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古賀茂明の「I am not Abe」   文科系

2015年02月04日 12時21分28秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 日刊ゲンダイに2邦人人質殺人事件を巡って安倍首相がとってきた態度を分析した古賀茂明のインタビューが載っていた。一部を抜粋する。この拙稿直前のらくせきさん「朝鮮日報より」の内容を支持する内容にもなっており、その背後にある安倍の考え方から今後の行動までを元官僚らしく分析して、テレビマスコミを騒がせたものの再演であるらしい。以下は、古賀氏自身が題名を付けても、「I am not Abe」になるだろう。


『――なるほど。そうなると、安倍首相がエジプトでイスラム国に宣戦布告するような言い方で、2億ドルの支援表明をしたのも分かりますね。
 有志国連合として認めてもらうために空爆や武器供与をしたいけど、現行の憲法ではできない。できるのは人道支援くらいです。そこで、イスラム国を名指しして、そこと戦うためのお金であると聞こえる言い方をした。他にもテロ組織はたくさんあるのに、イスラム国にだけ言及したのは不自然ですし、本来、人道支援というのは武力紛争にはかかわらず、どちらにも加担せずに、政治的意図を排除して、人道主義の立場から行うもので、日本はいつもそれを強調していた。ところが、あの演説は人道支援というトーンを弱めて、軍事的政治的意図を込めた支援であるような言い方をした。この発言を米英は歓迎したようですが、身代金を取れずに焦れていたイスラム国にしてみれば、これで交渉の余地なしとなった。「宣戦布告された」となったのだと思います。

――安倍首相は動画が公開された後、盛んに人道支援だと強調していますけど?
 最初は人道支援ではなくイスラム国と戦うための支援であるかのように装い、これは失敗したと思ったら、急に人道支援を強調する。二枚舌外交です。五輪プレゼンテーションの汚染水発言もそうでしたが、世界の大舞台で大嘘をつく。それが安倍政権の特徴です。

――「人命第一」と繰り返していますが、これも怪しいもんですね。
 25日、NHKの日曜討論で安倍首相は「この(テロ殺害事件)ように海外で邦人が危害に遭った時、自衛隊が救出できるための法整備をしっかりする」と言いました。これは驚くべき発言で、イスラム国が聞いたらどう思うのか。人命第一と言いながら、その交渉の最中に「いまは戦争できないけど、法律を改正したら、おまえたちを叩くために自衛隊を出すぞ」と言ったわけです。普通の感覚であれば出てこない発言で、安倍首相は中東で米国と人質奪還の共同作戦をやりたいのでしょう。人命のかかった危機を「政治利用」しようとするとんでもない発言です。

――でも、そうなると、日本人は対テロ戦争に引きずり込まれる。世界中でテロの標的になってしまう。
 中東での日本のイメージとは「戦争をしない国」です。ポジティブな平和ブランドがあるんです。安倍さんはそれをぶっ壊そうとしている。少なくとも政治的にも軍事的にも、米国の正義=日本の正義というイメージで走ろうとしている。安倍さん自身の願望でしょう。でも、日本は米国とイコールではありませんよ。日本は世界に敵が少ないんです。一方、米国はシンパもいるが敵も多い。おそらく、米国ほど敵が多い国はないと思いますよ。途上国では中国よりも嫌われている。イスラム国がやっていることはめちゃくちゃですが、その根底には米国がイラクやアフガニスタンで無実の女性や子供、民間人を大量に殺戮した過去がある。その報復は国際法上は許されないが、メンタリティーとしては理解できる。だから、イスラム国は急拡大したのでしょう。そんな中、米国の正義=日本の正義で、米国の敵=日本の敵というイメージがつくられつつある。イスラム国のPR戦略の巧みさもありますが、安倍さん自身がそういう認識の政治家であるというのも真実だと思います。

――ちょっと待ってください。多くの日本人は米国の敵=日本の敵なんて思っちゃいませんよ。中東で戦争しようとも思っていない。
 だからこそ、「I am not Abe」というプラカードを掲げる必要があるのです。私たちは安倍さんとは違う、安倍さんは変なメッセージを送ったが、彼は日本国憲法を踏みにじるおかしな人だ、普通の日本人じゃない。我々は違うということを、世界に訴える必要がある。安倍さんのもとに結束しろという意見があるが、それは危険です。「I am not Abe」ということで、日本人の命を守るには、安倍さんの考え方を否定すべきだということを言いたかったのです。憲法の前文を見てください。日本はあらゆる国と仲良くし、それを通じて、世界平和に道を開くことを基本理念にしている。日本を攻撃しない人々を敵にするのは、憲法上、許されないのです。この理念は後藤さんの考えと共通しています。「I am Kenji」ですね。そうしたことを訴えるべきで、さもないと、世界中で日本人はテロの標的になってしまいます。』
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朝鮮日報より    らくせき

2015年02月04日 10時00分19秒 | Weblog
安倍政権の対応にも検証論

 安倍晋三首相の対応が適切だったかどうかに関する検証論も政界で持ち上がった。民主党の岡田克也代表は「こうした事態が再び起きないように、(安倍政権の)対応策には検証作業が必要だ」と述べた。岡田代表が問題視したのは、後藤さんら自国民2人がイスラム国に拉致されているのを安倍政権が昨年末の段階で知っていたにもかかわらず、まともに対応してこなかった点だ。

 人質がいるにもかかわらず中東を訪問し、公にテロとの戦争への参加を宣言したことがイスラム国を刺激したとの主張も聞かれる。民主党の枝野幸男幹事長は「テロに屈服すると見られてもいけないが、挑発する必要もなかった」と述べた。毎日新聞は社説で「後藤さんの家族には昨年から身代金要求があり、これを政府も承知していた。にもかかわらず安倍首相が中東を歴訪し、イスラム国と戦う国々に経済支援を表明した狙いは何だったのか」と問い掛けた。

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イスラム国出自に関わる「東洋経済」解説   文科系

2015年02月04日 00時26分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 標記のことについて、昨年10月に軍事ジャーナリスト田岡俊次という人が週刊東洋経済に書いた記事の一部を紹介する。今問題になっている凶器のようなイスラム国の、その出自が分かるような記事である。
 以下いつものように本文抜粋は『 』にするが、そこまでの書き出し「(前略)」の部分はこういうことが書いてある。

10年8月にイラクから米軍が撤退してすぐに「アラブの春」が起こった。エジプト、リビア、イエメン、チュニジアで政権が潰れたが、これらは後期にはもう親米政権と言えるようになっていた。シリアだけが違っていて米支援で反乱軍が蜂起して内戦になったが、政権は持ちこたえ、かえって強化されてしまった。

『(前略)この戦いの中、元シリア将兵主体の自由シリア軍はイスラエルを支持する米国の支援を受けていることが明白だったから、シリア国民の支持が低く、弱体化した。反政府派の主力は、戦闘経験も多いアルカイダに属する「ヌスラ戦線」と、あまりに悪辣な行動(人質を取り身代金を要求するなど)でアルカイダからも破門された「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」になった。

 このISISが「イスラム国」の前身だ。クルド人も独立を求め蜂起したが、シリア政府は自治を認めて懐柔し今ではクルド人は過激派と戦っている。米国とスンニ派のトルコ、サウジアラビア、カタールなどから反政府側には武器、車両、資金が送られたが、自由シリア軍に渡すべきものがISISなどの過激派武装集団に流れ、勢力を拡大させることになった。

 シリア情勢に注目してきた米上院共和党議員のランド・ポール氏は今年の6月、CNNとNBCテレビで「米政府はアサド政権打倒のため、ISISに武器を供与してきた」と述べた。英国のガーディアン紙も「CIA(米国中央情報局)がヨルダンの秘密基地でISISを訓練している」と報じたことがある。(中略)』


『昨年8月21日にはダマスカス郊外で反政府側地域に化学攻撃があり、「アサド政権が行った」と米情報機関は報告。一時は米国がシリア爆撃(今回とは逆で政府側を攻撃)をしそうになった。だが国連人権委員会の「シリア内戦に関する調査団」によれば、同年3~4月に少なくとも4回、化学兵器が使われ、調査官は「反政府勢力がサリンを使った可能性が高い」と述べていた。シリア政府は国連に化学兵器調査団派遣を求め、それが8月18日にダマスカスに到着し調査を開始しようとしたとき、同市郊外で政府軍が化学兵器を使うのは不自然だ。ISISなど反政府側テロ組織が米国に軍事介入をさせるためにやった、とも考えられる。

 国連調査団が9月16日に出した報告はどちらが使用したか特定しなかった。英国議会も8月29日、「シリア政府が化学兵器を使った証拠はない」として軍事行動案を否決した。

 戦争、特に内戦に謀略は付き物で、偽情報が飛び交う。それに引きずられない注意が必要だ。「イスラム国」勢力拡大の責任の一端は、内乱を鎮圧する側を一方的に「悪」と決め付け、イスラム過激派への外国からの義勇兵の参加や資金援助を助けた諸外国の報道、人権団体にもある。

 中東ではシリアの「アサド政権打倒」を目指した米国などが、今度はシリア軍と戦っているイスラム過激派を攻撃する一見複雑怪奇な状況となったが、そもそもアサド政権を敵視したことに無理があったから、こういう結果になったといえよう。

(軍事ジャーナリスト・田岡俊次)』

 最近アメリカで起こったことだが、ヘーゲル国防長官が罷免になったという事件があった。イスラム国(シリア)への大々的攻撃を主張・工作して、オバマ大統領の不興を買ったということだが、この件については去年11月26日にエントリーを書いたところだ。ただこの罷免の真相は、ほとんど分からない。シリアとイスラム国を巡るアメリカの行動はきわめて複雑怪奇であるが、この罷免事件はその一つの顕れであろう。これだけの無理な行動の歴史は、アメリカ政権最高首脳内部でさえ意見が割れてきたということなのでもあろう。

 ともあれ、イスラム国をここまでにした重大責任がアメリカにあるのは、確かだろう。アメリカにとってはなにしろ地球の裏側のこと。なぜここまで内乱工作をしたのかと、上の筆者と同様に僕も問いたい。
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