路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【卓上四季・03.07】:治安維持法100年

2025-03-10 04:05:30 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍の功罪・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

【卓上四季・03.07】:治安維持法100年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・03.07】:治安維持法100年

 近代日本の歩みで記憶すべき日付はいくつもある。すぐ思い浮かぶのは原爆忌や8月15日か。100年前のきょうもそのひとつだろう。治安維持法が衆院を通過した日である

 ▼1945年10月の廃止まで、法律が存在したのは20年。その間、人々の権利と自由が際限なく奪われた。<「来るべき戦争遂行の準備」のための最強の武器>となった悪法―。小樽商大名誉教授の荻野富士夫さんが、近著「検証 治安維持法」(平凡社新書)で鋭く指摘している

 ▼大正期に高まった社会運動を狙った。その範囲はどんどん拡大する。教師、学生、市民…。虐殺された小林多喜二はむろん、「君たちはどう生きるか」の吉野源三郎のような穏健な作家も弾圧された

 ▼植民地だった朝鮮や台湾でも猛威を振るう。韓国の国民的詩人、尹東柱(ユンドンジュ)も犠牲となる。同志社大で学ぶが、独立運動に関わったとして逮捕され、45年2月に獄死する。官憲によるでっちあげであった

 ▼<死ぬ日まで空を仰ぎ/一点の恥辱(はじ)なきことを、/葉あいにそよぐ風にも/わたしは心痛んだ>…。日本留学の前に作った名高い「序詩」は運命を暗示する。没後80年の先月、同志社大は詩人に名誉文化博士の学位を贈った。歴史の記憶のために

 ▼無辜(むこ)の人がどれだけいたか。悪法はなにを踏みにじったか。検証と継承を忘れてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2025年03月07日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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