アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

キリスト教と科学、地動説とか

2016年08月05日 | 生活
せっかくミッションスクール出身なのに、聖書の時間も礼拝の時間も内職にせいを出していたためキリスト教について無知な私。

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ジョン・ハンター(進化ストーリーに気づいていたらしき解剖マニア)の話を読んだときも、彼の心の中で、信仰心と科学の心がどのように折り合いがついていたのか、というあたりがまったくピンと来なかった。

私の乏しいイメージでいうと、ガリレオの地動説、ダーウィンの進化論のときにあったように宗教と科学は根本的に対立する、相容れないという図式にみえる。もっとも、キリスト教としては聖書が絶対だし、地球や生物の歴史に新発見があるたびに書き直したりするわけにもいかないのだから、それは対立するのは当然かと…

対立でなければ、いいところ無視。というか分立。宗教には宗教の領域があり、科学には科学の領域があるので、お互い立ち入らないようにしましょう、というような。

ただ、そういう対立なり分立なりというイメージも、どうもしっくりしないように最近思えてきて、それというのもガラにもなく世界史に関心を寄せたり、付随して音楽の歴史方面から西洋史を眺めたりしていると、西洋音楽の成り立ちと宗教がいかに密接な関係にあるのかということもわかるし、それと同様、近代科学が形をなしていくうえで、キリスト教というのは切っても切れない関係にあるような…つまり、足を引っ張る役割をしていたというよりはむしろ、科学が生まれるための何か、もっといえば母体のようなものであったようにさえ思える(面もある)。

というところで、図書館で「科学者とキリスト教 ガリレイから現代まで」(渡辺正雄)というブルーバックスを借りてきたらば、これがちょうどこのもやもやにぴったんこの本で、たいへん興味深く読めた。

この本の最初のあたりにまず書かれているのが、ガリレイなりケプラーなりの科学する心、モチベーションというものが強く宗教心に根差していること。つまり、聖書を読むためにラテン語を知らなくてはいけないように、数学という言葉を学んで宇宙というこの壮大な書物を読み解くことによって、神の知恵を読み取ることができ、またそれをもって神の偉大さを人々に示すこともできる、と。

ケプラーさんなんかも、惑星配置が「キレイ」つまり
水星の天球と金星の天球の間に正八面体、
金星の天球と地球の天球の間に正二十面体、
地球の天球と火星の天球の間に正十二面体、
火星の天球と木星の天球の間に正四面体、
木星の天球と土星の天球の間に正六面体
というふうにぴったりおさまる…惑星は六個しかない(当時)し正多面体は五個しかない。

この配列を見出してそれこそ天にも昇る気持ちだったらしいけれど
「私はこれを発表しようと思います、自然という書物の中において認められることを望み給う神の栄光のために。…私は神学者になるつもりでした。私の心は長い間落ち着きませんでした。しかし今こそ、天文学においても、神に栄光を帰することができたのです。」

もっとも、ケプラーのこの「大」発見は残念ながらこんにちの科学の中にはないけれど…(これとは別に惑星の運動に関する三法則で有名)

そしてモチベーションだけではない。学問の方法というものが、暗黒といわれる中世の時代に実は培われていたということもたとえばガリレイの「天文対話(プトレマイオスとコペルニクスとの二大世界体系についての対話)」からも強く見て取れる。

ということを考えれば、むしろ科学の発展をキリスト教のイメージアップに使ったってよかったのに、ガリレオ・ガリレイさんを有罪にして対立イメージを強くしてしまったのは世紀の大失敗だったね。単に、地動説が聖書と合わないとかそういうことより、もうちょっと下世話な大人の事情的なもので有罪になったみたいだけど…

だから、ちょっとすごく時間が立ち過ぎたとはいえ、ローマ法王が宣言を出したのとかはよかったんじゃないかな、と思った。
(参考: 論文:ガリレオ・ガリレイにおける科学と宗教の問題 ―ローマ教皇庁の最終声明をめぐって―)

聖書が私たちに教えようとしているのは
how to go to heaven(どのようにして天国に行くか)であって
how the heavens go(どのように天が運航しているか)ではない。

でもねぇ、再審まで360年とか、かかりすぎでしょ。これからのキリスト教と科学の関係はどうなっていくんでしょうね。

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コメント (2)
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