【社説①・12.18】:政策活動費全廃 伯仲国会の成果、もっと
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.18】:政策活動費全廃 伯仲国会の成果、もっと
自民党派閥裏金事件を受けた政治改革を巡り、使途公開が不要な政策活動費を全廃する政治資金規正法改正案が衆院を通過した=写真。立憲民主など野党7党の共同提出法案に自民、公明の与党も賛成し、今国会成立の見通しだ。
政策活動費全廃に反対していた自民党が賛成に転じたのは、10月の衆院選で有権者が裏金問題に厳しい審判を下し、与野党伯仲となった成果だ。来年3月まで結論が先送りされた企業・団体献金の廃止にも踏み込むよう求める。
政策活動費は政党が議員個人に支出する資金。自民党幹事長には年10億円程度が渡され、使途は一切、明らかにされていない。野党側は巨額の「ブラックボックス」と批判してきた。
自民党は衆院選惨敗後、政策活動費の廃止に転じたものの、衆院に提出した法案には外交秘密や支出先のプライバシーに配慮し、支出相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の例外を設けた。
政治資金は透明性が重要だと強調しながら、例外を設けて不透明さを残すことに国民の理解は得られない。例外規定を削除し、野党案を受け入れたのは当然だ。
一方、金権腐敗の元凶とされてきた企業・団体献金については、禁止法案を提出した立民と、存続を主張する自民との溝が埋まらなかった。日本維新の会や国民民主党は立民案に献金禁止の抜け道があるとして賛同していない。より多くの野党が足並みをそろえ、自民党に譲歩を迫るべきだ。
17日の衆院本会議では、税金から毎月100万円が国会議員に支給される「調査研究広報滞在費」(旧文通費)の使途公開を定めた歳費法改正案も可決され、今国会で成立する運びだ。3年前から自民党の意向で先送りが繰り返されてきた課題がようやく決着するのも、伯仲国会となったためだ。
ただ、議員が旧文通費を自身の政治団体に全額寄付し、政治資金にする例も多く、議員活動にふさわしい使途の範囲を来年8月の施行までに定める必要がある。
伯仲国会の状況を、政治への信頼回復につなげるため、与野党は誠実に協議を重ねるべきだ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月18日 07:21:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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