今日も朝から雨模様。晴れ間をぬって自転車で外出し、なんとか一通目の書類を郵送。二通目の準備をするべくハロワに行こうとしていましたが予定が合わず明日に持ち越しとなりました。緊張しながら、書けるところだけ書いていたら(このご時世ですが書類は手書きです)、頭が疲れてしまったので気分転換につらつらとまたブログを更新。
「ソ・ユンミ 脚本・作詞・音楽
何があっても傷口をこじ開けて記憶したハンス
歪曲された記憶を持って傷の上に危なっかしく立っているヘルマン。
記憶しているけれど、その後ろに隠れているヨナス。
そして、激しい嵐を内に秘めたまま平穏を装うアンナ。
記憶を残すことを選んだ子供たちは、これからどこに行くのでしょう。
子供たちにはひとつの「世界」だったメリーは、善でしょうか、悪でしょうか。あえて質問する必要はないと思います。私たちが住んでいる世界にその答えは存在しないし、今、私たちにとって大切なことはその「世界」の実体ではなく、私たちがどう生きるべきか、なのですから。
記憶の部屋の奥底で固く閉ざされた扉を開けた子供たちは、これからまた違う「世界」に出会うことでしょう。そこが天国であれ、地獄であれ、彼らはもう大丈夫です。彼らは質問し、自ら答えを出すために、心の痛みの内側を覗けるくらいに成長したのですから。」
(2014年公演プログラムより)
2013年1月に池袋で一路真輝さん主演の『シャーロックホームズ~アンダーソン家の秘密~』という韓国ミュージカルを観ました(いずれブログに書けたらいいなと思っています)。アメリカにもヨーロッパにもない、アジア特有の湿り気感のある作品だと感じました。『ブラック メリー ポピンズ』は二度目の韓国ミュージカル。『フランケンシュタイン』でも思いましたが、こういう人の根源を揺さぶるような作品を生み出す土壌がある韓国とはどういう国なのだろうと。その後交流を絶ってしまった女性と一緒に一度だけ韓国を訪れたことがあります。女性はその後に本の会社を退職すると単身韓国へと旅立ちました。かなり年下の彼ができたというところまでは知っているのですがその後はどうしているかわかりません。日本以上に生きて行くことがきびしい国だと彼女の口からきいたことがあります。政治的にはいろいろあるようですが、こうして韓国ミュージカルが日本で上演される時代になりました。また訪れてみたいです。
お目当てだったメリー役の一路真輝さん、出番は多くありませんでしたが、舞台の上にはいつもメリーがいる感覚でした。記憶の糸をたぐり始めた子供たちは博士を殺めた犯人として先ずメリーに疑いの目を向けます。メリーが博士を殺して家に火を放ったのか、手帳からメリーが博士の共同研究者だったとわかるとメリーは敵なのかと疑い、記憶の糸をたぐり寄せながら子供たちは揺れ続けました。メリーが絵本を読んで聞かせてくれた幸せな子供時代、メリーに甘えた幸せな子供時代、本当の母親を知らない子供たちにとってメリーは母なる存在でした。それだけにメリーを疑ったとき子供たちの裏切られた感、失望感も計り知れないものがありました。実際には子供たちが記憶を呼び覚ます場面で断片的に登場し、あとは子供たちが記憶を呼び覚ました現代で最後に登場するだけでしたが、子供たちの記憶の中にいつもいるメリーの存在感は抜群でした。男役としては小柄な一路さんでしたが黒い衣装を着こなすキリっとした居ずまいはさすがのかっこよさいた。登場するだけで場の空気感が変わりました。「周囲を見渡す年齢になってきたんだなと実感しています」と2014年プログラムに書かれています。ほぼ同年代で雪組の二番手時代から一路さんの舞台を拝見してきているので、自分も歳を重ねてきたんだなとしみじみ。演出の鈴木裕美さんとは『アンナ・カレーニナ』初演からのお付き合いとのことで、プログラムの対談記事を楽しく拝読。
最初タイトルだけ知った時はパロディ?と思いました。『メリーポピンズ』で作品のトラヴァース夫人が一番描きたかったのは、実はお手伝いさんではなく幼い頃アル中で亡くなったお父さんの面影を反映させた銀行員のお父さんだったという深い物語ですが、こちらも深い物語。
タイトルのブラックとは?
音月桂さん:「人間の繊細な部分」「心の闇」を表現しているのだと思います。
小西遼生さん:イメージは文字通り「黒」。
良知良次さん;「思い出したくない記憶」。光と陰があったら、陰の部分、それがグレーになってゆく・・・という印象です。
上山竜司さん;「トラウマ」だと解釈しています。
一路真輝さん:お客様に対する「だまし」や文字通り「暗いお話」というイメージ。でも色々な捉え方が出来ると思います。
鈴木裕美さん(演出);センス、みないな意味でとらえています。ある視点、とか、ひとつの、とか、そんなイメージ。
(2014年年公演プログラムより)
2014年と2016年で一番違ったのは客席だったかも。2014年は音月さんの退団後初舞台に一路さんも出演で宝塚ファンが多く慣れた空気でしたが、2016年は中川翔子さんファンなんでしょうね、コスプレ?している若い方もちらほらお見受け。一路さんのことを知らない方もたくさんいたようで2014年とはかなり違う空気でした。
(写真は公式とSPICEツイッターよりお借りしています。)
2014年

2015年




2016年公演の東京公演千穐楽、カーテンコール。
わたしのお隣は全身ピンク色のアンナでした。

ずっと書きたかった『ブラック メリー ポピンズ』、ようやく書けました。お付き合いください、ありがとうございました。
明日はまたハロワ。エネルギーふりしぼってやるしかない・・・。
「ソ・ユンミ 脚本・作詞・音楽
何があっても傷口をこじ開けて記憶したハンス
歪曲された記憶を持って傷の上に危なっかしく立っているヘルマン。
記憶しているけれど、その後ろに隠れているヨナス。
そして、激しい嵐を内に秘めたまま平穏を装うアンナ。
記憶を残すことを選んだ子供たちは、これからどこに行くのでしょう。
子供たちにはひとつの「世界」だったメリーは、善でしょうか、悪でしょうか。あえて質問する必要はないと思います。私たちが住んでいる世界にその答えは存在しないし、今、私たちにとって大切なことはその「世界」の実体ではなく、私たちがどう生きるべきか、なのですから。
記憶の部屋の奥底で固く閉ざされた扉を開けた子供たちは、これからまた違う「世界」に出会うことでしょう。そこが天国であれ、地獄であれ、彼らはもう大丈夫です。彼らは質問し、自ら答えを出すために、心の痛みの内側を覗けるくらいに成長したのですから。」
(2014年公演プログラムより)
2013年1月に池袋で一路真輝さん主演の『シャーロックホームズ~アンダーソン家の秘密~』という韓国ミュージカルを観ました(いずれブログに書けたらいいなと思っています)。アメリカにもヨーロッパにもない、アジア特有の湿り気感のある作品だと感じました。『ブラック メリー ポピンズ』は二度目の韓国ミュージカル。『フランケンシュタイン』でも思いましたが、こういう人の根源を揺さぶるような作品を生み出す土壌がある韓国とはどういう国なのだろうと。その後交流を絶ってしまった女性と一緒に一度だけ韓国を訪れたことがあります。女性はその後に本の会社を退職すると単身韓国へと旅立ちました。かなり年下の彼ができたというところまでは知っているのですがその後はどうしているかわかりません。日本以上に生きて行くことがきびしい国だと彼女の口からきいたことがあります。政治的にはいろいろあるようですが、こうして韓国ミュージカルが日本で上演される時代になりました。また訪れてみたいです。
お目当てだったメリー役の一路真輝さん、出番は多くありませんでしたが、舞台の上にはいつもメリーがいる感覚でした。記憶の糸をたぐり始めた子供たちは博士を殺めた犯人として先ずメリーに疑いの目を向けます。メリーが博士を殺して家に火を放ったのか、手帳からメリーが博士の共同研究者だったとわかるとメリーは敵なのかと疑い、記憶の糸をたぐり寄せながら子供たちは揺れ続けました。メリーが絵本を読んで聞かせてくれた幸せな子供時代、メリーに甘えた幸せな子供時代、本当の母親を知らない子供たちにとってメリーは母なる存在でした。それだけにメリーを疑ったとき子供たちの裏切られた感、失望感も計り知れないものがありました。実際には子供たちが記憶を呼び覚ます場面で断片的に登場し、あとは子供たちが記憶を呼び覚ました現代で最後に登場するだけでしたが、子供たちの記憶の中にいつもいるメリーの存在感は抜群でした。男役としては小柄な一路さんでしたが黒い衣装を着こなすキリっとした居ずまいはさすがのかっこよさいた。登場するだけで場の空気感が変わりました。「周囲を見渡す年齢になってきたんだなと実感しています」と2014年プログラムに書かれています。ほぼ同年代で雪組の二番手時代から一路さんの舞台を拝見してきているので、自分も歳を重ねてきたんだなとしみじみ。演出の鈴木裕美さんとは『アンナ・カレーニナ』初演からのお付き合いとのことで、プログラムの対談記事を楽しく拝読。
最初タイトルだけ知った時はパロディ?と思いました。『メリーポピンズ』で作品のトラヴァース夫人が一番描きたかったのは、実はお手伝いさんではなく幼い頃アル中で亡くなったお父さんの面影を反映させた銀行員のお父さんだったという深い物語ですが、こちらも深い物語。
タイトルのブラックとは?
音月桂さん:「人間の繊細な部分」「心の闇」を表現しているのだと思います。
小西遼生さん:イメージは文字通り「黒」。
良知良次さん;「思い出したくない記憶」。光と陰があったら、陰の部分、それがグレーになってゆく・・・という印象です。
上山竜司さん;「トラウマ」だと解釈しています。
一路真輝さん:お客様に対する「だまし」や文字通り「暗いお話」というイメージ。でも色々な捉え方が出来ると思います。
鈴木裕美さん(演出);センス、みないな意味でとらえています。ある視点、とか、ひとつの、とか、そんなイメージ。
(2014年年公演プログラムより)
2014年と2016年で一番違ったのは客席だったかも。2014年は音月さんの退団後初舞台に一路さんも出演で宝塚ファンが多く慣れた空気でしたが、2016年は中川翔子さんファンなんでしょうね、コスプレ?している若い方もちらほらお見受け。一路さんのことを知らない方もたくさんいたようで2014年とはかなり違う空気でした。
(写真は公式とSPICEツイッターよりお借りしています。)
2014年

2015年




2016年公演の東京公演千穐楽、カーテンコール。
わたしのお隣は全身ピンク色のアンナでした。

ずっと書きたかった『ブラック メリー ポピンズ』、ようやく書けました。お付き合いください、ありがとうございました。
明日はまたハロワ。エネルギーふりしぼってやるしかない・・・。