本日、ネット虫さんが、ブッシュのイラク戦争をその根本から否定した米議会の決議採択ニュースを投稿してくださった。ネット虫さんはあわせて、こういう米国の動きを全く知らせない日本のマスコミに憤慨されている。米下院でこの11日に圧倒的多数で「ブッシュのイラク戦争関連の弾劾決議」が通っているなどとは、日本では確かにほとんど話題になっていない。マスコミの「共同作戦」なのだろうと言うしかないのである。酷い話だ。
ネット虫さんのこの投稿へのエールとして、日本マスコミへの現状告発もかねて、去年の当ブログ拙稿を再掲する。07年5月19日の同じ表題のものである。
日本という国は、他の先進国と比較しても、なんと為政者に甘い、酷い国になったものだろうか。これは主権者としての我々の責任なのだ。
【 ブレア英首相が退陣した。イラク戦争参戦を国民から非難されて。国民が十年の長期政権を許すほどに支持した人物なのだから、この参戦への批判がいかに大きかったかが分かろう。そう思って周囲を見れば、イラク派兵で躓いた「世界の顔」はじつに多い。イタリアのベルルスコーニ首相、スペインの首相、いずれもこの戦争への派兵が原因で内閣を潰した人々である。本家本元のアメリカはと見れば、国民に選ばれた正副大統領以外は、全滅である。ラムズフェルト国防長官、ボルトン国連大使とか、開戦理由の偽情報を流した責任者ということで詰め腹を切らされたケネットCIA長官もいる。国会議員選挙に大敗した共和党にとって次期大統領選挙は余程の奇策でもない限りもはや絶望的だとの報道も流れている。
さて、ひるがえって日本を見ると、まるでモラルハザードのような様相である。「自衛隊の行く所は戦闘地ではない」と言い切った小泉首相。また冬柴前公明党幹事長が「派兵に反対するということは、テロ行為を認めることになる」と得意そうに発言したときの顔も、はっきりと思い出すことができる。これは、以前千里眼さんが書いたコメントの言葉だ。これら全て嘘の理由で無理矢理でっち上げられた開戦に踊らされたものだとは、今や誰の目にも明らかであろう。しかも日本の参戦は英伊などよりも遙かに罪が重い。それを許さないはずの憲法九条の国で、国連決議もない有志派兵に屁理屈付けて強行突破を敢行したのだから。それでいて国民からは米英伊とはほど遠い批判しか出ず、自公政権は安泰であって、小泉などは院政を摂るかの勢いである。
なんという国かと思う。戦争に特別に鈍感な国。人道に鈍感な国とも言えるだろう。こうした国家のモラルハザードに目を付けるならば、民度がとりわけ低い国と告発しても良いはずである。
僕は毎日のテレビで、イラクで人が死ぬニュースを見るたびに、我が国のこのモラルハザードを胸に刻み込むことにしている。本当におかしいぞ!
ひるがえって、先進国には珍しい、戦争に対するこんなモラルハザードが白昼大手を振って通っていくならば、我が国の内政にもこれが現れていないはずはないと考えてみる。あるは、あるは。民度の低いこの国では、もはや為政者のやりたい放題。そんな姿が見えてくるようだ。為政者、国民の内政モラルの問題として最も大きい弱者への扱いを、先進国比較なども使って見てみよう。
以下は岩波新書、橘木俊詔著、「格差社会」からの資料である。なお、この著作は日本の貧困とその本質を理解する非常な良書であると思った。
年齢別完全失業者率は十五歳~二十四歳が最も高く、一割に近い。貯金ゼロ世帯や、生活保護以下の「絶対的貧困」世帯やが、急増している。
その国の平均所得の五割以下世帯率で表される「相対的貧困率」はOECD(経済協力開発機構)加盟二十九カ国資料によれば、ワースト五位であって、しかも、日本のこの数字はいまだダントツ急悪化の真っ最中である。この背景となる数字が以下である。
最低賃金関連数字が他先進国との国際比較で最悪である。各国購買力で換算した時間当たり最低賃金はスペイン、ポルトガルの次に悪く、最低賃金のフルタイム中位者への比率は最悪であって、加えて最低賃金以下の人々の率がこれまた最悪に近い。さらにこれにプラスして、低所得者への対策が最悪なのである。失業保険や職業訓練やなどの失業者対策予算のGDP比率がアメリカと並んでダントツに悪い。
また、教育公費のGDP比率もギリシャ並みなどと、最悪に近い。「貧富の世襲」による「階層移動の固定化」が批判されているが、教育予算はそれへの対策とも言えるものだ。それが先進国中最悪に近いということは、「結果の不平等」だけでなく、「機会の不平等」も著しい国だと言える。「機会の平等」という正しい「公平の思想」が世界で最も弱い国ということである。
なお、これら全体の背景、原因として次のことがある。日本の税の国民所得に対する負担率が先進国中最低なのである。つまり、富裕者から税を取って、貧者への社会保障を手厚くするという仕組み、そういう思想が最低の国と言えるわけだ。近頃自公与党が力説するセイフティーネットが、仕組み、思想とも最悪の国なのである。健康保険料滞納とか、二十代の若者の中で国民年金未納率が五割を超えるなどの動向は、こういう政府への消極的な不信の表明と見えなくもない。
「機会の不平等」がこれだけ大きくなっては、不況に立ち向かうための経済効率などもかけ声だけと示しているに等しく、対策を打たねば、これもやがてどんどん下がっていくのではないか。これが、この本の作者の結論のようだ。
やはり、モラルハザードの国という他はない。】
ネット虫さんのこの投稿へのエールとして、日本マスコミへの現状告発もかねて、去年の当ブログ拙稿を再掲する。07年5月19日の同じ表題のものである。
日本という国は、他の先進国と比較しても、なんと為政者に甘い、酷い国になったものだろうか。これは主権者としての我々の責任なのだ。
【 ブレア英首相が退陣した。イラク戦争参戦を国民から非難されて。国民が十年の長期政権を許すほどに支持した人物なのだから、この参戦への批判がいかに大きかったかが分かろう。そう思って周囲を見れば、イラク派兵で躓いた「世界の顔」はじつに多い。イタリアのベルルスコーニ首相、スペインの首相、いずれもこの戦争への派兵が原因で内閣を潰した人々である。本家本元のアメリカはと見れば、国民に選ばれた正副大統領以外は、全滅である。ラムズフェルト国防長官、ボルトン国連大使とか、開戦理由の偽情報を流した責任者ということで詰め腹を切らされたケネットCIA長官もいる。国会議員選挙に大敗した共和党にとって次期大統領選挙は余程の奇策でもない限りもはや絶望的だとの報道も流れている。
さて、ひるがえって日本を見ると、まるでモラルハザードのような様相である。「自衛隊の行く所は戦闘地ではない」と言い切った小泉首相。また冬柴前公明党幹事長が「派兵に反対するということは、テロ行為を認めることになる」と得意そうに発言したときの顔も、はっきりと思い出すことができる。これは、以前千里眼さんが書いたコメントの言葉だ。これら全て嘘の理由で無理矢理でっち上げられた開戦に踊らされたものだとは、今や誰の目にも明らかであろう。しかも日本の参戦は英伊などよりも遙かに罪が重い。それを許さないはずの憲法九条の国で、国連決議もない有志派兵に屁理屈付けて強行突破を敢行したのだから。それでいて国民からは米英伊とはほど遠い批判しか出ず、自公政権は安泰であって、小泉などは院政を摂るかの勢いである。
なんという国かと思う。戦争に特別に鈍感な国。人道に鈍感な国とも言えるだろう。こうした国家のモラルハザードに目を付けるならば、民度がとりわけ低い国と告発しても良いはずである。
僕は毎日のテレビで、イラクで人が死ぬニュースを見るたびに、我が国のこのモラルハザードを胸に刻み込むことにしている。本当におかしいぞ!
ひるがえって、先進国には珍しい、戦争に対するこんなモラルハザードが白昼大手を振って通っていくならば、我が国の内政にもこれが現れていないはずはないと考えてみる。あるは、あるは。民度の低いこの国では、もはや為政者のやりたい放題。そんな姿が見えてくるようだ。為政者、国民の内政モラルの問題として最も大きい弱者への扱いを、先進国比較なども使って見てみよう。
以下は岩波新書、橘木俊詔著、「格差社会」からの資料である。なお、この著作は日本の貧困とその本質を理解する非常な良書であると思った。
年齢別完全失業者率は十五歳~二十四歳が最も高く、一割に近い。貯金ゼロ世帯や、生活保護以下の「絶対的貧困」世帯やが、急増している。
その国の平均所得の五割以下世帯率で表される「相対的貧困率」はOECD(経済協力開発機構)加盟二十九カ国資料によれば、ワースト五位であって、しかも、日本のこの数字はいまだダントツ急悪化の真っ最中である。この背景となる数字が以下である。
最低賃金関連数字が他先進国との国際比較で最悪である。各国購買力で換算した時間当たり最低賃金はスペイン、ポルトガルの次に悪く、最低賃金のフルタイム中位者への比率は最悪であって、加えて最低賃金以下の人々の率がこれまた最悪に近い。さらにこれにプラスして、低所得者への対策が最悪なのである。失業保険や職業訓練やなどの失業者対策予算のGDP比率がアメリカと並んでダントツに悪い。
また、教育公費のGDP比率もギリシャ並みなどと、最悪に近い。「貧富の世襲」による「階層移動の固定化」が批判されているが、教育予算はそれへの対策とも言えるものだ。それが先進国中最悪に近いということは、「結果の不平等」だけでなく、「機会の不平等」も著しい国だと言える。「機会の平等」という正しい「公平の思想」が世界で最も弱い国ということである。
なお、これら全体の背景、原因として次のことがある。日本の税の国民所得に対する負担率が先進国中最低なのである。つまり、富裕者から税を取って、貧者への社会保障を手厚くするという仕組み、そういう思想が最低の国と言えるわけだ。近頃自公与党が力説するセイフティーネットが、仕組み、思想とも最悪の国なのである。健康保険料滞納とか、二十代の若者の中で国民年金未納率が五割を超えるなどの動向は、こういう政府への消極的な不信の表明と見えなくもない。
「機会の不平等」がこれだけ大きくなっては、不況に立ち向かうための経済効率などもかけ声だけと示しているに等しく、対策を打たねば、これもやがてどんどん下がっていくのではないか。これが、この本の作者の結論のようだ。
やはり、モラルハザードの国という他はない。】