OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

実は穏やかなニール・ヤングが好き

2014-02-18 14:57:02 | Singer Song Writer

風は激しく / Neil Young (Reprise / ワーナーパイオニア)

1960年代半ばから今日まで、相当に長い間活動を続けているニール・ヤングは、その強烈な個性ゆえなのでしょうか、どこかしら常にファンや周囲の期待とズレたレコードを作ってしまうという前科前歴を繰り返しているように思います。

例えば決定的なブレイクとなった1970年発売の大傑作「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」、それに続く1972年の人気作「ハーヴェスト」の2枚のLPこそが、ニール・ヤングのシンガーソングライターとしてのイメージだとしたら、その路線を発展継承してくれるのがスタアの王道でしょう。

ところがニール・ヤングは、あっさりとそれを捨てたかのように、意味不明の映画サントラ盤「過去への旅路」を筆頭に、新曲ばかりの粗雑なライプアルバム「時は消え去りて」、暗いイメージの「渚にて」、紆余曲折での発売延期から、やっとこ世に出た酔払いライプドキュメント「今宵その夜」と続いた、所謂暗黒期のLP群は、コアなファンにとっては宝物でも、普通にアメリカンロックを聴いていたサイケおやじには、その悲痛な情念だけが……。

しかし、そこから脱して、急に前向きな姿勢を旗幟鮮明にした「ズマ」なぁ~んていうアルバムが出てみれば、それは如何にも「らしくない」と思ってしまうんですから、サイケおやじのニール・ヤング感は我儘です。

告白すれば、そういう思いがあったからこそ、件のリアルタイムだった1975年になって、ようやく中古盤ながら、ニール・ヤングのそれまでのリーダーアルバムをきっちり揃えたのがサイケおやじの立場なんですよ。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は、1978年に発売されたニール・ヤング久々の大衆ヒットアルバム「カムズ・ア・タイム」からのカット2曲を両面に収めたものなんですが、特筆すべきはA面「風は激しく / Four Strong Winds」が本人のオリジナルではなく、同郷カナダ出身のフォークデュオとして有名なイアン&シルヴィアのヒット曲カバーという真実がミソ!?!

些か確信犯的な書き方になりますが、前述のアルバム「カムズ・ア・タイム」が売れまくったのは、フォーク&カントリーとでも申しましょうか、全篇が和みの音楽スタイルで纏められているところから、ニール・ヤングが持前の「泣き節」を屈託なく聞かせてくれるのに加え、お気に入りの新進女性シンガーだったニコレット・ラーソンを全面的に参加させ、それはコーラスばかりか、ほとんどデュオ相手としての起用が目立つという、なかなかハートウォームな仕上げが結果オーライということでしょう。

ですから、「風は激しく / Four Strong Winds」にしても、如何にもカバーバージョンという体裁以上のナイスフィーリングがたまりません♪♪~♪

ご存じのとおり、この歌は季節労働者の過酷な現実を描いているんですが、ニール&ニコレッタが提供してくれるホンワカムードは、歌詞の中身が率直に理解出来ない我々日本人には、何の問題もないはずです。

むしろ、そういう真相を知ってみれば、また別の感慨も……、と言うべきかもしれません。

ただしニール・ヤング本来の魅力のひとつが、あの心情吐露型のボーカルと強引なヘタウマエレギギター、そしてシンプルなアコースティックギターの弾き語りによる繊細な本音の歌である事も、また確かでしょう。

ですから、あまりにも明るい雰囲気は似合わないという先入観念が、ど~してもニール・ヤングには「つきまとう」のですが、個人的にはニール・ヤングは決してネクラでは無いと思いますし、むしろ全てに肯定的なロック性感度の高さが永遠の人気の秘密!?!

そして両方のバランス感覚の振幅の大きさも侮れない魅了であります。

それは書き遅れてしまいましたが、この「風は激しく / Four Strong Winds」を含むアルバム「カムズ・ア・タイム」がヒットする直前には、例のスティーヴン・スティルスとの挫けた共演作品「太陽への旅路」や没テイクを集めたとしか思えない些か中途半端な「アメリカン・スターズン・バーズ」という2枚のLPが賛否両論で、局地的にはニール・ヤング限界論もあったとか!?

その意味では面白いニール・ヤングの音楽人生を辿る時、「カムズ・ア・タイムというアルバムに刻まれた穏やかな世界が、案外と有用なんでしょうか?

今となっては以降のにール・ヤングが所謂パンクやグランジの元祖とされる激烈な歌と演奏を遣り抜き、しかし一方ではテクノやロカビリーにも手を出し、さらにはジャズブルースっぽいレコードまでも出すという、節操の無さが結果としての存在感の強さになっているのは、皮肉かもしれません。

ということで、あらためて本音を述べれば、サイケおやじは穏やかモードのニール・ヤングが一番好きです。つまりそこからどちら側に振れるのかが、興味の大きな対象なんですよ。

そして最後になりましたが、このシングル盤をあえてゲットしたのは、既に皆様ご推察のとおり、A面収録の「風は激しく / Four Strong Winds」のミックスが微妙にアルバム収録の同曲と異なり、ニール・ヤングとデュエットするニコレッタ・ラーソンのボーカルが大きく聞こえるからなんですが、どうやらそれはサイケおやじの思い込みのような気も……。

それも結局はアナログ盤7吋シングル特有の「45回転の魔法」なのかもしれません。

そして穏やかなニール・ヤングについては、これからも追々に書いていく所存なので、よろしくお願い致します。

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笑顔は全てを包み込む

2014-02-17 14:51:43 | 歌謡曲

ミスター・スマイル / 大橋純子 (フィリップス)

様々に驚かされることが普通のオリンピックではありますが、殊更今回のソチ冬季大会は、日本チームの選手が本当に吃驚の大活躍ですからねぇ~~♪

なにしろ最初のメダルがスノボハーフパイプで中学生の平野歩夢が歳年少ならば、スキージャンプの葛西紀明が、なんと41歳の歳年長!!?!

しかも男子フィギュアスケートで金メダルの羽生結弦が19歳とあっては、驚きと共に爽やかな印象も強いのも最高でありますが、やはり今日は西紀明のあの笑顔とはしゃぎっぷりが憎めません。

う~ん、人はやっぱり笑顔が大切、辛いことも、苦しいことも、楽しいことも、呆れることも、全てを表現出きるのが笑顔じゃ~ないでしょうか。

そこで本日は大橋純子が昭和52(1977)年に出したヒット曲「ミスター・スマイル」を朝から聴いてしまいました。

いゃ~、佐藤建の作編曲による穏やかなメロデイ展開が、松本隆の綴った、ちょっぴりほろ苦い歌詞に絶妙の余韻を付加している印象も、つまりは大橋純子の歌唱力があればこそ、ジワジワとこちらに滲み込んでまいります♪♪~♪

また、説明不要かと思いますが、演奏パートは当時の彼女のバックバンドだった美乃家セントラル・ステイションであろうことは推察に易く、だとすれば佐藤健(key)、土屋昌巳(g)、見砂和照(ds,per)、高杉登(per) 等々の名手の技が堪能出来るのも、なかなか嬉しいところと思います。

ちなみに大橋純子は、この年に前作シングル曲「シンプル・ラブ」をヒットさせ、極めて歌謡曲寄りのニューミュージックを広く大衆に浸透させた頃ですから、この「ミスター・スマイル」も肩肘張らずに楽しめ仕上がりになっているのは当然が必然かもしれません。

ただし、そこには泥臭さとか、イヤミなお洒落フィーリングなぁ~んてものとは無縁のピュアな歌心があるのみで、それこそが卓越した歌唱力を持つ大橋純子に備わった個性のひとつと断言しますよ、サイケおやじは。

ということで、失礼ながら、すっかり中年者がオリンピックに出場する事、それ自体が奇蹟としか言えない中にあって、尚且つメダルを獲得してしまったのは、伝説と呼ばれるに相応しいですよねぇ~~♪

それが葛西紀明という日本代表選手であった現実は、やはり痛快!

実はサイケおやじは愛想笑いとか作り笑いが苦手な事もあり、しかし笑顔は作ってするよりも、屈託が無いほうが素敵と思うばかりなのでした。

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チェルシーの朝は妖精の舞

2014-02-16 14:58:48 | Pops

チェルシーの朝 / Sergio Mendes & Brasil '66 (A&M / キングレコード)

またまた昨日の続きなりますが、フィギュアスケートのバックミュージックには特有の浮遊感が必要と思えば、本日掲載のシングル盤A面曲「チェルシーの朝 / Chelsea Morning」は、なかなかイケてるような気がするんですが、いかがなものでしょう?

もちろん、演じているセルジオ・メンデスとブラジル'66=セルメンのバージョンでなければいけません。

実はご存じのとおり、この曲はジョニ・ミッチェルが自作自演のオリジナルで、そりゃ~、彼女のバージョンだって個性的な浮遊感が表出しているのは言わずもがなの真実なんですが、ラテンロックがグッとフュージョンに接近した、このセルメンの歌と演奏こそが、フィギュアスケートの特に女子の演技には相応しい仕上がりですよ♪♪~♪

ちなみに説明不要とは思いますが、セルメンはボサノバでブレイクし、以降はソフトロックやサイケデリックポップスからの影響も自分達のフィルターを通して表現していた、非常にセンス抜群の音楽性が特徴的なグループですから、この「チェルシーの朝 / Chelsea Morning」を発表した1971年当時は、ちょうど同じラテンフュージョン~ジャズノバのジャンルで大ブレイクしていたチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーを意識したようなところがあっても、それは然るべきなのでしょう。

実際、ここで聞かれるセルジオ・メンデスのピアノはチック・コリアみたいな「白鍵」優先主義が目立ちますし、それまでのスタジオレコーディングで続けていたストリングの多用やアレンジに凝った緻密な作りよりは、所謂アンプラグドなバンドサウンドに方向性を戻しているのが、尚更にモダンジャズっぽい感じです。

しかしそれでも絶対にセルメンのイメージが崩れていないのは、ラニ・ホールのファルセットボーカルとそれに寄り添うカレン・フィリップのちょっぴりソフトな歌声がジャストミートの重なりを聞かせてくれるからでしょう。

実は掲載ジャケ写のキャプションにもあるとおり、この時期のセルメンはメンパーチェンジが行われ、その新布陣によるポートレイトも使われているんですが、現実的なレコーディングセッションは旧メンバーが中心的に参加していたようで、その推定メンバーはセルジオ・メンデス(key) 以下、ラニ・ホール(vo)、カレン・フィリップ(vo)、セバスチャン・ネト(b)、ドン・ウン・ロマン(ds)、ルーベンス・バッシーニ(per)、そして代替ミュージシャンとして、クラウディオ・スローン(ds)、オスカル・カストロ・ネベス(g)、グラシーニャ・レポラーセ(vo) が入り乱れての制作だったと言われていますが……。

結論を述べさせていただければ、この「チェルシーの朝 / Chelsea Morning」を含むアルバム「スティルネス」を最後にラニ・ホールとドン・ウン・ロマンがセルメンを去ってしまったのは残念至極!

特にドラムスや打楽器の楽しいノリの凄さは、他のバンドでは容易に再現されない国宝級のグルーヴですし、何よりもラニ・ホールの歌声がセルメンそのものという印象さえありましたからっ!

ということで、繰り返しになりますが、セルメン版チェルシーの朝 / Chelsea Morning」の素晴らしさは、聴くほどに深まります♪♪~♪

あぁ~、このピート感と浮遊感♪♪~♪

これで氷上の舞いを演じてくれる妖精こそが、サイケおやじには金メダルというわけです。

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快楽のロンドで見せろフィギュア女子

2014-02-15 11:21:35 | 歌謡曲

恋のロンド / ザ・ピーナッツ (キングレコード)

祝・羽生結弦の金メダル♪♪~♪

かなりミスが目立っていたので、ヒアヒアして結末を待っていましたが、終ってみれば、こちらは心地良い寝不足というか、なかなか素敵な結果オーライでありました。

うむ、今回の冬季五輪では最初些か低迷していた日本チームが、どうにも十代の選手によって勢いが増してきたのは痛快と思うばかりです。

これで後は女子フィギュアスケートも、最良の結果を望みたいですよ。

ただし、ちょいと以前から気になっていたんですが、最近のフィギュアスケートのバックに使われる音楽が男女共に暗くないですかぁ~~~?

もっと明るく楽しいメロディとピートがある曲で演技してくれればなぁ~~。

と思うサイケおやじの心に浮かんだのが、本日掲載のシングル盤A面曲「恋のロンド」であります。

ただし、この曲は決して音楽形式の「ロンド」にはなっておらず、作曲:すぎやまこういち&編曲:宮川泰が提供しているのは、如何にもこれが発売された昭和43(1968)年の初夏らしい、ラテンタッチが入ったジャズロック♪♪~♪

あえて説明を加えれば、同時期にアメリカの名門ジャズレーベルのブルーノートあたりで、ハンク・モブレー(ts) やリー・モーガン(tp) 等々がやらかしそうな快楽性ジャズが見事に歌謡曲へ転化された感があるんですよっ!

もちろん橋本淳の綴った歌詞も、王道路線を外していませんから、ザ・ピーナッツが十八番のユニゾン&ハーモニーの魅力を存分に聴かせている事は言うまでもありません。

いゃ~、こんな曲で見せてくれるキュートな女子スケーターが登場してくれないもんでしょうか、と願うのはサイケおやじだけですかぁ~~。

ということで、ここまで書いていながら、最後に本音を吐露すれば、ジャケ写に登場しているザ・ピーナッツの衣装が???

極言すれば、昭和40~50年代の「おさわりキャバレー」のホステスさんは、こんな感じのコスチュームでサービスしていたんですよねぇ~~♪

おしぼり、お願いしまぁ~~す、てなもんですよ♪♪~♪

あぁ~、それも快楽の昭和年代記、オリンピックという真剣勝負の場に一服の息抜きも必要という言い訳を最後に、本日は失礼致します。

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これを聴けば、メタル・クリムゾンに覚醒しますよ♪

2014-02-14 15:10:20 | Rock Jazz

The Nightwatch / King Crimson (DGM=2CD)

 ★CD-1
   01 Easy Money
   02 Lament / 人々の嘆き
   03 Book Of Saturday / 土曜日の本
   04 Fracture / 突破口
   05 The Night Watch / 夜を支配する人
   06 Improv:Starless And Bible Black / 即興:暗黒の世界
 ★CD-2
   01 Improv:Trio
   02 Exiles / 放浪者
   03 Improv:The Fright Watch = The Mincer
   04 The Talking Drum
   05 Larks' Tongues In Aspic, Part Two / 太陽と戦慄パート2
   06 21st Century Schizoid Man / 21世紀の精神異常者

1997年に発売されたキング・クリムゾンの公式ライプ盤で、その中身は1973年11月23日のオランダはアムステルダム巡業からの演奏を2枚のCDに纏めた、所謂発掘音源集です。

という事は、結論から言えば、あの驚愕の問題LP「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」以降のキング・クリムゾンが何を目論んで、実践していたかが良~~く分かるという、なかなか有用なブツなんですよっ!

実際、サイケおやじは、この音源に接して以降、通称「メタル期」のキング・クリムゾンから絶対に抜け出せない中毒症状を患っているほどなんですが、しかしリアルタイムで聴いたのは、もちろんこのCDではありません。

それは良く知られているように、この日のライプは多分バンド側の意向で正式にレコーディングされ、その一部が英国BBC等々で放送された事から、夥しいブートのネタ元になっていたほどの人気音源なのです。

ただし、当時のブートはアナログ盤ですから、質の悪い塩ビの使用やプレス加工の稚拙によって、せっかくの優良音源がそんな諸々の悪条件では充分に活かせていたとは言い難く、今日の高音質ブートに慣れているお若い皆様がもしもそれを聴く機会があるとすれば、完全に???の気分に陥るんじゃ~ないでしょうか。

ところが、同時期にはもうひとつ、ようやく音楽用に適正なオーディオカセットが普及したところから、そういう音源がカセットテープという媒体で流通するようになっていました。

で、サイケおやじがこのライプ音源を初めて聴いたのは、ちょうど1975年のゴールデンウィーク、某輸入盤屋のバーゲンで、プログレ系のLPを3枚買うと、件のBBC音源が入ったカセットを特典で貰えるというエサに釣られてしまったんですねぇ~~~。

しかしプレゼントされたカセットには、そのケースにタイトル「1974年のライプ」と「曲目」が書かれたメモが無造作に入れられているのみで、もちろんジャケットなんかはありませんし、データそのものだって、今となれば間違いであったわけですが、中身はとにかく強力無比!

当時の凄すぎるキング・クリムゾンが約50分強、生々しく聴かれたんですよっ!

演じられていたのは「Easy Money」「Lament」「Book Of Saturday」「Exiles」「The Mincer」「The Talking Drum」「Larks' Tongues In Aspic (Part Ⅱ)」「21st Century Schizoid Man」という、つまりは「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」とそれに続く「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」の2枚のアルバムに収録された曲をメインに十八番のアンコールヒットをやっているんですが、告白すればサイケおやじはこの時点で件のアルバム「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」を全く聴いていませんでした。

それは当初、「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」があまりにも自分の感性とズレていた所為で、リアルタイムのキング・クリムゾンに見放されたいた結果であり、また経済的な問題もありましたからねぇ……。

その「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」も、同じ1974年に出た「レッド」ですら、サイケおやじはスルーしていたというテイタラクだったんですよ、恥ずかしながら。

ですから、ここで聴いた「Lament」と「The Mincer」は全くの初体験曲であり、同時に演奏全篇から放出される躍動的なエネルギーに圧倒され、さらに驚いたのは「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」を制作した時のレギュラーメンバーとして、その作品の印象を決定的にする不気味な暴れを演じていたジェイミー・ミューア(per) が、ここでは参加していなかった事です。

つまりロバート・フリップ(g,key) 以下、ジョン・ウェットン(vo,b)、ビル・ブルフォード(ds)、デイヴィッド・クロス(vln,key) の4人だけで、こんなに激ヤバな演奏が可能なのかっ!?

そういう驚愕と感動がサイケおやじの内面で渦巻き、しかし冷静になってみると、アルバム「太陽と戦慄 / Lark's Tongues In Aspic」で演奏の隙間=空間を埋め尽くすピート&リズムを提供していたジェイミー・ミューアが抜けてしまったがゆえに、それを代替する義務を負わされたとしか思えないビル・ブルフォードのドラミングが驚異的な感性を爆発させ、そう思い込んでしまえば、ジョン・ウェットンの傲慢なペースワークも大いに魅力♪♪~♪

ですからデイヴィッド・クロスのバイオリンが美しくもエキセントリックな方向性を模索し、ロバート・フリップのギターが尚更に繊細と豪胆のバランスを崩しつつ、それが破綻寸前のスリルを提供しているのも納得して大興奮というわけです。

そしてもちろん、サイケおやじが不覚にも聴いていなかった前述「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」と「レッド」の2枚のLPを買いに走ったことは言うまでもありませんし、そこで堪能出来た濃密な感動と興奮も、また然り♪♪~♪

それについては追々に拙プログで書いていく所存ですが、さて、そこで本日掲載した2枚組CDは既に述べたとおり、サイケおやじを目覚めさせたカセット収録音源の完全版とされるもので、当然ながらリマスターによって、音質も 向上し、各楽器の定位や迫力も増しているという、まさに80分強の桃源郷ですよっ!

ちなみに、これまた今では良く知られた事実なんですが、このライプ音源から「Fracture」「The Night Watch」「Improv:Starless And Bible Black」「Improv:Trio」「Improv:The Fright Watch = The Mincer」が加工されて「暗黒の世界 / Starless And Bible Black」のアルバムに用いられた真相を鑑みれば、後追いでそれらを聴いてしまった体験もあながち悪くはありません。

まあ、それは自分に言い聞かせる言い訳かもしれませんが、この頃のキング・クリムゾンはハードロック、英国フォークみたいなメロディ曲、そして暗黙の了解に基くアドリブの応酬や伝来の様式美を混然一体化させていた、それはそれは恐ろしいバンドでありました。

このあたりは、また別に発掘集成されたライプ音源箱「ザ・グレート・ディシーヴァー」や「レッド40周年記念箱」等々のCDセットを聴けば、尚更に感服すること必至の真実であり、その意味でサイケおやじは、ここで目覚めた直後のリアルタイムで入って来たキング・クリムゾンの新譜にして公式では2枚目のライプ盤「USA」の悪意さえ感じられる遣り口に、またまた熱くさせられたのですが……。

ということで、とにかく、こんなに怖い時期のキング・クリムゾンが分かっていいのかしら?

なぁ~んて思わざるを得ないのが、掲載した2枚組CDセットです。

極言すれば、アドリブパート主体の演奏では、ジョン・マクラフリンマハヴィシュヌ・オーケストラウェザー・リポートっぽい瞬間も現出するほどのジャズフュージョンっぽさがあり、同時に決して揺るぎないブリティッシュロック王道の様式美が見事に披露されていると思うばかり♪♪~♪

個人的には特に最終盤、「The Mincer」から「Larks' Tongues In Aspic, Part Two」へと熱く滾って盛り上がる三連発に死ぬほどの快感を覚えますっ!

繰り返しますが、「クリムゾンは気になるけど、ど~も、メタル期は???」という皆様には、ぜひとも鑑賞をオススメしたいのが、これですよ。

そして今も活動を続けるキング・クリムゾンだって、この時期の延長線上にあるという、なにか知ってはならない秘密を感じとるのも、また素敵じゃ~ないですかぁ~~。

なるたけ大音量で楽しみましょうね♪

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そのストイックな感性にシビれる

2014-02-13 15:22:12 | Steely Dan

滅びゆく英雄 / Steely Dan (abc / 日本コロムビア)

さて、昨日の続きになりますが、今回の五輪スノボハープパイプでは、男子のショーン・ホワイトが絶対王者、神様として優勝三連覇は決定的と報じられていただけに、決勝での滑りの不様さは衝撃的でありました。

なにしろ大会前から、その颯爽とした勇士は広く世界に流布する映像等々で紹介され、しかもそのとおりの活躍を予選までは見せていたのですからっ!

結局、アスリートやスポーツ選手は自分の年齢、つまり肉体の衰えや精神力との戦いも重要で、ショーン・ホワイトもそれから逃れられなかったという事なのでしょうか……。

だとすれば、二人の日本少年が驚異的な活躍を世界に知らしめたのも、納得して然るべきですし、世界レベルのスポーツ選手であれば、そのストイックな面を隠すことのない必然性こそが超一流の証と思います。

さて、そこで本日掲載のシングル盤は、1970年代に登場した数多のミュージシャンの中でも、殊更ストイックなスティーリー・ダンの1枚なんですが、特にこれを選んだのは、不遜にも前述したショーン・ホワイトに収録A面曲の邦題「滅び行く英雄」を重ねてしまったがゆえの事です。

ちなみにスティーリー・ダンは1972年の公式デビュー当時は堂々のバンド形態であったはずが、1975年頃はライプ活動も止め、何時しか中心メンバーのドナルド・フェイゲン(vo,key) とウォルター・ベッカー(g,b) にプロデューサーのゲイリー・カッツが参画するスタジオプロジェクトになっていたのが、このシングル盤収録の2曲を含む新作レコーディングの実際現場でありましたが、そこにスティーリー・ダンが自らの意図を具象化させるべく雇い入れたセッションミュージシャンの存在が侮れません。

しかし彼等が如何に活躍しようとも、それはスティーリー・ダン、特にドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーという下積み時代からの盟友同士が互いにストイックな創作意欲を貫きとおさなければ、そこに存在する意味が無いと思われるほどです。

例えば、この「滅びゆく英雄 / Kid Charlemagne」ではラリー・カールトンの流麗なギターが大活躍し、それによって「ラリー・カールトンという一般には無名のギタリスト」が一躍注目を集め、そして自身のリーダー作では、この「滅びゆく英雄 / Kid Charlemagne」におけるコンセプトを再利用したとしか思えない「Room 335」という人気曲まで演じてしまうのですから、それを成り行き任せとばかりは決めつけられません。

それはジャケに用いられたツーショットの怖そうなイメージからも想像に易いわけですが、実質二人のスティーリー・ダンは、それゆえに協力者の選択にも頑固であったはずですし、妥協の無い姿勢は音楽という娯楽の世界にあっても、寄せ付けない凄味が大勢のリスナーを魅了してしまえば、結果オーライ♪♪~♪

むしろ、それがあってこそ完成出来た傑作の数々は、流行に起因した派手な売り上げが終わってしまっても、永久に聴き継がれていくに違いありません。

ということで、サイケおやじは決してショーン・ホワイトをバカにしたり、憐れんでいるのではありません。

その偉大な王者が君臨していたからこそ、今回の日本少年の大活躍があったと確信しています。

これからは追われる立場、特に若い平野歩夢には孤高なぁ~ん言葉は似合わない感じですが、おそらくはストイックであろう競技への取り組みは、世界中を熱狂させるでしょうねぇ~~♪

楽しみを増やしてくれて、ありがとう♪♪~♪

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空飛ぶ中高生はスーパーマンだっ!

2014-02-12 15:31:13 | Singer Song Writer

Sunshine Superman / Donovan (Epic / 日本コロムビア)

いゃ~~、今日は朝っぱらから大興奮!

日本チームが些か低迷していたソチ五輪、スノボのハーフパイプで中高生が大活躍のメダル獲得ですからねぇ~~~♪

特に銀メダルの平野選手は、15歳の中学生なんですから、もう、これはヤングスーパーマンとしか言えません。

あの高さ! あのスピード! そして複雑怪奇な回転技の複合仕様で見せる曲芸は、まさに圧巻でありました♪♪~♪

そこで本日は、あまりにもベタではありますが、英国のフォークロックスタアとしてドノバンが世界に羽ばたいた1966年の大ヒット曲「Sunshine Superman」しかありませんっ!

一般的にドノバンはボブ・ディランの亜流としてのブレイクが否定出来かねる時期から、実は似て非なる個性を確立してのが真相だと思うサイケおやじは、殊更世界規模での賛否両論には興味がありません。

むしろ楽曲単位での好き嫌いが相当に激しいわけでして、前述したボブ・ディラン云々から論じれば、同じフォークロックでも、ボブ・ディランが直線的な攻撃性を露わにするのとは対照的に、ドノバンの楽曲にはウキウキする高揚感が、例えドラッグ云々等々言われようとも、その気持の良さは隠しようもありません。

あのハーフパイプ上空での浮遊感は、まさに「Sunshine Superman」の世界と思うばかりなんですねぇ~~♪

あぁ~~、恐るべき少年スーパーマン!

一方、銅メダルの平岡選手も高校生でありながら、決勝最後の滑走における捨て身とも思える意識の高さも強い印象でありました。

思わず、うぁぁぁぁぁぁ~~、と絶叫ざせられる激烈プレイの連続に時を忘れて、今は寝不足を露呈しているサイケおやじは、しかし若い力の躍動にエネルギーを鼓舞され、それは自分が若い頃に接して驚愕興奮させられた様々事象に共通するものがあります。

ありがとう、君等は絶対にスーパーマンと思ってますっ!

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なんでもかんでも音頭でやれば

2014-02-11 15:28:06 | 歌謡曲

イエロー・サブマリン音頭 / 金沢明子 (ビクター)

何がど~なったのかは知る由がなくとも、初めて「イエロー・サブマリン音頭」を聴いた時の衝撃は絶大でありました。

言うまでもなく、それはビートルズの人気曲のカバーであり、しかも我国特有の「音頭」という音楽ジャンルにアレンジされている現実は、完全に「お遊び」の領域にありながら、歌っているのが金沢明子という、これが世に出た昭和57(1982)年当時には確固たる人気が絶大であったアイドル系民謡歌手だったんですから、これって???

しかも、ご丁寧な話には、「ビートルズ結成20周年記念曲」という「煽り」まであったんですから、談論風発、茫然自失の結末は、まさに世界規模であったと言われています。

ところが堂々のヒットになったは、これがなかなか緻密で深淵な企画設定に基いていたからなのでしょう。

今となっては、そこにプロデューサーとしての大瀧詠一の存在が如何にも大きく扱われますが、特に個人的にはクレイジーキャッツのヒット曲で、その多くを作編曲していた萩原哲晶が十八番のウキウキアレンジがあってこそっ!

松本隆が担当した日本語訳詞の違和感も慣れが早いわけでして、それも大瀧詠一の手腕でありましょう♪♪~♪

また、多重録音を「わざとらしく」用いたサウンド作りも流石と思うのはサイケおやじだけでしょうか。

もちろん、如何にも民謡調のコブシを楽しく回す金沢明子のアイドルボイスも大きな魅力と思います。

しかし、リアルタイムで、「これが好きっ」とは言えない雰囲気は確かにありましたですよ……。

何故ならば、既にビートルズはジョンの突然の訃報によって、完全に「神の領域」に入っていましたし、その聖典を安易に茶化すなぁ~ん事は、許されないと思い込んでいくのが、真っ当なファンの道と信じられていたのですからっ!?

一方、これが恐ろしいところなんですが、それでも「イエロー・サブマリン音頭」のシングル盤を買わざるを得ない心境になるのも、ビートルズマニアの偽らざる気持でしょう。

「毒食らわば、なんとら」ということかもしれませんが、それだけにコレクターズアイテム化するのは時間の問題であり、しかも「大瀧詠一」という趣味人には共通の錦の御旗がある以上、自分に言い聞かせる言い訳は充分でありました。

ということで、こういうコミックレコード(?)がしっかりと作られていたからこそ、昭和歌謡曲の景気の良さも証明されているのです。

新たに記録された音楽が売れなくなって、もう相当に年月が経っていますが、だからこそ、昔の遺産を振り返って仰ぎ見る姿勢が求められるような気がしています。

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小品から大作のELP

2014-02-10 15:26:30 | Rock Jazz

Lucky Man / Emrson, Lake & Palmer (Cotillino / ワーナーパイオニア)

プログレやってるミュージシャンは必然的に大作主義なんでしょう、レコードはアルバムメインで作るのを普通にしていたのが1960年代後半からの流れでありましたが、しかし一流の人気バンドであればこそ、例えばムーディー・ブルースやプロコルハルムの様にシングルヒットを出す事も義務付けられていました。

というよりも、そうしたシングルヒットがプロモーションには絶対に必要だったわけで、新作アルバムの発表や巡業の集客を狙っての策略が音楽ビジネスの常識という事なのでしょう。

で、本日掲載したのはエマーソン・レイク&パーマー=ELPの初めてのシングルヒット盤で、ご存じのとおり、彼等のデビューアルバムからカットされたものです。

ところが驚いた事には、後にメンバーが語ったところでは、この「Lucky Man」がシングルカットされ、しかもヒットしていた実態を知ったのは、ELPが巡業でアメリカに到着した1971年のその日だったそうで、ヒットするのは嬉しい反面、これは決して自分達の音楽を象徴していはいないっ!

曲を書いたグレッグ・レイク以下、メンバー全員が、そう思ったというのですから、穏やかではありません。

う~ん、そうでしょうねぇ~。

だって、ELPと言えば、1970年の公式デビュー時からキーボードロックの王者として、激烈なライプパフォーマンスと構成力豊かな音楽表現をウリにしていたのですから、確かに優れた楽曲の「Lucky Man」にしても、小品であるがゆえに、その一部にしか接することが出来ないフォーク調の音楽世界は、ELP絶対主義には馴染まないはずです。

しかし、既に世界中から期待される次のアルバム制作に些か迷いがあったというELPは、それによって大作指向に邁進する決意を固めたそうで、もちろん完成したのは、あの傑作「タルカス」だったのですから、何が幸いするかは分かりません。

ということで、文字通り、結果オーライのラッキーな名曲として、サイケおやじは後追いの感慨に耽ってしまったというわけです。

ただし、ELPはそれなりにヒット狙いの楽曲を作り、シングル盤を以降も出し続けていったのですから、決して頑固な面々の集まりではなく、そこにグループ自らの意思があるか、否か!?

そういう拘りが一流の証明と思うばかりです。

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ひとりカラオケに行ったなら

2014-02-09 14:32:55 | 歌謡曲

ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ / 鹿取洋子 (ポリドール)

最近は「ひとりカラオケ」っていうのが密かなブームらしいんですが、もちろんサイケおやじは実践した事がないので、それがど~いうものかは推測の域を出ません。

多分、カラオケ店に行って、本来は数名が入れる個室を独り占めし、好き放題に歌いまくって、日頃の憂さを晴らすというのが所期の目的なんでしょうか。

そういえばカラオケマシーンには得点表示機能もありますからねぇ~、悦に入るのも勝手気儘!? ド派手に騒いでも、シンミリと孤独に酔ってしまうのも、十人十色の自由は案外と楽しからこそ、ブームになっているのかもしれません。

さて、その意味で本日掲載した鹿取洋子のシングル盤A面曲「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ」は、まさに当時のAOR風ディスコ歌謡の典型として、昭和55(1980)年にヒットした痛快作♪♪~♪

ちょっぴり今は失念していますが、確かオリジナルは前年の洋楽ヒットだったはずで。このシングル盤のクレジットには作詞;岡田冨美子、作曲:Pim Koopman、編曲:井上鑑となっていますから、やはり日本語歌詞を附したカバー物なんでしょう。

しかし、それはそれとして、ここに作り上げられたスマートなディスコサウンドは素晴らしいかぎりで、流石はアレンジャーの井上鑑が人脈を総動員したと思しき超一流のスタジオミュージシャンが参加している事は聴けば一発!

そこで、このカラオケを使って、独りで歌いまくるのは絶対に気持良いはずですよっ!

ちなみにレコードでの主役たる鹿取洋子は、1980年代アイドルにしては幾分セクシー系であり、しかも女優としても活動していましたから、グラビア人気も相当に高かった事は言うまでもありません。

その佇まいは小悪魔的であり、一方では清楚な雰囲気の良さも併せ持っていたという、なかなか素敵なイイ女でありましたよ♪♪~♪

ということで、「ひとりカラオケ」に行かれる皆様は、其々に様々な気分でありましょうが、突き抜けて歌いまくりたい時には、この「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ」をオススメしたく思います。

そうだっ! まずは自分で実戦してみようかなぁ~~♪

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