たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2013年『アンナ・カレーニナ』_思い出し日記

2019年01月22日 22時23分08秒 | ミュージカル・舞台・映画
 2013年2月17日(日)、ル・テアトル銀座で『アンナ・カレーニナ』千穐楽を観劇しました。ル・テアトル銀座にとっても千穐楽。公演近くに取ったチケット、二階席の最後列だったと思います。仕事で疲れ果てた体を引きずるようにして日曜日に銀座までたどり着いた記憶があります。ザ・ファイルとうたわれていて、一路真輝さんがアンナ・カレーニナを演じるのは三度目でこれが最後ということでしたが、わたしは初見でした。2006年初演、2010年から2011年にかけても上演されていましたが二人分労働しながら卒業論文執筆、カウンセリングスクール、PSW受験勉強と忙しく観劇からすっかり遠のいていた時期で全く知りませんでした。結婚、出産を経て仕事に復帰された一路さんの最初の舞台が『アンナ・カレーニナ』だったんですね。プログラムの上演記録をみて、初演で井上芳雄さんがヴロンスキー役だったのびっくり、『エリザベート』では親子だったからなんとも不思議。
「2013年2月18日(月)


悲しみ、苦しみ、辛さ、言葉に言い尽くせぬ色んな思いと私はいつしか同化していた。それらはみんな私の身体の一部になっていた。これからも共に生きていかなければならない。なぜなのかはわからないが背負うというよりも一緒に生きていく感じに今はなっている。


幸せになりたいと思う。天命を全うしたいと思う。ゆっくりいこう、あせることはない、できることから少しずつ・・・。

深く生きる人生になったことに感謝・・・。

土・日・祝日の予定が続いている。ちょっときついかな。休みをとろう。

警察博物館の前を通りかかったので震災記録活動写真展をみた。私たち日本人は忘れっぽい。私は忘れないでいたい。こうして生きていることは当たり前ではなく奇跡なんだ。

『アンナ・カレーニナ』、悲しい結末だった。なんともやりきれない思いが残るが、舞台としてのグレードは高かった。一路さんのドレス姿が美しかった。男役の面影を残しつつ、すごく素敵に着こなしていた。最後は主人公と同化、すごいね、役者さんって」

 一路さんのデコルテの美しさが存分に発揮されているドレス姿でした。アンナが夫の元に残してきた愛息セリョージャへの思慕を歌う「セリョージャ」が悲痛な叫びにきこえました。最後は行き場を失い列車に飛び込んでしまうアンナを舞台の上で生きることは、果てしのない消耗感を伴うものなんだろうなと思いました。15歳も年上の夫で堅物な政府高官のカレーニンとの暮らしに淋しさを感じていたアンナは伊礼彼方さん演じる青年将校ヴロンスキーに惹かれヴェニスに駆け落ち。二人の間に子どもが誕生しますが、アンナの中にはカレーニンとの間に生まれたセリョージャへの想いが募るばかりで、ヴロンスキーも二人の間に生まれた子どももアンナの満たされぬ想いを埋めることはできません。アンナは子どもを可愛がる様子も見せず、ただただセリョージャに会いたい。過ちを悔やみ、会いたくて会いたくてカレーニンの家を訪れますが、カレーニンはセリョージャに会わせることを拒絶します。残されたカレーニンとセリョージャの二人の暮らし、山路和弘さん演じるカレーニンの、母に会いたがるセリョージャをさとす姿もまた沁みました。セリョージャへの思慕に身も心もやつれていくアンナ。狂わんばかりの姿は痛ましいものがありました。ヴロンスキーに落胆し、カレーニンの家に帰ることもできず、ヴロンスキーとの仲を標的にした社交界の居場所もなく、行き場をなくしたアンナが
最後に辿り着いたのは、セリョージャに会える夢の世界。

 結婚して子どもまでいるのに、勝手に人を好きになって子どもを置いて家を飛び出したアンナが子どもに会いたいと今さら言うなんてすごく自分勝手なわけで、むしろアンナを責めるカレーニンに共感。なかなかアンナに共感するのはむずかしい。プログラムで一路さんは、「”身勝手な女性の自業自得”で終わらせたくない、いい意味でも悪い意味でも世間知らずな、常に少女の気持ちで何事にも純粋に向き合い、純粋だからこそ周囲から慕われ、純粋過ぎたがために己の心を押し潰されてしまう。そんなアンナにしたいと思っています。皆さんに共感していただけるようなアンナになれたかどうか、ぜひ見届けていただきたいと思います。」と語っています。自分の気持ちに正直に生きる姿は痛ましいほどに潔く、その代償は大きすぎたのかもしれませんが天国でセリョージャと会える道を選んだアンナにとっては幸せだったのかな。ヴロンスキーと暮らすようになってどんどん満たされない想いが募っていくアンナの姿はつらかったですけどね。列車の汽笛の音と煙の中にアンナの想いは昇華されていきました。アンナの最後の表情、今も心の引き出しの中に残っています。一路さん、綺麗でした。

 千穐楽のカーテンコールを仕切ったのは春風ひとみさん。社交界でアンナとヴロンスキーとの仲を先頭に立って噂するプリンセス・ベッツィーをいやらしく演じていましたがMCは素のからっとした明るさ。制服フェチで伊礼彼方さんの軍服姿にときめいたという内容の話をされました。最後は大千穐楽の名鉄ホール公演にもお越しくださいと、みんなで名古屋へビュンビュン」ってやっていました。おもい舞台のあとでのカーテンコール、ほっとしたひとときでした。

 明後日に宝塚の『アンナ・カレーニナ』ライブビューイングをひかえているので、書きたかったけど書けなかった思い出し日記、ようやく書けました。もう少し書きたいことありますが今日はこれにて。







 明日はハロワ。ド田舎ではなかなかきびしいですが自分を責めたくなるようなことはできるだけ外で考えたい。作業はできるだけ外ですませたいと思うしだい。