本日のネット虫さんの投稿とコメントは非常に非常に時宜を得たものと思う。僕も早速、今日の読売テレビ、明日のサンデーモーニングを見ることに決めた。それにしても、サンデーモーニングはともかく、あの読売テレビがあの中村哲医師を招致とは。テレビをあまり観ない僕が、「ウェークアップ ぷらす」なんて番組を初めて知ったほどだ。サンデーモーニングは愛観者の一人かも知れないが。
時代が中くらいの音を立てて換わっている時なのかな。だからこそなのだろう。こんな時に、毎日新聞が題名からしてとんでもない(と僕には思われる)社説を載せて、とんでもない時代遅れぶりを示した。
19日朝刊5面に、見出しで題して「視点 対テロ新法 給油活動を継続して国際社会に直言せよ 論説委員 布施広」。
結論的内容部分はこうであろう。
①「停止して諸外国の失望や批判、あらぬ誤解を呼ぶより、継続して国際社会に発言力を保つ方が現実的だと私は思う」
「発言力を確保しつつ米国などに直言する方が効果的というものだ」
そして、この暴論を和らげる必要ありと感じてのことなのだろう。こういう言葉が最後に、遠慮がちに付け足してある。
②「イスラム圏の反米感情は強い。(中略)そんな米国の姿勢、非効率的とも映る闘いの構図は少なくとも改めるべきだ。対テロ戦争が明確な対イスラム戦争になれば、もはや出口はなくなるだろう」
流石に、自説の核心①に、大義があるとは語っていない。「現実的」「効果的」という。果たしてそうだろうか。そうではないことを知っているからこそお座なりに②を付け加えていると、僕は読んだ。
ところで、①と②は両立するのか。両立したと認定する主体が問題だ。その主体は①の人々なのか? けっしてそうではあるまい。②の主体、②の後半の悲劇の判断、選択に関わる主体は、イスラムの人々そのものであろう。それどころか、①に言う「諸外国」すらも、そんな「現実的、効果的」は認めないと思う。
世界はもちろん、アメリカ市民でさえそうだろう。嘘で固められたイラク開戦理由問題でブッシュの親友ブレアがBBCと大げんかをして、それでやめるはめになったとは、世界周知の事実である。イタリアのベルルスコーニ、スペインのアスナールはなぜ退いたのか。オーストラリアのハワードが労働党の攻勢の前に辞めるはめになったことに、その親米姿勢が関わっていないはずはない。ラムズフェルト、ボルトンら側近が皆「トカゲの尻尾切り」にあったブッシュ政権の共和党は、いまや久々に風前の灯火ではないか。
こんな秋に「給油継続」? それが「諸外国に対して『現実的』」で「アメリカに対して『効果的』で、その結論として「『対イスラム戦争』を防ぐ」?
寝ぼけたことを言うんじゃない。アメリカ国民でさえこんな「見通し」は語っていないはずだろう。だから毎日新聞が何もわざわざこんな不見識な心配をしなくても良いのである。因みに、来年にはアメリカ国民が共和党を退陣させるだろう。そしてヒラリーかオバマが、一時はかなりの撤退を行うことだろう。
そういう事態がほぼ見通せる時に、テロ新法で世間、世界を騒がせた末に給油を継続しても、イスラムや世界の識者から「大義のない、石油欲しさだけの日本」として軽蔑されるだけのことである。非現実的、非効果的で、おまけに「平和国家日本」のイスラムイメージをさらに損なえとは。
9.11以来の日本のマスコミは、世界の大義からいかに外れたモラルハザードぶりを示してきたことか。こんなモラルハザードが続いては、お望みの石油さえ、アメリカのように力で取ってくる道しかやがては残されなくなるだろう。毎日新聞は、いやこの論説委員は、9条改定がお望みなのか。