路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張①・03.11】:東日本大震災14年 教訓を次に生かす決意を 早期避難が津波防災の鉄則だ

2025-03-11 05:03:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【主張①・03.11】:東日本大震災14年 教訓を次に生かす決意を 早期避難が津波防災の鉄則だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・03.11】:東日本大震災14年 教訓を次に生かす決意を 早期避難が津波防災の鉄則だ 

 「あの日」から14年がたった。東日本大震災の犠牲者に祈りをささげる鎮魂の日が今年も巡ってきた。

 巨大津波が押し寄せ、沿岸の街を容赦なくのみ込んだ。黒い濁流の猛威を決して忘れることはできない。

 災害関連死を含め1万9708人が亡くなり、2520人が行方不明のままだ。発生時刻の午後2時46分、心からの黙禱(もくとう)をささげたい。

 被災地では住宅の建設、道路などのインフラ整備がほぼ完了した。だが東京電力福島第1原発事故が起きた福島県では、7市町村の一部がまだ帰還困難区域となっており、復興にはほど遠い。

大型漁船「第18共徳丸」が打ち上げられた場所の近くには現在、災害公営住宅が並んでいる

 ◆対策で被害は減らせる

 現在も約2万8千人が避難生活を余儀なくされている。昨年11月、原発事故で溶け落ちた燃料デブリの試験的な取り出しが成功し、廃炉への重要な一歩を踏み出したが、その道のりは相当長い。

 被災地では全国平均を上回るペースで人口減少が進む。地域の絆を取り戻し、産業を育てて街を活性化させる努力が続くが、将来に希望を持てる「心の復興」はこれからだ。

 困難に立ち向かう被災者に思いを寄せ、自分ができる支援を続けたい。本格的な復興に向け国を挙げた取り組みを加速させなくてはならない。その誓いを改めて胸に刻む日としたい。

 今年は阪神大震災から30年の節目である。平成を襲った2つの大震災から日本が学んだことは何か。それは災害への楽観的な思い込みを捨てることだ。

 多くの人が「関西では大地震は起きない」と思っていた中、阪神大震災は起きた。東北では巨大地震は起きない、とほとんどの専門家が予測していた。日本の原発は安全で過酷な事故は起きないとされていた。そのいずれもが崩れ落ちた。

 昨年の元日には能登半島地震でも大きな被害が生じた。日本のどこでも大地震は起こり得る。津波が来ない海岸はない。それを肝に銘じ、次の試練に備えなくてはならない。

 地震は防げないが、被害は減らせることも学んだ。阪神大震災では住宅の倒壊によって多くの犠牲者が出たため、これを教訓に耐震基準が強化された。阪神で芽生えたボランティア活動は今日でも全国の災害で大きな力になっている。

 東日本大震災を受けて津波の想定が見直され、各地で堤防や避難施設が整備された。だがハードだけでは命を守れない。大震災では避難の遅れが被害の拡大を招いた。強い揺れを感じたら躊躇(ちゅうちょ)せず直ちに逃げる。この鉄則を次代に伝え続ける必要がある。

 次の大震災まで残された時間は短い。南海トラフ地震は30年以内の発生確率が80%程度と高く、国は最悪で32万人という未曽有の死者数を平成24年に想定した。北海道でも千島海溝の大地震の発生が迫っている。

 ◆「あの日」を思い出そう

 これまでの経験と教訓を総動員し、被害を減らす対策を急ぐべきだ。震災による犠牲を無にしてはならない。それが今を生きるわれわれの責任だろう。原発も安全性を高める不断の努力が欠かせない。

 風化も大きな課題だ。岩手県が昨年実施した意識調査によると、風化が「進んでいる」「やや進んでいる」と答えた人は合計で約50%に及ぶ。

 被災しなかった地域の人は、もっと意識が薄れているだろう。「あの日」を思い返してほしい。自分はどこで、何をしていたか。何を思ったか。それが震災の記憶として心に刻まれる。強い揺れに驚き、家族や大切な人の安否を心配した人は多かったのではないか。

 「もっと話をしておけばよかった」「感謝の気持ちを伝えたかった」。肉親を突然失った人は、よくこう話す。素直に気持ちを伝えることは、普段は誰しも忘れがちだ。3・11は大切な人と心を通わせ、感謝を伝える日であってもいい。

 宮城県南三陸町では9日、防災対策庁舎などで津波の犠牲になった町職員の慰霊碑が公開された。防災無線で住民に避難を呼び掛け続け、津波に巻き込まれた遠藤未希さんの名前も碑に記された。胸に迫る遠藤さんの声は忘れられない。

 自分の命と大切な人の命を守るために、何ができるのか。全ての国民が真剣に考え、災害に強い日本をつくっていく。その決意を新たにしたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月11日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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