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「中日春秋」から「イスラム国」を偲ぶ   文科系

2015年01月28日 12時18分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 本日の中日新聞「中日春秋」は9・11を扱っている。と言ってもこういう9・11だ。
『1973年9月11日に南米チリで軍事クーデターが起き、アジェンデ大統領が虐殺されたのだ。昨年逝去した経済学者の宇沢弘文さんはその日、シカゴでパーティーに出ていた。大統領虐殺の報に、市場原理主義を奉ずる経済学者たちは歓声を上げた。その姿に宇沢さんは憤然としたそうだ。クーデターの陰には米情報機関があり、反米の左派政権が倒れると、市場原理主義に基づき、国営企業は民営化され、金融機関は米金融機関に支配されるようになったという』
 そして宇沢弘文氏は後に、ある対談でこう指摘したとも、この記事は続けていく。
『「イラクでも全く同じことが繰り返されるこのパターンは、チリに始まってアルゼンチンなど世界の多くの国に輸出された」』

 さて、イスラム国が進行中の行為を巡って世間が姦しい。が、これを生み出したのがアメリカであると、イスラム国がアメリカの「鬼子」だと、どれだけの人々が話題にしているだろうか。宇沢弘文さんは1973年からアメリカの外交のやり方をみてきて、チリ軍事クーデター=イラク戦争と述べていたのである。そのイラク戦争も、マスコミ総動員で嘘の理由がでっち上げられて、それを支持した国民熱狂の内に、始まったものだった。

 このイラク戦争では関連死含めて50万人以上が死んで、国がめちゃくちゃになった。シリアではずっと内戦が続いているが、アメリカが反乱軍を組織、訓練して、戦場にどんどん送り込み、また大量の武器をも供与してきた。このことは、もはや米国政府も公言しているところである。このイラクやシリアへの行動は、国連の支持が得られず、有志国による戦争だそうである。
 さて、地球の裏側にまで出かけてきて、こういう行為に及ぶアメリカ。両国民はどれだけ恨んでいることだろう。こんな時には、生活・人生をめちゃくちゃにされた人々から、鬼子も生まれるというもの。このことは、イスラム教を抜きにしても、普通の政治感覚である程度分かることとは言えまいか。戦乱下の孤児たちが親を殺したものを恨み、生きていくために何でもする集団に育っていくようなものなのではないだろうか。イスラム国はこのそれぞれの両国北方にまたがっているのである。

 イスラム国を語るなら、アメリカの現代外交史を抜きにしてはならないと思う。アフガンのタリバンもその当初はアメリカの支援で大きくなった。そして親ソ連のアフガン政府が潰れ、やがてタリバン政府に入れ替わってから、そのタリバン政府がアメリカに牙をむくようになったのである。ビンラディンもこうして生まれたイスラム戦士の一人だったはずだ。アメリカが彼を育て、そして、殺したのである。

 チリ・アフガニスタン・イラク、そしてシリア。ここから、イスラム国へ。アメリカの落とし子、鬼子は世界には無数にいる。そして母であるアメリカに牙をむいていく。鬼子には「親に似ない子」という意味もあるが、「鬼のように荒々しい子」という意味もある。すべて20世紀末の四半世紀以降にアメリカが生み出した「親に似た鬼のような子」なのではないか。
コメント (3)
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