不振で廃刊 英の新・全国紙 女性ら取り込み狙いわずか2カ月で挫折(16.5.9 毎日新聞)
【ロンドン=小嶋麻友美】英国で2月末に創刊された全国紙ニュー・デーが、販売不振のため6日に廃刊となった。デジタル化が進む中、紙の新聞だけを発行する異例の挑戦はわずか2カ月ほどで頓挫。ネット社会での新聞の苦境を再認識させる結果になった。
ニュー・デーは少ないページ数と低価格を武器に、女性を中心に新聞離れした層の取り込みを狙った。
多忙な生活リズムにあわせて一般ニュースを簡素化し、独自の明るい話題を提供。政治的中立を貫き、読者との双方向性を重視するなどの斬新さをアピールしていた。
発行元は「多くの高い評価を受けたが、発行部数は予想を下回った」と説明。英メディアによると、目標20万部に対し、3万~4万部と低迷した。
3月末で発行をやめて電子版だけになった「インディペンデント」のアモル・ラジャン編集長は、ニュー・デーの取組について「ユニークだが、魅力的ではなかった」と指摘。有名コラムニスト、ジョン・ガッパー氏は、新たな無料紙が成功していることを挙げ「たとえ市場が下向きでも、実験的に新聞を発行するという考え自体は評価したい」とした。
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イギリス全体の新聞発行部数は2012年の1,073万7千部から13年には985万2千部に、14年には982万部と減り続けています。新聞の経営が不振なのは一部の国を除いて万国共通で、国全体の発行部数が2012年から14年にかけてアメリカは4343万3千→4071万2千→4042万部に、フランスも684万1千→653万→632万4千などとなっています。日本も4777万8千→4699万9千→4536万3千となっています。(例外的にインドは1億9695万→2億2433万→2億6429万)
日本の新聞普及率(発行部数÷世帯数)は、東京都が0.75、大阪府0.83、愛知県0.85で、新聞を購読していない家庭もかなりあります。一方世帯当り1部以上は富山県(1.07部)群馬県(1.06部)、奈良県(1.05部)、富山県、山形県(1.03部)などとなっています。
新聞への接触度は全体平均(朝刊で)26.1分ですが、年代別に差があります。15~19歳が平均10.4分で最も少なく、20代12.7分、30代16.7分、40代19.6分と年齢が高くなると新聞を読む時間が長くなり、70代が最も長くて40.8分です。
新聞の経営にとっての強敵はインターネットなど新しいメディアで、新聞に投下される広告費が2012年→2014年は6242億円→6170億円→6057億円と年々減っているのに、インターネット広告は8680億円(前年比107.7%)→9381億円(108.1%)→10519億円(112.1%)です。
最近は新聞もデジタル化して、簡単な記事は(紙の)新聞に載せますが、詳しい解説などは別料金を払ったデジタル会員がインターネットを通じて読めるようにしたり(朝日新聞など)、契約した会員に速報をインターネット上で表示する(中日プラス)などの読者獲得と収入を増やす手法を駆使しています。(データは日本新聞協会発行の「日本新聞年鑑2016年版」によりました。)
大西 五郎