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憲法9条とマッカーサー証言 へそ曲がり

2007年10月08日 12時32分58秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 最近、「保守系」氏が〔アメリカ上院の軍事外交合同委員会〕でのマッカーサー証言を使って“日本の戦争は「自衛戦争」であった”と盛んに主張している。
「氏」が原文または和訳文を入手して分析した結果を述べているのかと思って調べていたのだが、どうもそうではないようだ。
 1月9日付「正論」の中で、「渡辺昇一」氏が「自衛戦争論」を述べているが、これの受け売りではないかと推測する。
 これを徹底的に批判したブログを発見した。『白砂青松』というブログである。この名前で検索すると、すぐに出てくる。
 
 私には英語の読解力はない。『白砂青松』氏の解釈が正しいかどうかも分からないが、こういう批判もあるということで、転載したい。


マッカーサーの「自衛」戦争論 - 恥の上塗り [ 歴史 ]

 これまた、渡部氏の1月9日付「正論」がらみ。
 昨日のエントリでも引用したように、渡部氏は

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 しかも東京裁判の法源ともいうべきマッカーサー元帥自身がアメリカ上院の軍事外交合同委員会という公式の場で「従って日本が戦争に突入した目的は主として自衛(セキュリティー)のために余儀なくされたのであった」と証言している。これはチャーチルが「カーマレー湾書簡」が偽書であることを発見して、先祖モールバラ公300年の恥をそそいだのにも似た証拠で、戦後60年の日本の恥をそそぐに十分な証拠であると考えられる。
--

と言ってます。
 この話も、日本の戦争を肯定したいという人々が良く持ち出すのですが、本当にマッカーサーはそんなことを言っているのでしょうか?

 答えは、これまたガセネタですね。

 そもそもこれはどのようなやり取りの中でなされた発言なのでしょうか。
 元ネタは昭和26年5月に上院軍事外交合同委員会の聴聞会で行われたやり取りですが、そもそも何故このような聴聞会が開かれたのかと言えば、朝鮮戦争において中国への攻撃を主張して総司令官を解任され帰国したマッカーサーが、中国への攻撃は本国も賛成していたといい出したことから、どちらの言い分が正しいかということで開かれたもの。

 ですから、この席上でもマッカーサーは当然中国を攻撃することの正当性を主張しているわけです。

 その上で、Isn't your proposal for sea and air blockade of Red China the same strategy by which Americans achieved over the Japanese in the Pacific? (あなたの、共産中国を空と海で封鎖するという提案は、アメリカがかつて太平洋で日本に対して行ったのと同じ戦略ですか?)と聞かれたことに対して、マッカーサーは、

 Yes, sir. In the Pacific we by-passed them. We closed in. You must understand that Japan had an enormous population of nearly 80 million people, crowded into 4 islands. It was about half a farm population. The other half was engaged in industry.
Potentially the labor pool in Japan, both in quantity and quality, is as good as anything that I have ever known. Some place down the line they have discovered what you might call the dignity of labor, that men are happier when they are working and constructing than when they are idling.
This enormous capacity for work meant that they had to have something to work on. They built the factories they had the labor, but they didn't have the basic materials.
There is practically nothing indigenous to Japan except the silk worm. They lack cotton, they lack wool, they lack petroleum products, they lack tin, they lack rubber, they lack a great many other things, all of which was in the Asiatic basin.

と、日本には資源がなく人口が多かったという状態を説明した後に、問題のパラグラフとして、

 They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12 million people unoccupied in Japan. Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security.(日本はそれら資源の供給が止まった場合、10~12百万人の失業者が出ることを恐れていた。従って、彼らが戦争に突き進んだ目的は主に「security」のためだった。)

と答えたわけです。

  証言原文は「マッカーサー米議会証言録」から
  http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2004/maca/mac1.html
  原文の57、58ページが該当。

 この「security」がなんで「自衛」になるんでしょう?

 securityの意味は安全とか安心とかですけど、当然その原因となる事象がある。安全保障ならagainstやforでその対象を明示するのが普通です。これを「自衛」と訳すなら、それは他所からの侵略行為に対してという意味の文言がどこかにあるはず。
 でも、そんなものはどこにもありません。

 実際にはマッカーサーは「They feared」と日本が何を恐れていたかちゃんと語っています。そしてこのパラグラフの後段の文でthereforeとつないで、「それ」に対する「security」、即ち安心を得たかったのだと述べているのです。

 では「それ」とは何か。
「there would be 10 to 12 million people unoccupied in Japan」ですね。

 つまり、日本は資源が供給されないことで大量の失業者が出ることを恐れ、その恐れを回避するために戦争を始めた。
 マッカーサーは、日本の国内事情から資源の確保が必要だった、即ち経済的な動機だったと言っているだけです。

 結局、マッカーサーが「自衛」戦争なんて言ったというのは、明らかにthereforeでつながっている直前の文に書かれている内容さえ無視して、"security"という単語のみを都合の良く訳した、お粗末な英語力故か、意図的かは存じませんが、デマに過ぎないってことです。

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 ちなみに、マッカーサーはこの証言の後半部分で、共産中国に対しても海と空から封鎖せよと言い、そうすれば中国はどうなるかという点について、

 You must understand that in China itself, they have the greatest difficulty in merely supplying their present civil population. I don't suppose there is a year in China that from 5 to 10 million people don't die either of starvation or of the results of malnutrition. It is an economy of poverty, and minute you disrupt it, you will turn great segments of its population into disorder and discontent, and the internal strains would help to blow up her potential for war.

 5~10百万人が餓えや栄養失調で死ぬかもしれず、経済的困窮から多くの国民が不満を持つようになり、その緊張が戦争への可能性を膨らませると言っています。

 で、これが日本に対して仕掛けたことと同じだとマッカーサーは言っているのですから、仮に日本のそれが「自衛戦争」だとしたら、この中国への封鎖の結果として引き起こされる戦争も中国の「自衛戦争」だと言っていることになる。
 つまり、マッカーサーは一種の侵略戦争を起こせと言っていたことになる。

 それでは、自分で自分の主張(中国攻撃)の正当性を否定することになる。

 総司令官を解任されてまで曲げなかった自分の主張を帰国したらあっさり捨て去ったとでも言うの?

 そんな馬鹿な話はありませんね。

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 マッカーサーは日本が「自衛戦争」を起こしたなんて一言も言っていない。
 少なくとも、「アメリカは同じことをやるべきだ」と言えるくらいにしか、日本の開戦の動機を評価していなかった。

 原文を読めば一目瞭然、というかマッカーサーが何故解任されたかを知ってればこんな勘違いがなされるはずないんですがね。

 これを「自衛戦争」だなんて大騒ぎするのは、『戦後60年の日本の恥をそそぐに十分な証拠』どころか、ただの恥の上塗りでしかありません。


 以上、こういうことです。

 でも不思議ですね。「保守系」氏が口を極めて罵っている「大東亜戦争」・「東京大空襲」・「広島・長崎への原爆投下」・「日本国憲法」・「東京裁判」などなど・・・・。
 そのひとつひとつのルーツを手繰って行くと、必ずある一人の人物にぶつかります。その人物の名前は「ダグラス・マッカーサー」。
「保守系」氏流の言い方をすれば、“最も憎っくき奴”の筈です。でも、彼への批判はまったくありません。
 以前にも訊ねたことがあります。もう1年にもなりますが、未だに無回答です。「楽石」さん流に言えば「   」ですね。
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曽野綾子さんの集団自決調査 へそ曲がり

2007年10月08日 11時02分02秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
沖縄の「集団自決問題」について「保守系」氏がまたもや「曽野綾子」さんの説を持ち出して、自身の正当化を図っている。
 彼女の説(説なんていえたものではなかったが)についてはその信頼性の疑問を以前に出したのに、それに対して何も応答せずにまたまた持ち出している。しかも、なんらの根拠もなしにである。
 改めて問いたい。いったい曽野さんはどんな範囲の人にどんな規模の調査をしたのか。「県民大集会」の後にも次々と新しい証言がいっぱい出ていることをどう考えるのだろうか。
 座間味島の「宮平春子」さん(櫻井よしこさんが当時命令を下したという助役の妹)には絶対に調査していなければならないはずである。その他「宮川スミ子」さん、慶良間島のもと村長「與儀九英」さん(当時中学生)なども当然調査対象になるだろう。
 これらの人たちの名前が出てこないということは、よほどいい加減な調査であったとしか言いようがない。
 9月29日の「県民大集会」、主催者の予想は5万人だったそうである。それが11万6千人の規模、もし交通機関の手配がもっと効率的だったら15万人を超えていたと言われる。
 始発駅で超満員になり、途中は通過せざるを得なかったそうである。
 この噴き出したマグマや、“もう黙ってはいられないという”新しい証言者の急増を見て、曽野さんや「保守系」氏はまだ確信を深めているのだろうか。きっと足が震えていることだろう。
コメント (6)
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なぜ全方位外交は人気がないのか?  楽石

2007年10月08日 09時45分35秒 | Weblog
非武装中立論から学ぶ点は全方位外交にあります。

でも、それは非現実的という感じでしょうか?

感想を伺いたいと思います。
コメント (4)
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