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ベネズエラとアメリカ(3)   文科系

2019年01月28日 11時08分57秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ベネズエラ問題が、アメリカ・ポンペオ国務長官の出席によって、昨日の国連安保理に上げられた。ポンペオは、自らベネズエラ大統領であると名乗り上げた国会議長を大統領と認めよと演説、提案したのである。中ロなどが「内政問題であり、国連は介入できないはずだ」と応酬した。
 さて、アメリカのこのベネズエラ転覆計画を僕ここで以前から追いかけてきたが、旧稿の3回連載記事を再掲させていただく。

 
【 ベネズエラの「政権転覆策動」  文科系 2017年05月15日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)

 南米のチリ・アジュンデ政権がアメリカCIAの画策によって倒されたというのは、世界史上周知の話。ここでも、記録映画「チリの闘い」を昨年10月21日に紹介した。ところで、現在チリの二の舞になりそうな情勢が続いているのが、同じ南米のベネズエラである。反米国連総会演説などで有名だったチャベス大統領が13年に亡くなってから、執拗な政権転覆が図られてきたようだ。
 日本では南米の事件はなかなか話題にならないが、アメリカ大陸外交で最大の問題だと思う。ちなみに、この国は石油埋蔵量世界一。2位のサウジアラビアと並んで、ダントツなのである。同じく4、5位に並ぶイラン、イラクの歴史を見ても、ベネズエラで何かが起こらない訳はないと、凄く不安になっている。


 チャベスが死んだ翌14年には、こんなことが起こった。
 ベネズエラ政府が野党関係者に対して人権侵害を犯しているとして、ベネズエラ政府関係者23名につきアメリカへの入国が拒否されたほか、アメリカに保有する資産や口座が凍結された。これに対し、マドゥロ大統領が、「在ベネズエラアメリカ大使館 の不正な活動内容の証拠を握っており、アメリカ政府による内政干渉を受け入れない 」と強く批判した上で、 アメリカ政府との外交関係を見直し始めた。15年3月2日、ベネズエラ側からこう持ち出された。
「アメリカのベネズエラ大使館で勤務する職員と同数にしたい。両国は対等な立場でなければならない」として、同国駐在アメリカ大使に対し15日以内にアメリカ大使館職員を100人から17人に削減するよう求めた。これに対し、アメリカ国務省は、声明を出し、反発した。また、ベネズエラのマドゥロ大統領は2月28日、同国を訪れる全てのアメリカ国民にビザ取得を義務付けると発表し、アメリカ外交団削減も要求した。
 ベネズエラ側の理由を、大統領はこう説明している。
「在ベネズエラアメリカ大使館 の不正な活動内容の証拠を握っており、アメリカ政府による内政干渉を受け入れない 」
 なお、この両国対立の焦点には激しくなるばかりの反政府デモが関わってきたが、これもチリと同じ。


 16年にはさらに、こんな深刻な事態になっている。

『(World | 2016年 05月 16日)
 ベネズエラ大統領が非常事態宣言、「米国などが政権転覆計画」
[カラカス 13日 ロイター] - ベネズエラのマドゥロ大統領は13日、国内の一部勢力と米国が仕組んだ政権転覆計画があるとの理由から、60日間の非常事態を宣言した。
マドゥロ氏は非常事態宣言の詳しい内容を示さなかったが、昨年コロンビアとの国境近くの州で実施したケースでは、これらの地域で人権保障関連部分を除く憲法の適用を停止した。

これに先立ち、米国の情報機関当局者は記者団に対して、ベネズエラが経済的・政治的に崩壊する可能性への懸念を高めていると語った。

ベネズエラでは食料および医薬品不足や停電の頻発、物価高騰など経済危機が深刻化し、野党がマドゥロ氏の罷免を目指している。しかしマドゥロ氏は任期を全うする構えで、米国が水面下でのクーデターを扇動していると批判している。
マドゥロ氏は13日の国営テレビで、ブラジル上院でルセフ大統領の弾劾法廷設置が承認された動きを引き合いにして「米政府はベネズエラの右派の要請に基づいて具体的な手段を発動しつつある」と力説した。』



 物不足と超インフレ、野党が組織する市街戦のような政権転覆デモ、アメリカによる政権批判、ベネズエラ政府からの「政権転覆計画暴露」などなどは、チリ転覆前と全く同じこと。ベネズエラの近い将来に、チリが辿った運命を重ねざるを得ないのである。次いで、今年起こったのが、ベネズエラ副大統領の「麻薬絡み事件」と、それによるアメリカからの「制裁」だった。この問題は現在、非同盟諸国会議などに持ち出されて国際問題になっている。

(続く)】
コメント (3)
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