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ハリルジャパン(66) 改めて、レスターの強さって?  文科系

2016年05月01日 17時00分01秒 | スポーツ

 世界サッカー史にもめったにないような歴史的「奇跡」なので、ファンにとってはもう病みつき。連日失礼をば許して頂いて、またこの記事。他の方が「それらしい記事」を書いて下されば嬉しいのだが。

 2部以下にいたことの方が遙かに多い貧乏チームが久しぶりに1部に這い上がってきて、2年目。サッカー発祥の地イングランド・サッカー史に残る歴史的「奇跡」を演じた。1年目は最後の9戦をほとんど負けずぎりぎり1部残留に引っかかったのに、2年目の今年はあと1勝で今日にも自力優勝というのである。世界の熱心なサッカーファンをみんな評論家にするような出来事になった。

 さて、どんな目前の課題の分析にも常に2側面が必要。まず、自分が観戦から見抜いた勝利要因が第1側面であり最後の結論にもなっていくのは言うまでもない。が、年間結果から見た正しい分析観点の設定、確立もまた、分析の焦点を正しく絞っていくために重要な側面だろう。観戦から見抜くといっても、個別のことを上げれば無数の感覚的事実が存在するからである。これを分析という迷路のスタート地点とすれば、ゲーム結果数値などから分析観点を正しく設定するやり方は「迷路のゴールからスタートを探っていくやり方」と言える。
 単に「レスターが強かったそれは何故か?」というよりも「レスターの年間結果、動向などを見ればここで、このように強かった。それは何故か?」の方が遙かに合理的な正しい問題設定になるはずである。こうして僕は、まず後者から入る。

①前年度末に7勝1敗1引き分け。これを受け継いだままの戦い方をして、今年その調子を維持、前進させてきた。今年前半17ゲームから、後半17ゲームにかけては、さらにこう変わった。失点が24から9へと下がり、得点などは実に37から22に減った。得点が6割以下に減っても同等勝率を保ったのは、失点が4割以下に減ったことによる。その結果がこれだ。相変わらず1点差勝ちと同点ゲームが多く、最も負けないチームであり続けた。
②①に関わって、関係者自身は、こんなことを語っている。「去年のやり方をほとんど尊重したが、守備だけは手を入れた」。後半になると、強豪以外の相手はレスターに対しては守備的になったのに、なお失点がこれだけ減った事に関わってくる発言だから、強調しておきたい。普通レスターのようなチームが相手に引かれると、失点を食いやすいということを念頭に置けば極めて重要な観点になるはずである。
③こうして、「失点の少なさに関わって、他チームにはないようなこのチームの特長がどんどん強まっていったこと」が第1の分析点になる。失点を少なくしようとすると得点も減るというのがサッカーなのだが、レスターの場合は失点の方がはるかに大幅に減ったのだった。次いで、高い得点力の特長としては、「ここで1点」に非常に強い「負けないチーム」が第2の分析点になる。この2点に関わってこのチームの強さをみていこう。

①失点の少なさについて
 DFが引いて守ることが多いこのチームで、標記のことについて誰が観ても分かる大きい特長はまず、最前線2人からの激しい、絶えざるプレスである。岡崎もさりながら、リーグ得点ランク首位が多かったバーディーまでがあれだけプレスのダッシュをくり返すというのは異例である。次いで、リーグナンバーワンのインターセプト数とタックル成功率とを誇るボランチのエンゴロ・カンテが上げられる。前二人からのプレスに中盤が連動して敵パスコースなどをふさぎ、無尽蔵の走力を誇るカンテの所で敵ボールを刈り取り、あるいはボールが身方DFらへ流れるようにさせる。カンテと並んで重要な役割を果たしているのが岡崎であり、その走力、激しいプレスによる敵パスコースの限定などは大評判になってきた。400メートルを60秒以上というスピードで走るようなダッシュを、交代の60分までで80本以上もやった記録も残っているが、こういう守備範囲の広大さが正に驚異的である。なお、レスターのボール奪取の立役者、カンテと岡崎は、本年度新加入選手である。半年かかってチームに馴染み合い、それでチーム失点が激減したという分析も成り立つはずだ。
②「ここで1点」に強いチーム。
 速さのバーディーと、柔らかいドリブルが天才的なマレズという、リーグトップクラスの得点力は誰にも分かること。これに関わってチームの特長を挙げてみる。
・シュートチャンスはけっして多いとは言えないが、ゴール確率がプレミア1と高いチームである。二人の能力もあるが、早く、速くという前へのスピードで時間を作って、余裕を持ってシュートしている点が大きい。それに関わってくるのは、
・この2人に岡崎とドリンクウオーターを加えた4人の中長距離パスが早いタイミングで比較的正確に出されている。ただ、前への早さと速さを極限まで追求するから、強豪チームに較べれば正確さが随分犠牲にされている。全体としてのパス成功率、シュート数は優勝チームにしては大変悪い。
・岡崎の「敵DF剝がし」によって、バーディーとマレズがどれだけ助かっていることか。ゴール前にどんどん走り込んで、1~2人の敵DFを必ず引き離してくれるのである。
③①と②との関係性
 現代サッカーは良い守備から良い攻撃が生まれるという。後半になって失点が前半の4割に減ってきたなどという日々は、シュートまでの過程についてプレーは急いでも心には随分余裕が生まれるというもの。後半戦は「1点取れば勝てる」という王者の余裕が示されていた。「ここで1点」が、カウンターの為のボール奪取、そのパッサー、シューターすべて良く意気があって速くかつ正確に有効機能し合っていた。その証拠がカウンター得点に関わる、この事。インターセプトが、特に敵陣内でのインターセプトが、リーグナンバー1のチームであった。 


 以上は、初めから語ってきたこと全体をもう一度、論理も交えてやや詳しくくり返しただけのことだ。ただもちろん、「奇跡」の説明は難しいはずで、僕のこの程度の分析ではまだ不十分な説明に過ぎないだろう。それはある意味当然のことだ。シーズンが終わったら、奇跡は奇跡らしく、イングランド全体で素人も玄人も皆が評論家になることだろう。

コメント (5)
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