路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【卓上四季・05.03】:日本の憲法

2024-05-05 05:05:30 | 【憲法問題「護憲・改憲・違憲論争・緊急事態条項・九条の改正、自主憲法制定論議他】

【卓上四季・05.03】:日本の憲法

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・05.03】:日本の憲法

 柴田元幸さんは英米文学の名うての翻訳家である。オースター、サリンジャー、ブコウスキー…。こうした人気作家の作品を柴田さんは生き生きとした日本語で幅広く届けてきた

 ▼この達人が日本国憲法の英訳版を和訳した(「対訳 英語版でよむ日本の憲法」)。どういうことか。敗戦後の占領下、日本政府の官報は日本文と英文の2種あった。憲法の公布時に憲法の英訳版が英文官報に掲載された。これを先入観を持たずに<宇宙人の目>で翻訳した

 ▼幸福追求権を定めた13条はこうなった。<人はみな、個人として尊重せねばならない。生命・自由の権利、幸福を追求する権利は、それが公の福利を妨げないかぎり、法律の制定をはじめ国政において何より尊重せねばならない>

 ▼この条文に柴田さんはアメリカ独立宣言の響きを聞き取ったという。確かに日本国憲法にはフランス革命時の人権宣言をはじめ、人類が掲げてきた理想や知恵が流れ込んでいる。達意の翻訳だからこそ、憲法の本質や精神がよく表れたともいえるだろう

 ▼かつて池澤夏樹さんも同様の翻訳を試みている(「憲法なんて知らないよ」)。戦争放棄を含めて、憲法の理念の実現へ向けて努力が必要だ―。前書きで呼び掛けた。世界で戦禍が続くいま、重みを増している

 ▼きょうは憲法記念日だ。言葉の専門家である文学者の試みから、憲法を考えてみるのもいいだろう。 

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2024年05月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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