《社説②》:米中対立下の日独関係 リスク最小化する連携を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:米中対立下の日独関係 リスク最小化する連携を
ウクライナ危機や米中対立など激動する国際情勢に対応するため、日本とドイツが経済や安全保障分野での協力のレベルを引き上げる。時宜にかなった判断だ。
岸田文雄首相とドイツのショルツ首相が、外務・防衛・経済などの主要閣僚を交え、初めての政府間協議を東京で開いた。ドイツはインド、中国などとはこうした協議の場を持っているが、日本との間にはなかった。
ショルツ氏は昨年4月、首相就任後初のアジア訪問先に日本を選んだ。今回は、2回目の来日となった。6人の閣僚や経済界代表を同行させたこととあわせ、関係強化への意欲の表れだろう。
新型コロナウイルス禍とウクライナ危機は、サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化や、エネルギー確保の重要性を再認識させた。
米中は、半導体やレアアース(希土類)など戦略物資の流通を「武器化」して対立を激化させている。世界経済のデカップリング(分断)への懸念が広がる。
日独協議の主な議題は、中国を念頭に置いた経済安全保障だ。
ともにエネルギーの輸入依存度が高く、産業立国という共通点がある。
両国にとって中国は最大の貿易相手国だが、重要物資を過度に依存することへの警戒感が強まっている。
ショルツ氏は共同記者会見で「パートナー国との連携を拡大し、特定の地域や国への依存を軽減し、国内産業の強靱化を進めなければならない」と語った。
電子機器の生産に不可欠なレアアースは、世界生産の6割を中国が占めるが、欧州は脱中国依存を図っている。ドイツは、レアアースの備蓄を進める日本のノウハウに関心があるという。
近年は、安全保障分野でも外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれ、ドイツ海軍のフリゲート艦が日本に寄港するなど、協力が進んでいる。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年03月28日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます