愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

米国に民意を言わず民意を切り捨てる「朝日」は日米同盟優先で普天間の災厄を全国に拡散させるつもりだ!

2013-03-05 | 日記

今日の「朝日」の社説のテーマ「普天間問題―見切り発車の愚犯すな」を見て、おっ!と思いました。しかし、読んでいくうちに、「どうってことないじゃないか、この社説」と呆れました。ま、日米同盟=軍事同盟深化派の「朝日」ならではの社説でした。

 では何故問題か、以下、指摘してみます。

 朝日 だが、沖縄県民の圧倒的多数が県内移設に反対しているなかで申請しても、かえって問題をこじらせるだけではないか。安倍首相はよく考えてほしい。

首相 施政方針演説で「普天間飛行場の固定化はあってはならない」と強調した。

朝日 住宅地に隣接する普天間の危険性を考えれば、移転をはかるべきなのは言うまでもない。ただ、私たちが社説で繰り返し指摘してきたように、県内移設は現実味を失っている。だからこそ、

首相 きのうの国会答弁で「沖縄の方々の声に耳を傾け、信頼関係を構築しながら移設を進めたい」と語ったのではないか。

朝日 埋め立て申請をすれば、この発言と矛盾する。

(引用ここまで)

 ここまでは「沖縄の方々の声に耳を傾け、信頼関係を構築しながら」というのであれば、「移設を進めたい」というのはゴマカシのフレーズであることは、この間の民主党政権における発現でも判ります。このことを除くと、「朝日」の言っていることは、比較的まともです。

しかし、以下の指摘以後は、完全にトーンダウンです。

 朝日 首相が移設に向けた手続きを急ぐ背景に、米政府への配慮があることは間違いない。オバマ大統領は…この問題の進展にも関心を示したという。…早期に同盟のトゲを抜きたいとの思いだろう。

(引用ここまで)

 アメリカを語りだしたとたん、「間違いない」「という」「だろう」と「想像」の話になってしまいました。アメリカにはモノを言えない「朝日」の立場が如実に出ています。アメリカの「圧力」を絶対化し、固定化させると、すなわち日米同盟を前提にすると、「朝日」自身が「矛盾」してしまうことが判ります。最初の原則的立場が、どこかへ吹き飛んでしまいます。

だから、「朝日」の主張は、以下のような無責任な指摘になります。

 朝日 だが、このままでは作業の進展を演出するだけのアリバイ作りに終わり、普天間の固定化につながりかねない。県外移設が難しいことは確かだ。それでも、日米同盟が重要だというなら、日米両政府で辺野古に替わる選択肢がないか改めて検討すべきだ。本土への基地の分散移転も、真剣に探るべきではないか。

(引用ここまで)

 「鳩山政権が『最低でも県外』を掲げて迷走した」最大の原因は、アメリカの立場を絶対的、固定的に考えたからです。すなわち「日米同盟」深化論の立場です。その同じ思考回路に「朝日」が立つとき、「朝日」自身も「迷走」するのです。「朝日」の主張する「埋め立て申請をすれば、この発言と矛盾する」との指摘と同じです。「朝日」の主張は、「作業の進展を演出するだけのアリバイ作りに終わり」ます。

 日米同盟深化派の思考回路は「県内移設」は「現実味を失っている」のであれば、「県外移設」しかないことは自明です。「迷走」した「鳩山政権」と同じです。

 だが、「普天間の固定化につながりかねない」と危惧する日米同盟深化論にたつ「朝日」は「それでも日米同盟が重要だというなら」と他人事のように装いながら、「県外移設」の途、「辺野古に替わる選択肢」を「提案」していくのです。その論理の果ては「本土への基地の分散移転」という「選択肢」なのです。

 これは、「本土の沖縄差別」論の結論です。沖縄に基地の負担をお願いしておいて知らんぷりしている本土の沖縄への免罪符としての「分散移転」論です。

 日米軍事同盟を前提にした主張の矛盾、非現実的視点の末路が、ここにあります。

 米軍基地の弊害除去がなされないまま、「分散移転」を受け入れる本土の基地があるかどうか、いっさい省みられていません。

 米軍人の事件 規律破りの意味は重い 2013年1月22日

http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1301220001/

オスプレイ 不安は残されたままだ

http://www.shinmai.co.jp/news/20130303/KT130302ETI090005000.php

オスプレイ 低空での安全保てるのか

http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20130304029752.html

オスプレイの本土訓練 ただちに計画撤回せよ

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201303020110.html

【オスプレイ】なし崩しの拡大は駄目だ2013年03月02日08時13分

http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299584&nwIW=1&nwVt=knd

 「沖縄県民の圧倒的多数が県内移設に反対している」理由は、「住宅地に隣接する普天間の危険性」「垂直離着陸機オスプレイの強行配備や、米兵による相次ぐ犯罪」が重なっていることにあります。「朝日」は、この沖縄の「総意」を勘違いしています。

 だからこそ、「県内移設は現実味を失っている」のです。

だからこそ、「県外移設を求め」ているのです。

だからこそ、「県と県議会、全市町村長と全市町村議会」が「普天間の閉鎖、撤去を求める『建白書』も提出した」のです。

 以上のように、沖縄県の「総意」はハッキリしているのです。

 しかし、日米軍事同盟深化派の「朝日」は、それでも、ゴマカシ、上から目線、ハッタリは性懲りもなく露わに出されています。沖縄の「総意」に反しているのにもかかわず、「民意の支えなくして、安全保障は成り立たない」「見切り発車の愚を犯すべきではない」という「主張」「説教」です。いつものパターンです。

 辺野古移設はダメ、普天間の固定化もダメ、本土もダメならば、国外しかありません。それでもダメなら、日米軍事同盟廃棄しかありません。しかし、日本のマスコミは全国紙も、地方紙も、こうした視点に立つことはありません。日米軍事同盟を日米同盟としたトリックによってゴマカサレているのです。これを打ち破るためには、イデオロギー闘争と同時に基地撤去を含めた基地の弊害除去、基地から国民の命と暮らしを守る人権尊重運動を展開することです。

 中国・北朝鮮の脅威論による抑止力としての公共財である日米軍事同盟か、武力による脅しと戦争につながる日米軍事同盟を廃棄し、平和と友好と連帯と経済的繁栄をめざす非暴力・不服従

による非軍事的・平和的手段による解決・安全保障論か、です。

 

それでは「朝日」の社説と、同類の「熊本日日」の社説を掲載しておきます。

 朝日 普天間問題―見切り発車の愚犯すな

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit2

 沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた手続きが、動き出そうとしている。 防衛省は名護漁協に埋め立て工事への同意を求める要請書を提出した。同意が得られれば、安倍内閣は3月中にも、仲井真弘多(ひろかず)沖縄県知事に辺野古の埋め立て申請をする方針だ。 事務的な手続きを、淡々と進める姿勢である。 だが、沖縄県民の圧倒的多数が県内移設に反対しているなかで申請しても、かえって問題をこじらせるだけではないか。安倍首相はよく考えてほしい。 首相は、施政方針演説で「普天間飛行場の固定化はあってはならない」と強調した。住宅地に隣接する普天間の危険性を考えれば、移転をはかるべきなのは言うまでもない。 ただ、私たちが社説で繰り返し指摘してきたように、県内移設は現実味を失っている。  県と県議会、全市町村長と全市町村議会が辺野古案に反対し、県外移設を求めている。首相に普天間の閉鎖、撤去を求める「建白書」も提出した。  垂直離着陸機オスプレイの強行配備や、米兵による相次ぐ犯罪も重なって、県民の国への不信は頂点に達している。 だからこそ、首相もきのうの国会答弁で「沖縄の方々の声に耳を傾け、信頼関係を構築しながら移設を進めたい」と語ったのではないか。 埋め立て申請をすれば、この発言と矛盾する。  首相が移設に向けた手続きを急ぐ背景に、米政府への配慮があることは間違いない。

 先の日米首脳会談で、オバマ大統領は、環太平洋経済連携協定(TPP)とともに、この問題の進展にも関心を示したという。 「日米同盟は完全に復活した」と宣言した首相にしてみれば、早期に同盟のトゲを抜きたいとの思いだろう。  だが、このままでは作業の進展を演出するだけのアリバイ作りに終わり、普天間の固定化につながりかねない。 鳩山政権が「最低でも県外」を掲げて迷走したことからも分かるように、県外移設が難しいことは確かだ。  それでも、日米同盟が重要だというなら、日米両政府で辺野古に替わる選択肢がないか改めて検討すべきだ。本土への基地の分散移転も、真剣に探るべきではないか。  民意の支えなくして、安全保障は成り立たない。  見切り発車の愚を犯すべきではない。(引用ここまで)

 熊本日日 オスプレイ訓練 なし崩し的拡大でいいのか  2013年03月03日

http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20130303001.shtml

在日米軍は、新型輸送機MV22オスプレイによる訓練を6日に初めて日本本土で開始することを明らかにした。同機は昨年10月に沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に配備。これまでの同県内での訓練では日米合意に違反する飛行が常態化しており、安全性に対する懸念を残したままでの訓練地域拡大だ。 小野寺五典防衛相によると、6~8日、山口県岩国市の米軍岩国基地を拠点に低空飛行訓練を実施する。また、在日米軍は熊本県内を含む「イエロールート」など全国6ルートで実施する可能性を示唆。今後、訓練地域を順次拡大していくものとみられる。 沖縄配備前に日米両政府が合意した安全策では、飛行高度150メートル以上▽学校や病院を含む人口密集地上空を回避▽プロペラを上向きにしたヘリモードは基地内に限定、とすることなどを取り決めている。 しかし、昨年10月1日から同11月30日まで沖縄県と関係市町村が実施した調査では、確認された517件の飛行のうち、6割以上の318件が合意違反だった。さらに今年2月5日には、離陸直後のオスプレイが普天間飛行場周辺で水入りのボトルを落下させる事故も起きた。 日米合意には「ヘリモードは運用上必要な場合を除き基地内限定」などの米軍側の裁量に任せる多くの条件が付けられている。当初から指摘されていた「抜け穴だらけのルール」が沖縄県内での運用で実証された形で、本土での訓練でも合意規定が守られる保証はないのが実情だ。 また、本土の飛行ルートはこれまで大まかなルート図が示されただけで、どこの市町村上空を飛ぶのかも詳細には明らかにされていない。県内では菊池市、阿蘇市、南阿蘇村、山都町などを通過するものとみられるが、「不安は拭い切れず実施には反対。それでも実行するならば、事前に飛行時間やルートを知らせるべきだ」(福村三男菊池市長)との声が出たのは当然だろう。 しかし、安倍晋三首相は2月13日の衆院予算委員会の答弁で「オスプレイの安全は確認されている」と述べ、民主党政権に引き続き現状を追認する姿勢を示している。また、防衛省は2013年度予算案に自衛隊へのオスプレイ導入を検討する調査費を計上した。丁寧な安全性検証と国民の十分な理解がないまま、なし崩し的に国内での運用を拡大していいのか。大いに危惧を感じる。 ただ、本土への訓練拡大は、沖縄の基地負担軽減という理由で、日本政府が米側に要請したものであることを忘れてはなるまい。オスプレイへの不安をこれまで単独で引き受けてきた同県民からは、「これで沖縄の痛みを分かってもらえるのでは」との声も上がっているという。 飛行ルートの説明がないことには、日米地位協定に米軍の訓練計画を事前通告する義務規定がないことが関わっている。こうした実態の見直しを、日米合意の厳格な運用などとともに沖縄県外からも具体的に求めていくことが必要だろう。遅きに失した感もあるが、今回の訓練開始を、日本国民全体で安全性確保や沖縄の基地負担軽減を考える契機ともしたい。(引用ここまで) 

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身勝手な読売の改憲思想を斬る!新自由主義吹き荒ぶ日本では日常生活防衛闘争こそ憲法を守る運動だ!

2013-03-04 | 日記

先日「読売」新聞の拡張員が家にやってきました。「コメをサービスします。何でも持ってきます」と必死でした。また「集金の来ました」とインタホーンごしに、ゴマカシてドアを開けさせて、です。拡張員の方々のご苦労には頭が下がります。

「朝日」新聞の集金の方は、テレビがテレビ番組CMを流すようになってから、新聞を止める人が多くなったと言っていました。

 「読売」も「朝日」も、「赤旗」も、新聞を読む人が少なくなってきたなかで、拡張に必死です。日本の新聞の発行部数は日清戦争を機に、また満州事変を機に伸べてきた歴史があります。まさに対外戦争を機に発行部数を増やしてきた歴史です。

 最近は賃金が上がらない、非正規労働者の増大など、貧困が進行する中で、また携帯など、電子機器の発展の中で、新聞を止める人が多くなってきたようです。

 大陸に送り出した家族の情報を求める国民によって新聞の発行部数が増えていったように、現在も情報を求める国民はたくさんいるのに、それが新聞ではなく、電子機器であることは街のあちこちに見られます。まさに二宮金次郎なみの国民が街に溢れています。

 新聞の発行部数が減っているのは当然でしょうね。そういう愛国者の邪論も、IPadを購入しました。設定ができず、数日間苦労しています。いつ操作ができるようになるものやら・・・と思っていますが、ま、楽しみながらやっています。時間がありませんので、集中してできないのが、トホホホです。

 さて、話を戻しましょう。

 以下の「読売」の社説を読んで、「読売」のご都合主義について、書いてみようかと思ったのです。

 「衆参とも3分の2以上を確保したうえで、国民投票も行うという二重の高いハードルを乗り越えるのは容易なことではない」という「読売」のホンネには嗤ってしまいました。そうしたら、スイスやドイツ、フランスと日本を単純に比較して日本の憲法は旧いと言わんばかりの、理屈抜きの感情論に訴えているのです。

 これらの国の事例を出すなら、第一条天皇条項こそ「不磨の大典」ではないぞ!となりませんか?

 でも、こういうことを言うと、天皇は日本の伝統だと言うでしょう。だったら、日本国憲法は戦争放棄をした世界の稀有の憲法だということに誇りを持つべきですよね。

 憲法の平和主義の一つである武器輸出三原則という「規制」の「緩和」、とは聞こえが良いが、実際は「なし崩し的改悪」と言ったほうが良いと思いますが、目を瞑る、というか、「奨励」「期待」「扇動」する「読売」です。憲法9条が本当に邪魔なんですね。「読売」は。「憲法改正を困難にしてきた96条の改正要件を緩和すべき時である」とまで言い切っているのです。

 また「読売」は「F35の開発・生産の主体は米国」「イスラエルがF35を導入しても、中東地域の不安定化に直結するわけではあるまい」などと米国がイラン・アフガン戦争を行ってきたこと、そのことでアラブの反感をかっていることはすっかり忘れて?いや目を瞑り、ゴマカシているのです。イスラエルは米国の同盟国です。

 こうなると、イスラエルに武器を供与した日本が攻撃を受ける可能性は確実に広がるでしょうね。アメリカが生きた教科書です。「読売」はそうした「想定」すら「想定外」に置くのです。思考停止現象の極地です。

 しかし、憲法改悪の根拠、憲法の「規制」を「緩和」する根拠は、中国・北朝鮮の「脅威」論です。中国・北朝鮮にしてみれば日米の軍事力の「脅威」に対する「抑止力」が根拠です。同じ穴のムジナです。こうして軍事費が浪費されていくのです。その軍事費は血税なのです。F35を42機も購入する!いくらアメリカに支払うのでしょうか?

 F35戦闘機、カナダは白紙撤回 日本は導入強行2012.12.15 21:04

http://sankei.jp.msn.com/world/news/121215/amr12121521050009-n1.htm

 もう一つは「日米の防衛技術協力を深め、同盟関係を強固にするだけでなく、日本国内の防衛技術・生産基盤の維持や育成にも役立とう」と軍需産業奨励です。軍需産業こそ、「死の商人」に税金を湯水のように使う「大型公共事業」ということを正直に語っていることです。このカネも血税です。天から降ってくるカネではありません。平和産業の育成などは、鼻から「想定外」「思考停止」です。

 最後のゴマカシは「安全保障はもとより、環境権、プライバシーの保護など、多くの国会議員が憲法改正は必要と考えながらも、実現に至らなかった」論です。軍事的「安全保障」論ではなく、非軍事=非暴力=平和的「安全保障」論の具体化をサボってきた自民党政治を免罪することはできません。「安全保障」というと、日米安保=日米軍事同盟しか想定できない、思考停止状態をつくってきたのは、「読売」などマスゴミと財界・自民党政権でした。その背後には財政・貿易赤字に苦しむアメリカ政府があります。

 環境権、プライバシー権などをいうのであれば、憲法の人権規定の徹底化をはかればすむことです。「環境基本法」によって、公害は「規制」されました。坂東俊矢・細川幸一編『18歳から考える消費者と法』(法律文化社)によれば、日本には「基本法」は38あります。これらは、現行憲法の理念に沿ったものです。

 ということは、徹底して人権を擁護する運動を日常生活から起こしていくことだと思うのです。今、新自由主義が会荒れ狂う日本にあって、生活防衛の運動は、人権尊重主義を掲げて、暮らしを守ることになります。このことを軸に、全国各地で人権擁護闘争を展開することです。これが憲法擁護の裾野を広げていくことになると思います。「読売」の論調は、実は、このことを教えてくれています。

 なんとしても憲法9条を改悪したい「読売」には、こうした日本の法体系は見えないのでしょう。あるのは「日米軍事同盟」と、その「関係国」だけの利益しか「想定」していないのです。あまりに危険な、国民をバカにした主張と言えます。

 「読売」のお友達新聞、「日経」の論調は、「F35はアメリカが中心になって開発して管理しているから大丈夫、安心」論と同じ、対米屈辱思考です。以下みてみます。

 日経 同盟強化へ首相が行動するときだ  2013/2/24付

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52081250U3A220C1PE8000/

日米同盟を深めるためには、言葉だけでなく、行動が必要だ。米国の国防予算は大幅に削られようとしている。米軍のアジア関与が息切れしないよう、日本として支えていく努力が大切だ。では、どうすればよいのか。まずは、安倍首相が会談でも約束した日本の防衛力強化だ。日本を守るための負担が減れば、米軍はアジアの他の地域に余力を回せる。(引用ここまで)

 以上、改憲派の論調の身勝手さをみてきました。如何でしたでしょうか?こうした論調を展開すればするほど、墓穴を掘るような状態を如何にしてつくるか、そのことが憲法を暮らしに生かした運動に貢献できればと思います。

 憲法96条 改正要件緩和が政治を変える(3月4日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130303-OYT1T00994.htm

 憲法改正の手続きを定めた憲法96条の改正問題が、大きな政治テーマに浮上している。 背景には、昨年末の衆院選で自民党や日本維新の会、みんなの党が96条改正を公約とし、3党で衆院の3分の2超の議席を獲得したことがある。 7月の参院選の結果次第では、憲法改正の環境が初めて整う。 憲法改正は今や、現実味を帯び始めた政治課題だ。 96条は、憲法改正について、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければならないと規定している。 衆参とも3分の2以上を確保したうえで、国民投票も行うという二重の高いハードルを乗り越えるのは容易なことではない。 自民党が提案するように「3分の2以上」を「過半数」とすれば改正を発議しやすくなる。 安倍首相は、政党の考え方が対立する条項ではなく、まずは多くの党が賛同できる96条から改正に取り組む考えを示した。現実的で妥当なアプローチである。 民主党の一部の保守系議員も同様に考え、維新、みんな両党の議員と96条改正を目指して新たな議員連盟を設立するという。政治家の国家観を問う憲法改正の問題は、政界再編につながる可能性を持つ意味でも重要である。 民主党は、党内の意見対立から依然として憲法改正に対する方針が定まっていない。 党の綱領にも「真の立憲主義を確立するため、未来志向の憲法を構想していく」とあるだけだ。これでは憲法改正にどう取り組むのか、さっぱりわからない。 憲法改正が争点になり得る参院選に向けて、今から党内論議を尽くしておくべきだろう。 憲法は、「不磨の大典」ではない。この13年間だけでも、スイスは23回、ドイツは11回、フランスは10回も憲法を改正している。 制定以来一度も改正されていない日本の憲法は、世界的に見ても希有(けう)な存在だと言える。 時代の変化に伴い、憲法と現実との様々な乖離(かいり)が目立っている。安全保障はもとより、環境権、プライバシーの保護など、多くの国会議員が憲法改正は必要と考えながらも、実現に至らなかった。 日本維新の会の橋下共同代表が「中身の議論も大事だが、国民に改正案の是非を問うこともできない状態を放置していいのか」と主張するのはもっともだ。憲法改正を困難にしてきた96条の改正要件を緩和すべき時である。(2013年3月4日01時50分  読売新聞)

 F35部品輸出 3原則の例外扱いは妥当だ(2月6日付・読売社説)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130205-OYT1T01552.htm

 武器の輸出など防衛装備政策では、日本の安全保障と国益を踏まえた総合的な視点が肝要だ。 政府は、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35について、日本企業が製造した部品の輸出を武器輸出3原則の例外として認める方向で調整している。 日米の防衛技術協力を深め、同盟関係を強固にするだけでなく、日本国内の防衛技術・生産基盤の維持や育成にも役立とう。輸出容認は妥当な判断である。 野田政権は2011年12月、武器輸出3原則を大幅に緩和し、武器の国際共同開発・生産を解禁する新基準を策定した。 「国際紛争の助長を回避する」との従来の理念は踏襲しつつ、厳格な輸出管理や、武器の第三国移転における日本の事前同意などを共同開発国に義務づけている。 巨額の費用を要する戦闘機や艦船などの開発は近年、複数の国が最新技術を持ち寄り、共同で実施するのが国際的な潮流だ。 日本だけが武器輸出3原則を墨守し、“技術鎖国”を続ければ、技術面で各国の後塵を拝するし、武器も一段と割高になる。その悪影響は甚大である。 特に戦闘機分野では、11年9月に国内生産が終了しており、産業衰退の恐れも指摘されている。それだけに、日本がF35の共同生産に参加する意義は大きい。 日米が共同生産するF35は、レーダーに捕捉されにくいステルス性を持つ次世代機だ。周辺国と緊張関係にあるイスラエルが導入することについて「国際紛争の助長」を懸念する声も一部にある。 だが、F35の開発・生産の主体は米国である。日本が製造するのはエンジンやレーダーなど一部の部品にすぎず、その役割は限定的だ。イスラエルがF35を導入しても、中東地域の不安定化に直結するわけではあるまい。 そもそも国際紛争を助長しないという基準を過度に厳格適用すれば、同盟国の米国への輸出さえ成り立たず、非現実的である。 日本の安全保障環境は、中国の軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発によって悪化している。中国軍は尖閣諸島周辺などで示威活動を活発化させ、国産ステルス機の開発にも力を入れている。 日本は、今年度から始まった計42機のF35の導入を着実に進めるとともに、F35の共同生産体制を軌道に乗せて、関係国との国際連携を強めることが欠かせない。 同時に、政府には、こうした状況をきちんと国民に説明し、理解を広げる努力が求められよう。(2013年2月6日00時55分  読売新聞)

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わがままお坊ちゃまの安倍首相を徹底的に批判せず追認するマスゴミは日本を最悪の国に導く!

2013-03-04 | 日記

憲法96条を改悪するための安倍お坊ちゃまの詭弁に対して、マスコミの批判は生ぬるいと言うか、ピンボケと言わざるを得ません。

一つは、安倍お坊ちゃまの思惑はその爺さんの岸信介の野望を再び実現することにあることは、この間の経過が示しているのに、そのこととの関連は不問です。

 二つ目には、先に行われたオバマとの会談の際の発言と日米共同声明、TPP交渉参加の詭弁との関連は不問です。

 第三には、武器輸出三原則の「例外」というなし崩しとオスプレイ配備との関連は不問です。

 第四には、先に行われた総選挙に示された民意と選挙制度によって掠め取った議席との矛盾についても不問です。こうした現実を不問にしながら、憲法96条改革に対する批判の弱点が、実は小選挙区の温存と比例区削減の温床になっていること、その結果、憲法改悪の内容とプロセスを追認して、なし崩し的にとんでもない国に導いていってしまうのです。

 第五には、憲法という「権力者への規制」を「緩和」することに加担していることを意味しているのですが、そのことに、現在の日本のマスゴミは、全く無自覚というか、確信犯的と言われても仕方のない論評を垂れ流しているのです。勿論ジャーナリズム精神を発揮した批判もないことはありません。しかし総じて批判しているようで、実は追認してしまっているのです。したがって、敢えて、そのことを厳しく告発する必要を感じています。

 これが成熟した民主主義国日本の姿です。

 それでは、その証拠となる社説を掲載しておきます。まずは問題の部分です。

 河北新報社説 憲法96条/統治者には拘束が必要だ2013年02月23日土曜日

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/02/20130223s01.htm

憲法改正手続きをめぐって、安倍晋三首相がルール変更の必要性を繰り返し主張している。理由は「ハードルが高すぎる」。 最高権力者が簡単に緩和を口にするようでは、専横とのそしりは免れない。何より、立憲主義に対する理解不足を疑われても仕方がない。 首相が改憲を志向することの是非は、あえて問わない。だが、衆院選大勝の余勢を駆ってルール変更に動くことは無謀であり、国民的理解も得られない。…発議要件を過半数とした場合、確かに発議は容易になる。だが、今度は政権交代があるたびに与党の意向でいとも簡単に改廃できるようになる。…自民党はことし夏の参院選で「ねじれ状態」の解消はもちろんのこと、民主党内にも一定数いる憲法改正派を糾合して、改憲を政治日程に載せる戦略を描いている。 であるなら、参院選を「憲法とは何か」という根底的な問いをめぐる国民的議論の場としなければならない。 「横柄な議員」とは誰のことを言うのか、見極めるのは私たち国民である。(引用ここまで)

 何のための96条改正か 2013年03月03日
http://kumanichi.com/syatei/201303/20130303001.shtml

政治は言葉で動くものだという。演説で国民の心を捉えることもあれば、たった一つの失言で地位を追われることもある。第2次安倍晋三内閣は“安全運転”のせいか、まだ失言なし。大向こうをうならせる演説も聞かれてはいないようだが・・・。 しかし、気になる言葉はあった。「例えば国民の70%が憲法を変えたいと思っても、3分の1を少し超える国会議員が反対すれば指一本触れられないのはおかしい」。憲法改正の発議要件を定めた憲法96条に関する、安倍首相の発言である。…衆院本会議でも首相は96条改正に取り組む考えを表明している。夏の参院選で勝利すれば、政治日程に上げてくる可能性もある。だが、96条改正はあくまで入り口である。憲法をどう変えたいための発議要件緩和なのか。そこがよく見えない。 自民党は昨年4月、憲法改正草案をまとめている。それに沿った“自主憲法”制定か。自衛隊を国防軍にするためか。目的を明確にしないまま96条改正のみを俎上[そじょう]に載せるやり方は、政治家の言葉巧みな情報操作ではないかと勘繰りたくもなる。 96条改正は国家像が変わる最初のステップになる可能性がある。総選挙後、タカ派イメージを薄めた安倍首相だが、本当のところどんな国にしたいのか、詳[つまび]らかにすべきだ。それによって安倍カラーの色も変わってくるのではないか。(引用ここまで)

 まず、第一に、「改憲を志向することの是非は、あえて問わない」と言ってしまうところに安倍お坊ちゃまの暴走を許していることを自覚すべきです。これでは何でもありということになります。すべては「改憲」から始まっているのです。戦後レジームの見直しは安倍お坊ちゃまの最悪最低のスタンスなのです。ここにメスをいれなくて憲法擁護はできません。

 第二に、「例えば国民の70%が憲法を変えたいと思っても、3分の1を少し超える国会議員が反対すれば指一本触れられないのはおかしい」という安倍お坊ちゃまのわがまま、民主主義観を批判しないのは問題です。

 これについては、以下の記事で批判しました。

 http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/3ce459494bf983f831ff37ca7147560b

 差の時の資料をまとめてみます。安倍お坊ちゃまのわままま、民主主義観がとんでもないことだということが判ります。

有権者単位(万人)

選挙年

05年

09年

12年

第一党党首

小泉

鳩山

安倍

全議席占有率

61.7

64.2

61.3

有権者総数

1億298.5

1億434.4

1億395.9

比例区獲得票

3251.8

3347.5

2664.3

絶対得票率

31.6

32.1

25.6

小選挙区

議席占有率

73.0

73.7

79.0

得票票

47.8

47.4

43.0

比例区

議席占有率

42.8

48.3

31.7

得票率

38.2

42.4

27.6

 

第三には、安倍お坊ちゃまの憲法改悪のネライはハッキリしているのに、未だに「憲法をどう変えたいための発議要件緩和なのか。そこがよく見えない」「本当のところどんな国にしたいのか、詳[つまび]らかにすべきだ」などと呑気なことを言っているのです。政府の行為によって戦争の惨禍が起こったことの意味に対する無理解があることは問題です。

 第四には、こうしたマスコミの戦争加害無認識こそが、今日の安倍お坊ちゃま内閣の暴走、橋下・石原日本維新の暴走を許してきたことを再度確認する必要があるように思います。

 第五には、これらが領土問題の未解決や日米軍事同盟深化論の温床にもなっていることにも触れておかなければなりません。

 こういうマスゴミの思想状況が、日本を何処に導くのか、厳しく批判していかなければならないと思う昨今です。

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現実を無視した無味乾燥な言葉の踊った安倍お坊ちゃま演説をまともに批判できないマスゴミの社説に喝!

2013-03-01 | 日記

昨日の安倍お坊ちゃまの施政演説について全国紙が社説を書きました。予想したとおりでした。安倍お坊ちゃまの無内容で空疎な「美しい、力強い」お言葉の中身を問うものがほとんどなかったからです。

 

一つは、何処の社説も母親名義の御殿に住みながら自立しているとはとても言えないことが明確なのに、お坊ちゃまの「自立」論は上から目線のお説教であり、屁理屈を語っているのに、そのことを書いていません。憤りすら覚えました。これが民主主義の成熟した国の大手の新聞かと思わせるほどのものでした。

 

二つ目は、お坊ちゃまが投げかけるお言葉と呼びかけるお言葉の裏面にある国民を苦しめている現実の背後に、お坊ちゃまたちの悪政があったことは、どこも指摘していません。物事の、ある現象には、必ず原因があるはずですが、その原因をスルーして、現実を評価することができるでしょうか?お坊ちゃまがノタマワレル「強いお言葉」には、逆の立場から見ると「弱い現実」があるのですが、これらと真っ向から向き合うことはしていません。

 

その社説も戦後自民党政治を真っ向から総括できず、代わりに政治の責任一般論を語ることで、一億総ざんげ論に陥れようとしているのです。

 

さらに三つ目には、お坊ちゃまを批判しているようなふりをしながら、悪政推進を激励しているのです。憲法99条に明記さえている憲法尊重養護の義務を履行せず、アカラサマな憲法否定発言に対しても明快な批判はありません。軸足がぶれているのですから、批判などできようもありません。

 

以下、具体的にみてみます。

朝日 施政方針演説―さあ、仕事をしよう 2013年3月1日(金)付

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 安倍首相が施政方針演説にのぞんだ。  アベノミクスへの期待から、政権発足とともに円安・株高が進み、内閣支持率は上がっている。日米首脳会談をこなし、補正予算も成立した。日銀総裁人事や、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加にもめどがつきつつある。 まずは順調な滑り出しを反映してのことだろう、演説のメッセージは明確だ。あまたの懸案を前に進め、「強い日本」を私たち自身でつくろう――。 だが、演説に盛られたのはいわば「目次」にすぎない。肝心なのは、ひとつひとつに、どのような具体的な解決策を描いていくかである。 首相はいう。  「未来に希望を持てる『強い農業』をつくる」「国民の生命と財産を守る、『強靱(きょうじん)な国づくり』が急務だ」「財政健全化目標の実現を目指す」 いずれも異論はない。 一方で、疑問も禁じ得ない。  TPP交渉参加で農業予算を増やしたり、国土強靱化に予算をつぎ込めば、財政再建は逆に遠のきかねない。すべてをかなえるのは至難の技だ。 イタリアの選挙結果が円高・株安に直結したように、グローバル化した経済の下では、そもそも一国の経済政策に限界があることも忘れてはならない。  TPP交渉参加について、首相は「政府の責任で判断する」と述べた。関係国との交渉に加え、農業団体など既得権をもつ国内の利害関係者との調整も待ち受ける。本当の意味で、首相の手腕が問われる。  「できる限り原発依存度を低減させる」と首相は語った。ならば代替エネルギーの確保や電力システム改革をどう進め、廃炉や放射性廃棄物の最終処理をどうするのか。いつまでも先送りは許されない。 安全保障政策も同様である。首相は、日米同盟には「不断の強化が必要」と強調した。「普天間飛行場の固定化はあってはならない」というのもその通りだ。では、沖縄県民の間に辺野古移設に反対が根強い中で、どう打開しようというのか。  どれもが日本の将来を左右する難題である。だれが政権をになったとしても逃れられない課題でもある。政権の胸突き八丁はまさにこれからだ。  野党もまた、答えを持ち合わせてはいない。政権批判に迫力を欠くのもそのためである。国会論戦を通じて、より良い解決策を見いだすしかない。 与党も野党も、しっかり仕事をしよう。

 

社説:施政方針演説 楽観論の肉付けが要る毎日新聞 2013年03月01日 02時31分

http://mainichi.jp/opinion/news/20130301k0000m070130000c.html

 狙い通りに株高と円安が進み、各種世論調査では内閣支持率も上昇している。そんな自信の表れだろう。安倍晋三首相の施政方針演説は憲法改正への意欲を示すなど持論をじわりとにじませる内容だった。 同時に目を引いたのは、「世界の成長センターに」「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」「世界一安全・安心な国」といった言葉の列挙だ。日本の将来に対し、ともすれば悲観論ばかりが語られがちな中で、国のトップがプラス思考を前面に打ち出したことを、まず私たちも前向きに評価したい。 だが、アベノミクスの「三本の矢」のうち、今回の演説で重きを置いた経済成長戦略では、再生医療や環境技術などを重視していく考えを表明したものの、民間投資をどう政治が後押しし、喚起していくかは定かでない。単なる楽観論に終わらせず、具体的な肉づけが必要なのは首相も承知だろう。 安心できる将来に向け、喫緊の課題は税と社会保障の一体改革だ。ところが首相は消費税率引き上げにまったく触れず、社会保障制度改革に関しても政府の国民会議の議論を見守ると述べただけだった。これでは財政再建も含め、足元の課題に熱意がないと疑われても仕方あるまい。 首相はまた「自助・自立」を基本とする社会を目指す考えを改めて示したうえで、「共助・公助」を組み合わせて弱い立場の人には援助の手を差し伸べるとも語った。 安倍政治が弱者の切り捨てに向かうのではないかとの批判を意識したと思われる。ただし、頑張りたくても頑張れない人は、首相が演説で挙げた「病気や加齢」の人だけではない。社会構造は大きく変わり、若い世代も含め急激に拡大しているという認識が乏しいのが気になる。 国会議員の定数削減も「各党各会派で話し合い、しっかりと結論を」と呼びかけるだけだった。首相自ら身を削る決意を示さなければ、「明るい未来」をいくら語っても国民からはなかなか信頼されない。 一方、首相は「憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と呼びかけた。なおトーンは抑制気味だが、「安倍カラー」といえるテーマの封印を解いたといっていい。であるのなら、首相は改憲手続きを緩和したうえで、どこをどう変えたいのか。9条なのか。2院制見直しをはじめとする統治機構の部分なのか。やはり明確にしていくべきである。

 このほか原発再稼働や首相が熱心な道徳教育の是非、さらには外交課題も含め与野党論戦のテーマは出そろいつつある。夏の参院選で有権者がどう判断するか。そこにつながる分かりやすい議論を期待したい。

 

施政方針演説 政権交代の果実を具体化せよ(3月1日付・読売社説)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130228-OYT1T01559.htm

 「緊密な日米同盟は完全に復活」「憲法改正へ向けた議論を深めよう」 安倍首相の施政方針演説には政権交代を印象づける言葉が目立った。 「自立」をキーワードに「強い日本」を目指す、という基本姿勢は、前向きに評価したい。 首相は、中国などを念頭に、日本の領土・領海・領空と主権に対する挑発が続いていると指摘し、11年ぶりの防衛費増額や国家安全保障会議(日本版NSC)の設置検討に言及した。着実に具体化していくことが重要だ。 中国は今年を海洋強国化元年と位置づけ、海軍を増強している。政府は、力の行使ではなく、法に基づく問題解決の重要性を国際社会に強く訴えねばならない。 首相は日米首脳会談に触れ、安全保障体制の強化のために日本が更なる役割を果たすと語った。集団的自衛権の行使や米軍普天間飛行場の移設など、懸案事項に道筋をつけることが欠かせない。 米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加問題では「聖域なき関税撤廃」が前提ではないことをオバマ米大統領と確認したと説明した。「政府の責任で交渉参加について判断する」と述べ、参加に意欲を示した。 農業団体などの支援を受けた自民党内のTPP慎重派も、参加を容認し、国際交渉を通じてコメなど例外品目を勝ち取る戦術に転換してきている。首相の参加表明の環境は、整いつつある。 自由貿易のルール作りに日本が関与できる時間はあまり残されていない。速やかに参加の手続きを進めて、国益を確保すべきだ。 首相は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指すと強調した。責任あるエネルギー政策を構築し、「安全が確認された原発は再稼働する」と述べたが、これだけでは物足りない。 原発再稼働の審査は、原子力規制委員会が新安全基準を決定する7月以降になる。よほど効率的に審査しないと再稼働は進むまい。エネルギーの安定供給とコスト低減がおぼつかなくなる。 首相は率先して再稼働へ指導力を発揮しなければならない。 最後に首相は、与党と足の引っ張り合いをするのではなく、建設的な議論を行い、結果を出そうと野党に呼び掛けた。選挙制度の見直しや憲法審査会の論議促進を求めたのも妥当な認識と言える。 衆参ねじれ国会でも補正予算が参院で可決、成立するなど部分連合の機運が高まっている。与野党の合意形成に期待する。(2013年3月1日01時32分  読売新聞)

 

高支持追い風に安倍首相は懸案に挑め 2013/3/1付

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52279460R00C13A3EA1000/

 平易な言葉で語ろうという思いは伝わってきた。第2次安倍内閣で初めての施政方針演説で、安倍晋三首相は各省の重要政策を並べるスタイルを排して、「自立」をキーワードに演説を組み立てた。 1月の所信表明演説では経済再生など当面の政策課題に絞り込んだ。今後1年の政権運営の指針となる施政方針演説ではエネルギー政策など前回触れなかったテーマに幅広く言及した。 教育分野では道徳教育の充実をはじめとするいじめ対策の実行や、六・三・三・四制を見直す「平成の学制大改革」を訴えた。「憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と呼びかける場面もあり、安倍色もにじませた。 焦点の環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加については「政府の責任において判断する」と意欲を示した。自民党内の反対派などに配慮し、交渉参加に踏み込まなかったが、国内外の調整作業を急ぎ、一刻も早く正式表明すべきである。 エネルギー政策では「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した。妥当な判断といえる。再稼働が円滑に進むよう、政府は地元自治体の説得などの役割をきちんと果たしてもらいたい。 演説を通じ「強い日本」をつくりたいという首相の思いはわかる半面、総じて具体性に欠ける印象は否めない。 その典型が社会保障制度改革だ。「安定財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた制度を構築する」というだけで、社会保障制度国民会議の議論を待つ姿勢なのは物足りない。公務員制度改革なども同様で、具体的な方向性が何も示されていない。 どの政策をいつごろ実現するかという工程表を含め、今後の国会論戦で首相は、施政方針演説を肉付けする具体策をもっと語る必要があるだろう。 第2次安倍内閣の滑り出しは極めて順調で、本紙の直近の世論調査で内閣支持率は70%に達した。野党が多数を占める参院でも緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算が1票差で可決された。野党の足並みはそろっておらず、政策ごとの部分連合が成立しやすい状況が生まれている。 首相はこの好機を生かし、TPP交渉への参加で待ったなしとなった農業改革や規制改革に果敢に立ち向かうときである。

 

【産経主張】首相施政方針演説 強靱な国へ自立と創造を 安全な原発の再稼働進めよ2013.3.1 03:39

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130301/plc13030103390005-n1.htm

 内外の危機を乗り越えて「強い日本」を再生するカギは「自立」の精神にある。安倍晋三首相が行った施政方針演説を貫く最大の柱である。 戦後日本が忘れがちで、逆境をはね返すために今最も必要な「自立」を明確にしたことを評価したい。このことは、「一身独立して一国独立する」という福沢諭吉の言葉を引き、「(政府と国民一人一人が)自ら運命を切り拓(ひら)く意志を持たないかぎり、未来は開けない」という表現に象徴される。

 ≪憲法改正の議論加速を≫

 「安全運転」と呼ばれた1月末の所信表明演説で封印された憲法改正や集団的自衛権の行使容認問題に踏み込み、「安倍カラー」をにじませたことも歓迎したい。 一方で問われるのは、演説に盛られた政策や決意を実際の成果に結びつけていく指導力だ。政府と国民の先頭に立って「自立」とは何かを示してもらいたい。 「自立」の意味は幅広い。首相は東日本大震災の被災地で、被災者から「思いやり」や「自立して支え合う気概」を感じ取ったとし、「希望のもてる復興」を創り上げる決意を示した。 自らも病気で首相職を一度辞した首相が「頑張る人が報われる社会」に向け、個人が何度でもチャレンジできる機会をつくる必要性を訴えたのはわかりやすい。 民主党政権は最低保障年金構想のように、「自助・自立」よりも国や自治体による共助・公助を重視しようとしたが、実現可能な制度とは到底いえなかった。 首相は自立の理念に基づく政策に改める姿勢を強調した。だが、国民に安心感を持ってもらうには社会保障制度改革の具体案を早急に示さなければならない。 自立が求められるのはこれだけではない。首相は日米同盟の「不断の強化が必要」で、抑止力を高めるために、「さらなる役割を果たす」と宣言した。 力ずくで海洋権益拡大を進める中国に対しては、レーダー照射事件を強く批判して、「海の法の支配」を求めた。サッチャー元英首相の「国際法が力の行使に勝たねばならない」という発言を引用して、尖閣諸島問題を念頭に「力による現状変更は、何も正当化しない」と、中国の挑発的行動を強く牽制(けんせい)した。当然である。 だが、米国で1日に国防費の強制削減が始動すれば、在外米軍の作戦能力が大きく失われかねない。その補完のためにも、日本の率先した行動が不可欠だ。

 防衛費増額や、「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」など集団的自衛権の行使容認に向けた有識者懇談会の議論、日本版国家安全保障会議(NSC)創設など課題は明白だ。それを一層加速する必要がある。

 ≪率先し対中抑止に動け≫

 憲法改正についても、首相は衆参両院の憲法審査会の議論の促進を呼びかけた。戦争放棄などをうたった憲法9条のため、領土を守る自衛行動さえ十分にとれない。国家としての気概と自立心を持つ根幹の問題は、憲法を改正しなければ解決できない。 デフレ脱却へ向けた大胆な金融政策と機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」の中でも、首相はとくに成長戦略の構築に力点を置いた。 日本企業の誇る技術を世界市場に売り込み、受け身でなく、「ルールを創る国でありたい」と多国間のルールづくりに参加する必要性を強調したのは妥当だ。その象徴が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)であり、海外の成長を取り込み、日本の持続的成長を確保するためにも不可欠だ。 先の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことを確認した」とし、「政府の責任で交渉参加を判断する」としたことは評価できるが、ここでも速やかな行動が必要だ。交渉参加を早期に正式決断し、国益を守るための交渉に参画しなければならない。 災害に備え、国民の生命と財産を守るには「強靱(きょうじん)な国づくり」が急務と訴えた。また、強い経済をよみがえらせるには、安価で安定的な電力供給が欠かせない。

 首相が「責任あるエネルギー政策を構築する」とし、安全が確認された原子力発電所の再稼働を明言したのは当然である。 だが、再稼働に向けた取り組みは遅れている。政府の責任で原発を安全に活用する政策を示し、実際の再稼働につなげるべきだ。

 

東京 施政方針演説 弱者切り捨てでは困る 2013年3月1日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030102000137.html

 安倍晋三首相による施政方針演説は「自立」に貫かれた。その大事さは理解するが、自立したくてもかなわない弱者にこそ手を差し伸べるのが政治の姿である。基本を忘れてもらっては困る。

 この国会二度目の首相演説である。冒頭、福沢諭吉の「学問のすゝめ」から「一身独立して一国独立する」を引き、「誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で自らの運命を切り開く意志を持たない限り、私たちの未来は開けない」と訴えた。 長期の経済低迷と巨額の財政赤字、本格的な少子高齢化社会の到来、東日本大震災と福島第一原発事故による甚大な被害、周辺諸国の日本領域への挑戦など、日本が直面する課題は多く、深刻だ。 それらを克服するにはどうすればよいのか。自立して懸命に生きる人同士が苦楽を共にして助け合う。被災地での支え合いに感銘を受けた首相は、そうした姿こそが「強い日本」復活の原動力になると訴えたかったのだろう。 自立心を持つことも、支え合って生きていくことも大事なことである。それ自体に異存はない。 ただ危惧するのは自立を強調するあまり、自立できない人が置き去りにされてしまうことだ。苦楽を共にできない人が支え合いの輪の外に置かれてしまうことだ。 首相も演説で「どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などで思い通りにならない方々がいる」と指摘した。頑張りたくてもかなわない、立場の弱い人々を支えるのが、政治本来の役割である。そのことを忘れてほしくはない。 社会保障と税の「一体」改革は消費税増税だけが決まり、社会保障制度改革は後回しだ。有識者の国民会議は始動したが、議論の遅れも指摘される。社会保障制度は今のままで、消費税増税だけが強行される事態は見たくない。政治の覚悟が問われる場面だ。 社会保障の在り方について、首相は「自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べる」と主張し、民主党は先の党大会で決めた新しい綱領に「個人の自立を尊重しつつ、同時に弱い立場に置かれた人々とともに歩む」と明記した。 ニュアンスの違いはあろうが、個人の自立を重んじ、弱者を支えることでは同じではないか。ならば、社会保障のあるべき姿の議論を急ぎ、夏の参院選前に結論を出し、堂々と国民に問うべきだ。それが政治の責任でもある。

 

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