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保守系さんへの回答と質問 その10  ‥千里眼‥

2007年05月23日 00時27分05秒 | Weblog

 満州事変から日中戦争にいたる日本の戦争は、自衛の戦争であったのか。保守系さんは自衛戦争だと言う。保守系さんがその論拠に挙げている事柄を、論拠・資料をあげて全面的に否定する。ここでは、リットン調査団の問題を中心に取り上げる。まずは、保守系さんに対する関連質問から始めたい。

 ここで付記しておきたい。保守系さんの見解について反論しているが、その背後にいる保守系論客全体を念頭においているのだということを。保守系さんの見解は、彼等保守系論客の見解の受け売りにすぎないのだから。

保守系さんへの質問

①「保守系さんの『侵略戦争』という言葉の概念というか、どう把握しているのかを教えて欲しい」と、「その6」で問いかけた。が、まだその回答はない。日中戦争が「自衛」の戦いか「侵略」の戦いかを判断する「決め手」になるので、保守系さんの考えをどうしても聞いておく必要があるのだ。

②リットン調査団報告は、「詳しく見れば、満州国は肯定されている」そうだが、どのように詳しく見ていけばよいのか教えて欲しい。

③「満州国を肯定」(?)しているリットン調査報告が国際連盟で承認され、そのなかで提案されている内容が可決されたとき、日本は国際連盟を何故脱退したのか教えて欲しい。


 保守系さんは、5月19日のコメントで「リットンの調査(詳しく見れば、満州国は肯定されているのですが)を読めば、あの満州国は認められています」と言う。本当にそうであろうか。(注:リットン調査団とは、満州問題を調査するために国際連合の派遣した調査団、団長がイギリス人のリットン卿)

 では、その内容について見ていこう。長い報告書なので、ウィキペディアに載っている要約にしたがう。
・「柳条湖事件及びその後の日本軍の活動は、自衛的行為とは言い難い」、明らかに「自衛」ではなく「侵略」と認めているのだ。
・「満州国は、地元住民の自発的な意思による独立とは言い難く、その存在自体が日本軍に支えられている」。

 保守系さんの( )内の文章、「詳しく見れば、満州国は肯定されている」と言うが、どのように詳しく見ていくのだろう。詳しく見るも見ないもない、結論は上記の2点に絞られるのだ。さらに、リットン調査団の紛争解決についての、提案内容について見ていこう。
・「満州には、中国の主権下に自治政府を樹立する。この自治政権は国際連盟が派遣する外国人顧問の指導のした、充分な行政権を持つものとする」
・「満州は非武装地帯とし、国際連盟の助言を受けた特別警察機構が治安の維持を担う」 
 このように、満州国を廃止し、「中国の主権下に自治政府を樹立する」という提案なのだ。これを見ても、「満州国を肯定している」とは、絶対に言えないのだ。

 保守系論客の一部の唱える奇妙奇天烈な見解を、保守系さんはそのまま受け売りで展開しているに過ぎないのだ。保守系論客の多くが、いかに日中戦争について、「ウソ」と「デマ」を流すかについては、この連続投稿「その1」から「その3」で見てきたはずだ。さらに田中正明氏のように、資料そのものの改ざんも平気でやる、こうした人たちの見解をそのまま受け売りしては、恥をかくだけなのだ。心から忠告する。

 さらに付け加えると、このリットン調査団の報告を国際連盟が承認し、その提案を、賛成42票、反対1票で決議すると(反対1は言うまでもなく日本)、日本は国際連盟を脱退した。リットン調査団の報告が満州国を肯定しているのならば、何も国際連盟を脱退する必要はないではないか。

 これ以上付け加える必要もないが、当時の朝日新聞がこれをどう取り扱ったか見ていく。昭和7年10月3日の紙面で、この報告書全文を掲載している。その見出し、中見出しの一部を、ここに記しておく。保守系さんの見解を全面的に否定していることが分るであろう。

「全編随所に日本の容認し得ざる記述 我が対満政策を終始否定」 終始否定ですよ。
「満州は支那の完全なる一部」 
「『特殊地位』なる語は了解し難し」 「日本政府の外交用語を反駁」と添え書きあり。
「9月18日の行動 自衛手段と認め難し」 と柳条湖事件を自衛でないとする。
「満州国政府は自発的独立に非ず」
「満州を自治体とし 日本軍の撤退を勧告」    
コメント (2)
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