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南京大虐殺、箇条書きのまとめ   文科系

2015年10月15日 14時53分11秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 改めて、ユネスコ登録をめぐる南京大虐殺の日中当事者論争に関わって、まとめを書いておく。

①死者は日本4~20万、中国30万で、すっと論争が続いてきた。

②人数が確定できない多くの理由があった。
・当時中国の戸籍法が不備だった。
・日本側が、初めから、そしてその後8年の占領下において、資料をすべて隠蔽、もみ消した。
・以下②③が関わって来るので、資料隠蔽には極めて敏感になっていた。国内的戦意高揚のためにも、悪事を隠蔽するだけではなく、「美化する」のが、戦争の常道である。「大本営発表」とは、そういうものであった。これは、1940年代生まれまでの日本人なら、皆よーく知っていることである。
・中国の戸籍法不備を軍部は初めから良く認識していて「それゆえ、捕虜を殺しても問題にならない」と、兵士に事前教育まで行っていた。この事前教育資料を暴き出した歴史学者は、陸士第55期、中国大陸歴戦の中隊長・藤原彰元陸軍大尉である。(僕が「アジア・太平洋戦争」に関わってたびたび引用してきた吉田裕は、この藤原彰の弟子であると、最近知った。詳しくは、岩波新書「シリーズ日本近現代史」第10巻152~153頁参照)

③なお、南京大虐殺が起こった状況は以下の通りである。
・満州事変以降、これに引き続く上海事変も太平洋戦争も、いずれも違法戦争で、帝国政権はその確信犯であった。
・上海事変は3か月続いた「第一次世界大戦ベルダン要塞攻防戦以来の大激戦」(中国軍事顧問だったドイツ軍人の発言)で、中国側は19万人が死んだと言われている。この敗残兵が上海の揚子江上流・首都南京に潰走したのを日本兵が追撃して起こったのが、南京包囲戦、大虐殺である。
・南京は10数メートルの分厚い城壁都市。背後は揚子江。これを囲んだ日本軍。1937年12月12~13日にかけて城外への逃走を命令し、遂行しようとした「国民党城兵15万+上海からの敗走兵」を殺すのは容易なことであった。大量死者の写真も色々なところに、多く残っている。そもそも、中国を征服しようと決意して始めたこの戦争である。今後の大陸南下戦争のためにも南京城壁包囲の時点で城兵全滅を期していたのは間違いないところだ。可能な限り秘密裏に殺したのだろうが、以降7年間日本占領下が続いたならば、資料を消すことは容易だったろう。

④そもそも、満州事変・上海事変は完全な違法戦争。満州事変は、国際連盟が違法との決議(リットン調査団の資料による)を反対1で決定し、日本が国連を脱退した事件である。以降がすべて、違法の確信犯ということだ。こういう中でその後起こったことについて、南京の死者の数だけをあれこれと論い、今も行動している日本政府の気が知れない。常識的外交センスさえ世界から疑われかねない。
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「民主化革命」という侵略①  文科系

2015年10月15日 13時31分58秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 現在アメリカ・ウオッチャーとして次々と本を書いている堤未果。アメリカのニューヨーク市立大学で修士号を取得。アムネスティ・インタナショナルや、9・11の時には米国野村證券を経て、ジャーナリストになった人。その人が書いた『政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』(角川新書)から、「アラブの春」といわれたものの虚飾を暴いた部分を中心に4~5回ほどに分けて連載紹介したいと思います。

 第1回目は、標記の「やり方」の総論と、シリアの現下大混乱の源を辿った部分です。今のロシアの「イスラム国」?爆撃などに見られる攻勢は、まさに標記のことをよく知っているからという、同じ穴の狢。

1 『「民主化革命」という侵略』その原理
『アメリカによる〈民主主義〉を装った新しいタイプの侵略手法を研究する、オーストラリア出身の作家マイケル・パーカーは、レーガン政権下のアメリカで、国務省と諜報機関が多くの慈善団体やNGOに何億ドルもの予算を投じた事実を指摘する。
 1980年代以降、米国は非協力的な外国の政権を不安定化し転覆させるために、従来のような軍事力ではなく「人道主義・民主主義」というソフトパッケージに包まれた手法を採用しているという。
 まず、ターゲットになった政府や指導者を、CNNやBBC率いる国際メディアが「人権や民主主義を侵害している」として繰り返し非難する。そして、水面下で米国が支援し、時には訓練した市民団体がツイッターやフェイスブックを通じて人を集め、反政府運動を起こすのだ。
 彼らは暴力的な行動で政府を挑発し、国際メディアがそれを「独裁者に弾圧される市民」というわかりやすい図に当てはめてイメージを広げていく。無防備な市民を救うという理由でNATO軍の武力介入が正当化され、最終的にターゲットになった政権は「民主革命」という崇高な目的のために、内部から自然に崩壊したことにされるという仕組みだ』(104~5頁)


2シリア騒乱の場合
『「シリアの反政府運動を煽っているのは、アルジャジーラ、アル・アラビヤ、BBCアラブ、フランス24などの欧米メディアです。暴力を起こしているのは武装勢力と騒乱分子であり、一般の国民ではありません。リビアの時と同じパターンです」
 ロンドンのIT会社に勤務するシリア人、イサム・アリー・カトゥラミーズは、シリアで起きている反政府デモと、リビアの政権転覆の共通性を指摘する。(中略)
「いったい反政府軍とは誰なのか? どこまでが本当に民衆の反乱なのか?(中略) 西側メディアやアルジャジーラは、以前からシリア内の反政府勢力に対し、政府側が強権的な弾圧を行い数千人の死者が出ていると言って騒いでいますが、高性能の武器を使い武力行動をする武装グループに対し、通常の政府なら鎮圧を行います。〈平和的なデモを血祭りに上げる政府〉というフレーズを訳知り顔で言うジャーナリストは、まず現地を直接取材するべきでしょう。しかも、その武器を供給しているのは他国なのです」』
『2011年4月19日、ワシントンポスト紙にシリアの反政府デモに関するスクープが掲載された。米国務省が2006年以降、総額6000万ドル規模の資金援助をシリアの反政府グループに対して行っていたという、「ウィキリークス」から出た公電内容だ。』

 なお、反政府勢力デモ映像には、こんな工作もあるそうです。政府機関を装って、「職に就いていない母親には8000円あげるから、この時間この場所に来るように」とフェイスブックで流す。実際にはお金はもらえず、何が何だか分からないうちに解散ということなのですが、「平和な中年女性反政府デモ(または集会、の映像)」の出来上がりということなのでしょう。そんなデモ、集会写真をよく見ると、けっこう偽物もあるみたいだそうです。

(以上、123~128頁にかけて)

(続く)
コメント (3)
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