家計支出3年ぶり減 14年3.2% 増税の影響長引く(15.2.18 毎日新聞)
総務省が17日発表した2014年の総世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均25万1481円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比3・2%の減少となった。減少は東日本大震災の影響を受けた11年以来3年ぶりで、減少幅は06年(同3・5%減)以来8年ぶりの大きさ。昨年4月の消費増税後の反動減の影響が長引き、景気持ち直しのカギとなる個人消費は力強さを欠いたままだ。
全10項目のうち9項目が前年比で実質減少となった。冷蔵庫や洗濯機など高額な家電は増税前の駆け込み需要が大きかった分、反動減の影響も大きく、それを含む「家具・家事用品」は同2・5%減だった。国内パック旅行などを含む「教養娯楽」も同3・6%減、外食などを含む「食料」も同2・2%減で、消費者の財布のひもは固い。洋服など「被服及び履物」だけが同0.7%増とわずかに前年を上回った。四半期ごとでみると、総世帯の消費支出は14年4~6月期以降、3四半期連続で前年同期比マイナスが続いており、総務省は「今後の傾向をよく見る必要がある」と動向を注視している。
総世帯のうち、勤労者(サラリーマン)世帯の実収入の1カ月平均は46万8367円で、実質ベースで前年比3・2%減だった。諸費増税や円安に伴う物価の上昇に賃金が追いついておらず、消費意慾を喚起できていない状況だ。
内閣府が16日に発表した14年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で2・2%増と3四半期ぶりのプラス成長となった。しかし全体の約6割を占める個人消費は前期比0・3%と低い伸びにとどまった。日本経済がより力強い成長軌道に乗るには消費の更なる回復が不可欠で、企業の賃上げ動向などが焦点となりそうだ。
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総務省が行なう「家計調査」は、学生の単身世帯や長期不在世帯などを除く全国約5018万世帯のうち無作為に選んだ約9000世帯に6ヵ月間毎日、家計簿などの調査票に収入や支出の金額を詳細に記入してもらい、調査員が月2回各家庭を訪ねてこの調査票を回収し、約550項目に分類して集計したものです。各家庭の消費の実態を知る調査としては最も調査対象が多く、個人消費の動向をつかめるもので、国の経済政策の基礎資料になるものです。
安倍首相は先の施政方針演説(12日衆参両院)で「この2年間、全力で射込んできた『三本の矢』の経済政策は、確実に成果を上げています。中小・小規模事業者の倒産件数が低い水準になりました。有効求人倍率が1倍を超えています」と、アベノミクスが効果を挙げていると自賛しました。しかし、1月末に発表された経済指標によりますと、就業者の内訳は正規の従業員数が前年比15万人減、非正規従業員の56万人増が就業者増の実態です。物価も2014年平均の全国消費者物価指数は前年比2・6%の上昇です。その反面大企業の内部留保は増え続けています。アベノミクスの成果は庶民にはトリクル・ダウン(滴り落ち)していません。
大西 五郎
総務省が17日発表した2014年の総世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均25万1481円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比3・2%の減少となった。減少は東日本大震災の影響を受けた11年以来3年ぶりで、減少幅は06年(同3・5%減)以来8年ぶりの大きさ。昨年4月の消費増税後の反動減の影響が長引き、景気持ち直しのカギとなる個人消費は力強さを欠いたままだ。
全10項目のうち9項目が前年比で実質減少となった。冷蔵庫や洗濯機など高額な家電は増税前の駆け込み需要が大きかった分、反動減の影響も大きく、それを含む「家具・家事用品」は同2・5%減だった。国内パック旅行などを含む「教養娯楽」も同3・6%減、外食などを含む「食料」も同2・2%減で、消費者の財布のひもは固い。洋服など「被服及び履物」だけが同0.7%増とわずかに前年を上回った。四半期ごとでみると、総世帯の消費支出は14年4~6月期以降、3四半期連続で前年同期比マイナスが続いており、総務省は「今後の傾向をよく見る必要がある」と動向を注視している。
総世帯のうち、勤労者(サラリーマン)世帯の実収入の1カ月平均は46万8367円で、実質ベースで前年比3・2%減だった。諸費増税や円安に伴う物価の上昇に賃金が追いついておらず、消費意慾を喚起できていない状況だ。
内閣府が16日に発表した14年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で2・2%増と3四半期ぶりのプラス成長となった。しかし全体の約6割を占める個人消費は前期比0・3%と低い伸びにとどまった。日本経済がより力強い成長軌道に乗るには消費の更なる回復が不可欠で、企業の賃上げ動向などが焦点となりそうだ。
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総務省が行なう「家計調査」は、学生の単身世帯や長期不在世帯などを除く全国約5018万世帯のうち無作為に選んだ約9000世帯に6ヵ月間毎日、家計簿などの調査票に収入や支出の金額を詳細に記入してもらい、調査員が月2回各家庭を訪ねてこの調査票を回収し、約550項目に分類して集計したものです。各家庭の消費の実態を知る調査としては最も調査対象が多く、個人消費の動向をつかめるもので、国の経済政策の基礎資料になるものです。
安倍首相は先の施政方針演説(12日衆参両院)で「この2年間、全力で射込んできた『三本の矢』の経済政策は、確実に成果を上げています。中小・小規模事業者の倒産件数が低い水準になりました。有効求人倍率が1倍を超えています」と、アベノミクスが効果を挙げていると自賛しました。しかし、1月末に発表された経済指標によりますと、就業者の内訳は正規の従業員数が前年比15万人減、非正規従業員の56万人増が就業者増の実態です。物価も2014年平均の全国消費者物価指数は前年比2・6%の上昇です。その反面大企業の内部留保は増え続けています。アベノミクスの成果は庶民にはトリクル・ダウン(滴り落ち)していません。
大西 五郎