たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

星組『霧深きエルベのほとり』『エストレージャス』(4)

2019年01月20日 23時06分00秒 | 宝塚
 まだまだひきずっています。まだまだひたっています。なんだろう、このあたたかい気持ちになれる余韻。寒い寒い冬の夜、次の書類の案内を読んだら心がボキっと折れた夜、先がみえない不安におそわれる夜、あたたかい気持ちになれる舞台を思い出し。

(舞台写真はツィッターから拾いました)



『霧深きエルベのほとり』

オープニングは大階段を使ったビア祭りの場面。楽しかった。あとは儚く切なく・・・。



ビア祭りの日、出会ったばかりのカールとマルギットがハンブルクの街を見下ろす丘の上で「ビールの泡のように いつの日か消える」と歌う場面。朴訥で言葉は荒っぽいけど心根は優しい奴なんだろうなと思わせるカールと全く汚れなく無垢で同時に残酷なまでに無知なマルギット。




二人が幸せだったのは翌日湖上のレストランを訪れる時までの、ほんの短い時間でした。




タキシード姿の紅カールがシュラック家のソファに長すぎる足を投げ出して悪ぶる姿も印象的でした。

ショー『エストレージャス』

三回目のデュエットダンス、妃咲愛里さんの淡いピンク色の衣装は花乃まりあさんが着用されていたものだそうでよくお似合いです。リフトもむずかしそうな振り付けもなく、信頼しあったトップコンビの、しっとりと美しい時間が流れていたダンス。物語では離れ離れになったカールとマルギットが出会って幸せをかみしめながら踊っているようでした。カールの儚く散った夢の続きかな。小顔で手足の長いお二人、見目麗し。人の心に沁みるのは技術ではないのだとしみじみ感じました。振付は若央りささん、わたしの中では永遠のベルナール。



ショーの中詰めの客席降り、SNSの情報を参考にさせていただくとわたしがハイタッチしたのは華雪りらさん、瀬稀ゆりとさん、目の前で踊っていたのが小桜ほのかさん、プロローグの客席降りでハイタッチしたのは朝水りょうさん、彩葉玲央さん、すぐ横で踊っていたのが七星美紀さん。通路をはさんで反対側にお子さんがいたので笑いかけたり握手したりしていらっしゃいました。歌劇の殿堂で一生懸命タブレット端末で写真とっていたお子さんかな。楽しい記憶はずっと心に残るね、大きくなってもきっと体が覚えているよね・・・。

すぐ近くのジェンヌさんたちもみたいし、舞台もみたいし、とにかく目が忙しかった。
客席を盛り上げていたジェンヌさんたちが、紅さんが歌い始めるといっせいに紅さんに顔をむけていたのも印象的。




心の中にはあったかいものがあふれているのに、とってもいい奴なのに、なんか不器用にしか生きられない、損といえばそんな役回りばっかりな奴の心情をかっこよく昇華させてくれる、人間味あふれる紅カール、唯一無二。『金色の砂漠』『神々の土地』と、どうしようもない人間の心を描き、役者を根本から揺さぶる作品を生み出した上田久美子先生だからこその潤色。

「(初舞台を踏んだ第88期生の中で「あの子は間違いなくトップスターになる!」という当時の振付担当の大谷盛雄先生の)予言は的中しましたがその栄光を手にするまでの道程はいらばの道も少なくありませんでした。けれど彼女は苦難の時ほど笑顔を絶やしませんでした。それは時には痛々しくなる程に・・・。多くの経験が彼女自身を大人へと成長させ誰よりも心根が優しく人を思いやれる”人”にさせていったのでしょう。」(『AnotherWorld』『キラー・ルージュ』のプログラムにある齋藤吉正先生のメッセージ)

つらい時ほど笑って、背中丸めずまっすぐに、自分を信じて・・・。



歌劇の殿堂では台湾公演展やっていました。日比谷が遠くなったのさみしいけど、往復の新幹線代分で大劇場日帰りツアーに行けるようになりました。あんなに遠かった歌劇の殿堂がぐっと近くなりました。東京宝塚劇場はチケットとれないし、これからは関西方面での観劇が多くなるかな。