【社説②・12.18】:自民の不記載 地方の不正も解明せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.18】:自民の不記載 地方の不正も解明せよ
自民党の東京都議会議員がパーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったことが分かった。国会議員の派閥裏金事件と似た不正が、地方の議員や組織にもまん延していることをうかがわせる。自民党は全国で調査し、結果を公表すべきだ。
都議会自民党が、政治資金規正法違反(虚偽記入)の公訴時効前5年間に行われた会派パーティー2回分について調査した結果、20人ほどに不記載があり、金額が計100万円超の都議も複数いた、という。
都議にはパーティー券50枚(計100万円)の販売ノルマがありそれを超える販売収入を都議会自民党に納めず「中抜き」して、個人的に得ていたとみられる。
収支報告書に記載されず、裏金化していた疑いがある。捜査当局は刑事事件として立件すべき事例がないか、政治資金の「闇」の解明に尽くすべきだ。
国政では、派閥パーティー収入の一部を国会議員側に還流しながら収支報告書に記載しなかったとして、国会議員ら11人が規正法違反で立件された。党本部の調査によると、記載漏れなどがあった議員らは85人に上り、国民の信頼を失った自民党は10月の衆院選で惨敗し、少数与党に転落した。
自民党の政治資金を巡るずさんな処理は国会議員に限らず、地方議員や組織でも横行していたことが次々と明らかになっている。
岐阜県連では2021、22年のパーティーで、県議や市議らの関係団体に計700万円超の還流があったとして岐阜市支部が収支報告書を訂正。会場収容人数の7倍超のパーティー券を販売した栃木県連、2倍超の富山県連などの不明朗な収入も指摘されている。
愛知県の知多市支部では09年から今年まで収支報告書が未提出だった。伊藤忠彦復興相や元県議が代表や事務担当者を務め、元県議は「忙しかった」と釈明した。
いずれも法律を順守しようという姿勢を欠き、言語道断だ。
石破茂内閣は規正法再改正を巡り、政策活動費の全廃は渋々受け入れたものの、企業・団体献金の廃止はかたくなに拒んでいる。
来年は参院選や都議選があり、国民や都民の審判を受ける。
自民党は国会議員に加えて、地方の議員や組織の不正も直視し、たまった組織の「膿(うみ)」を出し切らねば、信頼回復など望めない。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月18日 07:20:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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