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「安くなった日本」という話   文科系

2019年11月10日 14時11分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカの政治週刊誌「ニューズウイーク」日本語版を読み始めて4ヶ月になる。何が面白いって、『アメリカの対外(介入)戦略』がとてもよく分かるところ。
 ここの政治記事自身は玉石混淆で、しかも単なる石というよりも他国への邪な介入を意図しているという意味でもっと悪い記事も多いのだが、そんな邪さ丸出しという意味では正確だと思われる記事が多く入っていて面白い。今日はその最新号の『「安い国」になった日本の現実』という記事を紹介してみよう。この記事は、流石アメリカの外国向け政治誌と言うだけあって、アメリカの日本に対する意図丸出しなのである。その点がとても面白い。
 まずとにかく、記事の概略から。

 『米中貿易戦争の影響で中国経済は失速しているが、』中国人観光客が、訪問客全体の3割弱という現状をどんどん超えていく勢いで、日本に殺到している。理由は、日本での買い物が安いからだ。かつては世界有数の高物価だった日本が、他国に比べてここ20年ほど一人当たりGDPが全く上がらなかったからである。他国の一人当たりGDPや購買力が1・6倍から2倍になった間に日本の物価が横ばいというところから、中国人らに「何もかもが安い」と驚かれる国になった。

 が、以上は、物価を決めるのに日本国内要因が大きい製品やサービスについてのことである。グローバルに価格が決まる物品は、デフレだからと言って一向に安くなるものではない。例えば、自動車やスマホなどはどんどん高くなっている。

 こうして記事の結び。
『日本が「安い」国であることは、日本の消費者にとっては頭の痛い話でしかない』。


 そう言えば、普通車の新車はどんどん売れなくなって、街には軽自動車があふれ、中古車が当たり前になっている? そして、確かに外車も高くなっていて、ポルシェなどのステイタスシンボル性がどんどん上がっているのではないか。時流である官製バブルで儲けた若者などが乗っているのだろうか、街で見かける機会がすごく多くなった。


 それにしてもと、冒頭書き出しに疑問が湧く。訪日外国人がどんどん増えていると言いたかったのは分かるが、それをなぜ「中国人」だけに触れるという形で書き出したのだろう。まるで中国が日本を買っていると強調するように。文章全体の冒頭に、こんな記述を入れてまで。
『米中貿易戦争の影響で中国経済は失速しているが・・・』
 これでは、「失速中国が日本を買い漁っている」ということになって、安倍政権形無しではないか。


 こうは言っても、その中国は年6%の成長率のはず。「2%目標」がいつまでたっても実現出来ず、とうとうこの目標を下ろしてしまったやの安倍政権としては、一帯一路の政治的イノベーション(経済学者、森嶋通夫の造語)、有効需要創出も含めて垂涎の的はずだし、アメリカにとっても同じくうらやましい限りではないのか。日米ともに悔しかったら、金融ではなく画期的新商品開発も含めた物貿易で、これぐらいの成長率を稼ぎ出してみせることだ。でないと、国に職場などは一向に増えず、格差が広がり、内需が減っていく悪循環ばかりの社会が続いていくだけだ。
コメント (3)
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掌編小説 「血筋が途絶える社会」   文科系

2019年11月10日 11時24分55秒 | 文芸作品
 照明が効き過ぎというほどに明るく、客も賑やかなワインとイタリアンのその店でこの言葉を聞いた時は、本当に驚いた。
「我が国の合計特殊出生率は一・一七なんですよ」
 思わず聞き返した。「一体いつの話なの?」
「確か二年前の数字だったかと……」。

 このお相手は、長年付き合ってきた友人、韓国の方である。最初に訪れた時の東部などは、僕が馴染んだ里山そのままと感じたし、食べ物は美味いしなど、すっかり好きになったこの国。何せ僕は、ニンニクや海産物は好きだし、キムチは世界に誇れる食べ物と食べるたびに吹聴してきたような人間だ。そしてこのお相手は、三度目の韓国旅行が定年直後で、連れ合いの英語教師出張に付いてソウルのアパートに三か月ばかり滞在した時に意気投合しあって以来、何回か行き来してきた仲のお方である。知り合った当時は二十代前半で独身だった彼は、十数年経った最近やっと結婚したばかり。子どもはという話の中から出てきた言葉である。ちなみに、合計特殊出生率というのは、女性一人が一生で出産する子どもの平均数とされている。既婚未婚を問わず一定年齢間の女性全てを分母としたその子どもの平均数という定義なのだろう。

「一・一七って、子どもがいない女性が無数ってこと? 結婚もできないとか? なぜそんなに酷いの?」
「そうなんですよ。我が国では大論議になってます。日本以上に家族を大事にする国ですし。原因は、就職難と給料の安さでしょうか? 急上昇した親世代が僕らに与えてくれた生活水準を男の給料だけで支えられる人はもう滅多にいなくなりましたから」
「うーん、それにしても……」
 僕があれこれ考え巡らしているのでしばらく間を置いてからやがて、彼が訊ねる。
「だけど、日本だって結構酷いでしょ? 一時は一・二六になったとか? 今世界でも平均二・四四と言いますから、昔の家族と比べたら世界的に子どもが減っていて、中でも日韓は大して変わりない。改めて僕らのように周りをよーく見て下さいよ。『孫がいない家ばかり』のはずです」
 日本の数字まで知っているのは日頃の彼の周囲でこの話題がいかに多いかを示しているようで、恥ずかしくなった。〈すぐに調べてみなくては……〉と思った直後の一瞬で、あることに気付いた。連れ合いと僕との兄弟姉妹の比較、その子どもつまり甥姪の子ども数比較をしてみて、びっくりしたのである。
 この後で正確な数字を調べたところでは、こんな結果が出てきた。

 連れ合いの兄弟は女三人男二人で、僕の方は男三人女一人。この双方の子ども数、つまり僕らから見て甥姪、我が子も含めた総数は、連れ合い側七人、僕の方十人。このうち既婚者は、前者では我々の子二人だけ、後者は十人全員と、大きな差がある。孫の数はさらに大差が付いて、連れ合い側では我々夫婦の孫二人、僕の側はやっと数えられた数が一八人。ちなみに、連れあいが育った家庭は、この年代では普通の子だくさんなのに、長女である彼女が思春期に入った頃に離婚した母子家庭なのである。「格差社会の貧富の世襲」などとよく語られるが、こんな身近にこんな例があったのである。

 それからしばらくこの関係の数字を色々気に留めていて、新聞で見付けた文章が、これ。
「とくに注目されるのは、低所得で雇用も不安定ながら、社会を底辺で支える若年非大卒男性、同じく低所得ながら高い出生力で社会の存続を支える若年非大卒女性である。勝ち組の壮年大卒層からきちんと所得税を徴収し、彼ら・彼女らをサポートすべきだという提言には説得力がある。属性によって人生が決まる社会は、好ましい社会ではないからである」。
 中日新聞五月二〇日朝刊、読書欄の書評文で、評者は橋本健二・早稲田大学教授。光文社新書の「日本の分断 切り離される非大卒若者たち」を評した文の一部である。

 それにしても、この逞しい「若年非大卒女性」の子どもさんらが、我が連れ合いの兄弟姉妹のようになっていかないという保証が今の日本のどこに存在するというのか。僕が結婚前の連れ合いと六年付き合った頃を、思い出していた。彼女のお母さんは、昼も夜も髪振り乱して働いていた。そうやって一馬力で育てた五人の子から生まれた孫はともかく、曾孫はたった二人! その孫たちももう全員四〇代を過ぎている。「母子家庭が最貧困家庭である」とか、「貧富の世襲は学歴の世襲。それが日本の常識になった」とかもよく語られてきた。今の日本社会においては、どんどん増えている貧しい家はこれまたどんどん子孫が少なくなって、家系さえ途絶えていく方向なのではないか。

 こんな豊かな現代世界がこんな原始的な現象を呈している。それも、先進世界共通の格差という人為的社会的な原因が生み出したもの。地球を我が物顔に支配してきた人類だが、そのなかに絶滅危惧種も生まれつつあると、そんなことさえ言えるのではないか。
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随筆紹介 「納 豆」   文科系

2019年11月10日 03時34分27秒 | 文芸作品
  納 豆  K.Kさんの作品です

 納豆は朝食に欠かせない。子どものころ、父の転勤で茨城県水戸市に近い所に、五年くらい暮らしていたからかもしれない。毎朝「ナットー、ナット、ナット、」と掛け声をかけながら、納豆売りが自転車で来た。身近な食べ物だったから毎日が当たり前だった。
 夫は独特の香りや色、粘りが苦手らしい。子供達は私が美味しそうに食べるのを見ているせいか、当然のように食べる。マグロ納豆、納豆巻きは評判が良い。勿論冷蔵庫に常備してある。

 納豆はいつ頃からあるのか? 歴史を調べてみた。弥生時代説、起源は古く大豆などの豆類の栽培が始まった。江戸時代には納豆の商品化が始まり、朝食の定番になった。早朝に売り歩く商人もいたと言われている。発祥の地は秋田県、茨城県水戸、熊本県が有名で秋田県横手市には石碑がある。
 諸説あるが源義家が、秋田県と茨城県水戸では有力。煮豆を藁で包んでおいたら、発酵して糸を引くようになった。試しに食べてみたら美味しかった。将軍に納めた豆で「納豆」とつけられたとか。熊本県は加藤清正説、煮豆を行軍中に持ち歩き、発酵していい香りがして糸を引いていた。それが食べられるようになったらしい。

 効能の一つがナットウキナーゼ。これは納豆菌が大豆を発酵させる時に作り出す「タンパク質分解酵素」の事。人体では血栓を分解出来る。心筋梗塞、脳梗塞を予防する。血栓ができやすい時間が深夜から早朝に多いので、夕食後が効果的になる。
 納豆は大豆を発酵させた食品。ビタミンKは他の発酵食品の数十倍、ビタミンB二は大豆の二倍、食物繊維はゴボウの二倍ある。腸内環境を整える納豆菌は胃酸で死なないので、乳酸菌よりも強く簡単に腸に届けられる。
 ねばねば効果は胃粘膜を保護して胃炎を防ぐ。鼻や喉を守って風邪の原因の、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ。まだある、カルシウムを骨に結合させるビタミンK二もたくさん含んでいるから骨を丈夫にする
 だが食べ過ぎると下痢になる。プリン体もあるので痛風の人は注意。一日に一パックで良い。手軽に食べられるのが魅力。馴染みがないからと一生食べないのは勿体ない。私はたれは醤油で、甘いたれが苦手だった。だが今では、卵醤油、昆布だし、青しそなど、たれの種類を楽しむようになった。

 京都曼珠院には「菌塚」の石碑がある。菌は醤油、味噌など、暮らしになくてはならないもの。感謝して美味しく頂いている。
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