たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『春日局』

2016年01月16日 19時37分05秒 | ミュージカル・舞台・映画
2015年1月6日、明治座にて観劇

おふく(春日局):高島礼子
お江与:一路真輝
徳川家光:金子昇
紫:京野ことみ
徳川秀忠:山崎銀之丞
徳川家康:西郷輝彦
竹千代:加藤清史郎

原作・脚本 橋田壽賀子
演出 石井ふく子


「あらすじ

 1604年の春。かつては五万石の領主であった稲葉正成だったが、運命のいたずらに浪々の身となり、その妻おふくは幾度の戦に疲れ果て、今、家族と共に過ごす戦のない心安らかな日々に喜びを感じていた。ある日、母・お安のもとに、おふくを二代じ将軍秀忠の子の乳母に推挙したいという文が届く。おふくは断ったものの、徳川将軍・家康の和平を強く願う想いに打たれ、自分の力が少しでも天下の和平に役立つならばと、乳母になることを決意するのであった。

 一方、二代将軍・秀忠の正室であるお江与は、長男・竹千代を産むが、その手に我が子を抱くことも育てることも許されないことに憤りを感じていた。その怒りはおふくに向けられ、おふくとお江与の間には大きな溝がうまれていった。

 お江与は、次男の国千代が産まれると国千代を偏愛するようになる。ある日竹千代は、母・お江与の元を訪ねるが、冷たくあしらわれ、お江与の国千代を寵愛する姿を目の当たりにし、おふくこそが自分の母親であると強く感じるのだった。

 数年が経ち、立派に成長した竹千代であったが、祖父や父のやり方に辟易し、次期将軍の座を拒むようになっていた。それを知ったおふくは、一人駿府へ赴き、家康へ直々に思いをうちあけた。家康はおふくの心に触れ、江戸城で秀忠はじめ家臣一同を集め、徳川の世継ぎは代々嫡男とする、つまりは「次期将軍は竹千代である」と告げるのだった。

 家康の死後、竹千代は家光と改め三代将軍となった。そんな折、家光が吉原の遊女・紫にいれあげ通い詰めるようになる。おふくは紫を身受けしようとしたが、紫は相手が父の敵である徳川であることを知り、心を痛め自害してしまう。紫の死を知った家光はおふくを恨んだ。しかしお江与から、天下和平を築き、戦の無い世の中にすることが紫への供養になると諭され、家光は徳川三代将軍として立派に徳川の天下を守ることを誓うのであった。

 その夜、おふくとお江与はお互いの心の内を語りはじめるー。」

(明治座発行、公式プログラムより全文引用しました。)


 台詞回しはまさに橋田壽賀子さんの脚本といった舞台でした。

 竹千代を自分の手で育てることができないと知った一路さん演じるお江与の方の、おふくに嫉妬する狂乱ぶりがすさまじく、男役をやってきた一路さんならではの強さを感じました。母に会いたくて会いたくて顔を見せたのに、自分の手では育てることができなかった竹千代を、お江与は拒絶します。

 母に拒絶され、弟である国千代への寵愛ぶりをみせつけられた竹千代は、おふくのもとに戻り、自分にはもうおふくしかいないと涙を流します。孤独な少年時代を思春期にさしかかった清史郎君がすがすがしく演じました。成長した家光を演じた金子さんも清潔感があって素敵でした。京野さん演じる遊女・紫が自ら命を絶つ道を選ばざるを得なかった場面も心に残りました。お江与の方とおふくが心を通わせ語り合う場面、お二人の演技が秀逸でした。最後はおふくが桜吹雪に包まれて幕が下りて行きました。ミュージカルのように客席も舞台に参加しているという雰囲気とはまた違って久しぶりに歌舞伎座にいったような、不思議な居心地でした。

 清史郎君、声変わり中なのでしばらくミュージカルの舞台はないかな。成長してまたミュージカルの舞台に戻って来る日を楽しみにしています。

 余談ですが清史郎君がお正月の「SMAP×SMAP」スペシャルに登場したのは、2010年のことだったでしょうか。SMAP解散が事務所内の派閥争い、お家騒動の顛末だとしたら人はどこまでも愚かしきものかなと悲しくなります。傲慢な経営者はいつかどこかでしっぺ返しを喰らうことになると私は思います。


(トップの清史郎君の写真はmerumonewsより転用しています。)






歌舞伎座みたいにのぼりが立っていて不思議な感じでした。