【大阪商工会議所・鳥井会頭】:「万博きっかけに中小企業活性化を」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大阪商工会議所・鳥井会頭】:「万博きっかけに中小企業活性化を」
2025年は4月に大阪・関西万博が開幕する万博イヤーだ。成功に向けてどう機運を高め、閉幕後にはレガシー(遺産)をどう活用していくのか。大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(71)=サントリーホールディングス副会長=が毎日新聞のインタビューに応じ、大阪・関西万博をきっかけに、中小企業の商機を広げる仕組みづくりを大商が中心になって整備する考えを示した。【聞き手・妹尾直道】
――2025年の日本経済をどう見ますか。
◆24年は円安が進み、日経平均株価は4万円を超えました。大企業は円安でプラスになりましたが、中小企業は円安、原材料高、人手不足で経営が厳しく、会社の規模やサプライチェーン(供給網)の安定度で明暗が分かれました。25年も原材料が高止まりし、急激に悪くはならないが、急激に良くはならない。穏やかな成長が進むのではないでしょうか。
――賃上げの機運も高まっています。
◆賃上げできるところとできないところの差がはっきりしています。4次や5次下請けではなかなか価格転嫁に応じてもらえていないのが実態です。全体で価格転嫁の痛みを分け合うようなことがないと、インフレを上回る賃上げと緩やかな経済成長の好循環は止まってしまいます。官民挙げてそうした機運を作っていく必要があります。
――万博の注目点はどこですか。
◆万博で注目するのは大屋根リングです。世界最大級の木造建築物で、瀬戸内海に沈む太陽も見ることができます。海外から約160カ国・地域が出展し、各国の食にも注目しています。ただ、万博で何をやるのか分からず、内容が伝わってこないという人も多いです。これからはマーケティング的にも勝負の時期になります。
――中小企業にとって、万博は大きく羽ばたくきっかけになります。
◆大阪ヘルスケアパビリオンでは441事業者が自分たちの技術を週替わりで出展します。透明に見せる服や光合成する服、行っただけで健康状態が分かる「ウエルネスオフィス」など夢のある技術が展示されます。
万博後も事業者がイノベーションを作っていくような仕組みをどう整えていくかが重要です。大商が旗振り役になって大阪府・市や大学と連携を組んで、企業ネットワークを作っていきたいです。中小企業を活性化するために、見本市などを続けていきたいと思います。万博を機に各国ともネットワークをつくり、海外との連携も深めたいです。
――万博が開催される夢洲の跡地活用についてはどのように考えていますか。
◆個人的には万博のレガシー(遺産)を残すようなことをしてほしいと思っています。一方で、維持に大きな金額もかかります。レガシーを保持しながら収入もあって周囲と調和していくようなものを、時間をかけて考えていくのが良いのではないでしょうか。
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