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「民主化革命」という侵略② リビアの場合  文科系

2015年10月18日 09時17分49秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 前回15日の①に引き続いて、堤未果著『政府は必ず嘘をつくーアメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』の内容紹介です。


1 「アラブの春」、孫崎享(うける)の解説

 アメリカウオッチャー堤未果のこの著作「政府は必ず嘘をつく」にも、元外務省国際情報局長・孫崎享の分析、談話が出てくるから面白い。彼による「アラブの春」の解説はこんなふうだ。

『元外務官僚で「日米同盟の正体」の著者でもある孫崎享氏は、〈アラブの春〉の背後にいたアメリカの存在についてこう語る。
「日本の報道を見ているだけでは決してわかりませんが、市民運動という形で他国の政権を転覆させる手法は、すでに米国の外交政策のひとつとして過去何度も使われています。今回は、それにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)という新技術が加わったから目立ったに過ぎません」
 今回〈アラブの春〉を成功に導いたと言われる、世界最大のSNSである「フェイスブック」は、アメリカの企業だ。孫崎氏はまた、アメリカが事前にアラブの若者を招き、フェイスブックやツイッターなどのSNSの技術指導をした事実にも言及する。
「ロシアの反プーチンデモも、米国が関与している可能性が高いでしょう」』(109ページ)

2 リビア、カダフィ殺害の場合

『2011年10月、リビアのカダフィ大佐が殺害されたニュースを聞いた時、何とも言えない違和感を覚えた。同年5月に報道された、米国特殊部隊によるウサマ・ビンラディン殺害と重なったからだ。両方ともハーグ国際刑事裁判所で裁かれる代わりに、拘束直後に殺害され、真相は闇に葬られている。
NATO軍は3月に「カダフィ大佐の反政府軍に対する容赦なき弾圧から人民を救うために、あらゆる措置を容認する」という国連安保理決議を受け、以来2万回以上の出撃と8000回近い爆撃を行った。これはどう考えても、不自然な決定だった。国際社会は強権的な政権であっても、自治国家に軍事介入することを許していない。中国やロシアやブラジルはNATOの「無差別攻撃」は安保理決議の枠を越えていると批判したが、爆撃はそのまま続けられた』

『大家族の食料費は固定相場、全てのローンは無利子でガソリンは格安。農業を始めたい国民には土地、家、家畜、種子まで全て国が無料で支給、薬剤師になりたい場合も必要経費は無料だ。42年前、カダフィが権力の座につく前に10%以下だった識字率は、今は90%を越えている。これらの政策を可能にしていたのは、アフリカ最大の埋蔵量を誇る石油資源だった』

『リビアは144トンもの金を保有していました。カダフィはその金を原資に、ドルやユーロに対抗するアフリカとアラブの統一通貨・ディナの発行を計画していたのです。そこにIMFや世界銀行の介入から自由になる〈アフリカ通貨基金〉と〈アフリカ中央銀行〉の創設も含まれていました。
 統一通貨であるディナが実現すれば、アラブとアフリカは統合される。だが、石油取引の決済がドルからディナに代われば、基軸通貨であるドルやユーロの大暴落は避けられないだろう。これについて、フランスのサルコジ大統領もまた、リビアを「人類の金融安全保障への脅威」と叫び、危機感をあらわにしていた』

(以上の2は109~122ページから抜粋)

(続く)
コメント (4)
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