川崎の強さの元がゲーゲンプレスそのものだと観ていたが、それを解説してくれる中村憲剛のインタビューを読むことが出来た。「Jリーグ サッカーキング」2月号、J1、2、3各リーグ優勝チーム特集号である。なお、サッカーキングという雑誌はとても内容がよいと思ってきたところから、最近の僕はもっぱらこれを愛読している。ちなみに、サッカー雑誌も良貨が悪貨を駆逐して欲しいと愚考してきた。この国のサッカーファンの質に関わる問題だと思うから。
初めに、ゲーゲンプレスの定義をしておく。この得点戦術の元祖ドルトムント時代のユルゲン・クロップ監督の解説はこういうものだ。
①相手陣地に押し込んだ時、相手が自ボールを奪って攻めに出た瞬間こそ、そのボールを奪えればゲーム中最大の得点チャンスができる。これが、この得点戦術そのものの着眼点である。
②そこから、敵陣に攻め入った時にあらかじめ①を意識しつつ攻めることになる。例えば、身方後方になるべくフリーな相手を作らないようにしつつ攻める。奪われた時にボールの受け手になる人間を作らないようあらかじめ意識して準備をしておくということだ。DFラインを押し上げて縦に陣地を詰め、そこに身方を密集させる「コンパクト」が、このための布陣にもなる。
③その上で、ボールを奪われた瞬間に敵ボールに近い数人が猛然とプレスに行き、他はパスの出先を塞いで、パスが出せないようにする。この「攻から守への切替」をいかに速くしてボールを奪うかが、ゲーゲンプレスの要になる。言い換えれば、そうできる準備を、敵に攻め入った時いかに周到にしておくか、そういう組織的訓練がゲーゲンプレスの練習になる。
さて、憲剛の優勝総括を聞いてみよう。
『例えば、鬼木体制になってからの変化として、守備の楽しさを覚えたと話している。・・・・ボールを失った瞬間に、素早く切り替えてボールを取りに行くこと。そして球際の局面で力強さを出すことである。・・・それこそが鬼木監督が掲げているサッカースタイルなのだ。・・・もちろん、守備に楽しさややりがいを見出したと言っても、それが目的というわけではない。守備が目的ではなく、目的はあくまでもゴールである。「攻撃のための守備」というのが鬼木体制における合言葉だ。・・・「相手がボールを取った瞬間に、取り返しに行く。息をつかせない。今は、それがチームの戦術にもなっているし、周りの身方も早く反応してくれる」・・・そんな守備のスイッチ役としてプレッシャーを掛ける仕事には、時に嬉しい見返りもある。相手のボールを狩りに行き、そのままゴールに(この場合は、堅剛自身のゴールに)繋がる形がそれだ。・・・』
川崎は風間時代にはどうしても優勝できなかった。それが鬼木時代になったとたんに、2連覇。この繋ぎ上手チームの優勝への画竜点睛こそ、以上のゲーゲンプレスの取り入れ、『「攻撃のための守備」というのが鬼木体制における合言葉』であると分かるのである。
一時のACLなど、アジア相手にも当たりが弱かった日本クラブが、これを急激に強め始めた時代が、ちょうどゲーゲンプレスの日本取り入れ時代と重なるのである。最初の森保広島、次いで鹿島、今の川崎・・・。ただ、川崎の時代はまだしばらくは続いていくはずだ。憲剛の後にも怪物・家長がいるし、小林のフォアプレスも止むことはないだろうし。
初めに、ゲーゲンプレスの定義をしておく。この得点戦術の元祖ドルトムント時代のユルゲン・クロップ監督の解説はこういうものだ。
①相手陣地に押し込んだ時、相手が自ボールを奪って攻めに出た瞬間こそ、そのボールを奪えればゲーム中最大の得点チャンスができる。これが、この得点戦術そのものの着眼点である。
②そこから、敵陣に攻め入った時にあらかじめ①を意識しつつ攻めることになる。例えば、身方後方になるべくフリーな相手を作らないようにしつつ攻める。奪われた時にボールの受け手になる人間を作らないようあらかじめ意識して準備をしておくということだ。DFラインを押し上げて縦に陣地を詰め、そこに身方を密集させる「コンパクト」が、このための布陣にもなる。
③その上で、ボールを奪われた瞬間に敵ボールに近い数人が猛然とプレスに行き、他はパスの出先を塞いで、パスが出せないようにする。この「攻から守への切替」をいかに速くしてボールを奪うかが、ゲーゲンプレスの要になる。言い換えれば、そうできる準備を、敵に攻め入った時いかに周到にしておくか、そういう組織的訓練がゲーゲンプレスの練習になる。
さて、憲剛の優勝総括を聞いてみよう。
『例えば、鬼木体制になってからの変化として、守備の楽しさを覚えたと話している。・・・・ボールを失った瞬間に、素早く切り替えてボールを取りに行くこと。そして球際の局面で力強さを出すことである。・・・それこそが鬼木監督が掲げているサッカースタイルなのだ。・・・もちろん、守備に楽しさややりがいを見出したと言っても、それが目的というわけではない。守備が目的ではなく、目的はあくまでもゴールである。「攻撃のための守備」というのが鬼木体制における合言葉だ。・・・「相手がボールを取った瞬間に、取り返しに行く。息をつかせない。今は、それがチームの戦術にもなっているし、周りの身方も早く反応してくれる」・・・そんな守備のスイッチ役としてプレッシャーを掛ける仕事には、時に嬉しい見返りもある。相手のボールを狩りに行き、そのままゴールに(この場合は、堅剛自身のゴールに)繋がる形がそれだ。・・・』
川崎は風間時代にはどうしても優勝できなかった。それが鬼木時代になったとたんに、2連覇。この繋ぎ上手チームの優勝への画竜点睛こそ、以上のゲーゲンプレスの取り入れ、『「攻撃のための守備」というのが鬼木体制における合言葉』であると分かるのである。
一時のACLなど、アジア相手にも当たりが弱かった日本クラブが、これを急激に強め始めた時代が、ちょうどゲーゲンプレスの日本取り入れ時代と重なるのである。最初の森保広島、次いで鹿島、今の川崎・・・。ただ、川崎の時代はまだしばらくは続いていくはずだ。憲剛の後にも怪物・家長がいるし、小林のフォアプレスも止むことはないだろうし。