痛々しいほどに、どこまでも自分に厳しく、人を思いやる心にあふれている紅ゆずるさんとカール・シュナイダーが一体化した千穐楽でした。『AnotherWorld』で全場面に登場して膨大な量の台詞を喋り倒したあとの『キラー・ルージュ』、『サンダーボルト・ファンタジー』で重い衣装に煙管を持ちながらほぼ出ずっぱりで説明もいれた膨大な量の台詞をこなしたあとの『キラー・ルージュ』、それでも紅さんの喉は潰れませんでした。どんだけ強いんだろうって思いました。そんな紅さんにカールの魂が宿り続けた3カ月間でした。最後の最後、カールの魂が潰れていたはずの喉で「鴎の歌」を紅さんに歌わせ、歌い終わるとカールの魂は紅さんの声を連れて紅さんの体から去っていったかのような奇跡の舞台に出会ったと余韻はさらに深くなっています。
「ヒロイン・マルギットの綺咲愛里は、あまりにも全てがヒロインに都合よく展開されるストーリーを、尚もっともだと思わせるひたすらな可憐さで、現代の目から見てもこの令嬢を鼻持ちならない女性に見せなかったのが素晴らしい。実際この役柄を現代の娘役が、現代の観客に共感の念を持って見てもらうのには、想像以上に高いハードルがあったと思うが、存在自体が作り込まれた人形のようですらある綺咲の愛らしさが、そのハードルを越えるのに役立っていて、最後まで紅と共に歩むと発表している綺咲のキャリアにとっても、マルギットは貴重なものになった。」(宝塚ジャーナルより)
丘の上のシーンが大画面で映し出されたとき、愛里さんマルギットの満開の笑顔はスクリーンからはみ出そうなほどに愛らしく、お人形よりもお人形のような可愛いがあふれていました。そんな愛里さんがショー『エストレージャス』では紅さんの声がでなくなっても動じることなくいつも通りの満開の笑顔で歌い踊り続けていたのがすごいと思いました。2017年のクリスマスイブ『ブーケド・タカラヅカ』で東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング、シカ(いやトナカイだよね)のかぶりものをして「セマニフィーク」を歌う紅さんの隣でひたすらニコニコニコニコニコニコと全く動じることなく歌っていた愛里さんの姿が印象的でした。振り返ればお二人の関係性がよくわかる場面でした。今回の千穐楽でも愛里さんは動じなかった。個性がぶつかり合う娘役群舞の真ん中で踊る愛里さんの表情には、わたしが紅さんの分まで舞台を守るんだ、わたしに任せておいてくださいみたいな気迫が伝わってきました。造形美にあふれた愛里さんだからわかりづらいですが、無知と無垢がギリギリのところでバランスよく同居した愛らしさ満点だった愛里さんマルギット。ショーでは誰よりもイケメンな姿に、これがトップの姿なんだなあと感嘆しました。
礼真琴さん率いる若手男役による「Back」の場面はさらに気合いが入っていて、琴さんの表情には、自分が紅さんの分までがんばるんだという気迫がありました。チャンピオーネでは、さすがにライブビューイングのカメラが舞台と客席全部を映すことは無理でしたが大劇場で観劇した時のように客席降りしている組子さんたちもみんないつもよりさらにあたたかい眼差しで紅さんを見つめているんだろうなと想像していました。両隣の琴さんと愛里さんはさらに声をあげて弾けて、紅さんの長い腕に包まれるときはすごく嬉しそうで、組全体のあたたかさが伝わってくる場面。
舞台は生もので、もしかしたら許されないようなショーだったのかもしれません。芝居で調整していればもしかしたら起こらなかったアクシデントかもしれません。でも調整していたら観客の魂を揺さぶるカールになり得ませんでした。声をなくすほどに一回一回命を削りながら生きたカールだからこそ。紅カール率いる星組だから成立した舞台であり世界観で奇跡の千穐楽。すごいものをみせていただきました。
湖上のレストランからだんだんとカールが痛々しくってたまらなくなってきて、シュラック家の場面ではカールひとり異端者感半端なくって、タキシード姿は気慣れないものを着せられている感満載のかっこよくてカッコ悪いカール。マルギットが無邪気にフロリアンにカールはまだ自分を愛してくれていることに安心したことを報告する場面はカールにとって残酷の極みで痛々しくてたまりませんでした。残酷なまでによくできている脚本でつまらないといえばつまらない物語を魂にあふれた舞台へと昇華させた役者さんたちの力量はすごい、とエルベ語りはまだまだ終わりません。ライブビューイングだから気づけたこともあってまだまだ終わりません。ほんとに深い舞台。
「ヒロイン・マルギットの綺咲愛里は、あまりにも全てがヒロインに都合よく展開されるストーリーを、尚もっともだと思わせるひたすらな可憐さで、現代の目から見てもこの令嬢を鼻持ちならない女性に見せなかったのが素晴らしい。実際この役柄を現代の娘役が、現代の観客に共感の念を持って見てもらうのには、想像以上に高いハードルがあったと思うが、存在自体が作り込まれた人形のようですらある綺咲の愛らしさが、そのハードルを越えるのに役立っていて、最後まで紅と共に歩むと発表している綺咲のキャリアにとっても、マルギットは貴重なものになった。」(宝塚ジャーナルより)
丘の上のシーンが大画面で映し出されたとき、愛里さんマルギットの満開の笑顔はスクリーンからはみ出そうなほどに愛らしく、お人形よりもお人形のような可愛いがあふれていました。そんな愛里さんがショー『エストレージャス』では紅さんの声がでなくなっても動じることなくいつも通りの満開の笑顔で歌い踊り続けていたのがすごいと思いました。2017年のクリスマスイブ『ブーケド・タカラヅカ』で東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング、シカ(いやトナカイだよね)のかぶりものをして「セマニフィーク」を歌う紅さんの隣でひたすらニコニコニコニコニコニコと全く動じることなく歌っていた愛里さんの姿が印象的でした。振り返ればお二人の関係性がよくわかる場面でした。今回の千穐楽でも愛里さんは動じなかった。個性がぶつかり合う娘役群舞の真ん中で踊る愛里さんの表情には、わたしが紅さんの分まで舞台を守るんだ、わたしに任せておいてくださいみたいな気迫が伝わってきました。造形美にあふれた愛里さんだからわかりづらいですが、無知と無垢がギリギリのところでバランスよく同居した愛らしさ満点だった愛里さんマルギット。ショーでは誰よりもイケメンな姿に、これがトップの姿なんだなあと感嘆しました。
礼真琴さん率いる若手男役による「Back」の場面はさらに気合いが入っていて、琴さんの表情には、自分が紅さんの分までがんばるんだという気迫がありました。チャンピオーネでは、さすがにライブビューイングのカメラが舞台と客席全部を映すことは無理でしたが大劇場で観劇した時のように客席降りしている組子さんたちもみんないつもよりさらにあたたかい眼差しで紅さんを見つめているんだろうなと想像していました。両隣の琴さんと愛里さんはさらに声をあげて弾けて、紅さんの長い腕に包まれるときはすごく嬉しそうで、組全体のあたたかさが伝わってくる場面。
舞台は生もので、もしかしたら許されないようなショーだったのかもしれません。芝居で調整していればもしかしたら起こらなかったアクシデントかもしれません。でも調整していたら観客の魂を揺さぶるカールになり得ませんでした。声をなくすほどに一回一回命を削りながら生きたカールだからこそ。紅カール率いる星組だから成立した舞台であり世界観で奇跡の千穐楽。すごいものをみせていただきました。
湖上のレストランからだんだんとカールが痛々しくってたまらなくなってきて、シュラック家の場面ではカールひとり異端者感半端なくって、タキシード姿は気慣れないものを着せられている感満載のかっこよくてカッコ悪いカール。マルギットが無邪気にフロリアンにカールはまだ自分を愛してくれていることに安心したことを報告する場面はカールにとって残酷の極みで痛々しくてたまりませんでした。残酷なまでによくできている脚本でつまらないといえばつまらない物語を魂にあふれた舞台へと昇華させた役者さんたちの力量はすごい、とエルベ語りはまだまだ終わりません。ライブビューイングだから気づけたこともあってまだまだ終わりません。ほんとに深い舞台。