OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ウケまくりのサンタナは大衆ロックバンドか!?

2011-04-20 16:07:27 | Rock

僕のリズムを聞いとくれ c/w 君に捧げるサンバ / Santana (Columbia / CBSソニー)

昨日ご紹介したブラック・サバスとは正反対、同時期にすんなりと我国の音楽ファンを虜にしたのが、ラテンロックのサンタナでした。

今更説明不要とは思いますが、とにかく1969年初秋の正式デビューアルバム発売から洋楽マスコミは挙って絶賛! そして映画「ウッドストック」での大熱演からセカンドアルバム「天の守護神」のロングセラー! さらにそこからシングルカットされた「Black Magic Woman」のメガヒット!

そうした流れは当時のロックファンにだけ感じられたものでは決してなく、普通はそれをバカにもしているジャズファン、そしてラテン音楽等々の愛好者、さらには一般大衆までもが流行歌を楽しむように接していたんですからねぇ~~♪

要因は様々にあろうかと思いますが、特に賛否両論的に良かったのが演じている歌と演奏の歌謡曲性でしょう。

このあたりについては後年、「哀愁のヨーロッパ」でも立派に実証されるのですが、サンタナが最初にブレイクした当時は歌謡曲の世界でもラテンミュージックを巧みに取り入れたムードコーラスグループが人気を集めていましたし、その汎用性が我国独得のリズムとして生み出されたドドンパの発明であったり、とにかく歌謡曲全般に深く根ざしていた美味しいキモだったことは間違いありません。

というよりも躍動的で哀愁も滲むラテン系音楽のリズムやメロディが、日本人の感性にジャストミートしていたんでしょうねぇ~~♪

その意味で本日の1枚は、まさに日本人向けとも言える好カップリングで、前述したアルバム「天の守護神」からのシングルカット盤♪♪~♪

まずA面「僕のリズムを聞いとくれ / Oye Como Va」はラテンミュージックの大御所たるティト・プエンテのヒット曲カパーなんですが、リアルタイムのサイケおやじはそんな事を知る由もなく、どっかで聞いたことあるなぁ~、とノーテンキにノッていましたですねぇ~♪

もちろんサンタナのギターはメロディアスに泣き、ウキウキするようなラテンビートはポリリズムの分かり易い混濁さが実に上手いところなんですが、なによりも素敵なのは、ある意味での胡散臭さと猥雑なムードのロック的な解釈でしょう。

まあ、このあたりは完全に後付けの屁理屈ではありますが、そこかしこにまき散らかしてくれフィール・ソー・グッドな味わいは世界共通の認識として、サンタナが地球規模でウケている秘密だと思います。

そしてB面の「君に捧げるサンバ / Samba Pa Ti」が、これまた今やスタンダード化したというか、ディスコやピンサロではチークタイムや閉店のクロージングテーマとして、あるいはストリップやフロアショウでの使用頻度も極めて高いという官能的なメロディがたまらないインスト曲の決定版♪♪~♪

スローなテンポでサンバやボレロのリズムを巧みにミックスさせながら展開される構成の中で、カルロス・サンタナのギターがエロティックな音色で魅惑のフレーズを積み重ね、さらにはバンド一丸となった情熱的なグルーヴのねっとり感は、実にアブナイ雰囲気に満ちていますよねぇ~~♪

ちなみにサンタナといえばメンバーチェンジが初期からの日常茶飯事でしたが、この当時はカルロス・サンタナ(g.vo)、グレッグ・ローリー(key,vo)、デイヴィッド・ブラウン(b)、マイケル・カラベージョ(per,ds)、マイケル・シュリーヴ(ds,per)、ホセ・チェピート・アリアス(per) がメインになっていたようです。

ただし実際のレコーディングには数名のゲストが参加していますし、ライプの現場でもそれは常態化していたというのが定説でしょうか。

それでもこの当時のサンタナには、神秘的なムードを自然体に醸し出していく野性的なパワーがあったと思いますし、その中で確固たる存在感を示すカルロス・サンタナのギターからは所謂歌謡曲なフレーズも飛び出し、また同時にラテンパーカッションをメインに使ったリズム的興奮への誘いは、まさに温故知新で唯一無二!

それが特に顕著なのが、このシングル盤両面の2曲として、今もってライプステージでは必須の演目になっているほどです。

最後になりましたが、カルロス・サンタナのギタースタイルは当然ながらブルースロックの発展形かもしれない中で、マイナースケールの使い方が抜群に上手いと思いますねぇ~♪ もちろんそうしたやり方は、センスの無い者にとってはイモを演じる失笑大会が必至の危険水域ですから、不遜にもコピーする時には気持の整理が必要かもしれません。

ということで、このシングル盤が売れまくっていた1971年は、我国でも洋楽がグッと身近になった時期でもありました。それは既に述べたようにキャバレーやストリップ劇場等々だけでなく、時にはパチンコ屋とか商店街にもサンタナの歌と演奏が流れていた記憶も鮮明であり、ハコバンのプロやアマチュアバンドでも、このあたりが出来なければお呼びじゃないっ!?!

ある意味ではビートルズやストーンズ以上に我国では需要のあったサンタナの大衆性は、懐メロを超えた存在感が今も健在だと思います。

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ブラック・サバスは本当に怖いか!?

2011-04-19 15:45:22 | Rock

Paranoid / Black Sabbath (Philips)

我国じゃ全然ウケないですが、ブラック・サバスの人気は欧米では高く、しかもアメリカではボーカリストのオジー・オズボーンなんて、アイドル並みの扱いなんですからねぇ~~~。

これほど日本人の感性に合わないバンドも珍しいと思いますが、それというのもブラック・サバスはデビュー当時から、おそらくはキリスト教に基づく悪魔信仰や黒魔術云々をウリにしていたオカルト(?)バンドであって、そうしたオドロの雰囲気を演出するためにハードなロックをやっていたとさえ思える部分が確かにあります。

しかもデビューしたのが1970年2月13日の金曜日というのも、実に念の入った仕掛でした。

当時のメンバーはオジー・オズボーン(vo)、トニー・アイオミ(g)、ギーザー・パトラー(b)、ビル・ワード(ds) という4人組で、虚心坦懐に聴けば最初から4枚目あたりまでのアルバムは良く練り上げられたサウンド作りが楽しめると思います。

尤もそれはハードロック中毒者優先でしょうし、歌詞の中身を知ってみると、思わず笑わないではいられない!?!? そんな自意識過剰な演出が当時のライプステージでは多分にあったんじゃないでしょうか……?

それをマジになって聴ける欧米のファンは本当に幸せなのかもしれませんねぇ。

ただし後年、オジー・オズボーンが素行不良(?)でバンドを馘首され、ソロに転じてからは、ある意味でのお笑いキャラとして受け取られる人気が爆発したわけですから、ロックの世界では誰も真剣にやっていなかったホラー趣味を演じた狙いも、流石というところかもしれません。

さらに正直に告白すれば、初期の歌と演奏には基本的なカッコ良さが確かにあって、例えば本日ご紹介のシングル曲は1971年に発売されたものですが、今もってブラック・サバスの代名詞でしょう。

そのシンプルなリフとハードなノリが、若き日のサイケおやじをグッと惹きつけたというわけです。

今となってはキワモノ扱いも吝かではないブラック・サバスではありますが、リアルタイムではギタリストのトニー・アイオミが、スーパーギタリストのひとりとして評価されていたんですよっ!?

現在でもブラック・サバスは数え切れないほどのメンバーチェンジや再結成を繰り返しつつ、立派に存続しているそうですから、多角的な意味での怖いも見たさというか、一度ぐらいはライプに入ってみたいなぁ~んて、思う日々です。

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スタン・ゲッツの欧州物は味わい深い

2011-04-18 16:45:21 | Jazz

Imported From Europe / Stan Getz (Verve)

本場アメリカのジャズプレイヤーが時代の流れに押されるように欧州各地へ活動を場を求めた歴史は、特に1960年代中頃から顕著だと思いますが、しかしフランスや北欧は1940年代から既にジャズの先進地帯でしたから、リアルタイムでも超一流のメンツが度々訪れ、地元の実力者達と優れたレコーディングを残していました。

例えば本日ご紹介のアルバムは、スタン・ゲッツが1958年にスウェーデンで吹き込んだセッションから作れた1枚なんですが、これ以前にも自身の十八番となった「Dear Old Stockholm」に象徴的な素晴らしいレコーディングを残しているとおり、何故か当地とは相性が良いようですから、ここでも素晴らしい快演を聞かせてくれます。

メンバーはスタン・ゲッツ(ts) 以下、ベニー・ベイリー(tp)、オキ・ペルセン(tb)、エリック・ノールストローム(ts)、ビャルネ・ネーレン(ts)、ラス・ガリン(bs)、ヤン・ヨハンソン(p)、ベンクト・ハルベルク(p)、グナー・ヨンソン(b)、ウィリアム・ショッファー(ds) という聴けば納得の才人揃いですから、決してスタン・ゲッツだけのリーダー作品とは決めつけられないものがあると思います。

A-1 Bengt's Blues (1958年9月16日録音)
 タイトルどおり、ピアニストのベンクト・ハルベルクが作編曲したモダンジャズのブルースなんですが、このなんとも言えないクールなカッコ良さがクセになる4ビートグルーヴは、ちょいとたまりません。
 それはアップテンポで、アメリカ西海岸系のハードバップのようでもありますが、スマートなノリとシンプルなホーンリフを得て繰り広げられる各人のアドリブは充分に個性的で、なかなかのアクの強さも滲んでいます。
 中でも最初に登場するベンクト・ハルベルクのピアノには硬質なクールフィーリングと妥協しないジャズっぽさがあって、微妙に良い感じ♪♪~♪ さらにオキ・ペルセンの闊達なトロンボーンからツッコミ鋭いベニー・ベイリーのトランペットが鳴り出せば、そこには本場アメリカに勝るとも劣らないモダンジャズの天国が現出されるのですが、いよいよ登場するスタン・ゲッツのスピードのついたアドリブの素晴らしさの前では、そうした彼等が露払いに思えるほど!?!
 あぁ、この不遜をお許し下さい。
 実は本当に短いパートしか吹いていないんですが、このアピール度の高さこそがスタン・ゲッツの真骨頂でしょうねぇ~~♪
 何度聴いても、ゾクゾクさせられますよ♪♪~♪ 

A-2 Honeysuckle Rose (1958年8月26日録音)
 良く知られた歌物ジャズ曲が、なかなかスリルに満ちたアレンジで躍動的に演奏される時、それはモダンジャズの真髄といって過言ではありません。
 ヤン・ヨハンソンの編曲は相当にスピード感を要求するものですが、シャープなドラムスの好演もあり、なによりもスタン・ゲッツが如何にも「らしい」アドリブで先陣を務めた後は一気呵成! その流れるようなフレーズのひとつひとつに込められた歌心が、後続するメンバー達を見事に導いていきます。
 またホーン隊の迫力ある合奏とアンサンブルの妙もジャズ的な楽しみに満ちていると思いますし、個人的にはベニー・ベイリーの溌剌さがたまりません。

A-3 They Can't Take That Away From Me (1958年8月26日録音)
 これまた邦題「誰も奪えぬこの思い」として良く知られたスタンダード曲とあって、まずはヤン・ヨハンソンのアレンジが気になるところではありますが、もちろんミディアムテンポのジャズビートの中ではスタン・ゲッツのリラックスした吹奏が最高の聴きどころでしょう。その期待を裏切らぬ出来栄えは流石の一言!
 そしてホノボノフィーリングが全開のオキ・ペルセンも良い味出しまくりですが、クールでソフトなラス・ガリンのバリトンサックスが最高に侮れませんねぇ~♪ 今もってこの人のファンが多いのも納得されるはずです。

B-1 Topsy (1958年8月26日録音)
 1930年代からのカウント・ベイシー楽団が十八番にしていたジャズヒットですから、スタン・ゲッツも自らのルーツたるレスター・ヤングを意識していたと思しきスタイルも披露しつつ、やはり個性はしっかりと打ち出しています。
 ただし基本が所謂カンサスシティ系のモダンスイング調にアレンジされていますから、参加メンバー達のモダンなフィーリングがイマイチ、活かされていないような……。 個人的には、ここてもラス・ガリンのバリトンに心惹かれます♪♪~♪

B-2 Like Someone In Love (1958年9月15日録音)
 再びベンクト・ハルベルクのアレンジという所為でしょうか、なかなか楽しくてモダンなアンサンブルを活かした演奏が楽しめます。
 特にアドリブ先発のスタン・ゲッツはハードバップ的なニュアンスも含めた緊張の緩和のバランスが秀逸! また、逞しさとソフトな情感を両立表現するテナーサックスの音色も魅力がありますねぇ~♪

B-3 Speak Low (1958年9月15日録音)
 これも原曲の魅力を活かしたベンクト・ハルベルクのアレンジが見事すぎますが、スタン・ゲッツも負けじと素晴らしいメロディフェイク&アドリブで応えるという、このアルバムの中でも出色の仕上がりになっています。
 そして中間部の凝った仕掛のアンサンブルを経て登場するラス・ガリンのバリトンサックスが、短いながらも素敵ですよ♪♪~♪

B-4 Stockholm Street (1958年9月16日録音)
 そのラス・ガリンの作編曲による、このオーラスに置かれたクールな演奏は、まさに北欧のジャズムードでしょうか。
 ですからスタン・ゲッツが聴かせてくれるハートウォームな表現は、既にしてボサノバのヒットを予見させる浮遊感に満ちていますし、ちょいとモヤモヤした原曲から珠玉のメロデイを紡ぎ出すアドリブの天才性は特筆物だと思います。

ということで、数多残されたスタン・ゲッツの作品群の中では目立たない1枚ではありますが、実は本来、このセッションはヴァーヴが企画制作したものではなく、スウェーデンの現地レーベルが原盤権を持っていた音源をあえて発売しただけあって、その充実度はファンを充分に満足させるものです。

それはどんな環境条件であっても、常にスタン・ゲッツはスタン・ゲッツでしかありえないという確固たる存在感の証明に他なりません。

ご存じのとおり、スタン・ゲッツがこの時期から1961年初頭まで、欧州各地で活動していたのは悪いクスリ云々によるところが大きかったと言われていますが、もうひとつ、既に述べたように、自らの音楽性との相性が良かった事もあるんじゃないでしょうか。

一概に断定は出来ませんが、このアルバムの他にもサイケおやじを密かな愛聴衝動に駆りたてる何かが、この頃のスタン・ゲッツにはあると感じています。

ちなみにジャケットに写る街頭の風景はフランスですよねぇ……?

それゆえにアルバムタイトルに偽りは無しという事なんでしょうが、そうしたファジーな仕上げもヴァーヴらしくて、憎めないのでした。

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春の日の天使の朝

2011-04-17 16:06:55 | 歌謡曲

天使の朝 / 高村ルナ (クラウン)

ここのところ、嘆き節な暗い話が多かったので、今日は久々に「R-18」なジャケットも素敵な1枚のご紹介です。

歌っている高村ルナはご存知、元ゴールデンハーフのルナで、このシングル曲は彼女がグループ解散後に主演した日活ロマンポルノの昭和51(1976)年お正月封切作「修道女ルナの告白(小沼勝監督)」の挿入歌でした。

もちろん件の映画は制作段階から芸能マスコミも騒動扱いにするほどの大ヒットになっていますが、それというのも当時の成人映画は今日のアダルトビデオよりも遥かに背徳性の強い存在でしたから、そこにいくらセクシー系であったしても、一線で活躍していたアイドルが出演するという事は想像を絶する嬉しい驚愕だったのです。

しかもハーフ特有の西洋系の面立ちが映える修道女を演じ、泥まみれのレイプや下着姿、綺麗な入浴シーン等々、出し惜しみしない姿勢が素晴らしかったですねぇ~♪ 当然ながら小沼監督の演出も元アイドルという部分に拘り、場面によってはPVに近い映像もありました。

ちなみに小沼勝という監督は、ヌメヌメとした陰湿なエロスを撮らせては抜群の表現を演出するのが持ち味ですから、こういうある意味でのアイドル映画では職人的な手腕ばかりが目立つような気も致しますが、そこは共演に中島葵というプロ意識の高い女優さんを配し、十八番のエグイ仕掛けはそちらへ向けられるという趣向の中で、彼女の腋毛までも見せた大熱演が忘れられません♪♪~♪

さて、肝心の「天使の朝」は その頃から一般的に流行の兆しが見えていたフュージョンを取り入れたカリプソ~レゲエ調のポップス、と言うよりも所謂ニューミュージックで、作詞:横山由&作編曲:佐藤博の狙いがジャストミート!

なにしろバックの演奏は Little Feat が高中正義したような特別にグルーヴィなものですし、そこに乗った高村ルナの溶け出しそうなボーカルが歌詞の意味を充分に理解していて素晴らしいですよ♪♪~♪ さらに後半では Sonny Rollins風のサックスや分厚いコーラスも加わって盛り上がりますから、まさに最後まで間然することの無い仕上がりになっています。

ということで、高村ルナはこの作品の大ヒットに続けて「ルナの告白・私に群がった男たち(昭和51年 / 日活 / 小原宏裕監督)」にも主演し、芸能界も含めた自らの性体験を基にした内容を自然体で好演しましたから、またまたの大ヒット! 男性誌のグラビアや表紙にも多数登場し、世間を騒がせています。

彼女の魅力は素晴らしい肉体と、素人っぽい中にも勘の良い演技がリアルだということで、この2本の大ヒット作は、演技には素人の元アイドル達がポルノ作品に出演したり、またグラビアでヌードを公開したりする嚆矢となりました。

しかし、その彼女も翌年にはフェードアウトし、もう少し活躍して欲しかったと願う多くのファンを嘆かせました。

そして引退後はハワイに移り住み、現地で結婚して幸せな生活を営んでいたようですが、突然の病魔に襲われ、平成16(2004)年3月9日、まだ50代でかえらぬ人に……。

それゆえにこの季節になると、「天使の朝」を無性に聴きたくなるのがサイケおやじの本性というわけです。

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なんとなく深いんじゃ?

2011-04-16 17:08:50 | 日本のロック

なんとなくなんとなく c/w ブーン・ブーン / ザ・スパイダース(Philips)

現在ほどリーダーの存在と資質について取り沙汰される時期はないでしょう。

それは一番大切な国難対処にあたる様々な復興プロジェクトのあれこれにおいて、そのトップのあまりにもだらしない姿に接する毎日の嘆きであり、また強いリーダーを待望する国民の願いが反映されたものと思います。

いくら有能な人材を集めても、それを統率する中心人物がダメならば、それは烏合の衆に等しく、なにも国家的規模の実例を云々することがなくとも、例えば音楽の世界ならバンドの存在を鑑みれば納得されるでしょう。

そこで本日ご紹介のスパイダースは説明不要、昭和元禄のGSブーム期には大人から子供まで幅広く人気を集めた7人組のトップグループでしたが、そのメンバー各人の多士済々な個性こそが、その要因でした。

まず看板スタアの堺正章(vo) は歌と演技に芸能界保守本流の輝きがあり、また同じ立場の井上順(vo,per) はさらにエンタメ系のムードメーカーとして絶妙のフロントコンビでありました。

そして実質的な音楽面のリーダーが流行に敏感で曲作りにも才気煥発のかまやつひろし(vo,g)! また努力家の井上孝之(vo,g) に加え、日頃は寡黙ながら実力派プレイヤーとして演奏パートの要になっていた大野克夫(key,stg) と加藤允(b) のふたりの存在も含めて、誰一人欠けてもスパイダースの魅力はあれほど発揮出来なかったでしょう。

そしてこのグループをそこへ導き、成功させたのが田辺昭知(ds) の強力なリーダーシップだったと思います。なにしろその初期から所属事務所内に自らのバンドを優先するマネージメント組織=スパイダクションを立ち上げ、これが後の田辺エージェンシーへと発展したことは今や歴史です。

ご存じのとおり、スパイダースは音楽メインの活動以外にも映画やバラエティの世界でトップの人気を得ていましたし、発売するシングル曲にしても、単なるヒット狙いから日本のロックを創造する意気込みに溢れたものまで、よくもまあ、こんなに幅広くやれたもんだと、今更ながら驚くばかりなんですが、リアルタイムではなんとも自然な感じがありました。

例えば本日ご紹介のシングル盤は昭和41(1966)年末に出た1枚で、この前作が同年秋に発売され、スパイダースの大ブレイクに直結した「夕陽が泣いている」だったんですが、それは決して直ぐに売れたわけではなかった印象です。

つまり世間的には「夕陽が泣いている」が流行ったのは同年末から翌年春頃にかけてだったという記憶ですし、もちろんこれがGSブーム爆発の一因だったことは言わずもがなでしょう。

そして実際のライプステージは当然としても、テレビの歌謡番組に出演するスパイダースがこの時期、「夕陽が泣いている」をメインにしつつも、「なんとなくなんとなく」や「太陽の翼」等々の後続発売のシングル曲を同時並行的に披露していたところに違和感がなかったというわけです。

実は後に知ったことなんですが、スパイダースはそうした一般的な人気を集める直前、バンドとして欧州各地へ出向いていたらしく、件の「夕陽が泣いている」がヒットしてからの帰国は、所謂浦島太郎状態に近いものがあったんじゃないでしょうか。

なにしろスパイダースにとって、「夕陽が泣いている」は浜口庫之助という職業作家の手によるベタベタの歌謡曲でしたから、それ以前に出していたシングル曲が、かまやつひろしの書いた意欲的な日本のロックだったことを思えば……。

そこで再び、かまやつひろしが作った、この「なんとんなくなんとなく」は井上順がリードを歌う懐古趣味的なカントリーロック味のホノボノ曲というあたりが、憎いところです。

またB面には、かまやつひろしがロック魂を唸るブルースロックの「ブーン・ブーン」が収められ、これはご存じ、アニマルズのバージョンを意識したカパー物なんですが、メチャメチャにグルーヴィで侮れません。

つまり結果的かもしれませんが、決して二番煎じを直ぐに狙わなかった潔さ!

深読みすれば、「夕陽が泣いている」でお茶の間にも浸透したスパイダースの存在の中で、スタアは堺正章だけではなく、井上順、かまやつひろし、そしてバンドメンバー全員がそうなんですよっ! という意思表示的なシングル盤だったと思います。

既に述べたように、スパイダースは個性的な7人による大所帯でした。それゆえに幅広い音楽性を表現出来たわけですが、おそらくは様々な方向性を模索した企画の中で、それを纏めていたのはリーダーの田辺昭知の力量でしょう。

このあたりは完全なるサイケおやじの妄想かもしれませんが、でなければスパイダースが解散までトップでいられたわけもなく、また後の個人活動や田辺昭知自らが運営する芸能事務所とテレビ製作会社が成功したはずもないではありませんか。

ということで、曲タイトルは成り行きまかせみたいな感じですが、実は意外にも深い思惑が秘められていたような??!? そんな妄想の翼を広げてみるのも、楽しいかと思います。

最後になりましたが、如何にも昭和元禄なイラストを使ったジャケットに散りばめられたメンバーの顔写真というデザインもまた、スパイダースは個性派の集まりという印象を植え付けようとしたのかもしれません。

ただし現実的に考察すれば、前述したようにスパイダースは欧州から帰国したばかりという事で、使えるような素晴らしいグループショットが無かったのかも……?

まあ、それはそれとして、今こそ田辺昭知のような、現実を見ていけるリーダーが現れないもんですかねぇ。

そりゃ~、現総理が「なんとなくなんとなく」を口ずさんでいるような気がするのは、国民の勝手な思い込みでしょうが、なんだかなぁ……。

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転石求む!

2011-04-15 15:31:12 | Rolling Stones

ウィー・ウォント・ストーンズ / The Rolling Stones (Decca / キングレコード)

「実況録音盤」というキャッチも眩しいストーンズのコンパクト盤ですが、内容はもちろん1965年にイギリスで発売された33回転のEP「got Live if you want it!」から、何故か「Route 66」を抜いたものです。

 A-1 We Want The Stones
 A-2 Everybody Needs Somebody To Love ~ Pain In My Heart
 B-1 I'm Movin' On
 B-2 I'm Alright

しかし、このジャケットのアイドルノリに近いショットは、ライプステージの写真を上手く使った前述のイギリス盤とは雲泥というか、まあ、リアルタイムの我国ではこれで良かったんでしょうが、このあたりを結果的に後追いだったサイケおやじにとっては些かトホホの気分が打ち消せません。

おまけに掲載したジャケ写をご覧いただければ、その右端にある腕と手に違和感がありませんか? 常識的にはキースなんでしょうが、妙に捻じれたような感じの写り方はズレた義手にようでもあり、極言すれば心霊写真のようでもあります。

またミックとチャーリーの間から出ているブライアンの手にしても、何か生気が感じられない雰囲気がアブナイですよねぇ……。

それとこういうショットになると妙に顕著なビルのラリルレロ系の目線と表情は、これ如何に!? もちろんミックの脱力したムードもノリが悪いなぁ……。

そんな中、ひとり本気なのがチャーリーというオチャメが憎めません。

結局、この当時のストーンズはバリバリの不良バンドというイメージでありながら、やはりショウビジネス=芸能界にどっぷりのスタアグループだったという、これもひとつの証なんでしょうねぇ。

そこにイマイチ、納得していないメンバー達の本音もあるでしょうし、本来は決して育ちが悪くない出自ゆえに、時としてそれが自然に表れるのは当然かもしれません。

ただし、内容は本当に熱いです!

狂熱の歓声だけを印税目当て(?)に曲扱いにした「We Want The Stones」からガッツ~~ンっと叩きつけられる「Everybody Needs Somebody To Love」、そこからグッと重心を低くして演じられる「Pain In My Heart」を聴くだけで、当時のストーンズの魅力が堪能出来ると思います。

そして実に生々しい録音とミックスダウンは、英国ロックの音を作り上げた偉人のひとりといって過言ではないグリン・ジョンズですからねぇ~~♪ 正直、この日本盤はイギリス盤に比べると音そのものが些かメリハリに欠ける部分は物足りないところではありますが、リアルタイムのストーンズが持っていた躍動的突進力は圧倒的に感じられますよ♪♪~♪

しかもB面ではそれが尚更に顕著となって、ブライアンの強烈なスライド&リズムギター、ドライヴするベースとビシバシのドラムスは言わずもがな、本当に上手いミックの煽りと猥雑なボーカルは絶品!

今ではすっかりヘタなバンドの代名詞となった感もあるストーンズにしても、ロクなモニターやPAも無く、凄まじい嬌声の中でこれだけの演奏が出来ていたという事実が忘れられてはならないでしょう。実際、恵まれた環境にある昨今のバンドが、同じ状況ではどうなのか? そんな疑問が思わず心を過るほどです。

ということで、なんとなくストーズ擁護論に走った部分もありますが、しかしこれは正直なサイケおやじの気持なんですよっ!

と思わず力んでしまうほど、ストーンズは初期から現在まで途切れることのない魅力的なバンドでしょう。例えそれが芸能界だろうが、セックスドラッグロックンロールであろうが、ストーンズはストーンズだし、今もって転がり続けている真実こそ、大切だと思います。

ウィ~・ウォント・スト~~ンズ!

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ウイントン・ケリーの真夜中のハードバップ

2011-04-14 15:51:26 | Jazz

Wynton Kelly At Midnight (Vee Jay)

今日は朝一番、無性に聴きたくなって取り出したアルバムが本日の1枚です。

ご存じ、ウイントン・ケリー(p) が盟友ポール・チェンバース(b) &フィリー・ジョー・ジョーン(ds) と組んだトリオで繰り広げる演奏は、これぞっ、ハードバップの真髄! ですからガイド本にも度々紹介されていますし、ジャズ者にとっては必携の人気盤になっていることも説明不要かと思います。

そして聴くほどにグッと惹きつけられる魅力の秘密は、こうしたピアノトリオ盤には必需の歌物スタンダード曲が、なんとっ!? ひとつも演じられていない事かもしれません。

それは録音セッションが行われた1960年4月27日という、今となってはモダンジャズがファンキーとモードの間で最高の熟成を醸し出していた真っ只中の実に幸せな時代の記録であり、同時にそうしたところが真剣勝負を殊更に好む我国のジャズファンにアピールしたポイントじゃないでしょうか。

A-1 Tenperance
 如何にも「らしい」イントロの構成は、ピアノに寄り添うポール・チェンバースとスインギーなクッションを響かせるフィリー・ジョーが抜群のお膳立て! もう、いきなりのクライマックスといって過言ではありません。
 もちろんそれは躍動的なテーマアンサンブルから颯爽としたアドリブパートへと見事に引き継がれ、本当にウキウキしてくるハードバップの4ビートグルーヴが既に全開ですよ♪♪~♪
 そこには当たり前にように飛び跳ねるウイントン・ケリー、絶妙の粘っこさとグイノリでトリオを引っ張るポール・チェンバース、さらにピッとキメまくりのフィリー・ジョーによる秘術に競い合いが素晴らしいかぎり!
 特にポール・チェンバースのツッコミ鋭いアドリブから終盤で繰り広げられるピアノ対ドラムスのソロチェンジは、そのひとつひとつが「歌」に満ちたウイントン・ケリーのリーダーシップの本質に根ざしたものとして、何度でも聴きたくなると思います。

A-2 Weird Lullaby
 「変態子守唄」という曲タイトルが???の、なかなか気分はロンリーのハードバップパラードですから、ここでもウイントン・ケリーの幾分湿っぽいアドリブフレーズの組み立てが琴線に触れまくりですよ♪♪~♪
 そしてポール・チェンバースのシビアなベースワークと十八番のファジーなクッションを駆使したフィリー・ジョーのブラシがありますから、これまた決してダレない名演になっています。

B-1 On Stage
 結論から言えば、このトラックゆえにジャズ喫茶の定番はB面という事になりましょうか、とにかくここでは痛快無比なピアノトリオの名演が存分に楽しめますよ。
 それはフィリー・ジョーのハイハットに導かれて躍動するウイントン・ケリーのピアノ、加えて相当な渋味も含んだポール・チェンバースのペースが三位一体となってのスインギー天国であり、誰を中心に聴いたとしても、必ずや昇天させられる演奏が披露されますが、流石にこのメンツであればこその「全てわかっている楽しみ」は、所謂マンネリ一歩手前の爛熟性感度の高さが証明されるようです。

B-2 Skatin'
 アップテンポでブッ飛ばした前曲から一転、グッと重心を低く構えた、これぞグルーヴィなハードバップの王道ピアノトリオ! しかも相当に3人がバラバラをやっていながら、実はタイトに纏まっている結束力は、所謂気心が知れているってやつでしょうか。
 粘っこくて歯切れの良いピアノタッチは、皆が大好きなウイントン・ケリーの真骨頂でしょうし、緊張と緩和のバランスが抜群のポール・チェンバース、時にはヤケッパチな感性も眩しいフィリー・ジョーのドラミング♪♪~♪
 あぁ、ハードバップ万歳っ!
 聴いているうちに思わずハンク・モブレーのテナーサックスが登場して来そうな、例の「ワークアウト」の幻想に陥るのも、ジャズ者にとっては必然の理でしょうねぇ~♪

B-3 Pot Luck
 そしてオーラスは、これまた躍動的なハードバップのブルース大会♪♪~♪
 もう、こういう演奏になると、このメンツが提供してくれる4ビートジャズのリズムは桃源郷への招待状かもしれませんねぇ~~♪
 ひとりひとりのアドリブやノリを云々する前に酔わされなければ、罪悪を覚えるほどかもしれません。
 う~ん、ここでもマイルス・デイビスのトランペットが空耳のように……♪

ということで、これも思わずボリュームを上げてしまうレコードのひとつとして、節電が求められている時には封印の1枚かもしれませんから、聴くなら今だっ!

過度な自粛はしないようにというお達しもありましたが、特にそれを言い訳にする事もないでしょう。

それほど痛快で颯爽したモダンジャズが徹底的に楽しめるピアノトリオ盤ですが、あえて欠点を述べれば、収録時間が30分ちょっとの短い事でしょうか。

よしっ、もう一度、針を落とすかっ!

サイケおやじのジャズモードへの帰還も近いように思います。

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強いリーダーの祝祭こそ、今は必要!?

2011-04-13 16:01:25 | Jazz

Cu-Bop / Art Blakey & The Jazz Messengers (Juilee)

世の中には浮き沈みがあって当然ですが、しかしやっぱりそこに強いリーダーがいるのといないのとでは、その場の安心感や後々の展開が違ってしまうのも、また当然でしょう。

例えばモダンジャズの世界では名門バンドとして君臨したジャズメッセンジャーズにしても、1950年代中頃の大ブレイク期から主要メンバーが抜けた所謂暗黒時代を経て、再びファンキーの炎を燃え上がらせた1950年代末頃までの流れを鑑みれば、如何にアート・ブレイキーが有能なリーダーであったか、サイケおやじは感銘を受けるばかりです。

それはとにかくジャスメッセンジャーズという看板を守り抜くという執念(?)以上に、ジャズの本流から外れない活動に終始する信念の強固さであったと思います。

そこで本日ご紹介のアルバムは、既に述べたとおり、ホレス・シルバーが中心メンバーを引き連れて独立した後の暗黒時代の中では、異色の傑作となった裏名盤!?

録音は1957年5月13日、メンバーはビル・ハードマン(tp)、ジョニー・グリフィン(ts)、サム・ドッケリー(p)、スパンキー・デブレスト(b)、アート・ブレイキー(ds) という当時のレギュラーにサブー・マルチネス(per) が臨時参加した特編メッセンジャーズが今回のウリになっています。

A-1 Woodyn' You
 ディジー・ガレスピーが書いたモダンジャズの聖典のひとつですが、ご存じのとおり、この偉大なトランペッターは1940年代のビバップ期から既にラテンミュージックとジャズを融合発展させんと奮闘していましたから、その当時に作られたこの曲にしても、チャカポコビートを叩き出すサブーの存在が尚更に大きく効果的!
 もちろんサブーがリアルタイムでディジー・ガレスピーのバンドに参加していた事実は大きなポイントであり、時にはアート・ブレイキーも参画していた過去の真相が、このセッションでは見事な成果として楽しめるのでしょう。
 ですから冒頭から飛び跳ねるビートは所謂アフロキューバンという、実にウキウキするグルーヴを作り出し、アップテンポのテーマ提示から続けて飛び出すビル・ハードマンの詰め込み型のアドリブは、失礼ながら予想外に大健闘ですよ♪♪~♪
 そして小型ホレス・シルバー的なサム・ドッケリーのピアノとジョニー・グリフィンの火の出るような猛烈プローが炸裂すれば、そこは完全にハードバップの桃源郷!
 これを「暗黒時代」なんて決めつけちゃ~、親分のアート・ブレイキーはもちろん事、モダンジャズの神様が怒りますよねぇ~~。当然ながらクライマックスは親分と助っ人サブーの打楽器対決が短いながらも用意されています。

A-2 Sakeena
 いゃ~、これまたラテンミュージック特有のちょいとせつないエキゾチックなテーマから、いきなり爆発的なジョニー・グリフィンのテナーサックスが飛び出すという、実に凄い演奏が堪能出来ます!
 あぁ、このあたりは何度聴いても、本当に最高ですねぇ~~♪
 ジョニー・グリフィンもエキセントリックな表現とハードなジャズ魂を遺憾なく発揮し、途中では例によって感極まったような息継ぎの奇声も良い感じ♪♪~♪
 さらに何時もは些かトホホ系のサム・ドッケリーが珍しくも大ハッスルしていますし、安定型のビル・ハードマンにしても、ここではツッコミも冴えわたりですから、クライマックスで展開されるアート・ブレイキー対サブーの打楽器合戦も決して飽きることは無いでしょう。
 否、むしろそれがあればこそ、この演奏は完結するという大団円がジャズ者の心を揺さぶるのだと確信させられるのです。
 ちなみに曲は、親分が自分の愛娘の名前から作った有名なオリジナルで、おそらくはメンバー全員が終盤おいて打楽器を手に祝祭的ムードを盛り上げていくあたりは、ジャズメッセンジャーズならではの「掟」というところでしょうか。
 実に血沸き肉躍る仕掛がりがたまりません♪♪~♪

B-1 Shorty
 これまたアップテンポで繰り広げられるハードバップは、如何にもジョニー・グリフィンのオリジナルらしさが全開ですが、さらにチャカポコの打楽器が加わっての演奏は熱に浮かされたような仕上がりとなって、そこが確実にジャズ者を熱くさせると思う他はありません。
 とにかく打楽器が導くテーマからサム・ドッケリーのピアノが飛び出す瞬間の熱気、燻銀の欺瞞を打ち砕かんと奮闘するビル・ハードマン、そしていよいよ登場するジョニー・グリフィンの我儘な存在感は強烈! こうした唯我独尊性が、実に良いんですよねぇ~~~♪

B-2 Dawn On The Desert
 そしてオーラスは、これまたタイトルどおりに不思議なエキゾチック感が横溢したテーマメロディとバンドアンサンブルの妙が楽しめるという、これはこれで当時のモダンジャズでは最先端の表現だったんじゃないでしょうか。
 サブーのコンガを効果的に使ったグルーヴィな4ビートは、随時倍テンポの展開も織り交ぜながら進行するという定番的なシナリオになっていますが、その変化の瞬間に発生するスリルには、分かっていてもノセられると思います。
 また気になる各人のアドリブパートでは、ミュートを使ったビル・ハードマンにちょいと味わいが不足している感じが勿体無いところではありますが、絶妙の思わせぶりと相反する熱血の黒っぽさが激ヤバのジョニー・グリフィン、グイノリのピアノとベースの奮闘も頼もしいばかり♪♪~♪

ということで、これはタイトルどおり、アフロキューバンとビバップの融合路線が見事に成功した楽しいアルバムです。

それはジャズ史的に決して云々される成果ではないかもしれませんが、同じ視点に立てば、当時のジャズメッセンジャーズには有能な参謀格のミュージシャンが存在しておらず、それゆえにリーダーのアート・ブレイキーが完全なるワンマン体制だったと思われますから、それでも途切れることの無かったレコーディングセッションの賛否が如実に表れるのも当然だったと思います。

そしてアフロ&ラテンのリズムに集中して自己のジャズ魂を解放させんとする、如何にもアート・ブレイキーの「らしさ」が見事に全開したのは、レギュラーメンバーの何時にも増しての大ハッスルとサブーというジャズにも充分対応出来る楽器奏者の参加による狙いがバッチリ!

こういう企画が成功裏に残されたのも、アート・ブレイキーの強固なリーダーシップがあればこそでしょう。

それが不思議と評価されず、特に我国では無視に近い存在へと追いやられているのは、個人的に納得しておりません。

何時の世も不遇な時こそ、リーダーの強さがあれば、それを乗り越えられるという証明的なアルバムとして、今こそ日本のジャズ者は率先して楽しむアルバムだと思います。

なにしろ、あの脱力した現総理でさえ、過度な自粛は止めるように国民へ伝えたばかりですからねぇ~。

節電も考慮しなければならないはずですが、時には大音量で、この祝祭ムードに溢れたアルバムを鳴らすのも、許されるかもしれませんよ。

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なんか、おかしいなぁ~~

2011-04-12 16:55:57 | Weblog

さっきから何度もアップを試みていますが、どうにも上手くいきません。

完全にエラーが出るというか、不思議なメニュー画面が出るんですよ……。

ということで、一応は休載しますが、どうぞご理解願います。

時間をおいて、再チャレンジはしてみる所存です。

それと連日の余震が怖いですねぇ。

被災された皆様の安全、国民全ての安心を願うばかりです。

 

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新しきスタートに

2011-04-11 15:49:10 | 歌謡曲

なんたって18歳! / 岡崎友紀 (東芝)

あの悲惨な大震災から今日で1ヵ月……。

時の流れの早さは非情でもあり、ほとんど進まない復興作業には暗澹たる気持にさせられるのですが、しかし下を向いてばかりもいられません。

サイケおやじの関係する仕事にも相当な支障が出ているのは確かですが、とにかく今、こうしていられる幸せを大切にしつつ、なんとか再びの繁栄に結びつく働きをやっていく所存ということで、今回の災害で春からの就職が取り消しとなった新人数名を預かることになりました。

で、サイケおやじの部署にやってきたのが、実は観光会社でバスガイドを目指していた、これがなかなかに感じの良い女性でしたから、もう皆様ご推察のとおり、本日の1枚は、その彼女にインスパイアされてのご紹介です。

歌っている岡崎友紀は、このシングル盤が発売された昭和46(1971)年当時、最高の売れっ子アイドルとして、テレビドラマや歌の世界で人気絶頂でした。

なにしろ、その爽やかな笑顔とナチュラルな存在感は、子役としての活動もあったキャリアの中でも、決して芸能界どっぷりのイヤミが無く、それでいてプロ意識は抜群だったと思いますから、まさに元祖アイドルに成り得たというわけです。

そして当然ながら主演するテレビドラマの主題歌も自ら歌い、この「なんたって18歳!(TBS)」は、ジャケ写どおりのミニスカ制服で演じたバスガイド役が最高にキュートでしたねぇ~~♪ もちろん当時の事ですから、ムチムチした脚線美とヒップラインを意図的に撮影したカットも多く、それはパスの乗り降りの仕草とか、思い出してもグッと凝視させられるシーンが多々あった事が忘れられません。

肝心の楽曲は作詞:木飛鳥、作編曲:菊池俊輔の手による青春歌謡ポップスの代表格ともいうべき仕上がりで、岡崎友紀の屈託の無い歌い方がジャストミート♪♪~♪

 昨日の事を思い出すだけじゃ
 わからないさ すばらしい人生
 昨日を捨てて 背伸びだけしても
 とどかないさ すばらしい人生
 飛び出そう! 自由を求めて
 飛び出そう! ほら明日があるさ

 なんたって18歳!

明るい中にも、微妙にセンチメンタルな情感を滲ませて歌う岡崎友紀は、溌剌としつつも胸に秘めた悲しみを振り払うが如き節回しが全開で、本当にせつないほど最高ですよ。

それを見事にサポートするアレンジの妙も潔く、特にスパっと終る最後のパートは、テレビドラマの主題歌という意図があるにせよ、実に効果的♪♪~♪

ということで、この歌こそ、本日やって来た彼女に相応しいと思うサイケおやじではありますが、結局は他人に理解しえない深い悲しみと喪失感に満たされている当事者にとっては、有難迷惑かもしれませんねぇ……。

実は彼女の新しい出発へのささやかなお祝いして、サイケおやじは iPod をプレゼントしたのですが、中にはこの歌を入れるという余計なお世話をやってしまい、今頃になって額に汗が滲んでいるというわけです。

彼女だって、自分の夢を決して捨ててしまったわけじゃありませんからねっ!

失礼致しました。

コメント (8)
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