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中西輝政編「日本核武装の論点」を読んで その2 千里眼

2006年10月21日 17時35分43秒 | Weblog


 10月19日に、麻生太郎外相と中川昭一自民党政調会長が「日本の核兵器保有について論議すべきだ」という趣旨の発言をした。即日、誤解を与えるといけないとして、取り消すような発言をして収拾をはかった。北朝鮮の核実験を受けて、泥沼に泡立つあぶくのように、あちらこちらで日本の核武装を主張する意見が出てくることは避けがたい情勢になっている。

 その1では、それぞれの論文の結論部分を引用する形で、内容を紹介した。この「その2」では、私なりにこの書物の内容を簡潔にまとめ。箇条書き風に整理した。この書物に執筆した著者はほぼ似たような考え方をしているので、全員分をまとめてみた。
 このブログに参加するまでは、この手の論文を一つも読んだことがなかったので、私の理解が浅いということは、事前にお断りしておきたい。
 
・ 今こそ、日本の核武装について論議すべき時がきた。
・ 中国は危険な国で、日本を従属国にしようとする意思を有している。中国と日本は共存できない国である。
・ 中国の軍事力の強化は著しい。有人衛星を飛ばすなどして、宇宙の軍事利用を始めようとしている。
・ その中国、さらに北朝鮮の核攻撃の危険に日本はさらされているのだ。
・ 中国の核武装の強化によって、アメリカの核の傘は効力を失ってきている。
・ 他国からの核攻撃を抑止するものは、自前の核武装以外にはありえない。
・ 早急に非核三原則を廃棄し、日本は核武装を進めなければならない。
・ まず、核弾頭付き巡航ミサイルを持つ必要がある。
 およそ以上のようにまとめることができよう。

 保守系論客の論文を読むとき、中国に対する敵意や警戒感を感ずる論文が多々あったが、この書物ほどすさまじい敵意をむき出しにしているものは見かけなかった。本気でそう思っているのかと疑うほどである。
 この敵意の背景はどこから来ているのか、私なりに考えて見た。最大の背景は中国の著しい経済成長に対する恐怖心にあるのではなかろうか。しかも、開放経済政策を取り外資を積極的に導入しているとはいえ、中国は共産主義を標榜する国家である。この共産主義に対する敵意がそれに増幅しているものと思われる。
 たしかに、中国の経済成長は著しい。1978年12月に改革開放に踏み切って以降、1979~2004年の国内総生産(GDP)の実質成長率は平均9.6%を記録した(国家統計局による修正後)。したがって、1986年にはGDPは78年の2倍加を達成している。中国のGDP(修正後)は2002年に10兆元の大台を突破。1人あたりGDPもすでに1000米ドルを超え、「モータリゼーションの発生」、「大衆消費社会の到来」といわれる水準に達している。2005年の一人当たりGDPは前年比14.3%増の1703米ドルに上ったという。
 温家宝首相や国家発展改革委員会主任は、第11次5カ年計画(2006~2010年)のGDP平均年間成長率について、目標を7.5%前後とする発言。単純に成長率を追い求める傾向を改め、高効率・省エネルギーを盛り込んだ総合的な発展を目指すとしている。としても、これは、高度経済成長が今後も持続することを意味している。(数値はジェトロの資料から)
 さらに、靖国神社問題や歴史問題に対する中国政府の姿勢が、彼らの中国敵視感情をさらに増幅しているのであろう。これは私の想像ではあるが、中国蔑視感情の残滓があって、それがさらに増幅しているのではなかろうか。         <終わり>
コメント (2)
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