ここまでは、アメリカの衰退を、物作り・税収の減衰、自治体・家計の大赤字、そして、日本の輸出でさえも対米から対アジアへと雪崩を打って移ってきたことを示してきた。
そして先回は、今後の米中衝突の有り様を考える過去の参考例として、アメリカをも買い漁った全盛期日本にアメリカがどう対処したかを、元外務省国際情報局長・孫崎享の著作から見てきた。彼は、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で日本がアメリカに先行すること」とが、アメリカの日本を縛り続けてきた2本の”虎の尾”であったと語っている。
さて、以上を背景として、アメリカ現在の世界戦略を考えてみよう。
・「中国製造2025」は今のアメリカにとってとてつもない仇になっていく。過去の全盛期日本への対応にも執念のようなものがうかがわれたが、それよりも遙かに大きな敵として何とか潰したいと目論んでいるのは明らかだ。つまり、中国をその周辺から疲弊させるような何かを今後も必ず起こす。
・併せて、ドルの世界基軸体制と結びついた原油独占価格体制死守がまた、アメリカの至上命令である。特に、アメリカに多いシェールガスの原油価格と折り合う程度の高価格に保つことが当面の重大事になって来る。この点で問題になるのが、ロシア・イラン問題とロシア・ベネズエラ問題だろう。ベネズエラの石油埋蔵量は世界1位、イランは4位の国である。
イランの盟友シリアでの長い戦争にも示されて来たように、この3国も今や、このことをはっきりと意識して動いている。この3月にイランがベネズエラに艦隊航行を計画と発表されたし、ベネズエラはオルチラ島という所にロシアの戦略空軍基地建設を進めている。この二つの計画は、アメリカが準備万端整えた上で大々的な問題にしていくはずだ。
・従来から2本の外交柱を突きつけてきた日本にかかわって、アメリカの今後はどうなるか。対中国戦略に日本を軍事的に巻き込んで行くために米軍基地はますます重要になるだろうし、アメリカの頭越しに日本が対中接近を進めることは、さらに厳しく見張られることになる。物の経済接近は許されても、金融の接近は許されず、政治的特に軍事的な両国の離間が今後も周到に図られていくだろう。
・ただし、これら従来政策の遂行を妨げることになる最大問題は、むしろアメリカ国内にあると考える。物づくりも、税収も、国家財政や家計も金融に収奪されたこの国で、従来政策がどこまで貫けるかという問題である。ちなみに、トランプ当選も、民主党の「社会主義者」サンダース躍進も、既成支配層への根深い不審がもたらしたもの。これは今や、アメリカ政治世界の常識に属する見解になっている。
そう、21世紀に入ってからのアメリカは、サブプライムバブルなどいろんな無理を重ねすぎて、もう余力も残ってはいないのではないか。例えば、GAFAと称されるIT関連4社の株式時価総額がドイツのGDPを抜いたなどは、どう考えても大変なバブルだろう。特に、アフガン戦争、イラク戦争が引き起こした難民問題などを通じて、国連で他国から信頼されるという意味の余力こそもう皆無に近くなっているはずだ。こんなことも、アメリカ国内の心ある人々が見ていないわけはないと考える。
1991年 湾岸戦争
1992年 バルカン・東欧紛争
1995年 ボスニア紛争
2001年 アフガン戦争
2003年 イラク戦争
2011年 リビア空爆
2014年 ウクライナ危機、シリア戦争
ちなみにアフガン戦争は、すでに18年続き、米国史最長の対外戦争となった。それも、アメリカにとって地球の裏側の「防衛戦争」なのだそうだ。たしか、ビン・ラディンらを匿ったとかで始められた戦争と聞いたが、この彼も2011年というとっくの昔にパキスタンで暗殺されている。
(終わりです。ここまで読んで下さった300名ほどの方々、有り難うございました。)
そして先回は、今後の米中衝突の有り様を考える過去の参考例として、アメリカをも買い漁った全盛期日本にアメリカがどう対処したかを、元外務省国際情報局長・孫崎享の著作から見てきた。彼は、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で日本がアメリカに先行すること」とが、アメリカの日本を縛り続けてきた2本の”虎の尾”であったと語っている。
さて、以上を背景として、アメリカ現在の世界戦略を考えてみよう。
・「中国製造2025」は今のアメリカにとってとてつもない仇になっていく。過去の全盛期日本への対応にも執念のようなものがうかがわれたが、それよりも遙かに大きな敵として何とか潰したいと目論んでいるのは明らかだ。つまり、中国をその周辺から疲弊させるような何かを今後も必ず起こす。
・併せて、ドルの世界基軸体制と結びついた原油独占価格体制死守がまた、アメリカの至上命令である。特に、アメリカに多いシェールガスの原油価格と折り合う程度の高価格に保つことが当面の重大事になって来る。この点で問題になるのが、ロシア・イラン問題とロシア・ベネズエラ問題だろう。ベネズエラの石油埋蔵量は世界1位、イランは4位の国である。
イランの盟友シリアでの長い戦争にも示されて来たように、この3国も今や、このことをはっきりと意識して動いている。この3月にイランがベネズエラに艦隊航行を計画と発表されたし、ベネズエラはオルチラ島という所にロシアの戦略空軍基地建設を進めている。この二つの計画は、アメリカが準備万端整えた上で大々的な問題にしていくはずだ。
・従来から2本の外交柱を突きつけてきた日本にかかわって、アメリカの今後はどうなるか。対中国戦略に日本を軍事的に巻き込んで行くために米軍基地はますます重要になるだろうし、アメリカの頭越しに日本が対中接近を進めることは、さらに厳しく見張られることになる。物の経済接近は許されても、金融の接近は許されず、政治的特に軍事的な両国の離間が今後も周到に図られていくだろう。
・ただし、これら従来政策の遂行を妨げることになる最大問題は、むしろアメリカ国内にあると考える。物づくりも、税収も、国家財政や家計も金融に収奪されたこの国で、従来政策がどこまで貫けるかという問題である。ちなみに、トランプ当選も、民主党の「社会主義者」サンダース躍進も、既成支配層への根深い不審がもたらしたもの。これは今や、アメリカ政治世界の常識に属する見解になっている。
そう、21世紀に入ってからのアメリカは、サブプライムバブルなどいろんな無理を重ねすぎて、もう余力も残ってはいないのではないか。例えば、GAFAと称されるIT関連4社の株式時価総額がドイツのGDPを抜いたなどは、どう考えても大変なバブルだろう。特に、アフガン戦争、イラク戦争が引き起こした難民問題などを通じて、国連で他国から信頼されるという意味の余力こそもう皆無に近くなっているはずだ。こんなことも、アメリカ国内の心ある人々が見ていないわけはないと考える。
1991年 湾岸戦争
1992年 バルカン・東欧紛争
1995年 ボスニア紛争
2001年 アフガン戦争
2003年 イラク戦争
2011年 リビア空爆
2014年 ウクライナ危機、シリア戦争
ちなみにアフガン戦争は、すでに18年続き、米国史最長の対外戦争となった。それも、アメリカにとって地球の裏側の「防衛戦争」なのだそうだ。たしか、ビン・ラディンらを匿ったとかで始められた戦争と聞いたが、この彼も2011年というとっくの昔にパキスタンで暗殺されている。
(終わりです。ここまで読んで下さった300名ほどの方々、有り難うございました。)