Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

売れる本,売れない本 (2) 考察

2014-12-01 08:37:08 | 読書
前回は2冊の拙著

小方 厚「音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか」講談社ブルーバックス(2007/9).
小方 厚, 高田 拓人, 中川 響, 山本 勇貴「 視て聴くドレミ: フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/2).

の売れ行きをアマゾンのランキングと印税から比較した.

売れる本「音律と...」,売れない本「視て聴く...」は何が決めるのか?

ファクタとしては出版社が一番大きいと思っている.「音律と...」の出版社,
講談社の書籍売上は日本一だそうだ.定量的には紀伊國屋書店 2013年出版社別売上げベスト100というウェブのページを見ればわかる.
講談社の新刊は新聞広告が出て,主要書店に行きわたる.「視て聴く...」は大学出版会の本で,ふつうの書店ではお目にかかれない.

内容はじつは同じようなものだが,それを判断していただくには実物を手にとっていただかなければならないが,そこまで行っていない感じ.
しかし言わせていただけば「視て聴く...」は二番煎じではない.大学出版会ではじめて可能ないろいろな冒険をして,一歩先の書籍を造ったつもり.本を書くのは孤独な作業だが,「視て聴く...」の作業は編集の方・共著者と一緒で楽しかった.

Youtube に CM 動画を作ったのだが,こちらへのアクセスも数百しかない.



CD を挟んだ本自体は CD のライナーノートのつもりである.CD には数式は登場しないが,紙の本のほうにはフーリエ変換などもサイン・コサインで説明しているが,お読みいただかなくても構わないというスタンス.立ち読みさんが数式を敬遠するから買っていただけないという説もあるが,立ち読み以前に本を手にとっていただく機会がないのかも.

「音律と...」刊行時には 1000 円を越える本は売れないと言われ,原稿から一章を削除した記憶がある.「視て聴く...」は本としては薄くて高いかもしれないが,CD としては普通の値段である.

「音律と...」の内容に関しては直接あるいは出版社経由で読者から沢山のご指摘をいただいた.研究は学会で批判されて成長するが,同じように批判がフィードバックされた「視て聴く...」は悪くはないと思う.
コメント
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