九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

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琉球新報の社説      らくせき

2015年02月02日 09時48分25秒 | Weblog

解放を祈る人々の思いは無視された。卑劣極まりない蛮行であり、激しい憤りを覚える。
 中東の過激派「イスラム国」を名乗る組織が、人質にした仙台市出身のジャーナリスト後藤健二さん(47)を殺害したとの映像声明をインターネット上で公開した。
 ネット上などでは「I AM KENJI(私は健二)」と後藤さんとの連帯を示し、解放を訴える運動がイスラム教徒を含む世界各国に広がっていた。世界中の人々の願いを踏みにじり、罪なき市民の命を奪う残虐非道なテロは絶対に正当化できない。

 邦人保護に全力を

 犯人側が最初の映像声明で日本人2人の殺害を予告し身代金2億ドル(約235億円)を支払うよう要求したのは1月20日。24日には千葉市の湯川遥菜さん(42)を殺害したとの画像を公表した。
 その後、犯人側は身代金要求を取り下げ、ヨルダンで収監中のイラク人女性死刑囚の釈放を求めるなど事態は二転三転。日本政府はヨルダン政府を通して後藤さんの解放を働き掛けたが、犯人側に翻弄(ほんろう)された感は否めず、最悪の展開を迎えたことは痛恨の極みだ。
 犯人側は後藤さん殺害の声明の中で、日本が「邪悪な有志国連合」と共に、イスラム国との「勝ち目のない戦い」に参加したとして、今後もあらゆる場所で日本人を殺すと脅迫した。日本政府は海外の日本人や日系企業の安全確保に全力を挙げる必要がある。
 同時に、大変残念なことだが、日本人の一人一人が今回の事態を重く受け止め、現実を直視せねばならないだろう。
 繰り返すが、イスラム国側の身勝手極まりない主張は、国際社会の理解を決して得られない。卑劣なテロや暴力はいかなる理由があれ許されることはなく、今後も国際社会と協調しイスラム国に対する圧力を強める必要がある。
 ただ一方で事件は、日本政府が今後イスラム国などの過激派組織にどう対峙(たいじ)していくかという重い課題を突き付けた。日本政府の中東外交戦略も問われよう。
 犯行グループは今回の事件について、中東歴訪中だった安倍晋三首相がエジプトでの演説で表明した「イスラム国と戦う周辺各国」への2億ドルの支援を理由に挙げた。首相の表明に関して、日本政府は「難民支援など非軍事分野の貢献だ」と理解を求めたが、その訴えは犯人側には通じなかったと言わざるを得ない。

 首相表明の検証必要

 イスラム国はイラクとシリアに至る地域を支配する。内戦が続くシリアでは欧米のほとんどが大使館を撤収し、日本も3年前に閉鎖した。情報収集も困難な中、政府は救出に当たったが、さまざまな観点から検証が必要だ。
 湯川さんが行方不明になったのは昨年8月、後藤さんは10月だ。政府はその事実をどう把握し、水面下の接触はあったのか。
 2人が拘束された中での首相の中東訪問と2億ドルの支援表明は、テロへの毅然(きぜん)とした姿勢を示した一方、犯人側を刺激した可能性は否めない。結果的に事件の口実に使われた。事件発覚後の首相会見がイスラエル国旗の隣で行われたことも影響したとの主張もある。
 気掛かりなのは「親日」とされた中東諸国の評価が急変しているとの指摘だ。「米国の世界戦略に寄り添い、米主導の戦争への協力やイスラエルとの関係強化を進める日本に対するまなざしが急速に冷ややかになりつつある」(栗田禎子千葉大教授)ことは深刻だ。
 安倍首相は「積極的平和主義」を掲げ、集団的自衛権の行使容認に踏みだした。それが中東からも米国追従と目され、過激派組織などに攻撃の理由を与えるようなことがあるとすれば放置できない。
 事件を糾弾し、イスラム国包囲を国際社会と協調して進めていく一方で、戦後70年の平和国家としての歩みを見詰め直し、中東諸国に粘り強く日本への理解を求めていく努力が今こそ必要だ。


安倍さんのような外交が日本の国益に資するのだろうか?という疑問は消えません。(ら)
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ワイツゼッカー独元大統領逝く 安倍首相は彼の言葉を何と聴く

2015年02月02日 09時29分58秒 | Weblog
過去に目を閉ざすな

元西ドイツ大統領で、ドイツ統一後の初代大統領だったリヒャルト・フォン・ワイツゼッカーさんが1月31日に亡くなりました。94歳でした。
ワイツゼッカーさんは大統領だった1985年の5月8日、この日は第二次世界大戦でドイツが崩壊した日ですが、大戦終結から40周年に当たるこの日、ドイツ連邦議会の演説で、「過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる」という演説を行なって世界中から共感を得ました。ドイツ人は第二次大戦中にナチス・ドイツが行なったユダヤ人の虐殺や近隣の国々の国土を侵略したことの責任を忘れてはならないと説いたのです。
当時私はこの演説を襟を正して聴き(読み)ました。演説の主要部分をもう一度見てみましょう。
「ドイツ人だから罪を着せられるわけではないが、先人は重い遺産を残した。私たち全員が過去に対する責任を負わされている。それは過去を乗り越えることではないし、過去は変えられない。過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる。非人間的な行いを記憶しない者は、また(非人間的な考えに)汚染されるおそれがある。和解は記憶なしではあり得ないことを理解すべきだ。」

「反省とお詫び」を言わない?安倍首相
安倍首相が8月15日に戦後70年に当たっての首相談話を発表する意向を示しています。50年には当時首相だった村山談話、60年には小泉談話が出され、「過去の植民地支配と侵略に痛切な反省と心からのお詫び」を表明しましたが、安倍首相は自分が出す談話では「反省とお詫び」という表現を使わないつもりのようです。それよりも「次なる80年、90年、100年に向けて、日本は積極的平和主義の下、アジアや世界の平和と安定のため、より一層の貢献を行なっていくことを表明する」と述べています(1月27日の衆議院本会議での共産党穀田恵ニ議員への答弁)。

過去と向き合うことが必要
「過去の反省とお詫び」は口にしたくないというのが安倍首相の心情のようです。安倍首相は戦後レジームからの脱却を政治スローガンにしています。戦後の日本の政治・社会制度は占領軍によって押し付けられたものだから、憲法も作り直さなければならないと主張しています。基本的人権の尊重、思想・信条、言論・表現の自由は、戦前の日本国民には権利として認められていませんでした。戦後日本国憲法が保障する国民の権利よりも、「統治」の政治を志向しているように見えます。
ワイツゼッカーさんが指摘されたように「過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる」のです。過去に日本が行なった植民地支配と侵略の事実にしっかりと目を向けてこそ、周辺諸国や世界の国々と平和で友好な関係が築けるのです。
安倍首相にワイツゼッカーさんの談話をもう一度深く読んでほしいと思います。

                                      大西五郎
コメント (3)
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