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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

和洋折衷音楽史

2014-12-02 09:00:28 | 新音律
奥中 康人,春秋社 (2014/05).

「BOOK」データベースより*****
幕末以来の洋楽受容のなかで培われ、連綿と受け継がれてきた和洋折衷文化の営み。西洋音楽でもなく日本の伝統音楽でもない、独自の発想と継承に見るおもしろ“折衷”技と人間模様。*****

とにかく面白い! 文章にも味わいがある.PR誌「春秋」連載の文章に加筆されたものとのことだが,学術的文章とエッセイ的なのが混在し,そのためにかえって読みやすいものになっている.

目次は,
序にかえて / 近代化のなかの唱歌 / 和洋合奏に挑む男たち / イノセントなドラマーたち / ラッパ吹きの祝日 / 民間バンドと新生サウンドの快楽 / メディアと五線譜の話
という構成だが,例えば「第3章 イノセントなドラマーたち」の節立てを見ると

キツネとタヌキのセッション / 能楽師がスティックを操るとき / 幕末行進曲の記譜法 / 白狐まつりのヤッパンマルス / ドラムマーチ新撰組を蹴散らす / 幕末鼓笛隊の起源と伝承

となっている.

「序にかえて」の著者の文章を端折って紹介すると,
****従来,音楽史の一部門としての「日本の洋楽受容史」はクラシック音楽文化の日本への輸入状況が中心に据えられてきた.しかしヨーロッパの音楽文化を熱心に模倣するだけの営みには創造性を感じない.これに対し本書で取り上げるさまざまな事例は,外国文化を巧みに摂取しながらも,自分たちの価値観を手放さず (あるいは手放せず) しかも偏狭な排外主義に陥らないスタンスをとっている.***


こちらは Youtube で探し出した,この本に紹介されている北村大沢楽隊の動画.「ジンタ」の流れをくむバンドで,小学校の運動会でも徒競走に合わせて演奏するのだそうだ.音楽はヨーイ・ドンと一緒にスタートし,低学年ではゆるいテンポだが,学年が上がるにつれて早くなり,最後の子がゴールインするまで続いたそうだ.「続いた」と過去形なのは,リーダーの死でバンドが解散したため.

本書を適当に引用すると

彼らの演奏が生み出す心地よさは,西洋音楽の基準で測ることはできない ... 音程やリズムのズレ具合,テンポの不均一のいい加減さは ... 伝統音楽の感覚に近いのではないか ...

これって,ヘテロフォニーの美学といえばいいの,それともカコフォニー ?

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