレオバージョンが中途半端に用いられているのは賛否両論でした。

それらについては▲印を付けておきましたが、「I Can't Explain」や「My Generation」等々が、きっちりとモノラルミックスで収められているのですから、一般的には納得出来ないと思います。

しかし天の邪鬼なサイケおやじは、そういう疑似ステレオ効果で発生するエコーの雰囲気が、如何にも当時のロックらしい味わいとして嫌いではありません。

まあ、それはそれとして、このアルバムの大きなウリは「Magic Bus」と「I'm A Boy」の初出バージョンでしょう。

まず「Magic Bus」は1968年10月に発売されたシングル曲なんですが、ここに収録されたのはエンディングがフェードアウトしていませんし、ボーカルも異なっています。そしてこの終盤のパートが、なかなか心地良いんですねぇ~♪

一方、「I'm A Boy」は1966年夏に発売されたシングルバージョンとは完全に異なる別テイク! 全体にちょいとスローなテンポで演じられており、中間部のホルン(?)が妙な気分にさせてくれるという味わいは???でしょうか。ちなみにブートではイントロがカットされたバージョンやリアルステレオミックスも出回っています。

ということで、サイケおやじにとっては、完全に件の2曲を目当てにゲットしたアルバムなんですが、これが今となってはザ・フーの最高のベスト盤じゃなかろうか? と思うばかりです。

もちろん、ここには「Summertime Blues」も「無法の世界 / Won't Get Fooled Again」も、また「The Real Me」も「Love Reign O'er Me」も、そして当然「Long Live Rock」さえも入っていませんが、しかしザ・フーがロック全盛期を伸し上がっていった軌跡の中で、それはポップでワイルドな個性が抜群だった1960年代の活躍を濃縮して楽しめるアルバムに仕上がっています。

またジャケットデザインが実に秀逸で、ロジャー・ダルトリー(vo)、ピート・タウンゼンド(g)、ジョン・エントウィッスル(b)、キース・ムー(ds) という最強4人組の子供時代と思しき少年モデルを使ったあたりは、上手いですねぇ。そして、よくもまあ、これだけ雰囲気が似ているメンバーを集めたもんだと思いますが、おそらくはザ・フーの4人は、典型的なイギリス人の顔立ちなのかもしれませし、各人が揃って鼻が大きいという個性は、そのまんまバンドのイメージに直結していましたですね。

その意味で、裏ジャケットは現物を見てのお楽しみになっています。

いゃ~、やっぱりザ・フーは良いですねぇ~♪

と、秋の日にシミジミ思うサイケおやじでした。

コメント (2)
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和田アキ子のミッシングリンク的名曲

2010-10-01 16:43:37 | 歌謡曲

その時わたしに何がおこったの
         c/w つれてって、何処までも / 和田アキ子
(RCA)

昭和44(1969)年10月に発売された、和田アキ子にとっては3枚目のシングル盤が本日のご紹介です。

まずジャケットに写る彼女の衣装がサイケデリックからニューソウルへの懸け橋的なイメージなのが、今となっては意味深でしょうか。当時としても、これはなかなかスマートなカッコ良さがありましたですねぇ。

ご存じのように、当時の和田アキ子はデビューした時から芸能界においては異色の女性歌手であって、その男っぽさというよりは、アウトローな存在感がちょっとした魅力でした。そして黒人R&Bの強い影響下にある卓越した歌唱力は、そういう個性があって、さらに注目を集めていたのですから、制作側の売り出し方は正解だったのでしょう。

しかし楽曲の歌詞の中には、明らかに女っぽい部分が強く描かれていたのも確かです。

例えば、このA面曲「その時わたしに何がおこったの」は、矢鱈に長いタイトルではありますが、流れ者の男に恋した女が、旅の途中で捨てられても、今は連れていって欲しいと願う、なかなか明日なき刹那の希望が歌い込まれています。

そうした物語性の強い作詞は阿久悠の十八番であり、また田口ふさえの書いたメロディはメリハリの効いた覚え易いものですが、ここでも特筆すべきは川口真のアレンジでしょう。

まろやかなのにパワフルなホーンセクションとジャジーなピアノや打楽器、そしてツボを外さないストリングの使い方は、典型的な川口真スタイルですし、ちょいと甘さを滲ませる和田アキ子のボーカルをがっちりサポートしています。

と言うよりも、こういう見事なアレンジがあってこそ、幾分ワザとらしいフェイクも感じられる彼女の歌が、自然体に仕上がっているんじゃないでしょうか。

その点、B面収録の「つれてって、何処までも」は地味ながら、如何にも和田アキ子のイメージにジャストミートのR&B歌謡!

曲タイトルからもご推察のように、大日向俊子の作詞はA面の続篇を強く感じさせますし、ド演歌色も強い曲メロは和製R&Bの決定的な大ヒットとなったキングトーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」を書いたむつひろし!?!

ですから、和田アキ子の粘っこいフィーリングに溢れた歌い回しは、A面以上の昭和歌謡曲になっています。

そしてもちろん、こちらのアレンジも川口真ということで、ヘヴィなビートを活かしつつもチープなオルガンやジャジーなピアノ、蠢くベースに厚みのあるホーンアレンジが、たまりません♪♪~♪

しかし、新しさという点では、やっぱりA面の「その時わたしに何がおこったの」でしょう。

R&B歌謡というよりも、この頃から盛り上がっていく歌謡ポップス路線の中では、ひとつの優良なサンプルなのかもしれません。

結果的には中ヒットではありますが、既に前作「どゃしゃぶりの雨の中で」を大ヒットさせ、歌手として認められていた和田アキ子にとっては、続く「笑って許して」の社会現象的ブレイクの狭間に出された隠れ人気曲として、忘れられないものだと思います。

そして実際、この歌が好きだという歌謡曲ファンが大勢存在しているんですよねぇ。

ということで、やっぱり歌手としての和田アキ子は素晴らしい!

特に初期の彼女は上手さの中にも未完成の魅力があって、それがシンプルな状態で楽しめるあたりが、サイケおやじの最も好むところなのでした。

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