Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

青空朗読

2024-11-09 19:47:17 | 読書

青空文庫は著作権の切れた作品(2018年までは作者の死後50年、現在は死後70年が経過した作品)を収集し,それらを電子書籍としてネットで公開するサービスである校正や編集はボランティアによって担われている.

仰臥位で読書もままならないとき,朗読は強い味方.青空朗読は青空文庫の朗読を提供するサイト.プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタート.最近は朗読を学ぶ一般も作品(録音?)を提供している.

昨日は

伊丹万作「我が妻の記」著者は伊丹十三の父.J 子と一緒に聴いた.

久生十蘭「黄泉から」戦時中フランスで過ごした男と,彼を慕っていたがニューギニアで命を落とした従姉妹.いかにも男に都合のいいストーリー.でもニューギニアの雪のシーンやラストなど,上手い!

野村胡堂「銭形平次捕物控 江戸阿保宮」金持ちが江戸中から美女を拐かしてハーレムを作るはなし.もっとスケールが大きいはなしにできたのに…

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いよいよ長期戦

2024-11-07 17:50:00 | 読書
イレウスで入院したが,8度台の熱が引かない.イレウスにしてはおかしいと,コロナやインフルエンザを疑ったがどちらも陰性.造影CTの結果,結論は肺炎.救急車で搬送中嘔吐した吐瀉物が気道から肺へ入った可能性を指摘された.言うなれば誤嚥性肺炎だそうだ.

肺炎が引き起こした炎症の指標は血液中の CRP で 0.3 mg/dl 以下が標準.隔日測定で,30 - 19  - 21 と,異常に高い値が2回目からは横這い.肺炎は時間がかかるから,覚悟しなさいと言われる.

これは入院1週間の最初の食事.真っ黒に見えるのは多分ほうれん草のベチャベチャ煮.白いのは芋のクタクタ煮.どちらも意外にからくて豆腐に絡めた.
美味しゅうございました!
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俳句 銀座百点より

2024-10-31 20:17:38 | 読書

銀座百点 2024 年 11 月号 銀座俳句 高橋睦郎 選 秀逸の第 2 句

 敗戦日あつあつ飯に生玉子 北区 大友盛男

高橋さん曰く「飢えを生き抜いた原点を忘れず,令和不況の今日を乗り越えたいものです,ね」.
NHK 朗読の世界.吉本ばなな「キッチン」の後は,夏目漱石の「坊ちゃん」 (1906) である.ラスト近く,坊ちゃんが野だいこの顔面に生卵を数個叩きつける場面がある.この小説を初めて読んだのは中学時代.1950 年代初頭,敗戦から数年であった.真っ先に感じたのは「卵がもったいない !!」だった.でも小説自体は面白かった.
それだけです.

 

銀座俳句の次のベージは百点対談.石田 千 (ゲスト) x 嵐山光三郎 (ホスト).石田さんは東海大学文化社会学部文芸創作学科の教授だそうで,学生による俳句を披露.

 高橋や佐藤と鈴木とキャンプ行く
 夏近しあしたも洗濯乾くかな

嵐山 : うーん... でも,どちらもいい句ですね (笑).
石田 : 記憶には残りますよね.

嵐山さんの「一句作ってみて,2分で作れちゃうでしょ」に応えた石田さん

 白焼の串目やさしき竹葉亭

竹葉亭本店にて,でした.

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ゴキブリ・マイウェイ

2024-10-30 20:34:21 | 読書

大崎遥花「ゴキブリ・マイウェイ この生物に秘められし謎を追う」山と渓谷社 (2023/12) .

アイドルみたいな著者名と不思議なブックデザイン,それと出版社に釣られて,図書館で手にとり,そのまま借り出した.
対象が台所でお目にかかるお馴染みの種類ではないことには,ちょっとがっかりしたが,読み始めたらやめられなかった.以下の出版社の「商品詳細」と「内容」に,ぼくが追記することはあまりない.

 

*****「クチキゴキブリのメスとオスは、互いの翅を食い合うらしい」
類を見ない不思議な現象に惹かれた著者が、採集・飼育・繁殖方法など、わからないことだらけのこの生物に秘められた謎を体当たりで追いかける。
沖縄・やんばるでの採集、トライ&エラーの飼育、予算がない中でのDIYな実験、そして翅の食い合いの意義とは -- 行動生態学の基本と最前線をわかりやすく解説します。
また、そもそも研究とは何のために行うのか、学会を活用するには? 論文はどうやって書かれているのか、といった一般読者は知らないけれど興味深い研究の現場、研究世界の歩き方についても語ります。

本文に収録した超細密で美しいイラストは、著者による作画。研究対象である生き物と、それに生涯をささげる研究者、研究という営みの魅力が詰まった一冊です。


内容 第1章/やんばるの地に降り立つ 第2章/謎の行動、翅の食い合い 第3章/三度の飯より研究 第4章/クチキゴキブリ採集記 第5章/実験セットを構築せよ! 第6章/戦場でありフェス、それが学会 第7章/翅は本当に食われているのか? 第8章/論文、それは我らの生きた証 第9章/ゴキブリの不可思議 第10章/研究者という生き物*****

 

学会・論文といった研究生活を物理系と比較するとおもしろい.物理系では卒業論文・修士論文などに学術的な期待はないし,学生が学会に行っても聴く一方のことが多い.誤解を恐れずに言えば,この分野には量子論・相対論のような基礎は必要がないので,情熱があれば誰でも活躍できそうだ.萩野恭子さんに感じたのと似た羨望を感じた.

「生態学会 (の集まり) はモンベルが正装」だそうだ.ヤマケイとの関連はこのあたりにあるのかな?

トップ画像右は著者による点描画で,上になった個体が下の翅を食べ始めたところ.食べられる方の個体も気持ち良さそうにしている,そうだ.実験装置のイラストも楽しい.物理実験装置はガムテープとアルミフォイルで出来ていたりする.似たようなものだと感じた.

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おもしろそうな本だけど...

2024-10-28 20:58:45 | 読書

読書週間だそうだ.
定年したら本を読んで暮らすのだ,と思っていたが,実際に定年したら資力も視力も衰えてしまった.新聞を見ると,日に数冊は面白そうな本がある.
個人経営の書店がかくれたブームらしい.自分が本屋になって,採算を気にしなくていいとしたら (尚且つ読まなくてもいいとしたら),どんな本を仕入れるか...
10/26(土)の朝日新聞 (この地方では朝刊のみ) から拾ってみると,

第1面最下段は本の広告の指定席.上の画像は右端のふたつだが,青土社では「ロボット倫理学」が気にかかる.現代の図書なら「AI 倫理学」と言った方が通りがいいと思うが,ロボットと具体化するのはなぜだろう.学術書かな ?  SF や漫画は相手にされているのだろうか.カレル・チヤペックは ?  鉄腕アトムの倫理は ?  訳者の名前がないのはなぜ ?
青土社本は高いが,みすず本の定価はその倍くらいする.ぼくの興味は,イタリア発ベストセラーだという「カテリーナの微笑」.

土曜日は読書欄が全部で3面強.政治姿勢は別として,朝日新聞の文化面は充実していると思う.この日は「ケストナーの戦争日記 1941-1945」をとりあげている.1945 年の分は文庫化されていて,昨年 12 月にこのプログに書いた

「不思議な絵をさがせ」の書評は「横尾忠則さんによるアート作品です」と断わり書きがあり,鏡文字で印刷されていた.当ブログの画像では作品を非アート化してみた.スマホの画面でこれを拡大すれば読めるかどうか,自信はない.本としては,ぼくが好む方向ではある.
他には「わたしのくつしたはどこ」と「ナースの卯月に視えるもの」が気になった.前者は「お話としかけが視覚障がいについての理解を助ける絵本」だそうだ.後者は文庫本,買ってもいいかな.

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ふたり展でプチ・コンサート

2024-10-26 08:48:04 | 読書

下岸 御夫妻のふたり展でプチ・コンサートの予定.

イレウスを発症しないように,今からお粥と離乳食にしようか...でもそれでは体力が低下して演奏ができないか...

このフライヤーのイラストは5月に AI で作ったものの使い回し.5ヶ月経ったので AI 君もお利口になったことだろう,別な絵を...と交渉したが,相手は無愛想になっていて,無料では細かい注文は相手にしてくれなくなっていた.注文が殺到しているのだろう.

じつはヒトサマの絵を利用したフライヤーも作ったのだが,ネットに公開するのは憚られる.自分で描けばいいのだが,そんな暇があるならヴァイブを練習した方がいいかも.

バンドの名称 : 前回はキラキラ食堂で演奏したので,キラキラトリオとしたが,ちょっと恥ずかしいかな.新名称のひとつの案はイラストの連想から "Three Old Kittens 歳とった3匹の子猫".下の動画,マザーグースの Three Little Kittens をひねったつもり.Three Blind Mice (そういうジャズレーベルがあった) の歌詞は気色悪いがこちらはそうでもない.でも最後はネズミの臭いで終わるのね...

10/28(日)追記 バンド名は Three Aged Kittens になりました.

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石川桂郎「妻の温泉」

2024-10-16 21:12:59 | 読書

講談社文芸文庫 (2024/5)

この 288ページの文庫本の定価が 2,200円 !! 学術書程度の売れ行き ?
ぼくは図書館で借りたけど...

出版社による紹介*****
家業の理髪店で理髪師として出発し、石田波郷門下で句作の道へ。その後、横光利一に師事して小説を書き始め、55年に本書が直木賞候補作となる。選考会では小島政二郎から「ホンモノのリズムが打っている」と絶賛されるが、他の選考委員から「エッセイではないか」「自然すぎる」と批判され、落選。しかしその文章が放つ独特なユーモアと哀感が多くの読者を魅了しつづけ、「名文家」として根強いファンを持つ。「氏の筆の巧妙な幻術に引っかかって(中略)一々事実であると鵜呑みにしないよう」(山本健吉「跋」)ご用心のうえ、この「不世出の作家」が編み出す小説の醍醐味をご堪能あれ。*****

講談社文芸文庫にたくさんの,浅学のぼくは聞いたことがない作家のひとり.全 18 編の短編集.私小説と言っていいと思うが,「私の俳句」というタイトルもあり,他にも まず俳句,次に文章という構成が多い.

最初の「...温泉」以下,「妻」がしょっちゅう登場する.愛妻家というより,妻と仲が良いという感じ...オワカリイタダケルカナ?
  あまり寒く笑へば妻も笑ふなり
子どもが活躍する「年玉稼ぎ」もおもしろく,「氏の筆の巧妙な幻術に引っかかって」気がついたら事実であると鵜呑みにしていた.

戦中戦後のモノのない時代に収入がない貧乏自慢的テーマが多い.
異色は「二重橋」.日本に存在する自動車の全部に乗ろうという野心に基づく体験談.
おしなべて「文章が放つ独特なユーモアと哀感」に惹かれるのは確か.

芥川賞候補でなく直木賞候補 !?  でも,井伏鱒二も 1938 年という昔だが,受賞したのは直木賞だ.

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ノーベル平和賞 / 被爆体験伝承者

2024-10-13 20:53:27 | 読書

日本被団協にノーベル平和賞.当事者が「夢でしょ」と頬をつねる場面が放映された.
現在の国力学力から察すると,物理学賞などはもう無理だろう.平和賞の場合は...くじに当たったような感 なきにしもあらず.

党首討論の記事の核禁条約論議から察すると,現政権にとって受賞はありがた迷惑 (もっと露骨に言えば ひたすら迷惑),粛々と無視するつもりらしい.

でもぼくは素直に喜んでいる.

 

広島市の「被曝体験伝承者等養成事業」なるものに応募したいと思ったことがある.
高齢化に伴って,被爆体験を話す被爆者が年々減少している.そこで被爆者本人に代わって体験を伝承する「被爆体験伝承者」を養成する事業である.

約2年の研修後,概ね5年以上活動できることが応募資格.
研修では被爆の実相や話法技術等の講義を受講後,証言者から被爆体験を伝授され,自分で講話原稿を作成した講話実習を行う.研修後は公財)広島平和文化センターからの委嘱で,平和記念資料館等で,修学旅行生や海外からの訪問者等を対象に講話を実施することになる.

崇高な意識だけではなく,教師という職業を経験して以来、ヒトマエで話すのが嫌でなくなったということもある (ヒトマエでジャズを演奏することも関係するかもしれない).自分の場合,被爆者と年齢層が重なるので,「伝承」もそれなりにリアルにできそうに思えたが...

癌になり,治癒したはずがイレウス頻発という状態で,応募資格喪失 ! のお粗末.被爆者だけでなく,ギャラリーも負けずに高齢化する,と言うこと.

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遠藤周作「砂の上の太陽」

2024-10-10 08:55:37 | 読書

「遠藤周作 初期短編集 砂の上の太陽」河出書房新社 (2023/11)

図書館で借読.

出版社の紹介*****
『沈黙』が執筆されるまでの、著者の原点となる信仰の苦悩を描く「砂の上の太陽」他、50年代60年代を中心に初期の知られざる短篇を発掘。貴重な作品の数々!*****

この本の最初の2篇は洋行の自己体験.次は旺文社の雑誌「高校時代」に掲載した小説と続き,9編の最後の「砂の上の太陽」は実質的 芥川受賞第1作.短編として完結しているものも,尻切れ蜻蛉のものもある.
次第に純文学的な小説 ? になるように配置されているのかと思った.でもこの順番は解題 (今井真理) によれば,執筆された年代順ではないのだった.同じ今井による解説もある.

最初の2篇の洋行・留学談の,自分だけ酷い目にあったような書き方に閉口した.16 トン自身も ¥360/$ 時代の留学での,思い出したくないことを思い出してしまった.

最後の3編「ピエタの像」「ナザレの海」「砂の上の太陽」がやはり「キリスト教作家」らしくて良い.後期のユーモア小説や狐狸庵随筆に (僕が) 感じる手抜き感は希薄.

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朗読「キッチン」

2024-10-08 14:52:58 | 読書

吉本ばなな「キッチン」を聞いている.NHK 朗読の世界 R1 月- 金 2115-2130 だが,もっぱら らじる・らじる,ネット経由である.

老眼の身には朗読はありがたい.じつは吉本隆明も ばなな も,今までちゃんと読んだことがなかった.

耳で聞くだけ.著者が 吉本ばなな であって,吉本バナナ ではないこと,朗読の キタノキイ  は 北乃きい であることなど,識ってはいた.しかし登場する ユウイチ が 雄一 であることは,ネットをチェックするまで分からなかった.ラジオで聴くかぎりでは「雄」という字はこの男の子に似合わないように感じられる.

うすい文庫本1冊が 15 分の朗読 30 回になる.「キッチン」「満月 キッチン2」「ムーンライト・シャドウ」の3部作だそうだ.
現在は「満月」の途中.ユウイチの父親は性転換して母親になり,男に刺されて死んでしまうが,このとき相手を撲殺する... と書いてしまうと波瀾万丈だが,聞いているとそういう感じはない.
キッチンではなくもっぱら「台所」の語が使われているようだ.

1987 年の作品.当時 著者は浅草のだんご屋でウエイトレスをしていたと言う.

この番組で,次にはどの作品を取り上げるか などと頭を悩ますのは,スタッフにとって楽しい仕事に違いない.

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