【点描・永田町】「完敗」小石河連合の“三者三様”/10.31
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【点描・永田町】「完敗」小石河連合の“三者三様”/10.31
史上初ずくめの10・31衆院選が終盤戦を迎える中、永田町では先の自民党総裁選で本命視されながら岸田文雄首相(総裁)に「完敗」した河野太郎広報本部長と、河野氏を支援した小泉進次郎前環境相、石破茂元幹事長による、いわゆる「小石河」連合の“次”を見据えた政治行動が注目の的だ。衆院選の結果次第では11月以降の政局混迷も想定され、その場合は河野氏ら3人の動向が「新たな党内権力闘争のカギを握る」(自民長老)とみられているからだ。
記者団の質問に答える河野太郎広報本部長=10月11日、東京・永田町の同党本部
後任の山口壮環境相に事務引き継ぎ後、幹部職員にあいさつする小泉進次郎前環境相(中央)=10月5日、東京・霞が関
■自民堅調、安堵の声 甘利氏辞意、岸田首相は立て直し急ぐ【21衆院選】
河野、小泉、石破3氏は、長期にわたった「安倍・菅政権」下の各種世論調査での「次の首相候補の人気番付」で常にトップを争い、岸田首相は下位低迷が続いていた。それだけに「人気トリオが手を組めば負けるはずがない、との思い込みによる安易な総裁選戦略」(自民幹部)が、個別議員に対する多数派工作の手抜きにつながり、「人気者故の上から目線」(若手)が、大派閥幹部をはじめとする多くの議員の反発と離反を招いた末の「完敗」だった。その後の3氏は、河野氏が党7役末席の広報本部長、小泉、石破両氏は「無役」で、実質的な“冷や飯食い”生活だ。もちろん、それぞれの立場で未来を見据えるが、「政治的には三者三様」(閣僚経験者)というのが実態だ。
河野氏は岸田政権発足後の世論調査でも「次期首相候補」のトップを独走し、選挙応援でも引っ張りだこで「ポスト岸田の本命」(同)の立場を確保。一方、国民的大スターだった小泉氏は人気低落が目立ち、「最強の応援弁士」の評価も失われつつある。さらに石破氏は「可能性がある限り(総理総裁への)挑戦は続ける」と執念は見せるものの、石破派からの離脱者続出などで「もう終わった人」(自民長老)との見方が広がるなど、3氏の間でも明暗が分かれている。
◇選挙結果次第で「冷や飯組の反転攻勢」も
岸田首相は党・内閣人事で、総裁選を争った河野、高市早苗、野田聖子の3氏を広報本部長、政調会長、内閣府特命担当相(地方創生、少子化担当など)と、それぞれ一定の要職に起用した。河野氏が所属する麻生派を率いる麻生太郎副総裁は「まず、雑巾掛けに徹すること。それが次につながる」と叱咤(しった)激励。河野氏も「どんな仕事が与えられても全力で務める」と早速、全国を駆け巡っている。「次」を目指す河野氏にとって、最大の課題は自民党内での求心力獲得だけに、国民的人気をてこに各議員との個人的信頼関係構築に腐心する構えだ。
一方、小泉氏は5日の環境相退任時に、見送る職員を前に目を潤ませた。菅義偉前首相の退陣表明の際に続く「涙のパフォーマンス」だったが、党内からは「リーダーを目指すのなら涙は禁物」(自民長老)との批判が相次ぎ、「完全にメッキが剥がれた。次どころか、次の次も怪しい」(自民長老)との厳しい声も広がる。さらに石破氏は「党内の壁が厚いのなら、もっと頑張らないと」と再挑戦への意欲をアピールしたが、党内では「もはや石破氏は総理総裁候補たり得ない」(同)との厳しい声が支配的だ。
岸田政権では「小石河」連合に加え、菅前首相、二階俊博前幹事長の冷遇が際立つため、永田町では「冷や飯グループの反転攻勢で、二階派と菅グループが合流し、小石河連合も取り込む」との物騒なうわさも飛び交う。「そのこと自体が冷や飯組の立場の厳しさの表れ」(麻生派幹部)ではあるが、首相の前途も「決して平たんではない」(同)。それだけに衆院選の結果次第では、その直後から「ポスト岸田への新たな党内権力闘争が始まる」(自民幹部)と予測する向きも少なくない【政治ジャーナリス
元稿:時事通信社 JIJI.com 政治 【政局・コラム・「点描・永田町」】 2021年10月31日 18:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。