■Crocodile Rock / Elton John (DJM / 東芝)
1970年代ロックの有名曲を思う時、そのひとつのキーワードは所謂オールディズ趣味でしょう。
実際、1960年代末頃から顕著になっていたR&R回帰指向はビートルズやストーンズあたりの有名バンドが率先する雰囲気もありましたし、往年のR&Rスタア達によるリバイバルショウや最前線の若手ロッカーと共演した新作レコードの発売等々に加えて、1970年代前半にはTレックスやスイート等々が人気を集めたグラムロックという、温故知新のジャンルまでもが誕生しましたからねぇ~♪
同じ頃に流行っていたシンガーソングライターというジャンルに属し、確固たる地位を築いていたエルトン・ジョンが、そっちへ色気を出したとしても、不思議ではありません。
なにしろ下積時代には有名ヒット曲のカバーバージョン専門職みたいな、日陰のセッションボーカリストをやっていた過去も無視出来ないキャリアでしょう。
そして1972年に世に出たのが本日ご紹介の「Crocodile Rock」だったんですが、ここまで書いてきた事はサイケおやじにとっては、後付けに他なりません。
リアルタイムの本音としては、あのエルトン・ジョン、つまりネクラな情熱で人の世の諸々を歌ってきたシンガーソングライターが、なんでこんなにノーテンキになれるのかっ!?
そりゃ~確かに、この前に出したシングル曲「Honky Cat」には弾むような楽しさがありましたし、ライプの現場ではグイノリのピアノプレイでロケンロールもやってたんですから、そのイメージの思い込みはサイケおやじの独断と偏見……。
でもねぇ~~、今更述べるまでもなく、「Crocodile Rock」はアップテンポの軽いノリで往年のアメリカンオールディズをメインに、その美味しいメロディとサウンドのキモを剽窃しまくった現実には、著作権問題も含めて、これでいいのかぁ~~~!?!
という気分は否めませんでした。
ところが、それでも気持良くノセられてしまうところに「Crocodile Rock」の恐ろしさ(?)とエルトン・ジョンの才気が感じられるのも、また確かな事実でありました。
ですから、当時のプロのハコバンやパーティーバンドは、ほとんど必須の演目にしていたようですし、サイケおやじも学生時代に入れてもらっていたバンドでアルバイト(?)出演時には、ちょうどアメリカン・グラフティーのブームも重なっていましたので、みっちり練習したものです。
ということで、「Crocodile Rock」は果たして歴史的名曲か? なぁ~んていう議論もございましょうが、少なくとも1970年代中頃の妙に楽天的な気分は、これを聞く度に思い出されるんじゃ~ないでしょうか。
もちろん当時だって、世相は暗く、トンデモ系の事件や悪辣な汚職、陰惨な不幸が多々頻発していた事は言うまでもありません。
しかし、それでも軽い気分でその頃を思い出させてくれるんですから、「Crocodile Rock」の威力は絶大なのかもしれません。
名曲には、そういう「潜在感」も必要と思うばかりです。