気が付くと椅子に縛り付けられ、逆さにされた格好でバスタブに入れられていた。そして、そんなボクを覗き込む妻の顔にはいつもの笑顔があった。
どういうことだと叫ぶと妻は変わらぬ笑顔のまま見覚えのある古い携帯ゲーム機を見せてくる。それは12歳の夏休みに旅行に行った時、一緒に行った友達が遊んでいるのを羨ましく思って貸してくれと何度も頼み、ようやく貸して貰って遊んでいる途中で返せと言われ、頭にきて川に捨てたものだった。そして、泣きながらゲーム機を拾いに行った友達は溺れて死んだのだ。
「あの子はね、両親が離婚して離ればなれになった私のお兄ちゃんだったの」
忘れたことなどない、懺悔しても仕切れない記憶。
ひたすら謝り続けるボクに、妻は相変わらずの笑顔で言った。
「でもね、そこまで謝るなら自分が決して許してもらえない罪を犯した自覚はあるのよね。
まあ、謝らなかったら反省の色がないという理由でこうしたんだけど」
だから、どちらであろうと貴方はこのまま死んで頂戴と笑顔のまま言い放った妻は、そのまま蛇口を捻ってバスタブに湯を溜めはじめた。
どういうことだと叫ぶと妻は変わらぬ笑顔のまま見覚えのある古い携帯ゲーム機を見せてくる。それは12歳の夏休みに旅行に行った時、一緒に行った友達が遊んでいるのを羨ましく思って貸してくれと何度も頼み、ようやく貸して貰って遊んでいる途中で返せと言われ、頭にきて川に捨てたものだった。そして、泣きながらゲーム機を拾いに行った友達は溺れて死んだのだ。
「あの子はね、両親が離婚して離ればなれになった私のお兄ちゃんだったの」
忘れたことなどない、懺悔しても仕切れない記憶。
ひたすら謝り続けるボクに、妻は相変わらずの笑顔で言った。
「でもね、そこまで謝るなら自分が決して許してもらえない罪を犯した自覚はあるのよね。
まあ、謝らなかったら反省の色がないという理由でこうしたんだけど」
だから、どちらであろうと貴方はこのまま死んで頂戴と笑顔のまま言い放った妻は、そのまま蛇口を捻ってバスタブに湯を溜めはじめた。