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「シャルリ戯画」、名なし君のコメントに   文科系

2015年01月24日 18時01分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 いろいろ勉強する機会を与えてくれて有り難う。が、すごいコジツケに充ちた文章だね。君のような大げさなこじつけ批判と人を呪い殺してやろうとでもいうような言葉でなく、大袈裟すぎてぼんやりしていて曖昧な君の言い分をちゃんとした命題にして批判してあげよう。先ずどんな命題があるか。

①『いいとされるイスラム教徒だって、シャルリー攻撃を内心では当然だと思っている。それを、「私たちは違います」と言わせているのは君たちの言外の圧力なのだということに気づきもしない。現にイスラムのモスクが各地で襲われてるではないか』

「気づきもしない」という「君たち」が誰なのか。ここがいい加減な文章であるが、とにかくこういう命題が主張されているらしい。
「君たちの言外の圧力によって、(そういう君たちも含んだ多くの)君たちがモスクを各地で攻撃している(ようだ)から、良いとされるイスラム教徒も、シャルリー攻撃は当然との本心を言えないだけなのである」
 そもそも、ここに言う「君たちの言外の圧力なのだ」とは誰のことだ? 主語がはっきりしない命題など何の意味もないことぐらいは知っていように。これでは、第1に、あのテロに対してこう語った人が当然含まれる。「言論の自由も大事だが、異文化の尊重も重んじよう」と述べてシャルリ漫画を掲載した中日新聞。中日新聞はモスクなど襲っていないはずだけど。「君たちの言外の圧力」がモスクを襲わせているように述べているところを見ると、中日新聞も重大な共犯者とされるのである。
 さらに、僕のように一歩進んで「政教分離」と「言論の自由」とを結びつけて強調した者はもうモスク襲撃者と同罪という趣なのだ。

 
②『(第一次大戦中のサイクス・ピコ条約による英仏ロのオスマントルコ3分割を例に挙げた上で。文科系)ようするに君が尊ぶ西洋の論理はそのような血塗られた歴史によって作られてきたのだ。それ(西欧植民地主義の)を一顧だにせず、「私はシャルリー」に唱和する君は、日本の戦争は相手に仕掛けられたものだ、侵略などはなかったと強弁する歴史修正主義者とどう違うのか。またそうした歴史観によってヘイトスピーチをまき散らす「在特」の連中とどう違うのだ』

 ここには、こんな命題があるだろう。まず、第一次世界大戦中の西欧植民地主義が血塗られているから、西洋近代文明、論理を、全て血塗られているというように宣告する。そして、これがイスラム国を作ったに等しいようにほのめかす。
 こうして、だからというわけで、次にはこんな命題が加わっているのだろう。「私はシャルリー」に唱和する者は、サイクスやピコと同罪であり、血塗られた植民地主義者であり、歴史修正主義者であって、在特と一緒なのである。
 そして、こういうコジツケ論理、命題をさらにこう敷衍してみせる。
『西洋ボケの頭脳で、「私はシャルリー」と踊っていたのでは、自分たちの過去を棚上げして、武力で殲滅と怒号するオバマやオランド、そして安倍くんと全く一緒ではないか』

 
③最後がこれ。
『君の上の言説を自分でもう一度読み返して見給え。それは西洋によるイスラム攻撃と軌を一にしているのではないのか』

 何でこうなるのかさっぱり分からない。ここにいう「君の上の言説が」がこの命題の主語なのだが、僕のどの言説をさしているのか。つまりこれだけでは、全く意味のない文章なのである。この論者が批判相手の主語をぼかすやりかたは、連想ゲーム式なものであって、どんな批判も可能とするやり方なのである。


 さて、イスラム国とシャルリーとの悲劇を巡って、1916年の英仏ロにまで遡った西欧政治と思想を、さらには日本の歴史修正主義までを辿りながら、肝心のこれが欠けるのはどうしたことだ!
 イスラム国の温床、根源を論じるにしては、嘘の理由で国連の反対を押し切って強行され、関連死含めて50万人も死んだイラク戦争も、有志国参戦も入っていない。その後のアメリカによる数々のシリア国家崩壊工作も! いまだに続いている米国によるれっきとしたシリアという独立国に対する反乱軍育成、訓練にさえも。これだけ無数の地獄作り行為がなされれば、どんな国でも無数の鬼が生まれるであろう。イスラム国を語りながら、これらのその温床が全く語られないで、1916年だかの英仏ロにまで遡って原因を探しているのは一体どうしたことだ。そのアメリカに対しても、アメリカ共和党への批判は全くなく、オバマに対するほんのちっぽけな批判がたった一箇所である。イラク戦争については、僕はこう言いたいね。国家政治勢力としては、アメリカ共和党こそが起こしたと。ついこの前シリア参戦を喚いて、これを渋った大統領に「臆病者、オバマ!」と叫び続けたのはどこの誰だったのか。

 そもそも第一次世界大戦以降未来に向かって戦争違法化、植民地解放の流れを主導したのも西欧文明であるが、これも一顧だにされていない。西欧を血塗られた側面だけで見るこんなやり方をすれば、どんな善人も悪人にできるというもの。
 西欧思想の論理をたった一つでも使うともう西欧植民地主義者であるという粗雑な論理の方法論はこういうものである。相手への主語を不明確にして、「そんな相手」のたった一つの小さな命題から、大きな命題へとどんどん話を不当に押し拡げていく論理。まるで、風が吹けば桶屋が儲かるというような連想ゲーム。粗雑なやりかたという他はない。
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スティグリッツ国連報告・要約 5  文科系

2015年01月24日 11時03分51秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今回は、『第1章はじめに』の『第3節 発展途上国への影響』を要約、抜粋する。これが、第1章の最後となるものである。
 なお、次章以降をここで扱うか否かは、まだ決心が付きかねている。一応の水準のまとめをしなければこの大変な「国連(総会)が、世界に向けた労作」に失礼だし、そう思えば怖ろしいエネルギーが必要にもなるからだ。この前このブログを読んだ友人が「あなた、実にマメですね」と言って下さったが、それだけエネルギーがいるのである。まー途切れ途切れでも、また長くかかったにせよ、近いうちに始めるつもりだが。

 さて、この節の書き出しはこうだ。
『危機は4つの理由により、発展途上国から高い「料金」を取り立てがちである』
 この4つのうち、第1、2は短くて、それぞれこれだけの文章である、
『それらの国の国民は、この規模の危機を克服して行くには小さすぎる資金余力しか持っていない』。

『彼らの財政と社会保障システムが初期的段階にあることから自動安定化装置が欠け、苦しんでいる』

 第3からはそれぞれ長くなるから要約するが、先ず3は、途上国は、国際金融市場で借り入れる能力に限界があり、危機への抜本的対策が打てないこと。金利を引き上げても経済が安定化せず、やがて外国資本が引き揚げられてしまうということ。

 第4は、世界金融市場の統合が『常に存在する脅威』になってきたということ。ここまで4つの中で最も長く展開されている大事な箇所であるらしい。

『自分達の資本勘定を完全に国外に開いた国は、金融市場の自由化も約束していた。そして、国際資本市場からの民間ファイナンスを信頼した。この市場こそ最も厳しい影響を受けた恐れのある分野に含まれていた。多くの国が外国銀行を信頼するようになった。外国銀行の内のいくつかは監督がほとんどなされておらず、不適当なマクロ経済政策に従い、今やその資本がひどく損なわれているのに気付いているところである。(中略) 多くの途上国が自由貿易協定や二国間貿易条約や世界貿易機構(WTO)に加盟しているという事実によって困難が複合してくる。そのコミットメントは、上述した市場原理主義の政策を神格化し、金融機関・手段の規制権限や資本流入の管理権限、或いは金融市場の保護主義から自分達を守ることまで制限しているのである』

 次はこのことだ。IMFや持てる国は、途上国の景気刺激策への支援の立場をとるべき。こう述べた上で、ここの結びに当たる部分をほぼ全文抜粋したい。

『この報告の主要な焦点は、短期的施策と、途上国とその開発への情熱を支援する国際金融システムの長期的変革である。既に述べた通り、途上国は、危機のコストのもっとも大きな部分を負担している。にもかかわらずその負の影響に対処するために必要な資金余力を持っていない。途上国と新興国での危機をこれ以上深いものにしないためにも早急に施策が求められている。(中略) 遅れは、結果としてのコスト、すなわち問題解決に要するコストが高くなることを意味する。そして、景気後退の長さと深さがよりおおきなものとなり、多くの罪のない犠牲者が職を失い、小企業や大企業が倒産を強いられる。ますます多くの公的資金が危機にさらされる。我々の今回の失敗の結果は、向こう数十年は残るであろう』

 
「はじめに」の末尾は、この「報告」の全章の短い紹介に当てられている。以下、全文こんなふうに、

『報告はその分析と勧告を以下の4章で示していく。第二章は、危機の背景となって横たわっているマクロ問題と、問題の大枠について、そしてそれを克服して行くために必要となる施策について取りあげる。第三章では、特に金融システム不安定化の原因とは何かという問題と、あらゆる経済システムへのその影響について取り上げる。同時に、個別の金融機関のレベルで、またシステミックなレベルで、金融の安定性を確保するために取り上げるべき施策について検討する。第四章では報告は現存する国際金融機関が適正かどうか、どのようにそれらは変革されるべきかを評価し、更にはシステムをより安定的なものにし、発展途上国のニーズにより役に立つために作られる新しい機関について検討する。最後に第五章は国際金融革新について取り上げる。これらの施策は21世紀のグローバル化した世界のニーズに応える国際金融アーキテクチャーといわれる分野に導入される施策である』 
 

 ここまでお読み願えた方々、どうも有り難うございました。また、お疲れ様でした。上の最後にまとめたこういうスティグリッツ報告内容に興味がおありでしたら、是非読んでみて下さい。2011年発行「スティグリッツ国連報告」で、本屋さんが探してくれます。
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