【主張①・12.29】:大統領代行を弾劾 韓国野党は愚挙に走るな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.29】:大統領代行を弾劾 韓国野党は愚挙に走るな
韓国の国会が、大統領権限を代行する韓悳洙首相の弾劾訴追案を可決した。韓氏は職務停止となり、崔相穆経済副首相兼企画財政相が大統領代行を引き継いだ。
尹錫悦大統領への弾劾訴追から2週間で、韓氏は国政を預かる席を追われたことになる。
「共に民主党」など韓国野党による今回の弾劾訴追は行き過ぎの観が否めない。
韓悳洙首相の弾劾訴追案の可決ラインを過半数とした禹元植議長(奥)に抗議する与党議員ら(共同)
国政を麻痺(まひ)させ、国際信用をさらに落としても構わないのか。すでに市場は反応し、ウォン安が進行している。
民主主義国で政府与党と野党が対立するのはやむを得ないが、国を動揺させないため節度を弁(わきま)えるべきだ。
それを無視して戒厳令を発した尹大統領が弾劾訴追されたのは当然だ。ただし、野党が弾劾訴追をさらに重ねれば、自身への批判も高まるだろう。尹氏が戒厳令に走った理由の一つに、野党側の閣僚らへの弾劾連発による国政停滞があった。戒厳令という暴挙を招き寄せた反省は野党側にはないようだ。
韓国の憲法裁判所では尹氏の弾劾審判が始まった。裁判官の定員は9人だが、今は3人が欠員である。大統領弾劾には6人の賛成が必要で、1人でも反対すれば棄却される状況だ。
野党は国会で裁判官3人の補充案を決めたが、韓氏が任命を留保したため弾劾訴追案を可決した。野党は、後任の崔氏が裁判官任命を認めなければ弾劾訴追案を出す構えという。
だが、この問題は弾劾訴追よりも話し合いで解決すべき事柄である。
韓国の大統領は、外交を含む国政の最高責任者であり、軍の最高司令官である。代行であっても極めて重い責任を担う。
北朝鮮はロシアのウクライナ侵略に加担し、その代価として軍事技術を得て核・ミサイル戦力を強化しようとしている。米国では来年1月20日にトランプ政権が始動する。
このような時期に、大統領権限保持者の地位が不安定なままで韓国は対応できるのか。北朝鮮などが、軍事挑発や世論工作を仕掛けてくる恐れもある。
混乱する韓国政治の現状は、日本を含む地域の安全保障も損なう。李氏朝鮮時代の激しい政争だった「党争」を現代に再現させるような真似(まね)はもう控えてもらいたい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月29日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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