この投稿は、5月3日の紙面に発表された「21の社説」についての要約である。できるだけ、「 」という形での引用でまとめる形をとったので、本当の意味での要約ではないが、およその概略は掴めるものと思う。
14.日米安保 - 国際公益にも生かし、価値を高める
「わが国の防衛のためには米国に加勢してもらうし、周辺事態では後方支援で日本は米国に協力する。だが、軍事面での同盟は基本的にここまでである。それを超える活動、地域については、あくまでも国連安保理の決議による国際安保保障の枠組みでのみ、自衛隊は参加する。9条に基づく基本原則によることは言うまでもない」
「日本の国益を守り、国際公益を広めるために日米同盟を使いこなす。その方が日米両国にとって同盟の価値が高まる。自主性のある、したたかで、しなやかな発想を持つべきだ」
15.自衛隊の海外派遣 - 国連PKOに積極参加していく
「自衛隊の派遣は、日本にふさわしいものでなければならない。現地で歓迎され、実際に「平和構築」に役立つ。あくまでも憲法前文のような普遍的な理念に基づく派遣であって、「米国とのおつき合い」だけで海外に自衛隊を送るべきではない」
「他の先進諸国に比べて、自衛隊の派遣件数はまだまだ少ない。日本の参加先をもっと増やし、任務の幅も広げるべきだ」。「武力行使にあたるような使用を認めるべきではない」。
「国連安保理決議に基づく‥‥国際部隊について、国連PKOにおける後方支援に準ずるのであれば、参加するケースがあってもよい。‥‥その場合、国会の事前承認、武力行使の禁止などの厳しい条件を設けるべきだ」
16.人間の安全保障 - 憲法前文にぴったりの活躍を
「一人ひとりの生命や生活を守る責務は本来、国家にある。しかし、紛争や経済危機に見舞われた国々の政府は国民を守る力を失う。‥‥こうして人間の生命、生活、人権を守っていく理念は「人間の安全保障」と呼ばれている」
「世界の人々の平和的生存権を重視した憲法前文にぴったり合致する理念だ」。「この面で日本がとるべき第一の戦略は、国連改革で新設された平和構築委員会の主軸となることである」。「第二の戦略は民生分野での独自の支援策を広げることだ」
「ODAを増やし、世界を良くする努力の先頭に立つ。人間の安全保障を通じて、そんな日本の行動する姿を示していきたい」
17.9条の歴史的意義 - 日本社会がつくりあげた資産
「憲法9条に立つ戦後の平和主義は、‥‥私たち日本人がつくりあげ、定着させてきたものである」
9条の歴史的意義
① 日本が再び戦争に直接かかわるのを防いだこと。
② 9条のおかげで戦後社会から軍国主義がすみやかに姿を消したこと。
③ 侵略戦争と植民地支配という負の歴史への反省のメッセージとして、国際社会に受け止められた。
④ 国民に「非軍事」の持つ潜在力を考える視点を提供した。
と捉え、「軍事力の効用に限界が見えた世界で『国際公益の世話役』となり、地球と人間の現在、未来に貢献していく。そうした日本になるために、9条の理念は新しい力を与えてくれるに違いない。捨て去る理由はまったく見当たらない」
18.改正の是非 - 変えることのマイナスが大き過ぎる
改憲論者の主張
① 憲法と現実との「ねじれ」の解消
② 集団的自衛権の行使などに制約されない普通の軍隊を持つ。米穀との同盟をより確かなものにできる。
③ 軍を持つことは主権国家とした当然の権利なのだから、押し付けられた9条をただす。
「自衛隊が普通の軍隊と違うのは、集団的自衛権を行使せず、海外で武力行使をしないといった原則を持つからだ」。「これを撤廃すれば、日本の基本軸があいまいになる」
「日米同盟の安全装置としての9条のメリットは捨てがたい価値がある」
「そもそも、この60年かけて培ってきた日本の『平和ブランド』を手放す損失は大き過ぎる。‥‥このユニークさは国際社会にも知られ、重要なソフトパワーになっている。それを生かしてこそ、『国際社会の背穂役』として日本への信頼を築くことができる」
19.自衛隊 - 平和安保基本法で役割を位置づける
・ 軍隊とはせず、集団的自衛権は行使しない
・ 国連安保理決議にもとづく平和構築活動に参加していく
・ 非核を徹底して貫き、文民統制をきちんと機能させる
「自衛隊の歴史はすでに半世紀に及ぶ。‥‥自衛隊のイラク派遣や米軍への協力でさまざまな逸脱や疑問、曲折はあったが、長年の積み重ねの結果、現実にねざした平和主義の骨格が形成された」
「自衛隊をきちんと位置づける基本法を、今の自衛隊法とは別につくったらどうだろう。自衛隊を持つ理由と目的、使い方の基本を定める」
「とにかく集団的自衛権行使に道を開こうとするのは乱暴な9条改正論である。もっと現実的で冷静な議論が必要だ」
20.ソフトパワー - ほっとけない。もったいない。へこたれない。
・ ハードパワーの競争だけでは、国益、国際公益の追求に限界がある
・ 「ほっとけない」「もったいない」「へこたれない」の精神を世界へ
・ 不毛なナショナリズムの悪循環を断たなくてはならない
「日本は何を考え、どう行動すればいいのか。日本文化の伝統に根ざす三つの日本語を思い出しておきたい」
①「ほっとけない」
「病気、貧困、天災、戦災、人権侵害。世界のどこかで苦しんでいる人がいたら飛んでいって助ける。‥‥パソコンのヘルプキー、そんな役割を日本が果たせばいい」
②「もったいない」
③「へこたれない」
「核廃絶や環境問題など、いま地球が抱える難問の解決には、並々ならぬ知恵と労力を要する。それでもあきらめるわけにはいかない」
21.外交力 - 世界への発信力を鍛えていく
「腕力は弱そうだけど、よくものを考えていて、的確なコメントをする。相手に殴りこむようなケンカはしないが、いざとなると、タイミングよく一番必要なものを提供する。信頼を置かれ、相談事に必ずあずかる。そんな国のあり方が、日本にふさわしい」
「ここまで20本の社説で提言してきたことは、まさにそういう日本になるための知恵とは何かということである。最後に、そうした知恵を生かすために、国際社会への発信力を高めることを考えなければならない」
次の「その4」から、いよいよ、この「まとめ」のうえにたって、この提言の特徴を私の思いと関連づけながら、考えていきたいと思っている。
14.日米安保 - 国際公益にも生かし、価値を高める
「わが国の防衛のためには米国に加勢してもらうし、周辺事態では後方支援で日本は米国に協力する。だが、軍事面での同盟は基本的にここまでである。それを超える活動、地域については、あくまでも国連安保理の決議による国際安保保障の枠組みでのみ、自衛隊は参加する。9条に基づく基本原則によることは言うまでもない」
「日本の国益を守り、国際公益を広めるために日米同盟を使いこなす。その方が日米両国にとって同盟の価値が高まる。自主性のある、したたかで、しなやかな発想を持つべきだ」
15.自衛隊の海外派遣 - 国連PKOに積極参加していく
「自衛隊の派遣は、日本にふさわしいものでなければならない。現地で歓迎され、実際に「平和構築」に役立つ。あくまでも憲法前文のような普遍的な理念に基づく派遣であって、「米国とのおつき合い」だけで海外に自衛隊を送るべきではない」
「他の先進諸国に比べて、自衛隊の派遣件数はまだまだ少ない。日本の参加先をもっと増やし、任務の幅も広げるべきだ」。「武力行使にあたるような使用を認めるべきではない」。
「国連安保理決議に基づく‥‥国際部隊について、国連PKOにおける後方支援に準ずるのであれば、参加するケースがあってもよい。‥‥その場合、国会の事前承認、武力行使の禁止などの厳しい条件を設けるべきだ」
16.人間の安全保障 - 憲法前文にぴったりの活躍を
「一人ひとりの生命や生活を守る責務は本来、国家にある。しかし、紛争や経済危機に見舞われた国々の政府は国民を守る力を失う。‥‥こうして人間の生命、生活、人権を守っていく理念は「人間の安全保障」と呼ばれている」
「世界の人々の平和的生存権を重視した憲法前文にぴったり合致する理念だ」。「この面で日本がとるべき第一の戦略は、国連改革で新設された平和構築委員会の主軸となることである」。「第二の戦略は民生分野での独自の支援策を広げることだ」
「ODAを増やし、世界を良くする努力の先頭に立つ。人間の安全保障を通じて、そんな日本の行動する姿を示していきたい」
17.9条の歴史的意義 - 日本社会がつくりあげた資産
「憲法9条に立つ戦後の平和主義は、‥‥私たち日本人がつくりあげ、定着させてきたものである」
9条の歴史的意義
① 日本が再び戦争に直接かかわるのを防いだこと。
② 9条のおかげで戦後社会から軍国主義がすみやかに姿を消したこと。
③ 侵略戦争と植民地支配という負の歴史への反省のメッセージとして、国際社会に受け止められた。
④ 国民に「非軍事」の持つ潜在力を考える視点を提供した。
と捉え、「軍事力の効用に限界が見えた世界で『国際公益の世話役』となり、地球と人間の現在、未来に貢献していく。そうした日本になるために、9条の理念は新しい力を与えてくれるに違いない。捨て去る理由はまったく見当たらない」
18.改正の是非 - 変えることのマイナスが大き過ぎる
改憲論者の主張
① 憲法と現実との「ねじれ」の解消
② 集団的自衛権の行使などに制約されない普通の軍隊を持つ。米穀との同盟をより確かなものにできる。
③ 軍を持つことは主権国家とした当然の権利なのだから、押し付けられた9条をただす。
「自衛隊が普通の軍隊と違うのは、集団的自衛権を行使せず、海外で武力行使をしないといった原則を持つからだ」。「これを撤廃すれば、日本の基本軸があいまいになる」
「日米同盟の安全装置としての9条のメリットは捨てがたい価値がある」
「そもそも、この60年かけて培ってきた日本の『平和ブランド』を手放す損失は大き過ぎる。‥‥このユニークさは国際社会にも知られ、重要なソフトパワーになっている。それを生かしてこそ、『国際社会の背穂役』として日本への信頼を築くことができる」
19.自衛隊 - 平和安保基本法で役割を位置づける
・ 軍隊とはせず、集団的自衛権は行使しない
・ 国連安保理決議にもとづく平和構築活動に参加していく
・ 非核を徹底して貫き、文民統制をきちんと機能させる
「自衛隊の歴史はすでに半世紀に及ぶ。‥‥自衛隊のイラク派遣や米軍への協力でさまざまな逸脱や疑問、曲折はあったが、長年の積み重ねの結果、現実にねざした平和主義の骨格が形成された」
「自衛隊をきちんと位置づける基本法を、今の自衛隊法とは別につくったらどうだろう。自衛隊を持つ理由と目的、使い方の基本を定める」
「とにかく集団的自衛権行使に道を開こうとするのは乱暴な9条改正論である。もっと現実的で冷静な議論が必要だ」
20.ソフトパワー - ほっとけない。もったいない。へこたれない。
・ ハードパワーの競争だけでは、国益、国際公益の追求に限界がある
・ 「ほっとけない」「もったいない」「へこたれない」の精神を世界へ
・ 不毛なナショナリズムの悪循環を断たなくてはならない
「日本は何を考え、どう行動すればいいのか。日本文化の伝統に根ざす三つの日本語を思い出しておきたい」
①「ほっとけない」
「病気、貧困、天災、戦災、人権侵害。世界のどこかで苦しんでいる人がいたら飛んでいって助ける。‥‥パソコンのヘルプキー、そんな役割を日本が果たせばいい」
②「もったいない」
③「へこたれない」
「核廃絶や環境問題など、いま地球が抱える難問の解決には、並々ならぬ知恵と労力を要する。それでもあきらめるわけにはいかない」
21.外交力 - 世界への発信力を鍛えていく
「腕力は弱そうだけど、よくものを考えていて、的確なコメントをする。相手に殴りこむようなケンカはしないが、いざとなると、タイミングよく一番必要なものを提供する。信頼を置かれ、相談事に必ずあずかる。そんな国のあり方が、日本にふさわしい」
「ここまで20本の社説で提言してきたことは、まさにそういう日本になるための知恵とは何かということである。最後に、そうした知恵を生かすために、国際社会への発信力を高めることを考えなければならない」
次の「その4」から、いよいよ、この「まとめ」のうえにたって、この提言の特徴を私の思いと関連づけながら、考えていきたいと思っている。