【政界地獄耳】:安倍派最初の総会を会長ドタキャン欠席の内情/11.23
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:安倍派最初の総会を会長ドタキャン欠席の内情/11.23
★自民党細田派は11日の総会で元首相・安倍晋三の派閥復帰と会長就任を決めた。安倍はあいさつで、「党内最大の政策集団として責任を果たしていく決意だ」と語った。ところが安倍派になって最初の総会が18日に行われたが、なんと安倍自身がドタキャン欠席したのだ。臆測が流れたが、派内の大筋の見立ては「派閥の会長になったものの、派内ではあまり歓迎されていない。長期政権を終えた後も派閥の会長になって権力を行使しようとする権力欲にうんざり」というもの。
権力欲は人一倍なのだが…(C)日刊ゲンダイ
★あれほどの栄華を誇った安倍政権だが、今後はキングメーカーになって院政を敷くというより、まだ前面に出たいという思いがあることへの反発のようだ。「当然だ。派内には前政調会長・下村博文、経産相・萩生田光一、元防衛相・稲田朋美、それに派閥の事務総長となった前コロナ相・西村康稔、それに加えて党総務会長・福田達夫が加わる総裁候補を多く抱える。ところが派閥の会長に安倍が収まればこの中から安倍が指名していくことになる。やり方を間違えれば最大派閥も福田系と安倍系で分裂しかねない。それくらい安倍の派閥領袖(りょうしゅう)就任は刺激的なのだ」。
★それに拍車をかけるように22日に全国の新聞に配信された共同通信論説委員のコラムが「まだやり足りないのか。『大宰相』は『闇将軍』になるべきではない」と手厳しい。ほかにも「権力行使が自己目的化しまるでゲーム感覚だ」「3代続く世襲政治家である安倍氏には『家業』同然かもしれないが国会の議席は公器だ。頂点を極めた人は、たとえやり残したことがあったとしても潔く、誇り高く後景に退くべきだ」と派内や党内の空気を伝え、引導を渡している。(K)※敬称略
◆【 核心評論】:「安倍氏、派閥会長に」 まだやり足りないのか
■『大宰相』は『闇将軍』になるな
安倍晋三元首相が自民党最大派閥に復帰し、会長に就任した。数の力を頼りに時の政権の人事、政策に堂々と口を挟める立場となる。通算在職3千日を超える憲政史上最長の政権を築いた人が、まだやり足りないのか。「大宰相」は「闇将軍」になるべきではない。
派閥とは本来、首相を目指す「親分」が、自らを押し上げる「子分」を集め養う集団だ。森喜朗、麻生太郎両氏ら首相経験者が派閥会長に戻った例は過去にもあるが、多くは短期政権の「不完全燃焼」で、あわよくば返り咲きを狙うような人たちだった。歴史的長期政権を終え、再登板を否定する安倍氏が「1強」と言われる影響力を保持して何をしたいのか。
ロッキード事件で逮捕された田中角栄元首相は自らの派閥を維持拡大し、複数の首相のキングメーカーとなって陰から政治を牛耳った。国民の負託を受けた公職ポストでもない闇将軍は、判断ミスにも責任を問われず引責辞任もない。国会に呼ばれて説明する義務も当然ない。故に数の力がある限りその「支配」が続く。とてもではないが民主主義とは相いれない。
安倍氏を巡っては、国有地が8億円余り値引きして売却された森友学園問題で、安倍氏の妻らが関わる記述を削除する財務省決裁文書改ざんが発覚した。実行を強いられ自殺した近畿財務局元職員の遺族が損害賠償を求めて訴訟を起こし、政府に再調査を求めている。
安倍氏の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填問題でも、公選法違反容疑で告発され不起訴となった安倍氏に対し、東京第1検察審査会が一部を「不起訴不当」とし、東京地検特捜部が再捜査中だ。
これらに関し説明責任から逃げてきた安倍氏が、そのまま隠然たる権力の行使者になろうとしている。かつての角栄氏のように実力者であり続けることで司法の動きをけん制する意図まであるなら論外と言うほかない。
岸田政権誕生までの経緯でも、安倍氏は菅義偉前首相の衆院解散権、人事権の行使に立ちふさがり退陣に至らせた。後継選びの党総裁選では無派閥の高市早苗氏を支持して国会議員票2位に押し上げ、新閣僚、党幹部人事にも影響力を発揮した。権力行使が自己目的化しまるでゲーム感覚だ。
在職5年半で退任した小泉純一郎元首相は派閥へは戻らず、「全力でやった。今まで以上の活躍は無理」と次の衆院選にも出馬しないで政界を引退した。3代続く世襲政治家である安倍氏には「家業」同然かもしれないが、国会の議席は公器だ。頂点を極めた人は、たとえやり残したことがあったとしても潔く、誇り高く後景に退くべきだ。(共同通信論説委員 古口健二)2021/11/12
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2021年11月23日 08:29:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。