愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

いじめの解決は日本の道徳の最高規範である憲法を活かしてこそ!憲法改悪の野望を打ち砕く!その3

2013-03-12 | 日記

最後に言わなければならないことは、マスコミでさえも述べている「当たり前」の日本語である「道徳」の内容が、実は日本国憲法の諸原則であることです。そのことを踏まえると、安倍政権と真っ向から対立するはずですが、実際は違っています。何故でしょうか?以下、このことを述べてみます。

4.次に言えることは、最初から憲法改悪のための地ならしのためにいじめ・自殺問題を利用していることは明らかです。

 今回の提言は、第一次安倍政権時代に「見送られた経緯」(徳島)のある「いじめ対策の一環として再浮上した」(日経)「目新しくはない」(東京)ものであり、「道徳教育の教科化」は「集団的自衛権行使の見直しなどと並ぶ懸案の一つ」(高知)として「実質2回の会合で意見集約した内容」(南日本)というマスコミの指摘は妥当です。

 しかし、今求められるのは、「いじめをなくすには加害者側への働き掛けが大事になる。悪いことだとは、多くの子どもも分かっているだろう。それでもやまない点に根深さがある」(河北新報)という、その「根深さ」にメスをいれる態勢と教育力について、検証することです。

 それは「排除型」から「包摂型」に変化したという「いじめ」は「『友達の輪から外されないため』『自分が標的にされないため』に、いけないと分かっていてもいじめる側に回ってしまう」「『過剰な孤立不安が生む自傷行為』『人間関係の病』と言い換えられる」(佐賀)という奥底に、「家族崩壊や虐待、貧困、勉強疲れからストレスを抱え込んでいるかもしれない。背景事情に考えを巡らせる必要がある」(東京)という指摘と検証が必要です。

 同時に「大人の世界にもひどいいじめがある。道徳とは世代を超えて日々共に学び合うべきものだろう」(東京)、「大人社会の『道徳』も、決して褒められたものではない」(河北新報)という現代社会の大人社会の病理現象の反映として、こどものいじめと自殺を意味づけ、検証していく必要をマスコミがどのように受けとけていくか、そこが大きな問題なのです。

 そうすることで、子どもの見方、学校現場の見方も変わってくるのです。「たいていの子どもはいじめが『いけないこと』だと知っている。問題は『いけない』という意識が社会生活の中で発現できない、機能していない現実なのだ。…いじめ問題の根はとてつもなく深い。いわゆる家族崩壊や虐待、貧困、学力重視といった社会環境からストレスを抱え込み、自己肯定が難しくなっているのかもしれない。いじめに向かう子ども、傍観する子どもの心理状態をひもとかずに、新たな道徳授業で『よい子ども』を競わせたところで、どうなるだろう」(愛媛)という指摘を国民の中に広げ、子どもや学校現場の苦悩に対して共感と連帯、共同をつくりだしていくことでしょう。

 解決の方向性こそ、社会の公器であるマスコミが考えなければならないことなのです。

 5.そうした視点に立つとき、最後に言えることは日本国憲法の軽視についてです。以下の言葉は、「何を根拠にしているか」に注目すべきです。

 「子どもが成長に応じて思いやりの気持ちや規範意識を身につけることは大切だ。社会の構成員として高い徳性を培うための教育そのものに異論はない」(東京

「道徳の授業で相手の気持ちを思いやる人間性を育むことは、いじめの未然防止に役立つだろう」(読売

「生命の尊さに気付かせ、共感力を養うことは教育の目的の一つではある。だが、それは道徳に限らず、さまざまな機会を利用して多面的に学ぶ方がより理解が深まるだろう」(河北新報

「いじめの背景に、他者への共感性や想像力の欠如があることは間違いない。だからといって『命は尊い』『いじめは絶対に許されない』という道徳的規範を注入することで、思いやりのある子どもが育つと考えるなら楽天的すぎる。加害者もいじめがいけないということは百も承知だ。それでもやってしまうのだから、規範的な教育よりも、子どもの内面を育てる多様なアプローチが必要だろう」(岐阜・山陰中央

「子どもが成長に応じて自己や他者と向き合い、思いやりや規範意識をはぐくむのは健全な姿といえよう。社会の一員としての素養を培う機会を充実させようとする方向そのものに異論はない」(愛媛

 これらの言葉の奥深いところに、日本国憲法の個人の尊厳、平等原則、人権尊重主義は不断の努力で守らなければならないこと、その際に求められることは脅しや暴力はいっさい否定していること、地方自治にみるように個人の自治の精神です。民主主義は単なる多数決ではなく、個人の尊厳にもとづく自治の理念です。

 以上の視点を踏まえると、これまで述べてきたように、政治やマスコミは、あらゆる場面でこの日本国憲法の原則を貫いていると言えないと思います。むしろ安倍政権の誕生と、それに対する報道の応援団ぶりは、ま逆の方向に向かっていると言えます。

 そういう意味で、安倍政権の狙う「道徳教育」は、大日本帝国憲法下の「戦前」は「修身」の方向に向かっていると言えます。その「修身は教科の一つだったが、画一的な価値観を子どもたちに教え込むことにもなった」(高知)という指摘は大切です。

 「道徳が教科になれば検定教科書が用いられ、心のありようがテストされて順位づけされないか。国の価値観や考え方が押しつけられないか。心配になる。国語や社会、算数とは違い、道徳とは体系立てられた知識や技術を習得するものではない」(東京)、「まして人の心を評価の対象にすることには深い疑義もある」(高知)、「言い古されたことだが、多様性を互いに認め合い、寛容さを培う教育を目指すべきだ。人の内面や良心の問題にまで立ち入りかねない教育は、望ましくない。それこそ、多様性を受け入れることの妨げにもなろう。少なくても、道徳の教科化は慎重であるべきだ」(河北新報

 というように、安倍政権の意図は、完全に教育の原理から逸脱しているのです。まして憲法の原則を踏みにじるものと言えます。ところが、こうした意味づけは、マスコミには徹底してはいません。

 まず「道徳」の憲法的意味づけが曖昧です。

 「道徳教育の本質が『命令』ではなく『禁忌』の体系だとされる以上、いじめの抑止効果は限定的だという認識を持っておいた方がいい…徳目列挙や偉人顕彰だけに頼る道徳教育から脱してもらいたい。 大人の社会にもいじめがある。実社会が求める徳目とて一律ではなく、子どもが家庭や地域で現に褒められ、叱られ、考えて身についていくものだろう。学校はその橋渡し役にすぎないと心得たい」(愛媛

「道徳は親や教師が身をもって教えること。点数を出し、教科書を使い、試験をして採点する教科として、道徳教育をやることには無理がある」(高知

「人間の心のひだに触れる道徳というものを上から押しつけたとしても、本当の効果は得られないだろう。教科化は弊害のほうが大きいのではないか」(日経

 「道徳教育は道徳の時間だけではなく、学校教育のすべてを通じて行われるものとされてきた」(毎日)とうのであれば、それは憲法教育の徹底化しかありません。そういう意味では安倍自公政権と真っ向から対立するものです。

 「もとより、道徳教育を充実させることは、他者を思いやる心や互いの個性を尊重する態度などを身に付けさせる上で有効だろう」(徳島)ということを言うのであれば、また、この視点を徹底させるのであれば、憲法教育において、他にありません。

 以下の前文と条文の意味をあらゆる場面で教えたら、どのような「こころ」が子どものなかに育つでしょうか?マスコミは日本国憲法を再度、真剣に読むべきです。

 全文 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 以上の原則が徹底されていれば、1票の格差是正、生活保護者への共感と福祉の充実、国際紛争の解決の手段などなど、は、また子ども時代から憲法教育が徹底していれば、本来は問題になりえないというものです。

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日本の道徳の最高規範である憲法の改悪を狙う安倍政権が道徳の教科化で改悪の地ならし!その2

2013-03-12 | 日記

次は、こうした安倍政権のネライに対してマスコミはどのように受け止めているでしょうか?以下述べてみます。

 2.ところが、安倍政権もマスコミも当事者たちの「教育力」「自治力」にいっさい触れていません。これこそが、憲法の改悪への地ならし、形骸化推進と言えます。同時にその悪政に加担するものと言わなければなりません。

 「学校がいじめの兆候をキャッチしながら適切な指導をせず、教育委員会による自殺の原因調査もなおざりだった。学校や教委が機能しないケースが多いことを考えれば、自治体単位で弁護士や臨床心理士らで構成する第三者組織を設け、子供や保護者から相談を受け付けるのは有効だろう」(読売)というように現場が至らないから「第三者組織」に委ねるという発想に、責任の転嫁思想があります。

 その思想の奥底には、学校の「教育力」、すなわち教師個人と集団の、そうして子どもと子ども集団の「教育力」を育むという思想は微塵もありません。そういう意味では「自治の否定」思想です。憲法を改悪しようとする安倍首相の思想が端的に見えてきます。こうした認識に立てば「教育委員会制度改革の論議に入った。これは「自治」という戦後学校教育制度の基本理念ともかかわってくるテーマでもある。熟議を望みたい」(毎日)というようなレベルの話でなく、戦後学校教育制度の徹底化こそ求めなければなりません。何故ならば、マスコミを含めて「憲法を暮らしに活かす」という日本社会のあり方の弱さが見えてくるからです。

 3.もう一つは、いじめ問題の解決を遠ざけるバッシングを行い、教育現場を追い込んできたマスコミの無反省ぶりです。このことは子どもと教師の状況をみると免罪できるものではありません。

 「国がするべきことは、遠回りに見えても、教師の力を養い、その力を発揮できる条件を整備すること、そして教師の無用な負担を軽減することだ。実態を見極めるなら、提言はその点をこそ強調し、具体策を示すべきだった」(岐阜・山陰中央)、「政府は、新年度から小中学生向け道徳教材「心のノート」の配布を復活させる一方で、少人数学級の拡充は見送った。多忙な教育現場を支える具体策を二の次にし、制度や仕組みをいくら変えても問題の本質を解決することは難しい…」(徳島)という指摘は、至極当然・妥当ですが、このことはマスコミにも言えることです。

例えば、高校の授業料無償化について、日本が後進国であったことの政治の責任をどのように追及してきたか、そのことを指摘しておかなければなりません。

repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/bitstream/10519/1051/1/r-ky_032…

http://www.asahi.com/politics/update/0317/TKY201203170184.html

http://agui-t.at.webry.info/200906/article_8.html

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/20090311_gakuhi_teian.html

 「校内での仕事に優先順位をつけて「選択と集中」で仕分けすること」「行事の精選を挙げ、教育委員会には学校現場への依頼文書や事項の整理を行うよう求め」なければならない「教員の多忙」の原因こそ、いじめを防ぐこと我できない原因の一つがあります。しかし、「書類づくりに追われ子供とじっくり向き合う時間がとれない」「『忙しすぎる先生』の問題は以前から指摘されてきた」、「これまでも可能だった」「加害生徒の出席停止や必要に応じての警察との連携」が「必ずしも行われてこなかったのは、消極性や怠慢ゆえというだけでなく、その難しさや、ちゅうちょもある現場の苦悩にも目を向けるべきだろう」(毎日)」というのであれば、何故、ここにメスをいれる政策を求めなかったか。ここに子どもや教師の応援団にならなければならないマスコミの問題が見えてきます。

 「大切なのは、子どもたちの置かれている現状を直視する」のであれば、当然「今の学校や教委に何が欠けているのか、具体的に検証する必要がある」などという指摘にはならないはずです。「子どもたちの置かれている現状」は教室だけの問題ではないからです。マスコミの振りまく情報によって醸成されてきた「学校や教育委員会の問題解決能力に対する不信」を口実に「国が理念に基づき直接いじめを解決するというトップダウンの発想」(南日本)が大手を振っていること、この「トップダウン」を許しておきながら、「むしろ国の関与が足かせになる場合もあろう」(南日本)などというような指摘こそが、いじめの解決を遅らせてきたことを検証すべきです。 

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日本の道徳の最高規範である憲法の改悪を狙う安倍政権が道徳の教科化で改悪の地ならしへ!その1

2013-03-12 | 憲法を暮らしに活かす

TPPに参加するための交渉に参加するかどうか、自民党内が紛糾しています。これは「消費税は4年間はあげない」という政権公約を掲げて政権を奪還した民主党と同じ構造です。自民党の大半の議員は、昨年の総選挙の際の公約にTPP参加反対を掲げた経過があるからです。自民党はどうやってゴマカシていくか、マスコミは民主党の時のようにバッシングするか、どのように伝えるか、見物です。

 さらにあります。普天間基地の「県外移設」・オスプレイ配備反対のオール沖縄、福島原発の廃炉を決めたオールフクシマの意向を無視した再稼動への転換などなど、国民の要望との乖離は目を覆うばかりです。これも民主党政権時代と比較して見ておく必要があります。

 昨日も、震災2周年でしたが、一向に進まない復興、被災地の人口流出にみるように、国民の居住権、生存権を守れない日本の政治の枠組みが鋭く問われています。しかし、こうした状況を憲法違反として伝えたテレビ、新聞があったでしょうか?

 こうした状況に業を煮やした被災地国民が東電と国家を相手に訴訟に踏み切りました。当然です。この訴訟のもつ意味は、国家と東電によってウソをつかれた国民、被害うけていじめられた国民が、いじめの加害者で、未だ責任をとっていない国家と東電を訴えているという構図です。

 さて、こうした政治家を国民は、とりわけ子どもは、どのように観ているでしょうか?毎日毎日政治の体たらくが報道され、子どもの未来は明るくなるどころか、暗くなる一方です。こうした体たらくを政局報道として描くマスコミ報道が、子どもに大きな影響を与えていることは、周知の事実です。

 こうしたいじめの構図の解決の仕方を、いじめの渦中に生きるこどもの立場から徹底して報道してほしいものです。

 そこで、遅くなりましたが、「戦後レジームからの脱却」集団的自衛権の行使から憲法9条の改悪へと突き進む安倍首相の「いじめ自殺」や「体罰による自殺」などを利用した姑息な手法を改めて検証してみることにしました。

 以下の「社説」に、この「提言」について意見が掲載されました。

 推進派の「読売」「産経」、提言を契機の具体化派の「秋田さきがけ」「佐賀」、拙速・疑義ありと再検討と対策の強化を呼びかけるものと分類してみました。

 これらの「社説」に共通して言えることは、以下のことです。

 1.子どもをめぐる「いじめ」の発生の背景に、戦後自民党の諸政策、とりわけ現場の意向を無視して少人数学級の実現を怠り、教師の多忙化解消に背を向け、文部(科学)省の上意下達行政を強化し、子どもや教師に過大なストレスを課してきた文教政策の結果があることを不問に付していることです。

 「80年代以降、いじめは繰り返し社会問題化してきたが、有効策は乏しく、自殺などの悲劇は今も続く」(佐賀)のは何故か、政権政党の政策の「総括」もなされず、問題が起こるおこるたびに今回のような「新しい政策」を打ち出し、責任を回避・免罪してきたことこそ、問われなければなりません。

 「いじめの早期発見、早期対応を掲げるなら、教師と子どもがじっくり向き合う環境づくりに力を注ぐべきではないか」(南日本)とありますが、「教師と子どもがじっくり向き合う環境」を奪ってきたのは、一体全体誰なのか!現場の教師か?そのことを直視する必要があります。

 このことは「国連子どもの権利委員会は、日本の『高度に競争的な学校環境が、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性がある』と指摘する。実行会議は教育現場の根本課題にもっと目を向けてほしい」(愛媛)の指摘にあるように、国際的問題として位置づけられてきたのです。しかし、この指摘を黙殺してきたのは、一体全体誰であったか、そこに注目しなければなりません。

以下、各紙の社説を一覧しておきます。

 産経 教育再生 「熱血先生」の手足縛るな 2.27 03:30

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130227/edc13022703310002-n1.htm

読売 教育再生提言 いじめの抑止につなげたい 3月1日01時32分http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130228-OYT1T01556.htm

毎日 いじめ体罰提言 今すぐできることから 02月27日 02時30分http://mainichi.jp/opinion/news/20130227k0000m070106000c.html

日経 疑問ぬぐえぬ道徳の教科化 2013/2/28 4:00

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52231760Y3A220C1EA1000/

東京 いじめと道徳 心に成績をつけるのか 2月28日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022802000125.html

河北新報 いじめ防止対策/「道徳教育」の効果は疑問だ 03月01日

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/03/20130301s01.htm

秋田さきがけ いじめ問題で提言 対応のルール作り急げ 2013/03/05

http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20130305az

岐阜 いじめ対策提言 検討不十分、拙速のきらい  2013年 3月 5日(火)

http://www.gifu-np.co.jp/column/syasetsu/sya20130305.shtml

山陰中央 いじめ対策提言/現場実態に即した検討を ('13/03/05)

http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=537601033

愛媛 道徳教科化 社会的技能を磨く視点も大切 03月06日(水)

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201303066902.html

徳島 いじめ対策提言 理念より具体策がほしい 31日付

http://www.topics.or.jp/editorial/news/2013/03/news_13621347546643.html

高知 【道徳教育】なぜまた教科化なのか  02月27日08時23分

http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299449&nwIW=1&nwVt=knd

佐賀 いじめ対策提言 具体化図り、社会で共有を 03月07日更新

http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2412261.article.html

南日本 [「教育再生」提言] 道徳の教科化は必要か (3/1 付)

http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201303&storyid=46727

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沖縄差別論では沖縄の負担軽減は実現しない!日米軍事同盟廃棄を掲げ国民的連帯と団結を呼びかけてこそ!

2013-03-11 | 沖縄

安倍首相の訪米前から昨日までの日米軍事同盟について「琉球新報」がどのような社説を掲載していたか、検討してみました。そこから見えてくるものは、以下のとおりです。

 

1.「社説」は、以下に見るように、日米軍事同盟の対米従属性・屈辱性を自覚していながら、なお、日米軍事同盟を廃棄して、対等な日米平和友好条約を締結しようという展望を示すことができていません。

 (1)首相の日米同盟復活宣言は、基地の過重負担の軽減を切望する県民からすれば、対米追従路線の拡充・強化としか映らない。

(2)日米安全保障体制が沖縄の犠牲の上に成り立っている状況を抜本的に改善しない限り、日米関係の強化も完全復活も、幻想にすぎないと自覚すべき

(3)米軍が<オスプレイの安全確保策(日米合同委合意)を>完全に順守することなどあり得ないことを、米軍の実態を知る日本政府は百も承知だったはずだ…安全確保策のウソが今回の訓練で全国的にも露見する

(4)基地問題が実は日本の外交、政府の体質の問題である

(5)普天間飛行場周辺で市街地上空の飛行が常態化するなど、日米が沖縄への配備を前に声高にPRした「安全宣言」と称する合意事項は、全く守られていない。

(6)米本土では、住民の反対で低空飛行訓練が延期されている。なぜ、日本ではやすやすと実行できるのか。既成事実化は許されない。国民の安全確保に背を向け、米軍に従う政府の姿を、本土から、沖縄から厳しく問わなくてはならない。

(7)安倍晋三首相は式典開催の意図をこう(「主権を失っていた7年間の占領期間があったことを知らない若い人が増えている。日本の独立を認識する節目の日だ」と)説明した。国を憂える政治家として面目躍如たる思いだっただろうか。しかし脳裏のどこにも、沖縄にとってその日が「屈辱の日」であることは浮かばなかったようだ。

(8)いまや「日本の沖縄化」の指摘も聞こえてくる。外国軍機が飛び交う現実を前に、これが主権ある独立国家の姿だと、誇りを持って言えるのか。2004年の米軍ヘリ沖国大墜落事故の際には、県警が米軍に締め出されて現場に近寄れないという主客転倒の事態まで起きた。米軍普天間飛行場移設問題やオスプレイの配備強行に象徴されるように、日本政府の対米追従姿勢はあまりにふがいない。(引用ここまで)

 

2.何故、「琉球新報」は日米軍事同盟の廃棄・日米平和友好条約の締結を要求できないのでしょうか?その原因は、以下の二つにみることができます。

 《1》沖縄の基地の負担軽減をアメリカに「期待」「お願い」するという立場です。アメリカに「押し付け」られているという発想はありません。日米関係を主従の関係として捉えてはいません。完全に対等という認識ではありませんが、従属しているのは、日本政府側の問題だと考えているのです。

以下の社説の言葉に、その思想が見えてきます。

 (1)議員時代にイラク戦争に反対し、核軍縮政策を唱えるなど穏健派として知られるヘーゲル氏には軍の論理を強硬に振りかざすことなく、民意を尊重する民主的安保への転換を強く求めたい。

(2)沖縄側からすれば大勢に流されない同氏の正義感、時代を洞察する力にこそ期待したい。米軍普天間飛行場問題をはじめ沖縄の過重負担解消で手腕を発揮してほしい。

(3)日米関係への信頼も瓦解(がかい)寸前だ。日米指導層は自らの思考停止が両国の民主主義をも危うくしていると気付くべきだ。軍事・輸送技術の革新、同盟・友好国の連携強化など安保は進化している。森本敏元防衛相ら軍事専門家は普天間移設先が沖縄であることの軍事的合理性を否定している。日米の政治決断により「普天間抜き」の安保体制の運用は十分可能なはずだ。

(4)米国防総省はアジア太平洋地域重視の新国防戦略に沿って、グアムを新たな軍事拠点にする計画を進める。在沖海兵隊は戦闘部隊を移すグアムを拠点にハワイ、沖縄、オーストラリア北部へ巡回配備するなど分散配置する方針だ。へーゲル氏も米軍のプレゼンスがアジア太平洋地域で果たす役割を認める現実主義者であり、今後、米国の軍事的優位性の保持と沖縄の負担軽減が追求されよう。

(5)日米は惰性に流されず、普天間日米合意見直しを含め安保政策を点検すべきだ。国民の信頼に根差した日米関係再構築で新国務・国防両長官の大局観に期待したい。

(6)航空輸送の発達や軍事作戦の質的変化などにより、海兵隊の常駐は沖縄にも日本にも不要だ。政府がどうしても日本に必要と考えるなら、オスプレイの訓練だけでなく海兵隊を丸ごと県外に移転してもらいたい。

(7)「4・28」後の日本の実態は「従属の日々」なのではないかとさえ思える。(引用ここまで)

 《2》従属している日本政府の側の問題のみに関心を持っているからこそ、というか、「沖縄差別」論から論じているからこそ、日米軍事同盟を廃棄するなどという発想は微塵も出てこないのです。アメリカの「日本差別」論・「見下し」論は微塵もありません。日本政府、政治家、官僚をして米側を忖度させるアメリカの圧力はほとんど問題になりません。基地の負担を課している、地位協定を無視しているアメリカなのに、です。それは日本政府の側の問題だと、マジで思っているのです。

以下の指摘にも、明確に出ています。

(1)県外移設を拒む政界や官僚機構の背後に潜むのは沖縄差別だ。「抑止力」「地政学上」の虚構性を突き崩す必要性を痛感する。

(2)米側のジャパン・ハンドラーの意向を忖度する、対米追従の日本外交の在り方こそが本質的な問題であり、そのことが厳しく問われるべきだ。

(3)沖縄への構造的差別や、いびつな日米関係を顕在化させた政治家の責任を肝に銘じてほしい。

(4)長年にわたって沖縄が強いられている構造的差別を解消する方向に直ちにかじを切ってもらいたい。

(5)県民は、在日米軍専用施設の74%の沖縄への集中、米軍絡みの事件事故、米兵犯罪など過重負担の強制を「構造的差別」と認識している。県民はもう過重負担を甘受しない。

(6)県内移設は知事が事実上不可能との立場を鮮明にし、県内全41市町村長が明確に反対している。日米合意自体が有名無実化している現実を、両首脳はいいかげん直視すべきだ。

(7)県内では県議会、全市町村議会が県内移設に反対を決議し、全首長、議長らが上京して安倍晋三首相宛てに普天間の閉鎖、撤去を求める「建白書」も提出している。

(8)米側に何も言えない自らの外交的非力を、沖縄にこと寄せて取り繕っただけではないか。沖縄の負担軽減を言うのなら、オスプレイ配備を撤回するのが筋だ。

(9)訓練を機に、米軍基地の在り方を沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論していきたい。

(10)沖縄の「屈辱」に触れずに「主権回復」を祝おうというのなら、県民にとってそれは、過重負担を強いる「構造的差別」の深化を再認識する日でしかない。(引用ここまで)

 

3.それでは、「沖縄差別」論の本質は何でしょうか?どのような役割を持って機能しているのでしょうか?以下のように考えることができます。

 《1》戦前は、天皇政府の「小中華」思想・「捨石」論として機能していました。

《2》戦後は、天皇の手紙に象徴されているように日米支配層の反共の防波堤論と天皇の戦争責任免罪共同謀議論として機能していました。

《3》現在は、「本土」との連帯構築を妨げるものとして機能していいます。国民的連帯によって日米軍事同盟廃棄を目指すのではなく、アメリカ政府への「期待」と「お願い」という、アメリカの「善意」を待つという視点を補完するものして機能しているのです。

《4》さらに言えば、ソ連崩壊後の今日、中国・北朝鮮「脅威」論に対して、本土に比べて最前線を担って負担を課せられているとの「抑止力」論を補完するものとしても機能しています。

《5》以上の指摘を曖昧にするものとして「県外移設を拒む政界や官僚機構の背後に潜むのは沖縄差別」という指摘がなされていますが、これでは「沖縄を差別する者」の正体は曖昧です。

 

4.それでは「社説」のなかで、「沖縄差別」論が国民の連帯感の醸成をどのように分断しているか、具体的にみてみます。

 (1)沖縄でのあまりにあからさまな「合意破り」「空の無法状態」のほんの一部を、本土も目の当たりにすることになろう。ただそれはわずか3機3日間であり、認識はごく狭い範囲にとどまるはずだ。合意は「人口密集地上空を避けて飛行」「基地内のみヘリモードで飛行」とうたうが、沖縄ではあまりにも公然と破られ通しだから、もはや笑い話だ。本土では市街地上空の飛行はほとんどないはずで、こうした認識を共有できるとは考えにくい。とはいえ、基地問題が実は日本の外交、政府の体質の問題であることを知るきっかけにはなろう。訓練を機に、米軍基地の在り方を沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論していきたい。

(2)本土でも自治体を中心に不安の声が高まるのは当然だ。 だが、沖縄県民の思いは複雑だ。今回の訓練は3日間だが、沖縄では年中、オスプレイが傍若無人に飛び交い、住民生活に深刻な影響を及ぼしている。この日も県内ではオスプレイが訓練飛行した。 本土での訓練は、本土の国民が、安全保障の負担を負う当事者意識を持つことができるかを問い直している。岩国基地前では、市民団体が「岩国にも、沖縄にもオスプレイはいらない」と訴えた。 過重に基地が集中する沖縄の痛みを共有し、日本全体で分かち合う機運が高まり、撤収要求のうねりにつながることを望みたい。

(3)昨年6月、海兵隊の環境審査書が全国各地で飛ぶ計画を公表し、「沖縄の問題」だったオスプレイへの不安は全国に飛び火した。だが、沖縄だけで訓練される間に、全国的な関心は冷めていった。それは、1月末の県内41全首長による東京要請行動に対する本土メディアの冷淡な報道に表れた。

(4)いまや「日本の沖縄化」の指摘も聞こえてくる。外国軍機が飛び交う現実を前に、これが主権ある独立国家の姿だと、誇りを持って言えるのか。(引用ここまで)

 これらの「社説」の指摘は正しいと思います。しかし、これらの事実に、「社説」のようなメッセージではなく別の視点のメッセージ、分断ではなく、連帯と団結のメッセージをどのように発信するか、です。

 「年中、オスプレイが傍若無人に飛び交い、住民生活に深刻な影響を及ぼしている」沖縄と比べて「わずか3機3日間」しか飛ばない本土は「沖縄でのあまりにあからさまな『合意破り』『空の無法状態』のほんの一部」しか体験しないという沖縄県民の「複雑な思い」は、確かにその通りでしょう。しかし、だからと言って、沖縄の負担を全国で分担することで、「安全確保策のウソ」や「米軍に締め出されて現場に近寄れないという主客転倒の事態」などの問題は解決するでしょうか?

 とりわけ、「本土メディアの冷淡な報道」によって、「過重に基地が集中する沖縄の痛み」の「認識を共有できるとは考えにくい」という言葉と現実をどのように「琉球新報」というメディアが変えていくのか、そこにかかっているように思います。

 そのためにも「日本全体で分かち合う機運」「基地問題が実は日本の外交、政府の体質の問題であることを知るきっかけ」をどのようにメッセージしていくか、です。

 「外国軍機が飛び交う現実を前に、これが主権ある独立国家の姿だと、誇りを持って言えるのか」という状況が外国軍機だけでなく、社会の隅々にまで、実は「飛び交う」様を報道していくか、です。

 「訓練を機に、米軍基地の在り方を沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論して」いくのではなく、憲法9条をいただく日本として「米軍基地の在り方」ではなく米軍基地のない日本の「在り方」をどのように「沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論して」いくか、そのメッセージをどのように発信していくか、です。

 こうした沖縄からの視点の意味づけは、フクシマ・東日本大震災の被災地からの視点でもあるわけです。ここに日本のマスコミ、メディア、政府の問題があることを強調しておきたいと思います。

 

5.日米軍事同盟は、軍事面からみると、沖縄に負担を過重に課していることは事実です。しかし、本土も同様に負担を課せられているのも事実です。さらに日米軍事同盟は、軍事面だけではなく、経済面でも主権国家である日本をアメリカに従属させ、アメリカの支配層も要求を実現する装置として捉えているとの認識をもつ必要があります。中国「脅威」論に対する「抑止力」としてのTPPは、日米軍事同盟の経済条項の具体化として、好例ですが、「琉球新報」には、「社説」を見る限り、その視点はありません。

 このことについては、以下の記事で書きました。

自由と民主主義はお坊ちゃまに全てお任せで決着したデタラメ声明=TPP参加決定は国民との矛盾拡大で・・・

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/f10c42afd5d638d2e89f296fe19ba0f5

対米従属を卑屈なまでに露わにした安倍首相と全国紙社説、政権公約違反の声を晒して内閣打倒を!

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/54513b753ac6e24defa3a8333533d745

 

では「社説」の指摘を見てみます。

 (1)首相はオバマ米大統領の全面協力を取り付けたとアピールしたいのだろうが、例えばコメや麦、サトウキビなど具体的な品目の例外扱いが決まったわけではない。…TPPの対象は労働規制や衛生・検疫、公共事業発注ルールなど21分野にもまたがる。

(2)安倍政権が交渉参加に前向きな背景には、輸出の増加などで企業活動を後押しするTPPを成長戦略に生かす思惑がある。そうであるなら、なおさら国内で産業空洞化や国民生活の疲弊を招いた政治の責任を自覚すべきだろう。

(3)日本は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国、インドなどによるアジア広域自由貿易協定や、日中韓の自由貿易協定の議論も進めている。今必要なのは、両協定とTPPの整合性を含め成長アジアを日本再生の糧にする国家戦略だ。(引用ここまで)

 

6.沖縄こそが東アジアの平和のハブ基地として機能するのは歴史の必然です。このことを高らかに掲げてこそ、沖縄経済の活性化が図れるのではないでしょうか?これは琉球王国時代の歴史の教訓を活かす運動です。また沖縄の地政学的位置づけの根本的転換を示すものです。

 ペリーが中国貿易のために到来したこと、アメリカが沖縄戦を冷戦の「要石」として位置づけたことを平和の側から教訓化することです。そのためにも、憲法の地方自治の原則を如何なく発揮することです。基地の県外移設から基地撤去に向けて「オール沖縄」戦線を「沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論して」どのように発展させていくか、というのはどうでしょうか?

 そのためにも平和共同体非同盟運動の歴史的教訓を活かし、積極的に東南アジア友好協力条約運動世界社会フォーラム運動との関わりをもり、平和のための諸会議を沖縄で開催するというのはどうでしょうか?尖閣問題を紛争から平和の島へ、友好と連帯の島へと発展させる取り組みを多様に、というのはどうでしょうか?

 世界社会フォーラム憲章

http://ja.wikipedia.org/wiki/

http://www.japan-aala.org/legacy/wsf.htm

 

最後に、この記事を書くために参考にした社説を一覧しておきます。

 鳩山氏講演 対米追従の内幕開示を 2013年2月22日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203078-storytopic-11.html

日米首脳会談 犠牲強いる“同盟”は幻想 2013年2月24日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203155-storytopic-11.html

TPP交渉 見切り発車は許されぬ 2013年2月26日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203237-storytopic-11.html

米国防長官承認 民主的安保へ転換の時 2013年2月28日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203329-storytopic-11.html

埋め立て同意申請 「県内ノー」の民意は不変 2013年2月27日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203289-storytopic-11.html

オスプレイ本土訓練 この程度で負担軽減とは 2013年3月4日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203502-storytopic-11.html

本土で初訓練 沖縄の痛み共有する契機に 2013年3月7日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203645-storytopic-11.html

「主権回復の日」 「屈辱」続いて独立国か 2013年3月9日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203726-storytopic-11.html

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一票の格差是正の抜本的改革を提案しない政党を免罪するマスコミは憲法改悪派の跋扈を許している!その3

2013-03-10 | 日記

では三番目です。

 3.1票の格差の是正について、極めて当然な見解を表明している社説もありますが、その原則を、具体化する「選挙制度」として「何が相応しいか」となると、曖昧です。そこに現在の日本のマスコミの到達点、限界があると思います。その最大の要因は、日米軍事同盟と財界に対する防波堤としての役割を担い、果たしているマスコミの存在があります。

以下具体的にみてみます。

 北海道 憲法に背いた選挙の結果誕生した安倍晋三政権の正統性が問われることも避けられない。新たな小選挙区の区割りを決定し、選挙制度の抜本改革を進めた上で、早期に国民に信を問う覚悟が求められる。…東京高裁は「強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急に行われないまま選挙が行われた経過は看過できない」と指摘した。  投票価値の平等を求める民意を代弁するものとして、国会議員は真剣に受け止めてもらいたい。  安倍政権は12年度補正予算を成立させた。2%の物価上昇目標を明記した政府と日銀の共同声明や、環太平洋連携協定(TPP)に関する日米共同声明も発表した。  これらの政治決定は有効なのか。…憲法の裏付けが不十分なまま政治が行われている異常さを、国会議員は忘れてはならない。  

河北新報 事実上の「違憲国会」を放置し続けていいはずはない。著しい不平等を抱えた国会の議決では、民意に沿ったものと胸を張れない。まっとうな「土俵作り」は待ったなしだ。

デーリー東北 日本の民主主義は選挙制度の改変と軌を一にして歩んできた。今後は投票価値の平等にもっと目を向けろという声が高まるのではないか。 今回の衆院選は違憲状態を知りながら実施された。最高裁としては警告が無視された形であり、踏み込んだ憲法判断をせざるを得ないだろう。

福島民友・岐阜 憲法の理想は完全な投票価値の平等である。格差を限りなく1倍に近づけるのが本来の姿だ。

福井 小選挙区で圧勝したのは自民党だ。安倍政権は「司法の断罪」を真剣に受け止める必要がある。憲法が求め、訴訟の根拠になっているのは「投票価値の平等」である…法の精神に従えば、格差を1倍に近づけるのが本来の姿であろう。…政治と選挙は「数の論理」以上に「質の論理」で考えたい。少数でも質の高い政治家が国家と地域を考え緻密で有効な施策を果敢に実行していく。そんな政治の本質部分を議論してもらいたい。

京都 国会では参院選に向けた「身を切る覚悟」のポーズなのか、定数削減の思いつきのような数字ばかりが飛び交い1票の価値への真摯な姿勢は見えない。震災復興や原発政策、環太平洋連携協定の交渉参加など重要課題に国会がどう対応するかは民意に基づく必要がある。有権者の意思を正確に反映させるのは民主主義の大原則だ。国会は本気で選挙制度改革に取り組まねばならない。

神戸 憲法違反の選挙で選ばれた国会議員が国の予算や法律を決めるという異常な状況は一刻も早く是正しなければならない。

中国 場合によっては選挙無効の判断が下される可能性も否定できない。憲法14条は「法の下の平等」を保障する。国民が選挙で投じる1票も当然、平等に扱われなければならない。それは国民主権に基づく議会制民主主義の屋台骨といえる。「1票の格差」を防ぐには、当然ながら選挙区の定数が人口に比例していることが肝心である。小選挙区であれば、選挙区当たりの人口が同じであることが基本となろう…判決に対する最低限の立法府の務めである。 投票価値を可能な限り平等に近づけることが本来の姿だろう。さらに、民意を反映した選挙制度改革への取り組みが求められることも論をまたない。…

山陰中央 憲法の理想は投票価値の平等である。格差を限りなく1倍に近づけるのが本来の姿だ。

愛媛 1票の重みを均等化する選挙制度の抜本改革と併せ、あらゆる地域の民意を公平にくみとり政治に反映させる仕組みを考えなければならない。参院の選挙制度改革論議とも絡めたい。

宮崎日日 憲法の理想は完全な投票価値の平等である。格差を限りなく1倍に近づけるのが本来の姿だ。それなのに国会が十分に対応せず、国民に対する責任を果たせないなら、司法がさらに厳しい判断を突き付けるしかない。

沖縄タイムス 国権の最高機関である衆議院は、司法によって「違憲衆議院」の烙印(らくいん)を押されてしまった。国会で選出された安倍晋三首相の正当性さえ疑われかねない事態である。ましてや「違憲衆議院」で憲法改正を進めるなどというのは、とんでもない話だ。(引用ここまで)

 

どうだったでしょうか? 日本のマスコミの手法として言えることは、

(1)政権を批判しているようで、実際は悪政を励まして、応援団となっている。消費税・TPPはその好例です。この1票の格差是正も裁判所を支持しながら、「国会」「与野党」を批判しながら、クソもミソも一緒くたに食わせようとしていることが判ると思います。

(2)裁判所の判決についても、「選挙無効」判決ではなく政権と政権政党の小手先区割り手法の追認判決です。マスコミも小選挙区の区割りの増減は「小手先」と表明しながら、判決も政治の実態も追認しています。これでは事実上民主も自民も、公明も打撃とはなりません。

 (3)1票の格差是正の原則である憲法の平等の原則を強調しながら、小選挙区の増減の減の対象となっている地方の新聞の社説は、議席減を都市部と過疎部の対立のように描き、嘆いて、自民党など小選挙区制温存派を応援しています。また小選挙区制の死票、比例代表のブロック性の改悪による死票の増大を指摘しながら、それらに代わる制度として、全国一ブロック性の比例代表制にまで言及はしていません。或いは中選挙区制度の復活についても同様です。

 (4)マスコミの世論誘導によって、国民も、自分の一票の価値について、「どうせ政治は変わらない」「どこがやっても同じ」という気分に浸ってしまっています。さらにマスコミの世論誘導に疑問を持たないように追い込まれています。こうした世論の気分感情が、マスコミと政権を温存させているのです。

 (5)このようにマスコミの政権と政治批判をゴチャゴチャにすることで、国民の立場にたった政治をも黙殺しながら、また日米軍事同盟容認・深化派の政権の枠組みの温存をはかっているのです。その好例が大企業の内部留保の活用問題です。選挙の時は、目もくれなかった政策が、今や国会ではお坊ちゃま安倍首相と麻生副総理の言葉に示されているように「自共共闘」の観のように捉えられているのです。これが安倍政権の支持率アップに貢献しているのです。マスコミの犯罪的役割がここにあります。

 (6)憲法の原則を一応は認めながらも、憲法を否定する勢力に対して、憲法尊重擁護の義務違反に対して徹底して批判しないことで、憲法否定派を優遇しているのです。「軒下を貸したら母屋を取られた」式のスタンスはどの政策についても言えることです。

 このことを一つ一つの場面で検証していく作業が必要です。

 それでは、最後に各紙社説のテーマを一覧しておきます。

北海道 1票格差違憲 政治の正統性問われる (3月7日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/447025.html

河北新報 1票の格差是正/最優先の使命と心得よう 03月04日月曜日

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/03/20130304s01.htm

デーリー東北 1票の格差 最高裁は果断な判断を 2013/03/08)

http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/jiten/jihyo/todayjih.htm

福島民友 12年衆院選「違憲」/自ら是正作業を急ぐべきだ (3月7日付)

http://www.minyu-net.com/shasetsu/syasetu/130307s.html

信濃毎日 1票の格差 司法の目さらに厳しく  03月07日(木)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130307/KT130306ETI090009000.php

新潟日報 衆院選「違憲」 抜本改革につなげないと 2013/03/08 09:24

http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/

岐阜 「1票の格差」違憲 是正なければ「無効」判決も  3月 7日(木)

http://www.gifu-np.co.jp/column/syasetsu/sya20130307.shtml

福井 1票の格差「違憲」相次ぐ 政治の怠慢、抜本改革急げ (3月8日午前6時38分)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/40836.html

京都 1票格差「違憲」  国会の怠慢は許されぬ 3月07日掲載

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20130307_3.html

神戸 衆院選違憲判決/格差是正は待ったなしだ 2013/03/07

http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201303/0005794561.shtml

山陽 1票の格差「違憲」 国会の不作為への警告だ (2013/3/7 8:54)

http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2013030708545126/

中国 「1票の格差」違憲判決 政治は自浄能力を示せ '13/3/7

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201303070086.html

山陰中央 1票の格差/抜本改革に踏み込む時だ('13/03/08)

http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=537649033

愛媛 1票の格差違憲判決 怠慢猛省し本気の制度改革を 03月07日(木)

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201303076921.html

徳島 1票格差「違憲」 国会の怠慢が断罪された 3月8日付

http://www.topics.or.jp/editorial/news/2013/03/news_13627046773289.html

高知 【衆院選違憲判決】早急な改革が求められる 03月07日08時18分

http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299785&nwIW=1&nwVt=knd

高知 【衆院選違憲判決】早急な改革が求められる 03月07日08時18分

http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299785&nwIW=1&nwVt=knd

西日本 1票の格差判決 国会の怠慢が断罪された  3月7日 10:38

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/351572

宮崎日日 「1票の格差」違憲 国会は最高裁判断を待つな 03月08日

http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/index.php?blogid=5&catid=15

佐賀 1票の格差に違憲 国会の怠慢、厳しく指摘

http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2413157.article.html

熊本日日 1票の格差 国会に改革迫る違憲判決 03月07日
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20130307001.shtml

南日本 [1票の格差判決] 国会に重い司法の警告 ( 3/8 付 )

http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201303&storyid=46865

琉球新報社説 12年衆院選違憲 小選挙区制の抜本見直しを 3月7日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-203646-storytopic-11.html

沖縄タイムス社説[「1票の格差」違憲]国会は怠慢を恥じよ 3月7日 09時45分http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-07_46183

 

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一票の格差是正の抜本的改革を提案しない政党を免罪するマスコミは憲法改悪派の跋扈を許している!その2

2013-03-09 | 日記

次は、上記を受けて、二つ目のポイントについて、です。

 2.上記の各紙の社説に示されているように「国会」の「怠慢」を批判する社説が多いことに、特徴があります。しかし、これは事実を隠蔽するスリカエです。

 事実は国会の多数政党である自民党の憲法の主権在民主義、国民主権無視にあることを隠蔽していることです。1票の格差の是正の各党の政策的違いを、憲法の原則から比べ、批判してこなかった各紙の曖昧さを免罪するものです。このことは「各党」「与野党」という曖昧な言葉でゴマカシ、1票の格差是正の憲法的原則の具体化を主張する政党を国民の眼から遠ざけてきていることにも示されています。

 さらに言えば、1票の格差是正の議論を民意尊重の議論から党利党略問題にスリカエて、政治不信を煽っていることです。このことが、定数削減を求める国民の声として、さらにスリカエられ、「1票の格差の抜本的改革」を遅らせてきたのです。そのことが、自民党政権の延命を助ける役割を担ってきたこと、その自民党政治を批判する国民の声の高まりを「政権交代可能な小選挙区制」というコピーにスリカエて、憲法違反を温存し、日米軍事同盟容認派を多数派に祀りあげてきたこと、このことを免罪していることです。

 この最大の原因は、現在の日本のマスコミ自身が日米軍事同盟容認派だからです。国会で日米軍事同盟廃棄派が、法案提案勢力に伸張すれば、これらの動きを報道しなければならなくなります。

 さらに言えば、党首討論をはじめとして国会の質疑時間が長くなり、日米軍事同盟容認派の主張が国民のなかに浸透していく可能性が大きくなります。そのことでさらに、日米軍事同盟廃棄派は国会で多数を形成することで、安保条約第10条の行使権の具体化、かつて財界を国会証人喚問席に座らせたことがありましたが、この証人喚問の再現の可能性が大きくなってしまいます。

 このことだけは何としても避けたいという思惑を反映した日米軍事同盟深化派と容認派の合作として、「1票の格差是正」問題を遅らせてきたことの本質があるのです。

以下見てみます。

 北海道 最高裁判決後、与野党は違憲状態解消に向け協議を重ねた。しかし党利党略が絡んで結論を出せず、衆院選挙区画定審議会の区割り勧告期限を過ぎて「違法状態」にもなった。…憲法の裏付けが不十分なまま政治が行われている異常さを、国会議員は忘れてはならない。 与野党は衆院選直前に小選挙区を「0増5減」して1票の格差を2倍以内に収めることで合意し、選挙区画定審議会が区割り作業に入っている。新たな区割りが決まり次第、早期に選挙を行うのが筋だ。

河北新報 衆院解散に当たり、小選挙区定数を「0増5減」とする選挙制度改革関連法が成立。2倍未満に一定の道筋を付けたものの、区割りの見直し、公職選挙法の改正は間に合わず、関連法成立も半ば政治の努力ぶりを司法に示すポーズにとどまった。…「0増5減」でさえ区割り改定の対象となる選挙区が多く、政治が腹を決めないことには調整作業にも弾みがつかない。 国民の意思が正しく反映する国会は民主主義の土台。「違憲」を突き付けられなければ本腰を入れないようでは情けない

デーリー東北 今回の衆院選は違憲状態を知りながら実施された。最高裁としては警告が無視された形であり、踏み込んだ憲法判断をせざるを得ないだろう。…国会が今後も選挙制度改革に後ろ向きなのでは政治そのものの正当性が問われるだろう。危機意識を持って見直しに取り組まなければならない。

信濃毎日 ただ「0増5減」は区割り変更の遅れから選挙に間に合わなかった。違憲状態のまま選挙が行われ、格差はむしろ広がった。 与野党協議で格差是正を優先させていれば、最高裁判決から選挙までの間に区割り見直しは十分可能だった―。判決はそう指摘して「憲法が求める合理的期間は経過した」と断じている。与野党間の改革論議は迷走、停滞を続けたままだ。政治家にこれ以上任せておくわけにはいかない。与野党は選挙制度審議会を直ちに設置して、新しい選挙制度の設計に入るべきだ。

新潟 本当に期待にかなうような議論だったのか。「0増5減」はまさに小手先の数合わせであり、しかも昨年の衆院選には適用せずに、解散に踏み切ったのだ。政権奪回へ解散を迫っていた自民党が、その条件として民主党と合意したという背景もあろう。政争の産物にほかならない。今回の高裁判決については、各党とも「重く受け止める」と神妙だが、真剣に制度改正へ取り組む気はあるのだろうか。格差を解消し違憲状態から脱することはもちろんだが、懸案の定数削減も含めた抜本改正は掛け声だけで終わってはならない。区割り変更による格差是正と、定数削減の問題をセットにするから議論がまとまらず、各党が合意できないという意見も聞く。党利党略が先行し、駆け引きばかりが繰り返されて結論が出せないのではないか。「身を切る改革」という言葉は聞こえはいいが、いざ実行となれば政治家の身分に関わるため、いつも及び腰になってしまう。大政党も中小政党ももろ手を挙げて賛同できるパーフェクトな制度は、まずあり得ないだろう

福井 立法府は、国会の怠慢を厳しく指弾した判決の重みをどう抜本改革につなげるか。明確な答えを出さなければならない。

山陽 院の選挙制度改革は、「0増5減」に加えて比例代表定数を削減する議論も行われている。自民党は比例を30減の150とし、うち30議席を得票率第2位以下の政党に優先配分する案で調整している。中小政党に配慮したものだ。ただ、比例定数を減らすこと自体に反対があり、削減幅をめぐっても政党間の主張は隔たりがある。政党の個々の利害にとらわれて見直しを先送りすることは許されない。司法の警告を真摯に受け止め、協議を急がなければならない。

愛媛 国会は政局を優先させ、問題を放置したと批判されても仕方あるまい。長期間、しかるべき行動をとらなかった国会の姿勢は、裁判所の猶予限度を超えたということだ。

徳島 …結局のところ、「0増5減」での改正は最大格差を2倍未満に抑えるための対症療法に過ぎず、憲法が求める「1票の価値の平等」に向けた取り組みとは言い難い。国会に残された道は、議員定数の削減を前提とした制度の抜本改革で、国民に成果を示すことしかないだろう。各党の利害が絡む難しい問題だからといって、これまで通り「決められない政治」を続けるわけにはいかない。気を付けなければならないのは、各党の顔色をうかがうことで複雑怪奇な仕組みになったり、制度の理念が曖昧になったりすることだ。目指す方向性の見えない選挙制度では、民主主義の根幹が揺らぐことになる。自公政権の覚悟と見識が問われている。

高知 高い「違憲リスク」を抱えた総選挙実施の責任は、ひとえに政治自身にある。  ねじれ国会下で、喫緊の課題だった選挙改革でも党利党略が先行し、議論は遅々として進まなかった。 本県などで小選挙区定数を削減する「0増5減」と、最高裁が「投票価値の平等に反する」と指摘した「1人別枠方式」を廃止する関連法が成立したのも、政争の中で「解散の条件」となったことがきっかけだった。 対症療法でさえ司法の警鐘から1年8カ月を要した。区割りが間に合わず、違憲状態が是正されなかった事実は重い。

西日本 自民、公明、民主3党は衆院の定数削減を含む選挙制度改革について、今国会終了までに「結論を得た上で必要な法改正を行う」ことで合意しているが、各党の利害が絡んで調整は難航している。

佐賀 選挙制度改革の論議は、自民党が出した「0増5減」案を軸に進んだが、消費税増税を最優先とする民主党は「身を切る改革」として比例定数削減にこだわった。0増5減を先行実施していれば、少なくとも違憲の事態は避けられた。政治的な思惑で遅延したことは否めない。

熊本日日 今後も違憲判決が相次げば、衆院議員は「憲法上の正当性がない」とみなされる可能性もある。 それなのに、国会の緊張感は乏しかった。自民、民主、公明3党は昨年11月、衆院の選挙制度改革で合意したが、初の実務者協議が開かれたのはこの3月に入ってから。

南日本 与野党は選挙制度改革の協議に入ったが、各党の利害が対立し空回りを続けた。 結局、昨年11月、当時の野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁との党首討論で定数削減の実現を条件に衆院解散を約束し「0増5減」の関連法を成立させたが、区割り改定は間に合わなかった。…各党は党利党略に走り、異常事態を拡大させた責任の重さを自覚すべきだ。 解散に当たり、自民、公明両党は定数削減を含む制度改革の今国会中の実現を民主党と約束した。 自民党は小選挙区比例代表並立制を維持し、比例代表定数を30削減する案を軸に党内調整を図る方針だが、選挙制度の抜本改革や小選挙区定数の削減を主張する公明党とは隔たりがある。与野党合意はさらに困難だろう。今国会中にまとめるという気概が重要だ。

琉球新報 問題は中小政党が納得し得る案かどうかだ。…与党公明党の山口那津男代表ですら制度改革について「国民は選挙のたびに大きく議席が振れることに強い疑問を持っている。より民意を反映できる制度を考えれば、比例代表の定数を削減するのは国民の意向に逆行する」と慎重姿勢で、かつての中選挙区制度も排除すべきではないとの立場だ。小選挙区制度は政権交代が可能な二大政党制を目指したが、現状は中小政党が乱立している。中小政党や国民の間ではかねて、この制度は「日本の政治風土になじまない」という指摘も少なくない。民意を生かすためにも「死に票が多い」とされる小選挙区制を、もはや見直しの聖域とすべきではない。地域主権や道州制導入が叫ばれる時代に東京一極集中、中央集権など都市中心の価値観で選挙制度を見直せば、反動で地方は疲弊しかねない。

沖縄タイムス 政府も政党も「選挙のやり直しはないだろう」と事態を甘くみてはいないか。だが、その姿勢そのものが「憲法の尊重・擁護義務」を軽視した姿勢だといわなければならない。国会は昨年11月16日、衆院解散のその日に、小選挙区の定数を「0増5減」とする選挙制度改革関連法を成立させたが、新たな区割り作業に時間がかかり、選挙に間に合わなかった。最初から間に合わないことを知りつつ、衆院を解散したのである。(引用ここまで)

 どうでしょうか?民主党・自民党・公明党の合作として仕組まれた総選挙の責任を問うものがあったでしょうか?ここに自民もダメだったが、民主もダメだった。

 では・・・、これだけは何としても避けなければならないということで、第三極という枠組みを仕掛け、民主の分裂を仕掛けることで、多党化という煙幕と世論調査と選挙後の枠組みという世論操作によって、投票を棄権する国民を1千万人も作り出し、国民に支持されてもいないお坊ちゃま自民党に議席をプレゼント!

 共産党と社民党を排除する装置が、一見すると成功しているような現在の政治がある!まさに狙いどおり!ということです。まるでドラマを見ているようなストーリーです。

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一票の格差是正の抜本的改革を提案しない政党を免罪するマスコミは憲法改悪派の跋扈を許している!その1

2013-03-09 | 日記

全国紙に続いて地方紙の社説が出揃いました。そこで1票の格差是正について、どのように論じているか、一覧し、その役割を考えてみました。そのポイントは以下のとおりです。長いので分散して掲載してみました。

 1.今度の判決を受けて各紙とも一応は「抜本改革」を説いてはいるものの、1票の格差是正の「抜本改革とは何か」について、具体的には何も示していないことです。中には憲法の原則を述べながらも、その平等の原則に相応しい選挙制度については曖昧です。こうした姿勢が自民党長期政権を許し、憲法をないがしろにする政治を容認してきたのです。

 

まず。以下の記事を参考にしていただければと思います。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5230b.html

 では各紙の社説を見てみたいと思います。 

北海道 「0増5減」は緊急避難にすぎない。さらなる格差是正が必要だ。与野党は衆院定数削減を含めた抜本改革にも取り組んでいる。早期に結論を得るべきだ。…裁判が最高裁に持ち込まれても、審理は速いペースで進みそうだ。  信頼回復に向け、国会は主体的に改革を加速させなければならない。

河北新報 法の下の平等を定めた憲法との整合性が問われて久しい。是正措置は小手先で、国政選挙のたびに「憲法違反」「選挙無効」の訴えが起こされ、司法は不断の改善を求めてきた。…事実上の「違憲国会」を放置し続けていいはずはない。…3党は、選挙制度を含めた定数是正を今国会中に実現するとの昨年の合意を確認した。約束に基づいて抜本改革に取り組むのは当然だが、主張の隔たりは大きく、早期の実現は見通せない。

福島民友・岐阜 永田町は覚悟してもらいたい。そして、最終的な最高裁の判断を息を潜めて待つのではなく、自ら是正作業を加速させ、抜本的改革にも踏み込むべきだ。司法の要求は既に明確になっていることを認識する必要がある。…国会が十分に対応せず、国民に対する責任を果たせないのであれば、司法がさらに厳しい判断を突き付けるしかない。

信濃毎日 与野党は司法からの警告を重く受け止め、選挙制度の抜本改革に踏み出すべきだ…与野党は選挙制度審議会を直ちに設置して、新しい選挙制度の設計に入るべきだ。…政治が後ろ向きの姿勢をとり続ける場合には、最高裁から選挙やり直しを命じられる可能性が高まると覚悟すべきだ。

京都 09年衆院選をめぐる最高裁判決が違憲状態の主因とした「1人別枠方式」の廃止を含めた抜本的改革こそ司法は求めている。にもかかわらず国会では参院選に向けた「身を切る覚悟」のポーズなのか、定数削減の思いつきのような数字ばかりが飛び交い1票の価値への真摯な姿勢は見えない。…有権者の意思を正確に反映させるのは民主主義の大原則だ。国会は本気で選挙制度改革に取り組まねばならない。

神戸 改革は待ったなしだ。憲法違反の選挙で選ばれた国会議員が国の予算や法律を決めるという異常な状況は一刻も早く是正しなければならない。 国会は判決に沿った定数配分を定め、制度改革の議論を加速させることだ。「準備はしていたが選挙に間に合わなかった」という言い逃れはもう許されない。全議員が司法のレッドカードを重く受け止め、今国会の最優先課題として抜本改革を成し遂げねばならない。

山陽 国会はその後2年近く抜本的な改革を先送りし、昨年の選挙ではさらに格差が広がっていた。最高裁判決を待つまでもなく、国会は速やかに制度見直しに着手し、立法府としての責任を果たさなければならない。…今年夏に行われる選挙では「4増4減」が実施されるが、一時しのぎと言わざるを得ない。民主政治の根幹をなす選挙制度が、衆参共に違憲や違憲状態とされている異常事態の解消を急ぐべきである。…度重なる警告に手をこまぬいてきた政治に対する、司法の強い姿勢がうかがえる。これ以上の立法府の怠慢が、国民の政治への信頼を失わせるのは明らかだ。

中国 国会議員が自浄能力を行動で示すべきである。

山陰中央 最終的な最高裁の判断を息を潜めて待つのではなく、自ら是正作業を加速させ、抜本的改革にも踏み込むべきだろう。…国会の十分な対応が求められる。

愛媛 国会は格差を放置した怠慢を猛省し、速やかに是正の実現を図るとともに、選挙制度の抜本改革にも真摯に取り組まなければならない。…国会は衆院選の正統性を否定された重大性を肝に銘じ、制度改革に本気で取り組まねばなるまい。

徳島 有権者一人一人の「投票価値の平等」も守れない国会では、立法府としての責任が果たせていないと批判されても仕方がないだろう。…東京と札幌の高裁が下した違憲判断は、憲法上の正統性を欠いた衆院議員が国政活動をしていることを意味する。まさに異常事態であり、国会は一刻も早く制度の抜本改革を成し遂げなければならない。

高知 民主主義の根幹に関わる選挙の正当性に疑問符が突き付けられた意味は大きい。司法が発した警鐘を政治は重く受け止め、抜本的な制度改革を急ぐ必要がある。…国会は憲法、司法が求める「投票価値の平等」に沿った区割りへの是正を急ぎ、抜本的な改革への議論を進める必要がある。

西日本 判決を重く受け止め、抜本的な選挙制度改革に今度こそ本腰を入れるべきだ。…国会は選挙区定数を「4増4減」する改正公選法を成立させ、夏の参院選から適用するが、これまた小手先改革の域を出ない。衆参両院のあり方を含めた抜本的な選挙制度改革がやはり必要だ。

佐賀 0増5減は真の改革ではなく、人口の都市集中と地方の過疎化が続く中、いずれ問題が生じる小手先の対応だ。最高裁が廃止を求めた「1人別枠方式」を事実上、温存する結果にもなっている。当面、議員の正当性に疑問符がつく事態を避けた上で、抜本改革に取り組まなければならない。

熊本日日 格差を放置し続ける国会の「怠慢」を厳しく批判し、抜本的な選挙制度改革を迫った判決といえるだろう。…各党の思惑の隔たりは大きく、今も着地点は見いだせないままだ。仮に選挙無効の判決が出ても、国会による法改正がなければ選挙のやり直しも困難だ。再び「怠慢」と指弾されぬよう、一日も早く選挙制度改革を実現すべきだ。

南日本 国会は最高裁の最終結論を待つのではなく、これまでの不作為を猛省し、根本的な制度改正に真摯に取り組んでもらいたい。

琉球新報 今判決は違憲状態を指摘されながら抜本改革を怠り、憲法の「法の下の平等」に反する事態を増幅させた国会の不作為を叱責するものだ。各党に猛省を促したい。…「0増5減」に基づく区割り作業では、法の下の平等と少数意見の尊重を斟酌して、慎重な制度設計に努めてもらいたい。

 

どうでしょうか?判決を支持しながら、国会の怠慢を批判しながら、憲法の原則に基づく「抜本改革」については、一般的に指摘しているだけです。

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屈辱の日を独立の日とするおぼっちゃま安倍自民党の身勝手と対米従属を徹底批判しないマスゴミに大喝!

2013-03-08 | 沖縄

昨日7日、安倍首相は自民党野田議員の質問に応えて4.28沖縄にとっては「屈辱の日」を「主権回復=独立の日」として式典を行うと答弁しました。この事実を報じる記事をとおして、マスゴミの戦後の日米安保体制論について、その論理と立場を検討して見たいと思います。

 時事 来月28日を「主権回復の日」に=政府主催の式典検討-安倍首相

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013030700275&g=pol//

 安倍晋三首相は7日午前の衆院予算委員会で、日本が太平洋戦争後に主権を回復した4月28日を「主権回復の日」として、同日に都内で政府主催の式典を開催する方向で検討していることを明らかにした。自民党の野田毅氏への答弁。月内にも閣議決定する方針だ。
 首相は開催の意義について「国際社会の平和と繁栄への貢献を確認し、未来を切り開く決意を確固とする」と強調。…敗戦後の1952年4月28日、米国などとの間で結んだサンフランシスコ講和条約が発効し、日本は主権を回復した。自民党は昨年行われた衆院選の政策集「Jファイル」で、同日を「主権回復の日」として政府式典を開催することを明記している。(引用ここまで)

 これについては、昨年、以下の記事を書きました。

4.28沖縄デーに「植民地的従属」を「独立」と称し安住するマスコミは愛国的か?を検証する!

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/3a50d4f2aa89b34478ee59432d4b6796

 産経 小池氏「主権回復の日」早期調整を要求 自民約束の政府主催式典2013.1.28 19:45

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130128/plc13012819480025-n1.htm

民党の小池百合子広報本部長は28日の党役員会で、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」とし、政府主催の式典を開催することについて「もう1月になっており、調整はどうなっているか」とただし、開催に向けた調整を急ぐよう求めた。これに対し石破茂幹事長らは「党と政府の間で調整したい」と引き取った。同条約が発効した昭和27年4月28日は、日本が独立を回復した日にあたる。同党は昨年末の衆院選で掲げた「総合政策集」で「政府主催で4月28日に『主権回復の日』として祝う式典を開催」と明記していた。(引用ここまで)

 

時事」も「産経」も自民党も、「日本は主権を回復」「日本が独立を回復」と主語は「日本」となっている。この「日本」の中には、沖縄、この時点では奄美、小笠原は除外されていたのです。そのなかで、最も遅れて「主権が回復」したのは、沖縄でした。当時は「施政権」という言葉が使われ、「主権が回復」「独立が回復」という言葉は使われていませんでした。

 では、このニュースはどのように報道されているか、さらに見てみます。

スポ日 政府主催で4月28日に「主権回復」式典開催へ 首相表明「記念すべき日」

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/03/07/kiji/K20130307005340710.html

1952年の講和条約発効により日本は占領統治から独立を回復した。首相は「主権を失っていた7年間の占領期間があったことを知らない若い人が増えている。日本の独立をしっかり認識する節目の日だ」と意義を強調した。 これに関連し、菅義偉官房長官は記者会見で「日本が国際社会に復帰し、戦後の復興に向けてスタートした極めて記念すべき日だ。日本の未来を切り開いていく決意を確固たるものにしたい思いもある」と述べた。 衆院予算委は首相と全閣僚が出席して2013年度予算案の基本的質疑を実施。下村博文文部科学相は予算委で、中学の社会科教科書の一部に沖縄県・尖閣諸島に関する記述がないとして「学習指導要領と解説書の見直しを行う中で検討することが必要」と指摘した。…[ 2013年3月7日 12:12 ](引用ここまで)

 この記事でも、「日本は占領統治から独立を回復」とあります。さらに気づくことは、日本国憲法に関する式典を一貫して行っていないことは不問に付されていることです。ここに現在の日本社会の最高法規である憲法観が如実に示されています。

 毎日 沖縄:「屈辱の日」と反発 4.28に政府記念式典検討 03月08日 11時29分

http://mainichi.jp/select/news/20130308k0000e040196000c.html

1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効し日本が独立を回復したことを記念し、安倍晋三首相は今年4月28日に政府主催の式典開催を検討していることを表明した。だが、講和条約発効で日本から切り離された沖縄では、この日は「屈辱の日」とも呼ばれる。2月に沖縄県を訪問した安倍首相は沖縄との信頼関係再構築を強調したが、沖縄では不信感が募る一方だ。 「サンフランシスコ講和条約が発効して7年にわたる長い占領期間を終え、わが国は主権を完全に回復した。つまり、独立を手に入れたわけだ」 安倍首相は7日の衆院予算委員会で、野田毅氏(自民)にこう答弁。「若い方々には、長い占領期間があったことを知らない人も増えている。60年前に独立したことをしっかりと認識する。わが国の未来を切り開く決意を確固たるものにするため、本年4月28日に政府主催の記念式典を実施する方向で検討している」と表明した。自民党は昨年の衆院選政策集に「4月28日を『主権回復の日』として祝う式典」を政府主催で開くと盛り込んでいた。 だが、講和条約発効で沖縄と奄美は本土から切り離され、米国統治が合法化された。奄美が日本に復帰したのは53年12月25日、沖縄は72年5月15日だった。 「4・28」を巡る沖縄県民の心情を、比屋根照夫・琉球大名誉教授(政治思想史)は「沖縄戦で多大な犠牲を強いられた上に、沖縄はこの日に切り捨てられた。沖縄の戦後の苦難の歴史の原点とも言える日。祝う気持ちになれるはずがない」と説明。その上で「もし式典を開くのならば『屈辱の日』と呼ばれる沖縄の歴史も同時に伝えるべきだ。祝うだけの式典では、沖縄との信頼関係は根底から崩れる」と話した。 米空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)の騒音被害を訴える嘉手納爆音訴訟3次訴訟団は、あえて2年前の4月28日に提訴した。平良真知事務局長(62)は「その日に沖縄の米軍基地の固定化が決まり、被害が今も続く。沖縄での『4・28』の位置付けは本土の意識の対極にある」と憤りを隠さなかった。 米軍の弾圧に抵抗し、戦後沖縄革新勢力のシンボルだった元那覇市長、瀬長亀次郎(故人)の次女、内村千尋さん(68)は「オスプレイの押し付けなどで本土から今も置き去りにされたままと思っている沖縄からすれば『4.28』を祝うという発想自体が理解できない」と困惑した。 サイパンの捕虜収容所で生まれ、家族とともに戦後沖縄に戻った社民党の照屋寛徳衆院議員(沖縄2区)は条約発効の日、6歳だった。式典を巡る動きに「びっくりした。『屈辱の日』に記念式典を開くなんてあまりにもふざけているし、絶対許せない」と憤った。 その上で「安倍首相は衆院選で『日本を取り戻す』と言っていたが、その取り戻す日本の中に沖縄は含まれていないことが明らかになった。まさに沖縄への構造的差別の表れだ」と話した。【井本義親、佐藤敬一】(引用ここまで)

 この記事を読んで思うことは、以下のことです。

 1.「日本が独立を回復した」日は、沖縄・奄美・小笠原の「米国統治が合法化された」日ということです。そうした日を「7年にわたる長い占領期間を終え、わが国は主権を完全に回復した。つまり、独立を手に入れたわけだ」という認識に日本国の総理大臣が立っていることの是非を問うべきです。

 2.同時に「日本に復帰した」日という曖昧な表現になっていることです。「7年にわたる長い占領期間」から「主権を完全に回復」したという表現を使うのであれば、「合法化された」「米国統治」から20年にわたる沖縄の「主権を完全に回復」とすべきです。日本に「復帰」という言葉の奥底に何があるか、「屈辱の日」を押し付け、「切り捨てた」という背景が見えてきます。この歴史認識の是非を問うべきです。

 3.「1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効し日本が独立を回復した」日は、同時に「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」(旧日米安保条約)が「発効した日」、新たな「屈辱の日」であることを不問に付していることです。連合国占領軍から対米屈辱・従属性への変質・継続の始まり、現在の日米同盟基軸論の出発点という意味こそ問われなければなりません。

 4.しかし、こうした歴史認識と一体的なものとして常に出されるのが「沖縄への構造的差別の表れ」(照屋寛徳衆院議員)論です。この差別論には、「何者」が沖縄を差別しているのかが曖昧にされています。この「構造的差別」の奥深いところに「日米同盟」=日米軍事同盟があることを踏まえるべきです。そして「構造的差別」の根源である「日米同盟」を廃棄して、新たな友好と連帯の日米平和友好条約を締結し、この「構造的差別」をなくしていく第一歩とすべきでしょう。

 しかし、日米軍事同盟容認派、深化派が蔓延している現代社会にあって、日米軍事同盟廃棄派を少数派に追い込めている装置が席巻している独立国ニッポンにあって、このような世論は、無視されています。だからこそ、あらゆる時を逃さず、明らかにしていく必要があると思います。

 次に、「朝日」(8日)の38面の記事です。

この記事のテーマ、「主権回復の日式典意向 沖縄屈辱の日復活だ」と「オスプレイ夜間訓練か 愛媛上空飛行の可能性」を読むと、各地の県民の声を無視して米軍の好き勝手なオスプレイの訓練、これが「主権回復」した日本なのか、ということです。

しかし、この二つの記事は、その関連性を強調して書かれていません。沖縄の主権回復と現在の日本の主権の実態というような書き方にはなっていません。事実を報せているだけです。

この記事を読めば、日米軍事同盟廃棄に向けて沖縄と本土の連帯の土壌があるということですが、記事はそのようにはなっていません。

 最後に、「北海道」「東京」の社説を紹介しておきます。

 北海道社説 主権回復の日 改憲への地ならしでは(3月8日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/447319.html

1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、敗戦後の日本が7年ぶりに主権を回復した日だ。国として大切な節目であることは確かだ。  ただ、あまり議論になることのなかったこの日の政府式典を、首相が突然打ち出した背景に目を向けておきたい。 首相は予算委で「憲法も教育基本法も、主権を失っている期間にできた」と述べ、今の憲法が連合国軍総司令部(GHQ)による押しつけだとの持論に結びつけた。  「主権回復の日」を、首相が目指す改憲への地ならしにしようとしているのなら看過できない。式典を開くとしても戦争の反省に立つ日とすべきで、戦後の枠組みを否定するものにしてはならない。 自民党有志は2年前、主権回復の日を記念日にする議員連盟(野田毅会長)をつくった。議連は設立趣意書で「主権回復した際に、直ちに自主憲法の制定と国防軍の創設をすべきだった」と主張する。 議連は同日を祝日とする法案を提出したほか、講和条約発効60周年の昨年4月28日に記念集会を開いた。集会で当時の谷垣禎一自民党総裁は改憲の必要性を訴えた。  主権回復の日をめぐる動きは、同党が目指す自主憲法制定につながっているとみていいだろう。  だが、敗戦から7年間、GHQの占領下でも国会や内閣は存在しており、憲法や法律をみな「押しつけ」と決めつけることはできない。  旧憲法で軍国主義に走り、無謀な戦争に突入し、国民とアジアの人たちに惨禍をもたらした。その反省をかみしめながら、戦後民主主義の柱を打ち立て、国の再建を目指した期間でもあったことを銘記したい。 自民党は昨年の衆院選公約に、建国記念の日、竹島の日、主権回復の日に政府式典を開くと明記した。  政府が竹島の日式典を見送ったことが党内の保守派に不満を残したため、バランスをとって主権回復の日式典を開催するとの見方もある。 首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を訴える。本会議答弁でも、憲法96条を改正し改憲要件を緩和することに意欲を示した。  政府式典も、改憲への一里塚にしようとする疑念が消えない。占領の7年や憲法の平和主義を否定的にのみとらえる式典なら賛同できない。  内容が偏れば、若い世代に間違った歴史認識を与えるおそれがある。 アジアの国々にも誤解を与えることがあってはならない。(引用ここまで)

 極めて当然な「社説」と言えます。そういう意味ではアッパレ!です。大アッパレ!まではイマイチ。何故か。それはお坊ちゃま安倍自民党の身勝手思想、「憲法尊重擁護の義務」放棄に対する批判が弱いように思うからです。

 教育公務員に対して「日の丸」「君が代」に対する「義務違反」の処罰を奨励・容認する政府が、憲法尊重擁護の義務違反を免罪するのです。こうした風潮を世論が容認しているのは、何故か。ここに最大の問題があります。

 例えば、安倍首相は「憲法も教育基本法も、主権を失っている期間にできた」と言います。であるならば、公務員の争議権を剥奪した政令201号にもとづいて制定された諸公務員法はどうするのか?自衛隊の前身である警察予備隊にもとづく自衛隊法はどうするのか。

 あまりの身勝手さ、国権の最高機関である国会の場で平気でウソを吐く、国民をペテンにかける。これを徹底して批判すべきです。

 【東京社説】本土訓練開始 安保とは、考える機会に 2013年3月8日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030802000151.html

 沖縄の基地負担軽減につながるとは考えがたい。本土で始まった垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの低空飛行訓練。危険と騒音を強いるのなら、日米安全保障体制への反発を増幅させるだけだ。 オスプレイは昨年十月、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に十二機配備された。このうち三機が六日午後一時十分ごろ、普天間飛行場を離陸。午後三時十五分ごろから約二十分間に、高知県本山町や愛媛県新居浜市別子山などの上空を東から西に通過する様子が目撃された。 和歌山県から愛媛県にかけてのいわゆる「オレンジルート」だ。 オスプレイは操縦ミスで度々墜落し、安全性に疑念が残る軍用機である。それを、かつて米国防長官が「世界一危険」と指摘し、日米両政府が日本側への返還で合意した米軍基地に強行配備する非合理性をまず指摘せねばなるまい。 在日米軍基地の約74%は沖縄県に集中する。騒音や事故、米兵の犯罪など基地負担に苦しむ沖縄県民が、オスプレイ配備による負担の上乗せに反対するのも当然だ。 その沖縄県民の負担を、沖縄以外の都道府県がオスプレイの訓練を受け入れることで軽減できるのなら、まだ意味がある。しかし、本土での訓練は全体から見ればごく一部であり、日数も限られる。負担の分かち合いには程遠い。 さらに今回、米軍から防衛省に連絡があったのは六~八日という日程や大まかな訓練内容だけという。その訓練ルートも開始前日、急きょ変更が通告された。詳細が分からず、安全性にも不安がある中で、訓練を受け入れろというのは、どだい無理な話だ。 そもそもオレンジルートを含めて、米軍の低空飛行訓練のルートは、日米安保条約と地位協定に基づいて日本が提供した施設・区域でも訓練空域でもない。米側が独自に設定し、日本側も条約上やむを得ないと黙認したものである。 日本国民の頭の上を外国の軍用機が縦横無尽に飛び回る。県民の願いむなしく、沖縄の基地負担は一向に減らない。日米政府間で合意したオスプレイの飛行ルールすら守られない。これが安倍晋三首相が高らかに復活を宣言した日米同盟の姿なのか。 こうした不正常な状況を正さなければ、日米安保体制を「アジア太平洋地域の平和と繁栄の要石」(オバマ米大統領)とすることは難しい。オスプレイの本土での訓練開始は、日米安保条約の意味をも考える機会とせねばならない。(引用ここまで)

 よく判らない、極めて曖昧な「社説」です。しかし、判ることは

 1.「日米安保体制」を容認していることです。

2.いつまで日米安保条約の意味を考えればすむのか、です。

 この社説の問題点を、以下指摘しておきます。

 1.「沖縄の基地負担軽減につながるとは考えがたい」と本土で始まったオスプレイの低空飛行訓練を容認していることです。しかも「沖縄県民の負担を、沖縄以外の都道府県がオスプレイの訓練を受け入れることで軽減できるのなら、まだ意味がある」「しかし、本土での訓練は全体から見ればごく一部であり、日数も限られる。負担の分かち合いには程遠い」とまで言い切って、沖縄の負担の本土拡散による沖縄の負担軽減で問題が解決するかのように描いているのです。これが日米軍事同盟容認論の本質的誤り、ゴカマシであることは、自らがその後に語っているのです。そこに社説子は気づいているのでしょうか?

2.「危険と騒音を強いるのなら、日米安全保障体制への反発を増幅させるだけだ」というのは

(1)「危険と騒音を強いるの」でなければ、「日米安全保障体制への反発を増幅させる」ことはない、日米安保体制は「アジア太平洋地域の平和と繁栄の要石」(オバマ米大統領)」となるという日米安保体制容認・応援の立場です。

(2)同時に、「危険と騒音を強いるのなら」という「脅し」を伝えることで、日米政府に要望・期待を込めたメッセージを送っているということです。

 3.「米国防長官が『世界一危険』と指摘し、日米両政府が日本側への返還で合意した米軍基地に強行配備する非合理性をまず指摘せねばなるまい」「オレンジルートを含めて、米軍の低空飛行訓練のルートは、日米安保条約と地位協定に基づいて日本が提供した施設・区域でも訓練空域でもない。米側が独自に設定し、日本側も条約上やむを得ないと黙認したもの」というようなオスプレイの低空飛行訓練に正当性がないことは明らかです。

 4.「日本国民の頭の上を外国の軍用機が縦横無尽に飛び回る。県民の願いむなしく、沖縄の基地負担は一向に減らない。日米政府間で合意したオスプレイの飛行ルールすら守られない」などという「不正常な状況を正さなければ、日米安保体制を『アジア太平洋地域の平和と繁栄の要石』(オバマ米大統領)とすることは難しい」という日米軍事同盟容認の立場をオバマ大統領の立場に重ねて述べているのです。

 5.しかし、この立場は、「日米安保体制」の本質的側面である「不正常な状況」を「条約上やむを得ないと黙認」せざるを得ない対米従属的関係を無視した、さらに見ようとしない立場であり、沖縄の負担軽減を語りながらも、条約の本質にはいっさい触れず、あたかも「不正常な状況を正」せるかのように振りまいて、幻想を撒き散らすことで、その解決を遠のけるなど、国民世論を誤った方向にミスリードするものです。

以上

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1票の格差是正は小選挙区制廃止・比例代表制だが、マスゴミは全く違っている!人権・主権者意識の欠如!

2013-03-07 | 日記

違憲判決に関する全国紙の社説が出ました。日経は、今日の段階で出ていません。一覧してみました。特に注目すべき部分をゴシックにしてみました。

 最大の特徴は、格差を是正しろと言いながら、格差がの本質である平等論について、全くそ知らぬ顔をしていることです。

 そもそも1票の格差とは、人間は皆平等であることを原理としているのですが、この原理の、さらに奥には、人間の尊厳の尊重主義があります。この尊厳は誰に対しても与えられたものだということです。これが平等論です。

 このことを踏まえると、小選挙区制は死票が出ることによって、明らかに個人の尊厳を踏みにじるものと言えます。「正当に選挙された国会」という意味は、1票の格差のない議席と死票を背景にもっていない議席、棄権者が限りなく少ない議席ということになります。

 以上の視点に基づく選挙制度によって選出された議席によって審議されることが、国会の最低の、最高の仕事、立法府として、最高機関たる所以です。

 しかし、全国紙の社説は、いろいろ言ってはいますが、いずれの社説も比例代表を選挙制度に相応しいものとは書いていません。

「民意が正しく反映される選挙の仕組みを整えるのは当然」(毎日)

「比例選の定数削減は、格差問題とは無関係だむしろ小選挙区の区割りで、限りなく平等な一票にすべく早く是正策を講じるべきだ」(東京)。

 「党利党略」を批判していますが、どこの政党が、どんな党利党略に走っているか、全く不問です。

「選挙制度は、各党の消長にかかわる問題だけに、合意形成は難航しよう」(読売)

政党間に意見の対立があった定数削減問題を同時に決着させようとしたからだ。…政治家が自分や所属する政党の利益をまず考え、それを守るために事態をわざわざ複雑にして、合意形成を遠のかせる。(朝日)

 1票の格差是正を定数削減に結び付ける新聞もあります。本末転倒です。

自民、民主、公明は昨年11月の3党合意で、定数削減と選挙制度改革について「通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と約束したが、いまだに緊急是正にとどまっている。 最近始まった実務者協議では、削減幅や比例代表での中小政党優遇策などで意見の隔たりが大きく、時間だけを費やしている。(産経)

自民、公明、民主3党は、今国会中に定数是正を含む衆院選挙制度の抜本的な見直しを行うことで合意したものの、作業は遅々として進展していない。選挙制度は、各党の消長にかかわる問題だけに、合意形成は難航しよう。(読売)

 1票の格差をなくし、有権者の声が議席に比例して、立法過程に比例、反映する制度、比例代表制度の確立に向けて、マスゴミは奮闘すべきです。

 以下全国紙を紹介しておきます。

 衆院選違憲判決 司法の最後通告に応えよ2013.3.7 03:14 (1/2ページ)http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130307/trl13030703140000-n1.htm

 最大2・43倍の「一票の格差」が生じた昨年12月の衆院選を東京高裁が「違憲」と判断した。 解散直前に格差を2倍未満とする「0増5減」の緊急是正策がとられたことから、選挙無効の請求は退けられたが、違憲判決は格差是正を放置した立法府への最後通告と受け止めるべきだ。 与野党はまだ完成していない緊急是正策に基づく区割りの法制化を急ぎ、一刻も早く違憲の状態を解消しなければならない。 さきの衆院選は、最高裁が平成23年3月に「違憲状態」と判断した21年の選挙と同じ区割りで実施された。 最高裁は、全都道府県にまず定数1を割り振り、残りを人口比例で配分する「1人別枠方式」の区割り基準が格差拡大の原因になっているとして廃止を求めたが、国会は是正措置をとらなかった。 今回の判決は、同じ区割りを昨年の衆院選で用いたのは、国会が最高裁の「強い警鐘」を無視したものだとして「違憲状態」から「違憲」へと踏み込んだ。何もしない立法府に対し、司法が具体的な行動要求を突きつけた。 区割り基準の見直しが行われないため、法律が定める衆院選挙区画定審議会の区割り作業なども進まず、違憲状態と違法状態に同時に陥った。当時の与党だった民主党などの責任が大きい。2つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部で計16件の訴訟を起こしており、3月中に判決が出そろう予定だ。判決の度に立法府の怠慢が指摘されかねない事態であり、選挙無効判決が出る可能性も否定できない。 自民、民主、公明は昨年11月の3党合意で、定数削減と選挙制度改革について「通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と約束したが、いまだに緊急是正にとどまっている。 最近始まった実務者協議では、削減幅や比例代表での中小政党優遇策などで意見の隔たりが大きく、時間だけを費やしている。 一票の格差が最大で5倍だった22年の参院選も、最高裁から違憲状態と判断された。衆参両院とも抜本的な改革を迫られているのに、いずれも具体的な議論は進んでいない。 政治家が決断できないのであれば、休眠中の政府の選挙制度審議会を開き、抜本改革を諮問することが必要である。

 1票の格差違憲 立法府は司法の警告に応えよ(3月7日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130306-OYT1T01632.htm

 「1票の格差」を一向に是正しない国会に対する厳しい司法判断が、再び示された。 格差が最大で2・43倍だった昨年12月の衆院選について、東京高裁は、法の下の平等を定めた憲法に違反していたと断じる「違憲判決」を言い渡した。 格差是正の時間的余裕はあったのに、有効な措置を講じず、選挙を実施した国会の不作為を「看過できない」と批判した。 国会は判決を重く受け止め、格差是正を急がねばならない。 今回の判決は、最高裁大法廷が2011年3月に出した判決を踏まえたものだ。 最高裁は格差が最大2・30倍だった09年衆院選について、著しい不平等は認めたが、「違憲状態」との判断にとどめていた。「是正する合理的期間は過ぎていない」という理由からだった。 与野党は先の臨時国会で、緊急避難的に小選挙区を「0増5減」とする法改正を行った。だが、区割り作業は間に合わず、衆院選は違憲状態のままで行われた。 最高裁が警鐘を鳴らしたにもかかわらず、格差是正は進まない。東京高裁は、選挙無効こそ認めなかったものの、一歩踏み込んだ判断を示したと言える。 同様の訴訟は、全国14の高裁・支部で審理され、いずれも今月中に判決が言い渡される。 公職選挙法には、裁判所は提訴から100日以内に判決を出すよう努めるとの規定がある。これまでは半年以上かかるケースがあったが、今回、規定通りに判断を示す裁判所の姿勢は、国会に速やかな格差是正を迫るものだ。 訴訟を起こした弁護士グループは、憲法前文にある「国民主権」の見地などから、主権者である国民の1票は厳格に平等でなければならない、と主張した。 東京高裁は、この主張については退けたが、今後の判決でも注目点の一つとなるだろう。 判決に対して与野党は「厳粛に受け止める」「立法府への糾弾の意味も含まれている」としている。当然の反応である。ただちに具体的な行動をとるべきだ。 自民、公明、民主3党は、今国会中に定数是正を含む衆院選挙制度の抜本的な見直しを行うことで合意したものの、作業は遅々として進展していない。選挙制度は、各党の消長にかかわる問題だけに、合意形成は難航しよう。 だが、時間は限られている。立法府の権威を自らおとしめる、これ以上の怠慢は許されない。(2013年3月7日01時21分  読売新聞)

 毎日 1票の格差「違憲」 国会への厳しい警鐘だ 3月07日 02時31分

http://mainichi.jp/opinion/news/20130307k0000m070122000c.html

 最高裁から「違憲状態」との指摘を受けながら小選挙区の1票の格差を是正せずに行われた昨年12月の衆院選について、東京高裁が「違憲」と断じた。「立法の不作為」に対する裁判所からの強い警告だ。 1票の格差是正や定数削減など選挙制度改革は、党利党略が優先し進まなかったのが現実だ。自民党を中心に改革案の検討がやっと始まったが、もはや猶予は許されない。国会は猛省し、今国会で必要な法改正など成果を示さなければならない。 最高裁は11年3月、1票の格差が最大2.30倍となった09年8月の衆院選小選挙区の選挙について「違憲状態だった」と判断した。 その際打ち出したのが、選挙区間の人口の最大格差が2倍未満になる区割りが合理的であり、47都道府県に定数1ずつを割り振る「1人別枠方式」は速やかに廃止すべきだとの考え方だった。 だが、国会の動きは鈍かった。東日本大震災への対応が優先したとはいえ、昨年後半に至っても与野党の意見集約ができなかった。 野田佳彦前首相が衆院解散を表明したことを受け、昨年11月、格差「2倍未満」が一応実現する小選挙区定数の「0増5減」と、「1人別枠方式」廃止を規定した法律が成立した。だが、新たな区割り確定には数カ月を要するため12月の選挙には間に合わなかった。結果的に最高裁判決後1年9カ月もの間、是正が放置されたまま選挙に突入し、1票の格差は2.43倍にまで拡大した。 投票価値の平等は、「法の下の平等」を定めた憲法の要請だ。民意が正しく反映される選挙の仕組みを整えるのは当然で、国会の対応は司法の軽視だけでなく、有権者への裏切りと批判されてもやむを得ない。 昨年の衆院選をめぐる1票の格差訴訟では「100日裁判」が実現し、今月中に他に15件の高裁判決が出る。これまで高裁・最高裁は、違憲判決を出しても、「公の利益」を考慮する「事情判決の法理」に基づき、無効判決を避けてきた。 6日の東京高裁判決も、昨年11月の「0増5減」法成立の動きなどを前向きにとらえ、無効判断を避けた。だが、国会の自浄能力はもはや限界との判断が働けば、無効判決が出てもおかしくない。 「0増5減」は、都道府県の人口比を考慮しておらず、つじつま合わせとの批判はもっともだ。だが、「0増5減」を前提に第三者機関の審議会が区割り作業中だ。ならばその区割りに基づく法改正を今国会に間に合わせるのが最低限の国会の責任だ。その先にある抜本的な定数削減や制度変更は、第三者に任すことも検討すべきだと改めて指摘したい。

 一票の格差―指弾された国会の怠慢 3月 7 日(木)付

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 きわめてオーソドックスな判決、というべきだろう。  一票の格差が最大で2・43倍あった昨年12月の衆院選について、東京高裁が「憲法がもとめている投票価値の平等に反する選挙だった」と判断した。 しかし、衆院の解散直前に格差を縮めるための「0増5減」の法改正が行われた事情などをふまえ、選挙を無効とすることまではしないという、いわゆる事情判決となっている。 この問題にとりくむ弁護士はもちろん、憲法や行政法の学者からも「選挙無効にふみきる可能性もありうる」との声が出ていた。判決を知って、ほっとした議員もいるだろう。 だが喜んではいられない。  衆院にいるのは、「違憲の選挙」で選ばれた「違憲の議員」ということになる。正統性を欠く国会そして内閣が、国民に対して真の指導力を発揮することができるのか。壁につきあたる日が来るかもしれない。 0増5減法は、最高裁が「一票の格差は憲法に違反する状態にある」と判断してから1年8カ月後に、ようやく成立した。区割り作業は間に合わず、衆院選は元の定数で行われた。  この「1年8カ月」の評価が裁判の大きな争点になった。被告である選挙管理委員会側は是正のむずかしさを訴えたが、判決は認めなかった。 やるべきことは明確で、作業も困難ではない。長い間ただされなかったのは、政党間に意見の対立があった定数削減問題を同時に決着させようとしたからだ。格差の是正を先行していれば、時間切れという事態にはならなかった――との判断だ。 もっともな指摘である。  政治家が自分や所属する政党の利益をまず考え、それを守るために事態をわざわざ複雑にして、合意形成を遠のかせる。調整にあたる当人は仕事をした気になっているかもしれないが、そこにあるのは、ただの怠慢と保身である。  判決は、政治家のそうした立ち居振る舞いを批判し、なにより国民の方を向いて仕事をせよと警告を発した。そう評価することができるだろう。  定数訴訟は全国で争われている。きのうを手始めに、今月27日までに各地の高裁やその支部で判決が言いわたされる。 それぞれの裁判所から、「1年8カ月」や「0増5減」をめぐって、どのような見解が示され、最終審である最高裁の判断に結実していくのか。司法は期待される役割を果たすのか。 主権者として、重大な関心をもって見つめてゆきたい。

 衆院選は「違憲」 異常事態 もう許されぬ 2013年3月7日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030702000139.html

 昨年の衆院選を違憲と東京高裁が判断した。最大二・四三倍もの格差で選挙をしたからだ。限りなく平等な一票にすべく、早く政治は動かねばならない。「(最高裁判決で)強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急に行われないままに選挙されるに至った経過は、看過することができない」 東京高裁の論理は単純だ。最高裁は二〇一一年に、最大格差が二・三〇倍だった衆院選を「違憲状態」とし、選挙区割りの見直しを迫っていた。だが、今回の選挙は、それを無視し、従前の区割りのまま行われた。「違憲」は当然の帰結といえる。

◆レッドカードで芝生に

 ただし、原告が求めた「選挙無効」の訴えは、退けられた。昨年十一月に小選挙区定数を「〇増五減」するなどの是正策を成立させたことを評価したのだ。無効としたときの政治的混乱を配慮した結果でもあるのは間違いない。 だが、この裁判所の配慮こそ、国会を甘やかし続けたのではないか。違憲判決を突きつけるだけで、政治が敏感に動くかどうか疑問を覚えるのもその点だ。 衆院選では、過去に最高裁で二度の違憲判決があるが、選挙無効は回避された。格差是正は図られてきたが、どれも弥縫(びほう)策ばかり…。国会の怠慢が、選挙があるたびに一票の格差訴訟が起きる状態を招いているのだ。 「違憲」はサッカーならレッドカードだ。退場、すなわち「選挙無効」-。そうしないと、国会は動かず、司法の権威と国民の納得が得られない。 だが、無効となった場合、どうするかという方策が何も決まっていない。国会の怠慢と、司法の消極姿勢が、レッドカードを受けた選手たちを芝生の上で走り回らせる-、そんな滑稽な光景を招いているのではないか。

◆同じ民主主義国なのに

 「一票の格差」を米国では、どうとらえているだろうか。実は日米の間では、雲泥の差がある。 米下院議員選挙で、ニュージャージー州の選挙区割りを違憲とした、一九八三年の米連邦最高裁判決がある。ある選挙区の投票価値を「一」とした場合、ある選挙区は「一・〇〇七」だった。わずか一・〇〇七倍の格差でさえ、連邦地裁は違憲と判断し、連邦最高裁もそれを支持したのだ。 ペンシルベニア州の判決も極めて興味深い。最大人口の選挙区と最小人口の差は、わずかに十九人だった。一票の格差は、一・〇〇〇〇二九倍にすぎないのに、連邦地裁に提訴された。 裁判所は州議会に対して、三週間以内に新たな区割り法を制定し、裁判所に提出するよう命じた。〇二年のことだ。そして、州議会は新たな区割り法をつくった。その結果は驚くべき内容だった。最大人口の選挙区と最小人口の選挙区の人口差は、たった一人になったのだ。 これらの事柄は今回の原告が、裁判所に提出した書面で明らかにしたことだ。同じ民主主義国家でありながら、「一票」の価値に対する意識も実態も、まるで異なっているわけだ。 代議制民主主義は、(1)主権者は国民であること(2)正当な選挙が行われること(3)国会議員の多数決-の三つから成り立っている。国民の多数意思は、正確に国会議員の多数決に結び付かねばならない。そのためには、正当な選挙が行われることが大前提であるはずだ。 憲法前文の冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(以下略)」で始まる。正当な選挙こそ、民主主義の根本である。そうでないと、国会議員の多数決の結果は、国民の意思の多数決と矛盾する事態を招くからだ。 米国での徹底ぶりをみると、われわれも一票について、もっと真剣に見つめ直さねばならない。一票の格差とは、住んでいる土地によって、一票の価値が変わる、住所差別の問題であるからだ。 男性が一票で、女性が〇・五票しかなかったら、間違いなく、違憲・無効の判決が出る。住所で一票の価値がない人も、寛容でいられるはずがない。 与野党それぞれで、選挙制度改革に乗り出している。だが、比例選の定数削減は、格差問題とは無関係だむしろ小選挙区の区割りで、限りなく平等な一票にすべく早く是正策を講じるべきだ。

◆“違憲議員”の正当性は

 全国の十六の高裁・高裁支部で起こされた訴訟で、初の判決だった。今後、一つも無効判決は出ないのだろうか。ただし、違憲判断が続出し、最高裁で確定したら…。議員の正当性も、“違憲議員”がつくる法律の正当性にも疑問符が付くことに他ならない。これこそ国家の異常事態だ。

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判決は画期的だが12年選挙を無効にせず追認、一票の格差是正を定数削減にスリカエ、党利党略の中身は黙殺

2013-03-06 | 日記

東京高裁で違憲判決が出ました。日本の選挙制度が「人間は平等に生まれた」とする資本主義社会の根本原理に基づいていないことを、改めて告発しました。しかし、違憲状態下で行われた昨年の総選挙は違憲だが、有効という訳の判らない判決となりました。

 これでは、事実上の自公政権の追認ということになります。1000万人もの有権者が棄権した選挙を有効とし、安倍自公政権の悪政を応援するのです。「司法の独立」はどこへやら、です。日本国民はもっと怒るべきでしょう。人間の値打ちが選挙区によって異なるのです。しかも時代によって変動するのです。まさに変動相場制選挙制度というところでしょうか?

 何故こういうことになるか?それは自民党の党利党略を野放しにしてきたことが最大の要因です。

中選挙区制時代の一票の格差、参議院選挙区の一人区、2人区の格差、二大政党政治をつくるとして成立させた小選挙区制の格差、全国区から比例ブロック11をつくることで、死票を作り出して新たな格差を誕生させたことは、事実上の政権政党支配を温存するための装置でした。

 さらに言えば、事実上、というか、小選挙区制の地方版としての各都道府県議選挙の格差も政権政党温存の装置です。

 こうして戦後日本の保守勢力、日米軍事同盟深化派が温存され、第一党を維持してきたのです。

 小選挙区制の「利点」、政権交代可能な選挙制度としての触れ込みで民主党政権が誕生しましたが、民主党の自民党化で、違いが不鮮明になりました。それは第一党と第二党が政権公約を掲げて政権を争うものの、日米軍事同盟の評価や日本社会の運営に当たって誰の利益を優先するか、そして憲法の評価をめぐって、日本の二大政党は、その違いが判らないほど似通ったものとなり、国民の不信を買ってしまいました。それもこれも、マスコミが二つの政党の応援団となり、日々二つの政党の「活躍」を報道したからです。

 それ以外の政党は、いつも後景に追いやられ、選択肢から排除されていったのです。二つの政党への支持が激減しても、排除されている小政党が選択肢に入ることができないのは、政策実現力の不確かさでしょう。これもマスコミの報道の賜物です。

 そのマスコミが、今どのような報道をしているか、その特徴をみてみます。一票の格差をどうすれば解消できるか、何故一票の格差があってはならないのか、この記事だけでは判りません。

 特徴は、

第一に、政治が違憲状態を放置してきたこと、

第二に、国民は法の下に平等であるという原則にもとづく選挙制度は如何にあるべきかを提示するおとなく、大政党と中小政党の対立・矛盾を指摘することで、この問題を「党利党略」問題にスリカエていることです。

第三に、国民不在です。投票するのは国民です。その国民の一票の価値が重い選挙区と軽い選挙区があり、それが政権政党の議席を保障していることを覆い隠しているのです。

 一票の価値を平等にするためには、比例制度しかないことは自明です。この視点を貫かないマスコミは何を怖がっているのか!ということです。

 明日の社説が楽しみです。どんな社説が出てくるか。予想としては、「3党合意」を口実に小選挙区制度を温存して比例代表制度の議席、定数削減を言ってくることでしょう。

 1票の格差:昨年衆院選は違憲…是正放置を批判 東京高裁毎日新聞 2013年03月06日 19時17分(最終更新 03月06日 22時39分)

http://mainichi.jp/select/news/m20130307k0000m040032000c.html

東京高裁前で違憲判断と書かれた紙を掲げ心境を語る升永英俊弁護士(中央)ら=東京都千代田区で2013年3月6日、矢頭智剛撮影

 最高裁が違憲状態と判断した「1票の格差」を是正しないまま実施された12年12月の衆院選は違憲だとして、東京都の有権者が東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、東京高裁は6日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断した。その上で、実際に選挙を無効とした場合の不都合や、法改正はしている事情などを考慮し、「事情判決の法理」に従って選挙自体は有効とした。原告側は即日上告した。

 ◇選挙自体は有効

 難波孝一裁判長は「最高裁が違憲状態判決を下した11年3月を起点に、憲法上要求される合理的期間内に是正が行われずに選挙に至った。強い警鐘が鳴らされたのに是正が行われないまま選挙が施行された経緯は看過できない」と指摘した。 一方で、昨年11月の解散当日に、小選挙区数を「0増5減」として「1人別枠方式」の廃止を盛り込んだ法改正を行った経緯を一定程度評価。選挙区の区割り見直しまでは間に合わず、最大格差も前回選挙の2.30倍から2.43倍に拡大したが、「今後は投票価値の平等にかなったものに是正していくことが期待でき、最大格差も2倍未満に是正される予定だ」などとして、選挙無効の請求を退けた。 判決はまず、「1人別枠方式の廃止を反映するには、定数の再配分と、相当数の区割り見直しが予想されるが、早期の是正が要請される」と指摘。その上で、選挙区画定審議会設置法が定める区割り勧告期間が1年であることなどと比較し、「昨年の選挙までに是正を行うことが困難だったとは認められない」と、違憲状態判決から約1年9カ月間で是正に至らなかった国会の対応を批判した。 原告側は、1人別枠方式を廃止して単純に人口比で議席配分すれば「21増21減」が必要になるとして、「0増5減は最高裁の要請に応えていない」と批判していたが、判決はこの是非について明確な評価をしなかった。 選挙無効訴訟は、公選法の規定で高裁が1審となる。昨年の衆院選を巡っては二つの弁護士グループが8高裁・6高裁支部に計16件の訴訟を起こしており、今回が最初の判決。今後、27日までに15件の判決が言い渡される。いずれの訴訟も原告側か、被告の選挙管理委員会側が上告するとみられ、最高裁大法廷が統一判断を示す見通し。【石川淳一】

 ◇事情判決の法理◇

行政事件訴訟法は、行政処分が違法でも、取り消すと公益を著しく害すると裁判所が判断した場合、「事情判決」によって取り消し請求を棄却できると定めている。公選法に基づく選挙訴訟にはそのまま適用できないが、「1票の格差」を巡る訴訟では過去に2度、最高裁が違憲と判断した場合でも、選挙を無効とする影響の大きさなどを考慮し、事情判決の法理(法の原則的な考え方)に従い、選挙自体は有効としてきた。

 ◇1人別枠方式◇

 衆院の小選挙区300議席をまず47都道府県に1ずつ割り振り、残りを人口に応じて配分する方式。小選挙区制移行に当たり過疎地の議席を激減させない措置だったが、最高裁は09年衆院選を巡る11年3月の判決で、同方式は合理性が失われていると廃止を求めた。昨年の法改正で小選挙区は「0増5減」となり、同方式の規定も削除された。(引用ここまで)

 

定数削減、比例制度改革…絡む党利党略、抜本改革めど立たず2013.3.6 22:34 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130306/stt13030622350005-n1.htm

 衆院選挙制度をめぐっては、与野党は選挙区の「一票の格差」是正に加え、定数削減を含む抜本改革を行うことで合意している。5年に1度の国勢調査で人口変動が明らかになるたびに選挙区の区割りを見直すのではなく、違憲状態を根源から見直そうという狙いだ。しかし、いざ具体論に入ると、どうしても党利党略が絡んでしまう。 最高裁が平成21年衆院選を「違憲状態」として以降も、民主党の野田佳彦政権は格差是正に後ろ向きだった。内閣支持率が低迷し、格差是正で衆院解散の環境が整うことを嫌ったためだ。 ところが、消費税増税法の成立で、国会議員にも身を切る改革を求める声が高まると、野田前首相は一転して0増5減の格差是正と合わせ、議員定数の大幅削減を主張。昨年11月の衆院解散の条件として自民、公明両党に合意を迫ったことから、今国会中の抜本改革が国民との約束となった。 政権交代を経て自民、公明、民主の3党がようやく実務者協議を開いたのは今月5日。しかし、定数の削減幅や比例代表の位置付けなど具体論となると各党の隔たりは大きく、合意のめどは立っていない。 与党内でも、本音では現行制度を維持したい自民党と、中小政党への配慮を引き出したい公明党の間で調整が難航。一方、与党当時には比例定数40削減を訴えていた民主党は、野党に転落した途端、75削減を主張するなど、合意に向けたハードルを上げている。 他方、小選挙区制は政権を争う二大政党に有利とされ、自民、民主両党は定数削減を比例代表で行いたい考え。逆に議席獲得の大半を比例に頼る中小政党はこれに反発し、定数削減論議は遅々として進まない。格差是正の道のりはまだまだ遠そうだ。(村上智博)(引用ここまで)

 衆院選改革、自民案「憲法違反の疑い」…岡田氏

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130306-OYT1T00271.htm

 自民、公明、民主3党は5日、国会議員定数の削減を含む衆院選挙制度改革について、安倍政権発足後、初の実務者協議を行った。 自民党は、現行の小選挙区比例代表並立制を維持し、比例選の定数を180から30減らす原案の概要を説明したが、民主党は難色を示しており、今後の調整は難航が予想される。 実務者協議には自民党の細田博之選挙制度改革問題統括本部長、公明党の北側一雄政治改革本部長、民主党の岡田克也政治改革推進本部長の3氏が出席。細田氏は「人数の多い政党と多くない政党の双方が満足しうる案をできるだけ早く作って、各党に諮りたい」と述べたが、正式提示の時期については明言を避けた。 自民案には〈1〉比例選の地域ブロックを11から8に再編して死票を少なくする〈2〉比例選150議席のうち30議席かそれ以上を第2党以下に優先配分する――など、中小政党に配慮する仕組みも盛り込まれている。岡田氏は5日の協議で、優先配分は有権者の意思を正確に反映しないとの立場から「憲法違反の疑いがある」と指摘。「国民にわかりやすい制度にすべきだ」と述べ、賛同は難しいとの認識を示した。(2013年3月6日09時25分  読売新聞)

 12年衆院選「違憲」、東京高裁 無効は回避、抜本改革迫る2013年3月6日 19時37分

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013030601001298.html

衆院選の「1票の格差」をめぐる訴訟の判決を受け、東京高裁前で「違憲判断」と書かれた紙を掲げる原告の弁護士ら=6日午後

 人口比例に基づかない区割りで最大2・43倍となった「1票の格差」を是正せずに実施した昨年12月の衆院選は違憲だとして、升永英俊弁護士らのグループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決で東京高裁は6日、公選法の区割り規定を違憲と判断した。選挙無効は認めなかった。弁護士側は即日上告した。 現行区割りを違憲状態とした2011年3月の最高裁大法廷判決から格差を拡大させた上、同じ区割りで選挙に臨んだ国会に制度の抜本改革を厳しく迫る結論となった。 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした訴訟で最初の判決。(共同)

 1票の格差、12年衆院選は「違憲」 東京高裁判決 無効請求は棄却 2013/3/6 20:43

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0604O_W3A300C1MM8000/?dg=1

 最大2.43倍の「1票の格差」があった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士らのグループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が6日、東京高裁であった。難波孝一裁判長は「最高裁が2009年選挙を『違憲状態』とした後も、是正しなかったのは見過ごせない」と述べて違憲と判断。一段と強く、国会に是正を求めた。ただ、選挙無効の請求は棄却したため、原告側は直ちに上告した。

「1票の格差」訴訟の東京高裁判決を受け、喜ぶ原告ら(6日、東京・霞が関)

 2つの弁護士グループが全国14の高裁・支部に提訴した訴訟で最初の判決。27日までに小選挙区では計16件の判決が予定されており、各地の司法判断が注目される。 衆院選を巡り、最高裁大法廷は11年3月、最大格差2.30倍だった09年選挙は投票価値が不平等で違憲状態だと判断。都道府県に最初に1議席ずつ割り振る定数配分が、人口比例配分をゆがめているとして是正を求めた。しかし昨年12月16日の選挙で定数配分は変更されず、格差は拡大していた。 判決理由で難波裁判長は、最高裁判決が警鐘を鳴らしてから約1年9カ月が経過していたことを重視。「昨年選挙まで見直しが困難だったとは認められず、是正するための合理的期間を過ぎていた」として違憲とした。 一方で、国会が昨年11月、小選挙区定数を「0増5減」する法改正を行い、格差を2倍未満に収める区割りの見直しを進めているなどの事情を総合的に考慮公益に重大な障害を生じる場合は違法の宣言だけにとどめられる事情判決の法理」を適用し、選挙のやり直しは認めなかった。 また、「選挙無効の効力が一定期間経過後に発生するように限定する判決もできる」と指摘。国会の対応次第では、今後は無効判決もあり得ると示唆した形だ。 訴状によると、東京1区を有権者が全国最少の高知3区と比べると、格差は2.35倍で、1票の価値は0.42票。被告の東京都選挙管理委員会は「区割りを見直すには時間が足りなかった」と主張していた。(引用ここまで)

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