九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆紹介 「温泉ガール」   文科系

2019年11月11日 00時11分36秒 | 文芸作品
 温泉ガール  H・Sさんの作品です


 温泉で年配の女性「温泉ガール」から「何歳ですか」と、年齢を聞かれる事が多い。
「八十二歳です」と答えると、「お若いですね。七十歳に見えますよ」と、温泉ガールが返してくれるが、これは明らかにお世辞だ。私は歳相応だと熟知しているので笑ってやり過ごす。

 今日も温泉の脱衣所で温泉ガールから年齢を聞かれた。いつもの様に答えると、齢よりずっと若く見えますと、定番の言葉が返って来た。私に声掛けしてきた温泉ガールと向き合い、私と同じぐらいの年齢の人だろうと受け止めたが、多少のお世辞も上乗せして、
「貴女は私よりずっとお若いでしょう・・・私にはそう見えます」と、言葉を返した。
「九十六歳です・・・長生きでしょう・・・」と、温泉ガールは胸を張り若々しい声で答えた。〈どうだー。すごいだろうー〉と言う思いを秘めた健康自慢が盛り込まれた言葉だったが、嫌な気持ちはしなかった。
 脱衣所のお喋りなので、温泉ガールも私もスッポンポンだ。スッポンポンはお互い様でと言わんばかり。遠慮のない視線を浴びせっこしている自分たちの行為に、九十六歳も私も笑いがこみ上げて会話が弾んだ。

 入浴を終えた八十六歳、八十四歳、八十三歳の温泉ガール達が、九十六歳と私のお喋りを聞きつけて、スーッと近づき九十六歳を取り囲んだ。
「九十六歳・・・。私とは一回りも年上なの・・・。すごい・・」と八十四歳。
「私とは十歳違いのお姉さま・・・お達者でなにより」と、八十六歳が祝福。
「ひえー、四捨五入すれば百歳だよ。生き方上手だ・・」、八十三歳がほめ言葉を連発。 いずれもロッカーに移動せず、服を着ること忘れ、スッポンポンのままで、温泉ガール達は自分の身体と比較しながら、九十六歳の体型に暫し見惚れていた。
〈背が高く背筋がピーンと張り、大股で歩き、受け答えもしっかり。ユーモアたっぷりだ。親からもらった骨格と達者な臓器を上手に使いこなし、病気になっても恢復できる生活習慣を身に着け、難儀なことにも対処して九十六年生きてこられた〉そういう事だ。それにしても、お年寄りと一括りには出来ない、綺麗で素速い活動をする出来のいい身体だ。これは自慢できると納得。温泉ガールたちも同じ思いで九十六歳に脱帽の様子だ。失礼を承知で格付けした。相撲なら、横綱九十六歳。大関八十六歳。小結八十四歳と八十三歳。幕下八十二歳。この幕下八十二歳が私と言うことだ。

 待合室でお迎えの車を待っている九十六歳の温泉ガールに出会った。
「今日は妹のような皆さまとほんとに楽しかったです。長生きは素敵なことですが、朋輩は天国に行っちゃって誰もいません。これがちょっとね・・・」と、寂しげに愚痴た。
「またお会いできるといいですね。お先に失礼します」と、会釈、出口へと向かった。 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「核兵器を検討せよ」と、元外交官   文科系

2019年11月11日 00時10分17秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ニューズウイーク最新号の政治記事を、昨日に続いてもう一つ紹介しよう。その題名が日本マスコミには全く出てこない観測だから、安倍親衛隊は驚くだろうが、こういうもの。
『安倍政権「最終章」の必達事項は』

 記事の書き出しに示された次のような内容がまた、親衛隊にしてみれば、いかにも内政干渉めいて、腹が立つだろう。
『歴代最長の在任期間が見えてきた安倍政権も、任期はいよいよ残り2年を切った。ここにきて、レームダックとまでいかずとも、そこはかとない浮遊感が漂う。
 側近らの処遇や積み残し人材の大臣登用が目立つ「打ち上げコンパ内閣」とでも言うべき政権だけに、それも当然だ。』


 こう書き始めた内容が、以下二転三転するのがまた、この記事の特徴。

 上のように貶し上げた後にまず、安倍をこう持ち上げてみせ、数々の「功績」を上げていくのだ。
『もったいない。レガシーがない政権だと言われるが、そんなことはない』

 そのうえで最後の「やるべきこと」をけしかけてみせるというそんな第二転は、
『しかし打ち上げムードにはまだ早い。やるべきことは山積みだ。まず、最初から安倍首相の脳裏にあったであろう戦後の総決算、つまりアメリカへの過度の依存を解消すること。安保面では、護衛艦いずもの空母化、最新鋭のF35戦闘機の導入・・・・日本は抑止力としての核保有を検討せねばなるまい』

 これではこのアメリカの政治週刊誌記事の結びも、その方向は知れているというものだろう。と言う具合に、第三転がこう続いて、記事の結びになっている。
『安倍首相は7年もの安定と活発な外交を実現してくれた。背景にはアメリカが利上げの時期であったために長期の円安が可能だった幸運もある。今後それは逆転し、人材不足も相まってポスト安倍政権は不安定化するだろう』

 さてさてこの記事の筆者が誰かと見るならば、案の定、例の「日本人らしき元外交官」にして「本誌コラムニスト」と肩書きが着いた河東哲夫。この人の論文はここで他にも紹介してきたが、常に単なる印象記のようなもの。内容、特に論理構造が何もない、支離滅裂である。そのくせ、論理展開が必要な思い切ったことを書き捨てにしてこられたお方だ。書く立場、内容がはっきり決められたお人の、主観的印象を断言として並べただけの文章と言える。より広い人への説得力という観点を初めから放棄した文章である。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする