九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

U22が大変弱くなった、その理由  文科系

2019年11月18日 14時06分53秒 | スポーツ
 昨日サッカーU22代表のコロンビア戦を観て、呆れてしまった。腹が立って、晩酌ワインも回っていたこともあり、途中でちょっと居眠りしたというほどに。同じU22で戦ったトゥーロン国際大会の強豪日本はどこへ行ってしまったのか。あのときはイングランド(世界4位)、メキシコ(11位)を破って、決勝戦相手のブラジル(3位)とは1対1同点で、PK.戦負け。それが今回は、外国籍選手を中心にメンバーをがらりと変えて「強化」したはずが、世界10位のコロンビアに0対2!
 久保や堂安まで入れてあんなゲームって、サッカーはやはり個人能力よりも組織が大事と、痛切に感じたところだ。昨日の敗戦はつまり、監督の責任だ。
 このコロンビア戦はなんせ、トゥーロンのブラジル戦と正反対、日本お得意の組織で負けていたのである。昨日のコロンビア戦では、以下に改めて示すブラジル戦(報告)で観られたような中盤の潰しがまるでスカスカ。たまに上手くボールを奪えても繋ぎがないと、日本の良さゼロなのである。これは全く監督の責任! 森保はブラジル戦ビデオをちゃんと見せたのだろうか? それは、下の旧拙稿に示すようなゲームだった。

 このコロンビア戦も、あの国内中心のトゥーロン・メンバーで戦った方が明らかに良かったはずだ。ヨーロッパの生半可なチームよりもJリーグの方がよほど日本人に合った戦い方をしているということだろう。中盤をコンパクトにしてDFラインも思い切って押し上げ、その代わり前がちゃんと敵ボールホルダーを抑えるという勇気の要る布陣のことだ。これが現在最高の世界水準の強い戦い方であって、日本では川崎、横浜を筆頭に、広島、鹿島もできるのである。こういう戦い方に対して、昨日のコロンビア戦代表は、まるでブラジルW杯大会の日本代表のような前と後ろがちぐはぐの悪循環。そういう戦い方に見えたのは、僕だけではないはずだ。南米勢相手に個人対個人で日本が戦ったら、そんな戦いは完敗するということである。



『サッカー五輪代表が有望

「流石ブラジルですねー」、こんな解説やアナウンサーの声ばかりが聞こえてくる。確かに、表面上だけなら誰が観ても、ブラジル優勢に違いない。個人プレーばかりに目がいっているのだろうが、そんな声が気になって、音を消してテレビを観ることにした。
「ド素人の目か! サッカーが個人技だけやるものならばともかく、双方の組織も観て、語らないでどうする!」と毒つきながら。
 ちなみに、僕はこのゲームの最初数分で、こんなことを感じていた。
 ブラジルが受ける時のDFラインが非常に低くて、なのに前・中盤は高目に構えているから、間が空いているのである。「これで、どうやってボールを前に運ぶの?」。案の定サイド選手への長目のパスかドリブルでボールを運ぶことになり、日本の、DFラインを押し上げて密集した中盤のコンパクトプレスに手こずって、スムースに前へ運べない。そのかわり、攻め入った時のブラジルは明らかに今最先端の「高位コンパクトプレスでボール奪取得点」を狙っている。攻撃ばかりを気にして、攻められた時の守備が軽くて薄い、これがブラジルの欠点と見えた。事実、小川航基の一得点は、相手DFのクリアミスから生まれている。
「攻守ともに個人技が上手すぎて、組織としては相手を馬鹿にしてきたチーム」
 このゲームは、この六月にあったフランスはプロバンス地方の歴史あるトゥーロン国際大会の決勝戦。五輪世代の二三歳以下国代表選手たちで戦われるものであり、日本代表は初の決勝進出。圧倒的な点差で勝ち上がってきたブラジルが相手なのだ。他方、この大会に限れば、日本だって負けてはいない。予選リーグ戦では過去ここで三連覇のイングランドや、さらに南米の強豪チリをこともあろうに六対一で負かし、準決勝では、ここで最近優勝経験もあるメキシコを、同点・PK戦で退けている。
 さて、このブラジル戦だが、日本は本当によくやった。ブラジル相手に一対一のPK戦。それも双方四人成功まで行って、最後の五人目の後蹴りの日本、旗手選手が失敗。敗退。
 もう一度言う。「攻守ともに個人技が上手すぎて、組織としては相手を馬鹿にしてきたチーム」。そう言って良いある数字結果が厳然と残っている。枠内シュートが意外にも日本2に対してブラジル3にすぎず、これだけ個人技に差があってもよいシュートまで持って行けてなかったことは明らかなのである。逆を言えば、個人技では負けていても、組織では日本が勝っていた。

 振り返れば、準決勝のメキシコ戦もそんな戦いだった。終始メキシコが押していた。初めから攻守ともに猛烈な攻勢をかけていたこともあって。つまり、猛然と走り続けているのを日本が組織で受けているという感じ。得点も常にメキシコが先行。先ず前半五分に得点。これには、同二七分に相馬の中距離シュートで追いつく。だが、後半四〇分にまたもメキシコが先行。それを直後の四三分、磐田の小川航基の得点で追いつく。
 このメキシコ戦の日本は何が良かったのか。両軍ともにDFラインを押し上げてコンパクト陣形で闘う戦いになったが、日本の方が高位コンパクト陣形をきちんと保って相手よりより抑えめで戦っていたと観る。ゲーム後に二得点目を上げた小川が述べた戦評によれば、「あれでは相手が疲れて来ると思ったので、終盤などに得点チャンスが必ず来るはずだと・・・」ということなのだ。

 来年の五輪は有望と観る。ほぼ国内組で戦った今回だが、自チームでレギュラーと言える好選手が多かった。小川航基(磐田)、田中碧(川崎)、相馬勇紀(名古屋)らのことだ。他にもA代表の五輪世代に、久保、堂安、富安もいる。現在A代表が招待されて戦っている南米選手権の、チリ戦の惨敗とウルグアイ戦の健闘とを比較しても、DFラインを上げる勇気次第で日本の成績が決まってくると予告したい。純粋な個人技では、ブラジルはもちろんメキシコにも劣るのである。が、高位コンパクト組織で戦えば、そういう彼我の組織を観抜いて戦う選手らの視野の広さも加わって、初めて互角に戦えるとも。組織を観つつ戦うという視野の広さは、日頃組織的に戦っていなければ身につかないという意味で、純粋な個人技とは扱えないものだ。
(以下略) 』
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世界サッカーの焦点、ユルゲン・クロップ(番外編②)ストーミング??  文科系

2019年11月17日 05時31分07秒 | スポーツ
 馬鹿馬鹿しいことに、ストーミングという言葉は日本人の造語らしく、日本で「それらしく」使われ始めただけの語のようだ。確かに、英語の本国イギリス人がこんな形容詞をリバプール相手にいくら連発するからと言って、ある戦術の定義とも言える呼び名にこんな語を使おうとするわけはないのである。
 「月刊フットボリスタ12月号」の中に、こんな説明がついていたので、あきれてしまった。
『前回の特集号(約1年前発行のものらしい)において、筆者は「ストーミング」という単語を「ボールを手放すことを厭わず、それを再度回収することを前提とした戦術的思考」と定義した』
 何のことはない。一人の日本人が、ゲーゲンプレスをこういう言葉に言い直しただけの、「定義」と述べている。大山鳴動ネズミ一匹。全く訳の分からぬ形容詞を持ち出して、ゲーゲンプレスの定義をこの言葉に持ち込んだだけ?

 ストーミングなんてやめて、本家のクロップがそう言っているのだからゲーゲンプレスでよい。これが最も的確な定義である。その理由は以下の通り。
①敵ゴールに攻め入るとき、ボールを奪われてカウンターを食った瞬間にボールを奪い返せるような組織的準備をしつつ攻めていき、事実奪い返すやり方。これがゲーゲンプレス。クロップはこう語っているのだ。
『身方が攻めていてボールを奪われ、敵が攻めのため前掛かりになった瞬間こそ、もしそのボールを身方が奪えるならゲーム中最大の得点チャンスが生まれる。敵が防御陣としては最も乱れているときだからである。』


②次いで、このゲーゲンプレス・ボール奪取から攻撃に入れば、ゲーゲンプレスで前に出た勢いのままにゴールに向かって最短手数で襲いかかるのである。もちろんこの①②は不可分のモノだ。

③ポゼションサッカーとちがってボールを奪われることを恐れないのは、①に自信があるからこそ②のようにリスクをとって大胆に攻められることの結果でしかない。とすればどうして、ゲーゲンプレスを言い換えねばならないのか。しかも、こともあろうに、こんな単なる形容詞に!
 ちなみに、ボールを奪われることを恐れるか否かと言う論議は、バルサ・ペップ流繋ぎのサッカーとの対比という問題意識に過ぎず、何か意味があるような論議ではない。そもそも、ポゼッションが良いと誰が決めたのか。アリゴ・サッキのポゼッションでさえ、ポゼション自身が目的ではないはずだ。

 この本「フットボリスタ」はもっともらしく見えるが、肝心の部分がおかしい考えるに至った。書かれているサッカー理論自身は学ぶところが多いが、一種の詐欺的やり方が肝心の部分に入っている。こんなふうに。

①「ストーミング」が騒がれ、「売れる」のは、なによりもクロップ・ゲーゲンプレスの実績があるからというのは明らかだ。作者もこれを売りにしているのだから。
②が、ストーミングとゲーゲンプレスの関係が一向に明らかではない。ストーミングがラングニックから生まれたと説き起こして、クロップがラングニックから生まれたように説き進むが、その実証的関係付けが一向に明らかにされていないし、そもそも、クロップは「ゲーゲンプレスはバルサを参考にして、自分が構築した」と述べて来たはずだ。
③最後に、最も厳しい批判が以下のようなものだろう。もし、クロップがラングニック理論から出発して、この実践を深めたとしてさえ、こういう反論が成り立つ。理論と実践は違うものであって、実践、実績の方が遙かに価値が高く、尊いものだ。事がスポーツだからである。

 こうして、(ラングニック)ストーミングを語るならば、クロップの名を使うようなことは止めよと言いたい。クロップの実践、実績の方が世界サッカー史自身に遺した意味が理論よりも遙かに大きいからである。スポーツにおいて「学派」を「監督実績」よりも重く見るようなやり方は、おかしいということである。ちょうど、歴史に残る名選手が出てきたときに、過去に教えた人々が、「原点は俺だ」と吹聴し回るようなよくある話で・・・。というように、他の誰かが「(ラングニック)ストーミング」をクロップの元祖のように語って「ストーミング」を売り出すなら、2重の「人のふんどしで取る相撲」にならないか。
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韓国、GSOMIAで条件闘争に  文科系

2019年11月16日 12時28分26秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日標記のことが明らかになった。文大統領が米統合参謀本部議長にこう応えたという新聞報道があった。

『文氏は会談で「安保上、信頼できないとの理由で輸出管理を強化した日本と軍事情報の共有は難しい」との立場を説明。エスパー氏は「円滑に解決されるように、日本側にも努力するよう要請する」と述べたという』

さて、これでボールは日本に預けられることになった。安倍首相はどうするのだろうか。徴用工問題に対して振り上げた拳を引っ込めることになるのかどうか。徴用工問題はこれはこれで、以前からの日韓言動の経過があって、その経過の一部として、ここの過去にも以下の拙稿がある。

『徴用工問題、蒸し返される訳 2019年08月05日 』

 この内容は『前川喜平「官」を語る』(宝島社、2018年7月第一刷発行)に、徴用工問題に文科省が絡んだある経過報告があった。
 2015年7月、「明治日本の産業革命遺産」がユネスコ世界遺産に登録された。これが今で言う「首相案件」。このときに、韓国から徴用工問題も考えてくれとして出され、決められたある結果、約束が遺産登録に際しての付帯条件になったということがあったが、これを日本がどのように守ったかという問題なのである。

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喜寿ランナーの手記(273)順調、こんなふうに走っている   文科系

2019年11月16日 00時24分40秒 | スポーツ
 10月11日以来これを書くが、便りが無いのは無事な証拠と同じで、まー順調に走っている。ただし、10月下旬に自動車運転中交差点で追突をされて、10日ほどをドクターストップで棒に振ったということがあった。が、現在は、何の後遺症も無し。
 このストップの前から涼しくなったので暑夏のあとそろそろと外を走り始めていたが、現在の状況はこんなところである。

 11月12日、ジムのマシンで制限時間30分を2回やって、4・3キロと、4・5キロの合計8・8キロ。前半30分は、いつものことだがウオームアップ歩行も含めたものだ。
 そして昨日15日は、吹上公園6周を回ってくるコースで、GPSランニング・ウオッチの結果報告はこんな風だった。7・4キロを49分8秒で回ったと。キロ当たり6分38秒で、平均心拍数134、ストライド89センチとあった。ストライドは僕としてやや狭いが、心拍数は本年春までの外走りの同程度スピード時よりも10は低い。つまり、心肺機能は好調ということだろう。循環機能よりも、筋力強化が今の課題ということになる。ちなみに、春の同じような外走りでは、2月1日にキロ6分32秒の時148、4月8日の6分38秒の時で149という記録がある。さしあたっての目標としては、去年12月11日に同じコース、距離を走ったキロ6分12秒。このときは平均心拍数160、ストライド92センチだったが、今年はこれを超えられると目論んでいる。

 前回も書いたことだが、10月上旬に体組成計が示した現在の体型、体調は70歳代になって以降における、ほとんどベスト数値を示している。以下、括弧内はここ10年ほどの最高値で、僕の身長は168・5だ。
 体脂肪率9・8%(9・8%)。内臓脂肪レベル6・5(6・0)。体重56・3(59・8)で筋肉量48・1(49・0)。体重分の脚筋量で表す「アクティブ度」93(94)。と、このように出て、ここにも書き記してきた慢性心房細動に対する心臓カテーテル手術以来10年の、ほとんどの数値が最高レベルに近いものになっている。7月末の胃腺腫皮下切除術という手術とか、左足足底筋膜炎とかを経て、この数値まで持ち上げることができたのだから、まだまだどんどん走り続けられるはずだ。
 涼しくなったランニング・シーズンの中で走り込めば、内臓脂肪はもっと減るだろうし、筋肉量はまた増えるだろうし。ランニング体調こそ、僕の活動年齢の源泉と捉えてきたから、嬉しい気分で頑張れる。

 走りの維持、強化には、感じではなく身体とランニング関連に関わるいろんな数値とにらめっこするのが大事だと、いつも自分に言い聞かせてきた。
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国連採決など、各国「離米」事件の数々  文科系

2019年11月15日 12時08分59秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 現在、国連などで標記のことが急激に進んでいる。日本のマスコミではなぜか小さな記事扱いの事件でも、これらを集めてみると米国孤立化が鮮やかに浮かび上がってくる。こんな状況では、米自身が仕掛けている米中冷戦の行く先についても、とても成功はおぼつかない。去年10月の日本自身の対中行動から、順に日を追ってここで扱った事件を書き連ねてみよう。
 
 10月26日に7年ぶりに、大代表団を引き連れた安倍首相訪中の、首脳会談。その「日中今後の3原則確認」がその後の日本政府部内で物議を醸すという事件があった。「競争から協調へ」「互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制を発展」の3原則確認を国会でも強調した首相に対して、外務省などがこう反論したと報道された。「原則という言い方はしていない」と。対中制裁に急なアメリカの反発を予測した外務省の、対米配慮、沈静化の動きとも見えたのである。ちなみにこの前後から12月までの3ヶ月間におこった激しい世界的株安とともに、日本のGPIFで15兆円の損失が生まれるという大事件が起こった。僕はこの二つが無関係だとは思えないのである。日本が踏んではいけないアメリカ2本の虎の尾として「米軍基地の縮小」と「日本が、対中国で米の頭越しに行動すること」を上げ続けてきたのは、元外務省国際情報局長、孫崎享。

 明けて1月には、「18年度版韓国国防白書」が発表されて、その「近隣諸国の防衛協力相手」に、半世紀ぶり以上の重大変化が起こった。その協力国の筆頭が日本から中国へと書き換えられたのである。韓国が米日を差し置いて、米中等距離外交へと大転換を遂げたということだ。韓国その後のGSOMIA破棄も、ここに原因の一つがあることは明らかだろう。

 次いで8月19日、アメリカの大企業経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」が「株主利益の最大化、株主最優先方針を大転換」するという行動指針を発表した。事の真偽や今後の成り行き論議やはともかくとして、数十年ぶりのこんな「大転換」が、グローバリゼーションの核心部分に対する内外の悪評を意識したものであることは確かだろう。この同じ8月、国際決済銀行は、こんな発表をした。「世界の債務160兆ドル、リーマン前の1・6倍。特に新興国で増大」。

 そしてこの10月には国連の総会などにおいて、二つの採決にアメリカが大敗北を喫するという事件が起こった。


 先ず、米介入で話題を呼んできたベネズエラ問題。17日国連総会の全加盟国秘密投票によって、人権理事会理事国47国のうち14か国の選出が行われた。中南米理事枠2か国に対して3か国が立候補したのだが、ブラジルとベネズエラが選ばれ、コスタリカが落選したのである。「ベネズエラの人権問題が許せない」として立候補したコスタリカが落選したことが、国連で大きな話題になったのである。ちなみに、コスタリカを押して猛烈なロビー活動を展開したアメリカの権威失墜というこの結果について、アメリカ代表はこう述べたのだそうだ。
『人権理事会が破綻している揺るがぬ証拠だ』

 次いで29日には、アメリカが同じく人権問題を喚起してきたウイグル・中国を巡る国連委員会採択があった。31日の中日新聞記事の書き出しなどを抜き出してみよう。
国連総会で人権問題を扱う第三委員会は二十九日、中国の新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などを弾圧しているとされる問題で、欧米や日本など先進国を中心とした二十三か国が中国に人権尊重を求めた。一方、二倍以上の五十四か国が中国の人権に対する姿勢を称賛。国際社会で影響力を増す中国を巡る対立の構図が浮き彫りになった。
 (中略)
 一方、中国を称賛する五十四か国には、ロシア、パキスタン、エジプトなどが名を連ねた。ベラルーシが代表で二十三か国の声明は「人権問題の政治化だ」と反論し、「ウイグル自治区ではテロや分離主義、宗教的過激主義が人々に甚大な損害を与え、重大な人権問題になっている」と中国の対応を支持。国数で優位に立った中国の張軍国連大使は「世界の人々は真実を観て判断している」と自賛して見せた。
(後略)』


 さて、現在アメリカが中国に仕掛けつつある関税戦争、経済戦争は米中冷戦の前哨戦だとは、世界のマスコミの常識。この冷戦の今後の成り行きに対して、上に観た世界情勢はアメリカの圧倒的不利を示している。アメリカが世界に吹聴してきた「人権問題」国すら、国連では既に全く信用されていないのである。マッチョ・アメリカは今後、中国に対してどんな「戦争」を仕掛けていくのだろうか。まさか全面戦争はできないなかで、貿易戦争の累積黒字と大赤字という形で深まっていく敗北を、ただ待っているだけのじり貧ということはないはずだ。対GDPの国家累積赤字比率が、2倍日本の倍で4倍と、元会計検査委員長デイブ・ウオーカーから既に2015年に発表されていたアメリカなのである。だから今後の米中問題は何が起こるかと、」僕は怖いのである。


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世界サッカーの焦点、ユルゲン・クロップ(番外編)ストーミング??  文科系

2019年11月14日 17時18分01秒 | スポーツ
 現代サッカー最新の組織(的戦い方)を理解する良い雑誌を、本屋店頭で見つけた。「月刊 フットボリスタ」12月号で、この号の題名は『「ストーミング」の変化を考察する』とある。その詳細に触れる前に、今回は表記の言葉に疑問を呈してみたい。

 イギリスでは今、ゲーゲンプレスのことをSTORMINGと呼んでいるようだ。英語の嵐から来る「猛烈な」という意味の形容詞らしい。この言葉を僕は、適切な表現だとは思わない。つまり、ゲーゲンプレスをこう呼ぶのは良いことではないと言いたい。ゲーゲンプレス、英語でカウンタープレスとは正に戦い方の定義を表しているが、ストーミングとは「そういう感じ」を表す形容詞に過ぎないからである。スポーツ界によくある、「実態が定かに示されないような新語を造って話題を集めよう」という、ただそれだけのことに思う。観衆がゲーゲンプレスの戦いを「まるで嵐のようだ」というのは良いが、専門家がそんな言葉を適切な定義、呼び名のように振り回すことには、反対である。

 カウンタープレスの方が遙かに的を衝いている。「相手がカウンターに出た瞬間に、こちらもカウンターに出るような形でプレスを掛けていく(と、ゲーム中最も多く得点チャンスができる)」という戦い方自身の定義になっているのだから。
 ちなみに、クロップ・リバプールの戦い方がゲーゲンプレスを全く違うモノに発展させたというならば、その違い自身を言葉にすることだろうが、ゲーゲンプレスはやはりゲーゲンプレスなのであって、その回数がいくら減ったとしても、ここにストーミングが最も端的に現れている事も変わらないのである。

 この雑誌の内容自身については、次回にもう一度、要約内容紹介、感想などを書いてみたい。
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安倍が、アメリカの虎の尾を踏んだかも知れない   文科系

2019年11月13日 15時01分33秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
去年の10月末、ちょっと不思議なだけど重大な出来事が、日中外交場面で起こった。どうもそのことの意味が意外に大きそうだから、去年10月30日の拙稿を再掲する。

【 対中で、首相・外務省に重大対立  文科系 2018年10月30日 | 国内政治・時事問題

 今日の新聞を読むと、日本政府部内に標記の一大事が起こっていることが分かる。しかも、事が事、中国に対する今後の政府新方針に関わる対立だから、米中冷戦勃発との関係もあって、今後日本のブロック経済方向絡みで以下のような重大な意味を持たざるをえない対立である。先ずは、新聞報道を要約しておこう。要約する記事は、中日新聞2面の『「日中3原則」で混乱』、『会談で確認?食い違う主張』と見出しされた物だ。

 事は、26日北京における日中首脳会談で確認された今後の3方針に「原則」という概念を使うか否かという対立である。習主席らと「原則」と確認し合ったと国会答弁や官邸フェイスブックなどで外に向かって大きく表明した安倍首相に対して、内閣官房副長官や外務省が「3原則という言い方はしていない」とか「中国側が確認したと言っているわけではない」と叫んでいるから、大事件なのだ。政府部内で一体、何が起こったのか。折しも米中貿易戦争の真っ最中とあっては、米よりの外務省と、対中経済大接近の現状を追認しなおすしかなかった安倍首相という構図も見えてくるのである。
 さて、その「三原則」とは、このように重大な物ばかりだ。
『競争から協調へ』
『互いに脅威とならない』
『自由で公正な貿易体制を発展』


 どうだろう、これを今後の対中日本外交の原則と呼ぶかどうかは、米中貿易戦争・冷戦開始の間に立った日本の方向をすら示していると言えないか。先ず3番目がトランプアメリカへの公然たる批判になることは明らかだし、その上で2番目を宣言し直しているというのでは、アメリカの神経を逆なですることになろうから。確かに、対米追随の外務省が顔色を変える事態なのである。

 さて、これだけの理解では、事の重大さにはまだ半分程度しか迫れていないと思う。このことの全貌をきちんと理解するには、最近の日米関係、日中関係等や、世界史の知識なども必要だ。例えば、①日本の対米輸出よりも対中輸出の方が圧倒的に多くなっている、とか。②アメリカが自由貿易を捨てて、カナダ、メキシコなどを引き連れたブロック経済圏作りに走り始めたが、日中は「自由貿易支持」を表明し続けてきた、とか。③EUも自由貿易支持の立場から、アメリカの姿勢を批判し続けてきた、とか。④そもそも世界恐慌時のブロック経済圏作りとは、世界史においてどんな意味を持っていたか、とか。

 今はこれ以上のことは何も言えない。が、首相を中心において政府部内で重大対立が現れるほどの切羽詰まった局面に日本が立たされている事だけは確かなのである。世界経済第3位の日本は、2位のお隣中国に寄っていくことによって、アメリカの保護主義批判の立場を一層鮮明にするのだろうか。としたら、戦後日本の大転換点にもなる。こんな局面では普通なら、アメリカが安倍を切ることになる。田中角栄や小沢・鳩山がやられたように。


 以上の理解につきたった一つ、保留を付けておきたい。ここで「原則」という言葉を使った安倍首相が何も分かっちゃいなかった、だからこそ今時あまりにも安易にこんな言葉を使ったのだという、そんな大山鳴動ネズミ一匹という事態もあり得ると思う。だとしたら、あまりにも田分けた空騒ぎ! 】

 
 この機会に重大かつ不思議なことがこのころもう一つ起こったことを、付け加えておきたい。18年10月から12月にかけて、日本の年金基金が15兆円の損失を出したことだ。これって、「いつでもこれくらいは出来るぞ」というアメリカの日本への警告だったのかも知れない。
 ちなみに、元外務省・国際情報局長、孫崎享は、日本にアメリカがちらつかせてきた「2本の虎の尾」なるものを、こう解説してきたもの。米軍基地の縮小と、対中国でアメリカに無断で接近すること。
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韓国はGSOMIAを破棄する  文科系

2019年11月13日 11時24分07秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 韓国は表題のことを、つまり既に8月に決定済みで、失効期限が今月23日に迫った日韓軍事情報包括保護協定の破棄を取り消さないと、僕は確信している。安倍と米統合参謀本部議長とが12日午前に会談して、この復元を確認し合い、議長が13日から訪韓して破棄決定の見直しを要求するということだが、もう手遅れであると。

 ここで再三指摘してきたように、韓国はこの1月発表の「18年版韓国国防白書」において、「近隣の国防協力相手」の筆頭を「日本」から「中国」へと書き直してしまった。それも、米中冷戦がますます激化していくと予想される今、「国防白書」をこう書き直したのである。これは言うならば「米中等距離外交」の完全な確信犯ということだろう。平たく言えば、米日が韓国によほど嫌われるようなことを重ねてきた結果「経済関係なども含めて、米中等距離で行こう」と決めてしまったということだ。こういう「米中等距離外交」戦略と米日韓の軍事秘密を中国に漏らさないということとを両立させるなどは、もう論理的にありえないことになっている。
 
 まー米日金融が、アジア通貨危機におけるウォン空売りも含めて、「友人」と観るには酷すぎるような、よほどの韓国搾取を重ねてきたということだろう。国家が知らぬうちに民間が勝手に行う金融グローバリゼーションが酷すぎて、「米中等距離の方が、経済・民生も、朝鮮半島平和もよほど上手く行く」などと、少なくとも現政権はとっくに決めてしまったのである。世界中でこんな反発が起こっていると僕は観ている。特に中南米ではこの30年ほど特に激しく。国連において、アメリカのこういう金融搾取を世界中から集め合って話し合ってみると良いと、僕は考えることがある。
 となると、メリカに対韓国で残された道は、米中等距離外交含みで普天間県外移転を決めた鳩山内閣をアメリカが倒したように、文政権を米日協力して倒すという手しか残っていない。そんな工作が、ますます緻密かつ周到に謀られていくことになるはずだ。

 という観測が事実として続いていくということになれば、今後どこかでアメリカが何か重大な(対韓)行動を起こすはずだ。中国・ウイグル問題ではアメリカの介入思惑が今回の国連で挫折しただけに、中国・香港工作でもさらに何か新たな重大事態を起こしていくだろう。


 いずれにしても、今後の韓国を巡る国際情勢は、日本など素通りして、米中冷戦という文脈の中でこそ観ていかねばならなくなった。戦後ずっと続いたアジア外交地政学の上で重大なことが起こりつつあるという感度が、安倍政権で鈍すぎたその結果と言える。
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世界サッカーの焦点、ユルゲン・クロップ(7)リバプール・トットナム戦から  文科系

2019年11月12日 00時29分56秒 | スポーツ
 リバプールを研究しようと考えて、18~19年度リーグ戦から後半標記のゲーム・ビデオを観た。2対1でリバプールが勝ったこのゲームで、気づいたことなどを羅列してみる。ちなみに、この対戦は、2019年度チャンピオンズリーグ決勝戦と同じ顔合わせになる。


 まずとにかく、ゲーム全てが、スピードも展開も速い速い。ダッシュしながらワンタッチ・プレーを中心にして繋いでいくし、サイドチェンジも非常に多く、これがゲーム展開をさらに速くしている。また、敵陣に攻め入った身方ボールが奪われれば、猛烈に速い守備への切り替えがまた、速い速い。こういう速さのために、ダッシュ回数と速い判断力がある選手しか入れていないとさえ感じたものだ。
 これだけ展開が速いと、相手は全て後手後手に回る感じで組織対応が遅れ、壊されて、選手個人として集団パニックになるような場合も多いのではないか。ちなみに、ゲーゲンプレスというこの戦い方のドイツ語呼び名をば、イングランドではストーミングと呼び直している。「嵐のように猛烈な」という形容詞であるが、なるほどと思ったもの。

 DFも皆、速い速い。典型がフィルジル・ファン・ダイク。彼は今や史上最高のセンターバックと呼ばれているし、多くの賞などでそういう栄誉にも輝いている。筋力にもあふれた超大型なのに、どんなFWにも負けないスピードも速い判断力もあるとあっては、DF・エンターバックとして無敵に近い存在だ。センターバックとして彼ほど過去に脚光を浴びた選手は、ちょっと見当たらないのではないかと思う。全盛期イタリアのカンナバーロと同様に、センターバックとしては珍しく欧州最高選手賞を今年取るのではないかと言われている。
 左右のサイドバックはアンドリュー・ロバートソンとトレント・アレクサンダー・アーノルドと言うが、かれらもものすごく速い。たびたび攻撃に上がる二人の正確なクロスやサイドチェンジも、ゲーム展開とスピードを速くするばかりではなく、このチームの得点源にもなっている。左右サイドに度々人が上がれば相手DFらがその分左右の横に広げられて中央が薄くなると言う、これは攻撃セオリー通りの攻め方である。

 さて、元々のゲーゲンプレスは「弱者の集団得点法」として編み出された得点効果が非常に高い画期的な戦術。ちなみに、このゲーゲンプレス得点法については、第2回目で説明した。それだけに、クロップ・ドルトムント時代には、得点も多いが失点も多い戦術であった。DFラインを高く上げることが多いから、カウンターを食いやすいのである。その失点が最近のリバプールでこれだけ激減して来た。というのも、強豪の仲間入りをしたリバプールが世界的なDFを集められるようになって、速いDFばかりを集めたからと言うのが第一の理由だろう。
 
 ただ、クロップの最高の強みは、むしろ選手たちのモチベーションを維持させる能力ではないか。全員があれだけ走るというのは、それもリザーブ選手も含めてこの走りがずっと何年も続いていくというのが、希有なことだと思う。シャキリ、オリジなどが、レギュラーと遜色のない働きをするから、一人が故障してもほとんど困らないチームに見える。エースのサラーかマネが欠場しても戦力が変わらないほどに、リザーブのモチベーション、戦闘性能が高いのである。


 一昨日11月10日深夜、このリバプールがマンチェスターシティを3対1で負かして、2位との差をまた大きく広げた。このゲームの後には、モウリーニョもベンゲルもいち早く、「リバプールの優勝が決まったろう」と述べている。プレミアリーグと名称が変わって以降には、リバプール初の優勝ということになる。ちなみにこの3対1勝利は、世界一の監督争いで、グァルディオラをクロップが追い抜いたということを示すのではないか。スペイン好きの日本人外国サッカーファンが悔しがっているのが目に浮かぶが、これも時間の問題だったのだと思う。クロップ、恐るべし! 90年前後の世界を席巻したACミランは、アリゴ・サッキに匹敵する天才監督ではないか。その独創性と指導力とにおいて。/strong>


(このシリーズは、これで終わります)
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随筆紹介 「温泉ガール」   文科系

2019年11月11日 00時11分36秒 | 文芸作品
 温泉ガール  H・Sさんの作品です


 温泉で年配の女性「温泉ガール」から「何歳ですか」と、年齢を聞かれる事が多い。
「八十二歳です」と答えると、「お若いですね。七十歳に見えますよ」と、温泉ガールが返してくれるが、これは明らかにお世辞だ。私は歳相応だと熟知しているので笑ってやり過ごす。

 今日も温泉の脱衣所で温泉ガールから年齢を聞かれた。いつもの様に答えると、齢よりずっと若く見えますと、定番の言葉が返って来た。私に声掛けしてきた温泉ガールと向き合い、私と同じぐらいの年齢の人だろうと受け止めたが、多少のお世辞も上乗せして、
「貴女は私よりずっとお若いでしょう・・・私にはそう見えます」と、言葉を返した。
「九十六歳です・・・長生きでしょう・・・」と、温泉ガールは胸を張り若々しい声で答えた。〈どうだー。すごいだろうー〉と言う思いを秘めた健康自慢が盛り込まれた言葉だったが、嫌な気持ちはしなかった。
 脱衣所のお喋りなので、温泉ガールも私もスッポンポンだ。スッポンポンはお互い様でと言わんばかり。遠慮のない視線を浴びせっこしている自分たちの行為に、九十六歳も私も笑いがこみ上げて会話が弾んだ。

 入浴を終えた八十六歳、八十四歳、八十三歳の温泉ガール達が、九十六歳と私のお喋りを聞きつけて、スーッと近づき九十六歳を取り囲んだ。
「九十六歳・・・。私とは一回りも年上なの・・・。すごい・・」と八十四歳。
「私とは十歳違いのお姉さま・・・お達者でなにより」と、八十六歳が祝福。
「ひえー、四捨五入すれば百歳だよ。生き方上手だ・・」、八十三歳がほめ言葉を連発。 いずれもロッカーに移動せず、服を着ること忘れ、スッポンポンのままで、温泉ガール達は自分の身体と比較しながら、九十六歳の体型に暫し見惚れていた。
〈背が高く背筋がピーンと張り、大股で歩き、受け答えもしっかり。ユーモアたっぷりだ。親からもらった骨格と達者な臓器を上手に使いこなし、病気になっても恢復できる生活習慣を身に着け、難儀なことにも対処して九十六年生きてこられた〉そういう事だ。それにしても、お年寄りと一括りには出来ない、綺麗で素速い活動をする出来のいい身体だ。これは自慢できると納得。温泉ガールたちも同じ思いで九十六歳に脱帽の様子だ。失礼を承知で格付けした。相撲なら、横綱九十六歳。大関八十六歳。小結八十四歳と八十三歳。幕下八十二歳。この幕下八十二歳が私と言うことだ。

 待合室でお迎えの車を待っている九十六歳の温泉ガールに出会った。
「今日は妹のような皆さまとほんとに楽しかったです。長生きは素敵なことですが、朋輩は天国に行っちゃって誰もいません。これがちょっとね・・・」と、寂しげに愚痴た。
「またお会いできるといいですね。お先に失礼します」と、会釈、出口へと向かった。 
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「核兵器を検討せよ」と、元外交官   文科系

2019年11月11日 00時10分17秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ニューズウイーク最新号の政治記事を、昨日に続いてもう一つ紹介しよう。その題名が日本マスコミには全く出てこない観測だから、安倍親衛隊は驚くだろうが、こういうもの。
『安倍政権「最終章」の必達事項は』

 記事の書き出しに示された次のような内容がまた、親衛隊にしてみれば、いかにも内政干渉めいて、腹が立つだろう。
『歴代最長の在任期間が見えてきた安倍政権も、任期はいよいよ残り2年を切った。ここにきて、レームダックとまでいかずとも、そこはかとない浮遊感が漂う。
 側近らの処遇や積み残し人材の大臣登用が目立つ「打ち上げコンパ内閣」とでも言うべき政権だけに、それも当然だ。』


 こう書き始めた内容が、以下二転三転するのがまた、この記事の特徴。

 上のように貶し上げた後にまず、安倍をこう持ち上げてみせ、数々の「功績」を上げていくのだ。
『もったいない。レガシーがない政権だと言われるが、そんなことはない』

 そのうえで最後の「やるべきこと」をけしかけてみせるというそんな第二転は、
『しかし打ち上げムードにはまだ早い。やるべきことは山積みだ。まず、最初から安倍首相の脳裏にあったであろう戦後の総決算、つまりアメリカへの過度の依存を解消すること。安保面では、護衛艦いずもの空母化、最新鋭のF35戦闘機の導入・・・・日本は抑止力としての核保有を検討せねばなるまい』

 これではこのアメリカの政治週刊誌記事の結びも、その方向は知れているというものだろう。と言う具合に、第三転がこう続いて、記事の結びになっている。
『安倍首相は7年もの安定と活発な外交を実現してくれた。背景にはアメリカが利上げの時期であったために長期の円安が可能だった幸運もある。今後それは逆転し、人材不足も相まってポスト安倍政権は不安定化するだろう』

 さてさてこの記事の筆者が誰かと見るならば、案の定、例の「日本人らしき元外交官」にして「本誌コラムニスト」と肩書きが着いた河東哲夫。この人の論文はここで他にも紹介してきたが、常に単なる印象記のようなもの。内容、特に論理構造が何もない、支離滅裂である。そのくせ、論理展開が必要な思い切ったことを書き捨てにしてこられたお方だ。書く立場、内容がはっきり決められたお人の、主観的印象を断言として並べただけの文章と言える。より広い人への説得力という観点を初めから放棄した文章である。
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「安くなった日本」という話   文科系

2019年11月10日 14時11分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカの政治週刊誌「ニューズウイーク」日本語版を読み始めて4ヶ月になる。何が面白いって、『アメリカの対外(介入)戦略』がとてもよく分かるところ。
 ここの政治記事自身は玉石混淆で、しかも単なる石というよりも他国への邪な介入を意図しているという意味でもっと悪い記事も多いのだが、そんな邪さ丸出しという意味では正確だと思われる記事が多く入っていて面白い。今日はその最新号の『「安い国」になった日本の現実』という記事を紹介してみよう。この記事は、流石アメリカの外国向け政治誌と言うだけあって、アメリカの日本に対する意図丸出しなのである。その点がとても面白い。
 まずとにかく、記事の概略から。

 『米中貿易戦争の影響で中国経済は失速しているが、』中国人観光客が、訪問客全体の3割弱という現状をどんどん超えていく勢いで、日本に殺到している。理由は、日本での買い物が安いからだ。かつては世界有数の高物価だった日本が、他国に比べてここ20年ほど一人当たりGDPが全く上がらなかったからである。他国の一人当たりGDPや購買力が1・6倍から2倍になった間に日本の物価が横ばいというところから、中国人らに「何もかもが安い」と驚かれる国になった。

 が、以上は、物価を決めるのに日本国内要因が大きい製品やサービスについてのことである。グローバルに価格が決まる物品は、デフレだからと言って一向に安くなるものではない。例えば、自動車やスマホなどはどんどん高くなっている。

 こうして記事の結び。
『日本が「安い」国であることは、日本の消費者にとっては頭の痛い話でしかない』。


 そう言えば、普通車の新車はどんどん売れなくなって、街には軽自動車があふれ、中古車が当たり前になっている? そして、確かに外車も高くなっていて、ポルシェなどのステイタスシンボル性がどんどん上がっているのではないか。時流である官製バブルで儲けた若者などが乗っているのだろうか、街で見かける機会がすごく多くなった。


 それにしてもと、冒頭書き出しに疑問が湧く。訪日外国人がどんどん増えていると言いたかったのは分かるが、それをなぜ「中国人」だけに触れるという形で書き出したのだろう。まるで中国が日本を買っていると強調するように。文章全体の冒頭に、こんな記述を入れてまで。
『米中貿易戦争の影響で中国経済は失速しているが・・・』
 これでは、「失速中国が日本を買い漁っている」ということになって、安倍政権形無しではないか。


 こうは言っても、その中国は年6%の成長率のはず。「2%目標」がいつまでたっても実現出来ず、とうとうこの目標を下ろしてしまったやの安倍政権としては、一帯一路の政治的イノベーション(経済学者、森嶋通夫の造語)、有効需要創出も含めて垂涎の的はずだし、アメリカにとっても同じくうらやましい限りではないのか。日米ともに悔しかったら、金融ではなく画期的新商品開発も含めた物貿易で、これぐらいの成長率を稼ぎ出してみせることだ。でないと、国に職場などは一向に増えず、格差が広がり、内需が減っていく悪循環ばかりの社会が続いていくだけだ。
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掌編小説 「血筋が途絶える社会」   文科系

2019年11月10日 11時24分55秒 | 文芸作品
 照明が効き過ぎというほどに明るく、客も賑やかなワインとイタリアンのその店でこの言葉を聞いた時は、本当に驚いた。
「我が国の合計特殊出生率は一・一七なんですよ」
 思わず聞き返した。「一体いつの話なの?」
「確か二年前の数字だったかと……」。

 このお相手は、長年付き合ってきた友人、韓国の方である。最初に訪れた時の東部などは、僕が馴染んだ里山そのままと感じたし、食べ物は美味いしなど、すっかり好きになったこの国。何せ僕は、ニンニクや海産物は好きだし、キムチは世界に誇れる食べ物と食べるたびに吹聴してきたような人間だ。そしてこのお相手は、三度目の韓国旅行が定年直後で、連れ合いの英語教師出張に付いてソウルのアパートに三か月ばかり滞在した時に意気投合しあって以来、何回か行き来してきた仲のお方である。知り合った当時は二十代前半で独身だった彼は、十数年経った最近やっと結婚したばかり。子どもはという話の中から出てきた言葉である。ちなみに、合計特殊出生率というのは、女性一人が一生で出産する子どもの平均数とされている。既婚未婚を問わず一定年齢間の女性全てを分母としたその子どもの平均数という定義なのだろう。

「一・一七って、子どもがいない女性が無数ってこと? 結婚もできないとか? なぜそんなに酷いの?」
「そうなんですよ。我が国では大論議になってます。日本以上に家族を大事にする国ですし。原因は、就職難と給料の安さでしょうか? 急上昇した親世代が僕らに与えてくれた生活水準を男の給料だけで支えられる人はもう滅多にいなくなりましたから」
「うーん、それにしても……」
 僕があれこれ考え巡らしているのでしばらく間を置いてからやがて、彼が訊ねる。
「だけど、日本だって結構酷いでしょ? 一時は一・二六になったとか? 今世界でも平均二・四四と言いますから、昔の家族と比べたら世界的に子どもが減っていて、中でも日韓は大して変わりない。改めて僕らのように周りをよーく見て下さいよ。『孫がいない家ばかり』のはずです」
 日本の数字まで知っているのは日頃の彼の周囲でこの話題がいかに多いかを示しているようで、恥ずかしくなった。〈すぐに調べてみなくては……〉と思った直後の一瞬で、あることに気付いた。連れ合いと僕との兄弟姉妹の比較、その子どもつまり甥姪の子ども数比較をしてみて、びっくりしたのである。
 この後で正確な数字を調べたところでは、こんな結果が出てきた。

 連れ合いの兄弟は女三人男二人で、僕の方は男三人女一人。この双方の子ども数、つまり僕らから見て甥姪、我が子も含めた総数は、連れ合い側七人、僕の方十人。このうち既婚者は、前者では我々の子二人だけ、後者は十人全員と、大きな差がある。孫の数はさらに大差が付いて、連れ合い側では我々夫婦の孫二人、僕の側はやっと数えられた数が一八人。ちなみに、連れあいが育った家庭は、この年代では普通の子だくさんなのに、長女である彼女が思春期に入った頃に離婚した母子家庭なのである。「格差社会の貧富の世襲」などとよく語られるが、こんな身近にこんな例があったのである。

 それからしばらくこの関係の数字を色々気に留めていて、新聞で見付けた文章が、これ。
「とくに注目されるのは、低所得で雇用も不安定ながら、社会を底辺で支える若年非大卒男性、同じく低所得ながら高い出生力で社会の存続を支える若年非大卒女性である。勝ち組の壮年大卒層からきちんと所得税を徴収し、彼ら・彼女らをサポートすべきだという提言には説得力がある。属性によって人生が決まる社会は、好ましい社会ではないからである」。
 中日新聞五月二〇日朝刊、読書欄の書評文で、評者は橋本健二・早稲田大学教授。光文社新書の「日本の分断 切り離される非大卒若者たち」を評した文の一部である。

 それにしても、この逞しい「若年非大卒女性」の子どもさんらが、我が連れ合いの兄弟姉妹のようになっていかないという保証が今の日本のどこに存在するというのか。僕が結婚前の連れ合いと六年付き合った頃を、思い出していた。彼女のお母さんは、昼も夜も髪振り乱して働いていた。そうやって一馬力で育てた五人の子から生まれた孫はともかく、曾孫はたった二人! その孫たちももう全員四〇代を過ぎている。「母子家庭が最貧困家庭である」とか、「貧富の世襲は学歴の世襲。それが日本の常識になった」とかもよく語られてきた。今の日本社会においては、どんどん増えている貧しい家はこれまたどんどん子孫が少なくなって、家系さえ途絶えていく方向なのではないか。

 こんな豊かな現代世界がこんな原始的な現象を呈している。それも、先進世界共通の格差という人為的社会的な原因が生み出したもの。地球を我が物顔に支配してきた人類だが、そのなかに絶滅危惧種も生まれつつあると、そんなことさえ言えるのではないか。
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随筆紹介 「納 豆」   文科系

2019年11月10日 03時34分27秒 | 文芸作品
  納 豆  K.Kさんの作品です

 納豆は朝食に欠かせない。子どものころ、父の転勤で茨城県水戸市に近い所に、五年くらい暮らしていたからかもしれない。毎朝「ナットー、ナット、ナット、」と掛け声をかけながら、納豆売りが自転車で来た。身近な食べ物だったから毎日が当たり前だった。
 夫は独特の香りや色、粘りが苦手らしい。子供達は私が美味しそうに食べるのを見ているせいか、当然のように食べる。マグロ納豆、納豆巻きは評判が良い。勿論冷蔵庫に常備してある。

 納豆はいつ頃からあるのか? 歴史を調べてみた。弥生時代説、起源は古く大豆などの豆類の栽培が始まった。江戸時代には納豆の商品化が始まり、朝食の定番になった。早朝に売り歩く商人もいたと言われている。発祥の地は秋田県、茨城県水戸、熊本県が有名で秋田県横手市には石碑がある。
 諸説あるが源義家が、秋田県と茨城県水戸では有力。煮豆を藁で包んでおいたら、発酵して糸を引くようになった。試しに食べてみたら美味しかった。将軍に納めた豆で「納豆」とつけられたとか。熊本県は加藤清正説、煮豆を行軍中に持ち歩き、発酵していい香りがして糸を引いていた。それが食べられるようになったらしい。

 効能の一つがナットウキナーゼ。これは納豆菌が大豆を発酵させる時に作り出す「タンパク質分解酵素」の事。人体では血栓を分解出来る。心筋梗塞、脳梗塞を予防する。血栓ができやすい時間が深夜から早朝に多いので、夕食後が効果的になる。
 納豆は大豆を発酵させた食品。ビタミンKは他の発酵食品の数十倍、ビタミンB二は大豆の二倍、食物繊維はゴボウの二倍ある。腸内環境を整える納豆菌は胃酸で死なないので、乳酸菌よりも強く簡単に腸に届けられる。
 ねばねば効果は胃粘膜を保護して胃炎を防ぐ。鼻や喉を守って風邪の原因の、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ。まだある、カルシウムを骨に結合させるビタミンK二もたくさん含んでいるから骨を丈夫にする
 だが食べ過ぎると下痢になる。プリン体もあるので痛風の人は注意。一日に一パックで良い。手軽に食べられるのが魅力。馴染みがないからと一生食べないのは勿体ない。私はたれは醤油で、甘いたれが苦手だった。だが今では、卵醤油、昆布だし、青しそなど、たれの種類を楽しむようになった。

 京都曼珠院には「菌塚」の石碑がある。菌は醤油、味噌など、暮らしになくてはならないもの。感謝して美味しく頂いている。
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世界サッカーの焦点、ユルゲン・クロップ(6)ムバッペはリバプールに行く  文科系

2019年11月09日 09時04分22秒 | スポーツ
 パリ・サンジェルマンはキリアン・ムバッペの行く先が、姦しい。レアル・ジダンが熱望していると報道されてきたが、ここに来てリバプールも名乗りを上げたようだ。パリは、大金を出して買ったネイマールがそれに見合う値段で今後もずっと売れそうもないので、今回ムバッペを出すだろうが、行く先はリバプールだと僕は予告してみたい。その意味は以下の通りである。

 ムバッペが現在世界一の点取り選手だとは、誰でもが認めるところ。スピードに乗った連携で得点するという現代最先端の点取り法に最も合致した選手だからだ。ちなみに、彼が行くか否かで、CL優勝がレアルになるかリバプールになるかが決まってくるというような、そんな選手でもある。

 そんな彼が賢く考えられるならばという前提で、彼のタイプはリバプールにこそ相応しいと彼自身が考えるだろうと主張したい。あのスピードで常に全力疾走しながらプレーできるというのが、走りながらパスを繋ぎゴールを陥れるリバプールにこそお似合いというのが第一だし、そもそもイングランドでは全力疾走、高いジャンプ、激しいぶつかり合いなどなどがもてはやされてきたのだ。
次いで、ムバッペはこんな事も考えるはずだ。CLで優勝できるのはどちらか。これで言えば今はもう、イギリス、リバプールになるに決まっているのである。今年のCLもELも決勝はイングランド同士。この事実に示されているように、世界一高水準の激しい競争が今、イングランドにこそ存在するのである。ちなみにイングランドは、下位チームもスペインに比べて皆はるかに強い。そしてなによりも、リバプールにはクロップが居て、現代世界でマンチェスター・シティのペップと世界1,2を争う監督だということも、世界中が知っているのだから。
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