【金口木舌・11.28】:知識の効用
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.28】:知識の効用
日々の暮らしに追われる中でスマホを操作する。画面の文字を目で追って得られるのが「情報」なら、そこに他者との関係や歴史、社会の中で育まれた思考や経験が加われば「知識」になる
▼素早く情報を入手できる道具を誰しも手にできる時代だが、知識を深める余裕は失われていないか。文芸評論家の三宅香帆さんは、本が読めなくなった要因には仕事ばかりに時間をささげ、余裕がなくなった働き方があるとみる
▼そんな時代だから、戦略的な情報発信は選挙結果を左右しよう。ただ、思わぬ反動も。兵庫県知事選で広報を担ったというPR会社が戦略の実績を披歴し、波紋を広げている。ネット上の交流サイト(SNS)も戦術の一つ。手っ取り早い情報発信のツールで使ったそう
▼乗せられたと思ったのか、有権者の間からは「心情をもてあそばれた」「だまされた気分だ」との声が出る。とはいえ迷いなく投票した人もいよう。選挙結果は重く受け止めたい
▼雑多な情報にあふれ、耳障りなことも多い。惑わされることなく暮らすには知識があってこそ。便利な道具だけに頼らず、他者や社会と接する余裕を持ちたい。
元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月28日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます